少なくとも3人は言い値で購入すると思いますよ、イリスさん。
アイディアが悪魔合体!!どうしてこうなった……
おそらくこの部屋は、
「そんな普段使用されない部屋に呼ばれたからには、非常に重要な要件なんだろうね」
シェルティスはそう言って胸元を見やり、ついこの間までの癖で声をかけてしまったことに苦笑した。かつて首にかけていたイリスは、既に元のボディに戻っている。今頃あの黒髪の少年たちと、また仲良く騒いでいるに違いない。そのこと自体は彼にとっても喜ばしいけれども、常にそばにいた存在がもういないというのは、やはり何となくさびしかった。
廊下を歩きながら、巫女第2位メイメル・イン・カーネイションからの呼び出しについて、彼は中断していた思考を再開させる。皇姫サラが氷結鏡界を維持している間は、彼女が塔の政治を管理するのが慣例となっていた。そのためか
しかし、その案件とは一体何なのだろうか。
あるいは――そこでシェルティスは気が重くなった。今の自分の立場に関することかもしれない。なにしろ
さらに厄介なのが、現在シェルティスが事実上ユミィの千年獅と目されていることである。ユミィ本人が強く希望していること、
しかし、これからもそうとは限らない。長い間巫女は
今回の呼び出しは、そういった反発が出てきたからかもしれない。そんなことを考えているうちに、目的の部屋に着いた。時刻を確認。指定された時間より早く入らないように念を押されている。多少不自然には思ったものの、特に気にするほどのことでもなかった。時計が指定時刻を示す。員章をかざしてロックを解除。自動で空いたドアを抜けて部屋に入り――そしてシェルティスは固まった。
先ほどまで自分の心中を支配していた疑念も不安も、すでに一切合財存在しなかった。視界も頭の中も、目の前の光景に埋め尽くされていたのである。
自分にとってあまりに見慣れた、
ああだからなのか。明らかにサイズが合っていない。きっとこれでも一番大きいものだろう。だとしてもいろいろと無理がある。特に胸元がものすごい。スカートの丈だってギリギリすぎる。正面からでは分からないが、きっと後ろもとんでもないことに――――
「ゆ、ゆゆゆゆゆユミィさん!ななな何……何やってるんですか!?」
「い、いやああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああぁぁぁぁぁっ!?
見ないでシェルティス、みないで―――――――――――――――――――――――っっ!!」
簡潔に言うと、何もかもぐだぐだであった。
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全てのきっかけは、メイメルが
遺失物の管理部署へ爛あたりに届けさせよう。そう思いつつふと広告に目を落とした瞬間、掲載されていたアニメ的な絵が彼女にインスピレーションを与えた。
”無理めなレンタル制服” ”ギリギリレンタル制服”
その広告はいわゆるソーシャルゲームを扱ったものだったが、メイメルにとってはどうでもいいことだった。今自分に与えられたインスピレーションこそが、なにより重要なのだ。
あの時は結局、
だからこそ、これはまたとない好機。幸い対象は、想い人と自由に触れ合うことができるようになった。まかり間違っても物悲しい雰囲気になる心配はない。あの純情少年がどんな反応を見せるかも楽しみだ。
自分だってここのところ一生懸命働いているのだ。これくらいの潤いがあってもいいじゃないか。そう思いつつメイメルは計画を実行に移した。
少年を誘導するのは簡単だった。
爛は薄々メイメルの意図に感づいているような仕草を見せていたが、ちゃんと命令どおりに動いてくれるだろう。そのためにもセラの虚像との戦いで命令違反した際、念入りに
ターゲットの方は弱点が分かっている分、少年より簡単だった。もっとも、こちらは少々手間がかかった。あの少年の同僚に協力してもらう必要があったのだ。
”……仕方ないですね。いい値段で売れるはずでしたのに”
彼女がそうやって惜しむほどの魅力が、この写真にはあった。旧式儀礼衣をまとった鳶色の髪の少年が、ベンチに座り込んで背もたれに頭をあずけている。訓練での休憩時間だろうか、熱を冷ますために胸元を開けていた。意外と愛嬌のある顔立ちだし、訓練の賜物かスタイルも十分。身につけているのが通常の儀礼衣なら、声をかけようとする女子もいたに違いない。
メイメル本人さえも一瞬だが欲しくなってしまったのだ。そんな写真の魔力に、標的が抗えるわけがないのは明白だった。
「ふふふ……やった、やったわ!」
「ええ、大成功です!」
そして現在、メイメルはその少年の同僚――すなわち
思わぬ拾いものだったとメイメルは思い返す。当初は、彼女が隊員たちの秘蔵写真を持っているという噂を耳にしていただけだった。同じ部隊にいる標的の想い人の写真なら、当然持っているだろう。そういったメイメルの思惑を、華宮は鋭く察知した。
”あなたが他人の恋人に横恋慕するような方でないことは、見当が付いております。目的は、この写真を条件にユミィ様に何らかの要求を飲ませることですね?”
そう確認したうえで、彼女はメイメルにある条件を提示し、その上でこの積極的な協力に踏み切った。その条件とは――
「メイメル様、お約束通りユミィ様のコスプレ写真の独占販売権は……」
「わかってる。売上も全部あなたのものよ」
そう言って2人は笑みを交わしあった。
後編に続く!?