コードギアス Gの軌跡(笑)   作:木下 瀬那

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誤字報告感謝である!感想と評価もとても嬉しいぞ!フラッグファイター、ソルブレイヴスの諸君!!!

日刊ランキング50位以内に入っていたとメッセージが友からきて、お茶を吹き出したので投稿です。

いや、あのほんとみんなありがとう……!

そして、今回は藤堂から見たグラハムさんだ!なんかやり過ぎたかも!!


幕間・藤堂 の 矜持

「自分にブリタニア皇族の護衛、ですか」

 

 私は朝起きて着替えている最中に掛かってきた電話で片瀬少将に呼び足され、軍の会議室で彼の前に立っていた。

 

 片瀬帯刀少将。もうすぐ50歳にもなる方だが、未だその眼孔は鋭く、その恰幅の良さも相まって前に立つだけで、まるで押し潰されるかのような気迫を感じる。私も老いていったとしても、この人のように自身を若く保てるのかと、悩んだりする日もある。未だ妻も子も持たぬ男の考えることではないかもしれんがな。

 

そんな片瀬少将が眉間に皺を寄せながら、話し始める。

 

「そうだ。枢木ゲンブ首相から昨日連絡が来てな、ブリタニアから皇帝の子息が1人、日本に非公式に来日するそうだ。それに際し、枢木首相からの我々への要請は…()()()丁重に扱うよう見せるため、軍部の中から何名か選んで欲しいとのことだ」

 

表面上……ね。政治について私が詳しく何かを知るわけではないが、枢木ゲンブ首相からは最近キナ臭い噂が流れているのは知っている。現状日本は強力な軍事力を持っているわけではないが、他方を海に面した小さな島国のため、他国からの侵略には海か空からしか攻め込めぬ。それ故、どうしても補給線の確保がしづらくなり、纏まった戦力を送ろうにも日本側が包囲戦を取れば、戦車や海岸沿いの砲台を有する利をとり撃退しやすい。

 

しかし、()()()()()。我が国自ら他国へ侵略するだけの力は持たない。他国から守ることは出来ても、他国に圧力を持つだけの物を持たない。それが現状の日本……。

それを引っくり返す準備を枢木ゲンブ首相が筆頭に行っていると、噂が立っているのだ。

 

日本の軍事力を増設して、他国に攻めいるつもりなのか。

何かしらの特産、資源を優遇することで他国の庇護下に入るつもりなのか。

どんな手段を模索しているのかはわからないが……どんな手段にしろ必ず戦が起きると軍上層部は睨んでいるらしい。

 

若い将校の間で流れる程の噂だ、決して楽観できる状態ではない。

もしや、この期にブリタニアの訪問があるということは、そこに枢木ゲンブ首相の計画があるのだろうか……

 

そう思案していると、片瀬少将は私の肩を叩く。

 

「藤堂、そう思い悩む必要はない。今回お前を護衛に選んだのはその実直さを見込んでのことだ」

 

「自分が硬い人間であるとは自覚していますが……何故それが護衛の理由に?」

 

 確かに、上官である片瀬少将や草壁中佐からよく「君はもっと賢くならんと、上には中々上がれんぞ?その実直さは好ましく映るがな」と言われていた。しかし、ならばなおのことわからない。その非公式の来日の護衛をするのならば、何かしらの情報を引き出すまたとない機会なのは私にもわかる。それならば少将たちが常々言っている、「賢い」者が適任なのではないのだろうか?

 

「無論その話が最初に来たときは、スパイとして接近してもらい枢木ゲンブ首相の腹の内を探ってもらおうと考えていた。だが、来日する皇子はまだ10歳の少年だと聞く。同伴者も20代の奉公人の女性……いくらブリタニアが強国とはいえどこの2人だけで黒い話などできるとは思えん……」

 

そこまで言って、片瀬少将は再度私の肩を叩く。先程よりも強めに叩かれた肩は、痛みだけではなく期待が込められているのがわかる。

 

「だから君なのだ藤堂大尉。私も初日は同伴するが、いざこの若い要人を守るとなると腕のたつ者が必要だ。そして、彼らに悪印象を与えない実直な青年将校は君だけなのだ。やってくれるな」

 

「はっ!藤堂鏡志朗大尉、慎んでこの任務お受けいたします」

 

私はそこまで言われて否と答えるような男ではない。この期待に答えられるよう、尽力しよう。

 

「おお!やってくれるか藤堂ぉお!うむ!お前ならばその実直さ故に相手も油断して口を滑らせてくれるだろう!頼んだぞ!」

 

……正直、1度断るべきかと悩んでしまったのは秘密だ。少将……せめて私が居ないところで言ってほしかったです……

 

 

 


 

 

 

 そして、皇子来日当日。私は枢木ゲンブ首相、キョウト六家の桐原翁。そして片瀬少将と数名の年若い将校を連れて空港に来ていた。

 

「君が片瀬少将が言っていた藤堂君か。今日はよろしく頼むぞ」

 

そう言って枢木ゲンブ首相が私より武骨な手を差し出してきた。私はそれに応じ握手をする。……ふむ、こんな武人のような手を持つ男が、国を軽んじて過激派になるとは思えんな……。思い過ごしか、あるいはこの手の先には……

 

「はっ!今回の任務、必ずややり遂げて見せます!」

 

「ホッホッホ……そう固くなる必要はないぞ藤堂とやら。大層立派な刀を腰に指して、大和魂を見せてくれてありがたいが、来る相手は子供。あまり気負うなよ」

 

 考えていたことをすぐに頭の中から追いやり、決意をもって返礼した私に桐原翁が笑いかける。キョウト六家の重鎮桐原泰三……枢木ゲンブ首相とは比べ物にならないほど黒い噂が流れている人物。首相の噂と違うところはそれが全て結果的に日本の利になる行動であるとわかるところか。

 

「ところで、枢木首相。今日はSPを連れて来てはいないのですかな?」

 

「ああ、皇族とはいえ子供。あまり大柄な男ばかりでは怖がらせてしまうかもしれんと思ってな」

 

首相が片瀬少将の質問に答えたと同時に、片瀬少将が右手に着けていた手袋を外す。それを見た若い将校の内、2名が駆け足で空港を出ていった。

 

「おや?少将、何かありましたかな?」

 

「いえ。恐らくトイレにでも行きたかったのではないでしょうか?しかし、上官に何も言わずに抜けるとは、後で説教ですな。まったく今日は見学として連れてきたから良いものの。藤堂と同じく任務だったら厳罰ものです」

 

少将はそう困ったように頭を振りながら言うが、片瀬少将の部下ならば全員知っている。先程の手袋を外す行動は緊急時のサインだ。左手の場合は「ここに本命有り。全力を尽くせ」。そして右手の場合は「本命は別。即時逃げて探索せよ」だ。

 

 なるほど、そういうことか。これは私にも理解できる。先程動いた部下は予めサインを送ることを伝えていたのだろう。そして、ここでいう本命が他にあるということは、恐らくSPの行き先。別の場所で軍部も知らないもう1つの非公式の要人もしくは何かしらの密会にSPを動員してると……そう少将は読んだのだろう。……風の噂ではあるが、一目見ただけでは見破れぬ変装術の使い手が存在すると聞いたこともある。私には本物に見えるが、下手をするとこの枢木ゲンブ首相が偽物の可能性もあるのだろう。やはり政治の駆け引きとは恐ろしいものだ。

 

 

 

 私がそんな日本の影の駆け引きを思案していると、とうとうブリタニアの飛行機が飛行場に着陸するのが見えた。時刻を確認するが到着予定時刻より数分遅れているようだ。何かあったのかもしれない。そう思いながら私は自身の装備を確認しつつ、首相たちと飛行場に向かう。

 

私たちが着陸しているブリタニアの飛行機の側で整列を終えるとほぼ同時に、飛行機のハッチが開く。

 

「ほう……あれが……10歳の子供とは本当だったか……」

 

誰が溢したのかわからない声が耳に響く。

 

私も思わず呆けてしまっていた頬を引き締めるべく姿勢を正す。

 

 

 

 

 そのブリタニアの皇子は、あまり着なれていないように見える紺色のスーツを身にまとい、少々癖毛がある金髪にどこか喜んでいるような輝く瞳。それに反比例するかのような外から見てもわかる、10歳という歳に不相応な引き締められた体躯。

そんなチグハグな少年というのが、私のグラハム君への第一印象だった。その印象も、ものの数分で覆されるとは思ってなかったが……

 

開口一番は皇族としての礼儀を感じてが、それに続いた発言

「皇族としての扱いを拒否する」と言うのには思わず唖然としてしまった。その上歓待だけではなく、護衛すらいらないと。

もしや、この少年……自身が監視のような目にあうことを理解していて発言しているのだろうか。それに他国の要人が歓待を断るという理由は私でもわかるが、わかった上でそれを拒むという。……気付くと最初の、体を鍛えた若々しい少年という印象から、自身の立場を理解し大人を巻こうとする知恵者という印象に変わっていた。

 

これにたいして、私自身も礼儀をかいて甘くは見られてはいけないと気を張って車の中で護衛につく際も、毅然とした態度で首相と桐原翁の間に居座る。片瀬少将からの紹介でしっかりと挨拶をしようと

 

「しばらくは護衛につかせていただく予定でした、藤堂鏡志朗と申します。今後よろしくお願いし」

 

「枢木ゲンブさん、やはり護衛だけでもしばらくお願いできないだろうか!?」

 

したが、途中でグラハム君が遮るように首相に言葉の撤回を伝えてきた。

 

車に乗ってる途中から私をじっと見ていたが、何か私にたいしてあるのだろうか?私はこの少年……いや、そもそもブリタニア人に知り合いなどいないのだが……

 

「急にどうしたんだ坊主?」

 

「すまない!先程の言葉を早々に撤回してしまってすまないが、やはり護衛はつけてもらえないだろうか!この通り!!」

 

目の前で少年が必死に頭を下げている。……本当に何故私はこの少年に求められているのだろう?まだ言葉も交わしておらず、どこかであった記憶もないというのに……。

 

「この藤堂鏡志朗という男に!私は心引かれるものを感じた!恐らく高名な武人なのではとお見受けする!私が日本に来たのはそんな武人に会いたいのもあったのだ!こんなまたとない機会を逃したとあっては後悔してもしきれぬ!私の琴線に触れたこの藤堂鏡志朗殿に!是非!護衛に着いてもらいたいのだが!無礼は先刻承知だ!この通り!!」

 

「ふむ、そこまで坊主が言うのならば彼に護衛を頼むのは構わんが……1つ条件がある」

 

その熱意の籠った早口の言葉と、何度も頭を下げる姿勢に首相も折れたのだろう。私たちへの善意での情報提供を口約束していただき。私が護衛に正式につくことを了承することになった。

 

……ふむ、高名な武人か……。私が目指す所ではあるが、こんの年端もいかない少年にそう見られるとは……私のこの21年間も無駄ではなかったと思える。しかし、こんな少年に求められることだけは素直に喜べんな……ふ、嬉しくないわけではないがな。

 

 グラハム君の左手をしっかり握り返して握手をしていると、微かにだが車外かは殺気のようなものを感じた。ふと助手席の片瀬少将を見ると、既に軍服の内にある拳銃を握っている。

 

「良かったですね、殿下」

 

「ああ、日本人はとても懐が深い人たちのようだ」

 

握手していた手を離し、私も自身の服の内に入れている拳銃を取り出そうとしていると、彼らが急に演技臭い誉め言葉を言った。それにたいして、世辞など無用と言おうかとしたその時、車の窓の外に数名の機関銃を持った男たちが見えた。次の瞬間私がグラハム君を庇って伏せようと

 

「総員伏せろ!!!」

 

咄嗟に指示を出しながら拳銃を取り出し発砲する。私が庇おうとしていたグラハム君は、私の声よりも少し早く身を屈めていたようで、私の胸の中ではなく、私の目の前でしゃがみこんでいた。

 

視界に移っていたのは8から9人の男性。服の内側から隠していた機関銃を取り出そうとしていたということは、これは公に大勢を引き連れた襲撃ではない。増援があるとしても同じく8名程度だろうと推測を瞬時にたて、片瀬少将と共にすぐに無力化にかかる。

 

片瀬少将が正面と左側。私が右側を主に射撃しつつ、車の中の人員の安否を確認する。

 

私や少将の弾が高い精度で当たっているのだろう、次第に機関銃の発砲は収まってきている。

 

枢木ゲンブ首相と桐原翁は言葉と同時に伏せていたのだろう、体に傷は見当たらない。しかし、ニヤニヤしているのは何故だろう?もしや、これは日本政府側が仕組んだ襲撃なのか!?と思ったが直ぐに違うとわかった。

 

もう片方の要人たちをみると、ピンク髪の奉公人に抱えられて頭を撫でられているグラハム君が目に入った。奉公人も、怖いのだろう。手が震えているものの笑顔のまま、必死に「大丈夫ですよ、殿下。大丈夫です」としきりに囁いている。

 

しかし、とうのグラハム君はどこか呆然としているようで、言葉が届いていないように見える。少年の口からは「私は……私は……」と呟くような声が聞こえる。

 

仕方ないだろう。いくら皇族とはいえ未だ10歳の子供。見るからに体は鍛えているし、先程の反射神経も流石といえるが。恐らく直接的な死の恐怖とは無縁だったのではないか?……やはり怖いものは怖いだろう。私も今回のような襲撃にあったことは初めてだが、戦場で初めて敵から撃たれたときは恐怖で体が動かなかったものだ。

 

だが心配しなくていい。今は私が少年を守ろう。怯えていいのだ。私はこの少年の印象がまた変わったのを感じる。この子は年相応のただ背伸びをしている少年だ。

 

「これで最後か!」

 

 片瀬少将のその声と発砲で、機関銃の音が完全に止む。しかし、まだ油断はできない。流石の防弾仕様の専用車も、窓ガラスは粉々に割れてしまっている。この中にいれば要人たちは安全だ。私だけで外の様子を見ようと、体を起こすと。

 

「行かねば……」

 

グラハム君が、いつの間に私の腰から抜いていたのか、抜き身の刀を左手に持ち、割れた車の窓から車外へと飛び出そうしていた。

 

「なッ!!グラハム君!!今はまだ危ない!外に出ては行けないぞ!」

 

そうだ!危ないんだ!君のような子供が背伸びして立ち向かう必要などないんだ!まだ息のあるものがいるかもしれない!

 

しかし、私の声に彼は振り替えることなく車を飛び出し駆け出していく……予想通り、まだ息があるものがいた。しかし、彼はその敵に向かって走り出していく。

 

「グラハム君!!!」

 

再度声をかけるが止まらない。ならば先に敵を撃とうと拳銃を構えるが射線上にグラハム君が当然重なってしまう! 

 

「坊主!危ない!!」

 

首相も声をあげるがやはり止まらない。敵が首相の声を聞き、隠し持っていたのだろう小型の拳銃を抜き、首相に向けて銃口を 

 

「ッ!殿下!!」

 

向けようとしていたのがとまり、グラハム君へと向けられる。奉公人の声が、グラハム君が首相も気にする重要人物ととられてしまったのだろう!こいつらの狙いはやはり国際問題を引き起こすことか!!

 

瞬間、3つの銃声が響いた。

 

1つは私が撃ったもの。焦っていたため、敵の遥か後方にある電柱に当たった。

 

1つは片瀬少将が撃ったもの。私の注意が逸れた隙に近づいていた他の敵を撃ち抜いてくれたようだ。視界の端で血塗れの男が倒れる。

 

1つはグラハム君が駆けていった相手が撃ったもの。それは少年には当たらなかったようだが銃口の位置を見る限り2度はない。早く退くんだ少年!!

 

しかし、私の願いは届くことなく少年は敵の前で立ち止まる。もしや、本当はさっきの1発があたっていたのか!?

 

そんなことを考えてしまったが、またの発砲で思わず私も車を飛び出す。今の発砲は私でも片瀬少将でもなかった。ならば撃ったのは敵!あんな至近距離で撃たれたらほんとに死んでしまう!!!少将に護衛を任されたのに!あの少年にも必死に護衛を頼まれたのに!!目の前で死なせてしまうなぞ!!!

 

早く!例え当たっていたとしてもすぐに治療すれば助かるかもしれない!

 

早く!例え当たっていなくて、まだ敵の銃が発砲されても私が盾になれる!

 

早く!!早く早く!!!彼を助けるために!!!

 

 

 

 

 

 

「グラハム・エーカーであると!」

 

 

 

 

 

 

 

しかし、私の足は届くことなく、

 

 

されど、少年は死ぬこともなく、

 

 

そして、敵は2度と銃を撃つことはない。

 

 

 

 

その日、私を武人と呼んだ少年は、無茶無謀を行って尚、傷は頬をかすった弾1発。私の刀を使い敵を切り伏せてみせた。まるで、心の底から出た叫び声と共に。

 

「殿下!殿下!!何故こんな無茶を!!」

 

「……私は……私は……死ぬところだったのだ」

 

「坊主!それはお前がいきなり飛び出すからだ!」

 

「いえ、違うのです。私の命ではなく。私の心が……私の魂が……死んでしまうところだったのです」

 

少年は息も絶え絶えといった様子で、虚ろな表情で心配する奉公人とゲンブ首相の声に答えている。

 

……この少年は、あの状況で己の命ではなく。己の心を守ろうとしていたのか?この歳で?

 

「ですが!ここで死んでしまっては殿下の夢が!」

 

「……夢…ああ、夢だな……だがその前に守るものも守れず魂が死んでしまうなぞ耐えられんのだ……」

 

……護衛の立場として、私や少将は確かに敵を速やかに討伐した。少年が立ち向かわなくともあの敵も、私か少将が殺していただろう。しかし、この少年はそれを良しとしなかった……自身の手で恐れを払拭しようとした

 

「私は……もう…………何も……」

 

「むッ!おい、小僧!しっかりせい!」

 

そこまで言って少年は崩れるように刀を落とし倒れこむ。桐原翁が少年を揺さぶるが、既に返事はない。気を失ってしまっているようだ。

 

……私はいまだに呆然としてしまっている。

 

私は護衛に選ばれた。今回は何とかなったが、次はどうなるかわからない。何よりこの少年はあまりに気高すぎる。自分の命よりも、自分が怯えてしまった心を恥じて敵に立ち向かってしまった…………その心が何を表すのかはわからない。動けないことを恥じたのか。身近な人間を守るのではなく守られることを恥じたのか。もしくは

 

「あの奉公人を守れぬ自分を恥じたのか……」

 

あの時、この少年は奉公人の声には微かだが、反応していたのだ。他の国では本当の親が育てるのではなく、あえて血の繋がらぬ乳母に子を育てさせることがあると聞く。少年にとって、この奉公人がそれなのかもしれない。

 

そんな想像をしていたが、いずれにしろまた同じように、その心を守るために、自身の命なぞ投げ捨てるように立ち向かっていくのだろうと、容易に想像がつく。本当になんと気高すぎる魂か。私の身近な軍人にこんな行動ができる人間がどれだけいるのだろう。

 

「片瀬少将…今日は、このまま私の家に彼らを連れていってもよろしいでしょうか」

 

思わず、そう溢してしまっていた。

 

魂の気高さもそうだが、もう1つ気付いてしまったことがある。先程の太刀筋……おそらく我流ではあろうが、力の入れよう、握り、腰の入りようは様になっていた。……私の悪い癖もまた、顔を出してしまったようである。

 

「む、藤堂。お前まさかとは思うが……」

 

「少将、さすがに私もそこまで見境なしではありません。ましてや他国の要人に勝手にするなど」

 

ああ、勝手にはすまい。しかし、もし、武人に憧れるというこの少年に、やる気があれば……

 

「はぁ…………まぁ、仕方あるまい。今回の襲撃者は全員日本人のようだが、狙ったのがグラハム殿下なのか、枢木首相なのかわからないない現状をハッキリさせるためにも、1度別行動をとるのもありだな。これで殿下が狙われているのであれば護衛を増やすし、首相が狙いならば殿下を遠ざければ大丈夫だろう」

 

「おいおい、片瀬少将。自分の国の首相を案ずるのが普通じゃないのかね?」

 

「たしかに枢木首相の命は大事ですが、ここで安易に国際問題に発展するのは避けなければなりますまい。……無論首相のことも命に代えてお守りする次第。どうかここはこの片瀬の意見を聞き届けていただきたい」

 

「良いではないかゲンブ。これで敵もハッキリとするもの。お主にとってもそれが最善であることはわかっているはず……異論あるまい?」

 

「確かに……桐原翁の言うとおりだな。……片瀬少将、念のため藤堂君の家の周囲にも警備を頼むぞ」

 

「御意」

 

そんな上層部の会話を尻目に、少年を抱き抱える奉公人に声をかける。

 

「今回はあまりに怖い思いをさせてしまって申し訳ない。客人にこれ以上の危害は与えぬよう、全力を尽くそう。まずは私の家でグラハム殿下の容態を見ようと思うが、構わないか?」

 

「はい、よろしくお願いいたします」

 

 

 その後、新たに応援に駆けつけた即席の護衛隊と共に、進路を変更し首相たちは、予定通りのルートで炙り出すために食事へ。我々はそのまま私の家へと帰るのであった。

 

 

 私の脳裏には、撃たれても弾が当たらないグラハム君の後ろ姿が……その日ずっと焼き付いて離れないままに……

 

 

 

 

 

 

 




えーと、うーん?こんな感じ?(どんな感じ)





わお、人気投票グラハムだけ凄い量……そろそろ締め切ろう

お気に入り600かぁ……ランキングといい予想外だあ(遠い目)

ちなみに、友達にも聞いたけどみんなはこの作品中のキャラで誰が好き?

  • グラハム・エル・ブリタニア
  • ピンク髪のメイド
  • シャルル・ジ・ブリタニア
  • V.V.
  • シュナイゼル・エル・ブリタニア
  • コーネリア・リ・ブリタニア
  • Graham Aker
  • カノン・マルディーニ
  • ギルバート・G・P・ギルフォード
  • アンドレアス・ダールトン

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