さぁ、そんな君たちにお届け物だ!!!
お気に入り100突破記念とUA1000突破記念で書こうとしていたお話です!存分に楽しんで欲しい!!!
我が名は未だない。生まれたときから今この瞬間まで、名を与えられたことは無かった。常に付きまとう言い様のない喪失感。それに突き動かされるように知識を求め、果てには「ダイアリー」と教主様に言われるようになった。何でも、日記という意味らしいが……何故そう呼ばれるのかもわからぬ。
しかし、未だ名はない。ダイアリーは教主様しか使わぬし、あれは名と言うより判別の為の記号のように聞こえる。我が姿形を表す言葉は見つかれど、我自身を表す名は見つからぬまま。教主様と同格と言われるV.V.様にいただいたギアスと呼ばれる超常の力。それをもってして、我は他者から我の名を探す毎日。
「他者の願い、魂を夢の中で共有するギアス」
我自身、求める者は自身の中で見付けられず、本や映像資料の中……つまり他者のアイデアをもってしか何も得られぬことを理解したが故の「
そんな自身を探し、時にはギアスを使った成果を記録する毎日に、突如V.V.様から「お願い」をされた。教団においてこの「お願い」は神からの神託と同義だと教わった。それも真実なのか、最近では疑問である。
「やぁ、えっとダイアリー、だっけ?君にお願いがあるんだ。ちょっと僕と一緒にお出掛けに付き合ってほしいんだ」
お出掛け……つまりは外。
「わかりました、V.V.様。何処へなりともついていきます」
表面上の態度は、努めて冷静に返事を返す。教主様とV.V.様はどちらもギアスが効かない、超常の存在。逆らう必要はないが、教主様と違いこのV.V.様はどこか恐ろしく感じる。昔、同じ年の教団の子の夢に入ったことがあったが、その中は人を害する存在で溢れかえっていた。表面上はとても優しい子だったが、内心ではあんな風に周りを害したくていっぱいだったのだろう。V.V.様はそんな彼に似ている気がするのだ。違う面もあるのだろうが、あのような内に秘めた恐ろしいものを持っている気がする。
「それじゃ、行こうか。君のギアスを使って欲しい相手がいてね。行き先はね……」
日本。悪意か興味か……その行き先は、どうやら日本にいるらしい。私はV.V.様と教団の神官に和服というものを着せられ。飛行機に乗り込んだ。……さて、外の世界のその人物は、我にどんな知識を与えてくれるのか。それだけが楽しみである。
目的の人物は日本に来てすぐに見つかった。日本人は黒い髪色が多いから、その人物の金髪は目立っていてわかりやすかった。
グラハム・エル・ブリタニア。V.V.様の「お願い」によって我がギアスをかける人物の名だ。何でもV.V.様とは浅からぬ因縁の持ち主らしいが
「随分と僕を待たせてくれるからね、たまには痛みを与えて思い出させてあげなきゃいけない……それに退屈なんだ、楽しまないとね」
その言葉と共に、日本でやるべきことを理解した。ようは我がギアスでそのグラハムという人物を、叩きのめせばいいのだ。
我がギアスは対象に触れて、その対象と同じ時間に寝ることで発動する。教団内では基本的に皆の就寝時間は決まっていたため、然程苦労は無かったが、今回は少し面ど
「ああ、そうそう。彼の就寝時間は事前に調べてあるから心配はいらないよ。後は触れるだけさ」
……いつの間に調べていたのか、「曜日毎に確実に寝ている時間」と書かれた紙を差し出してくるV.V.様。もしかして、グラハムという人物、結構な恨みを買っているのだろうか。ちょっとばかり同情してしまう。
ならば、後は接触して触れるのみ。1度夢の中に入ってしまえば、我が姿形は思いのまま。夢の主に成り代わることだけは出来ないが、その夢のルールさえ理解すれば、立場も力の使いようも自由自在に扱える。例えば、動物と仲良くなって暮らす夢であれば、こちらも仲良くなった動物を用意し、その動物達に夢の主を襲わせるなんてこともできる。相手の好きな人物になることも、逆に嫌いな人物になることもできる。これを使って「ちょっかい」を出して、V.V.様の存在を焼き付ければいいのだろう。
「ここだよ、ダイアリー。君の髪の色は黒く染めたし、カラーコンタクトで瞳の色も黒くなってる。流石に顔立ちは変えられないけどこれなら、日本人に見えなくもない」
そして、V.V.様と共にたどり着いた場所は、道場と呼ばれる日本の修練所だった。既に変装を終えたこの姿で対象と接触し、速やかに離脱。後は同じ時間に寝れば、「お願い」の通りに夢で「ちょっかい」をかけるのみ。
「では行って参ります」
「がんばってねー。あ、
最後に意地の悪い笑みを見た気がするが、気にせず道場に入る。飛行機内で渡された資料によると、ここの門下生のフリをすればいいらしいが…………さて、どうしたものか。
嗚呼、ほんとどうしたものか。
指し示したように、道場にはグラハムしか居なかったため、出会うこと自体は難しくなかった。
「さぁ、存分にかかってくるがいい!!」
後は、不自然でない程度に触れるだけだ
「どうした!脇が甘いぞ!!」
触れるだけなのに……
「この軌道!目に焼き付けるがいいッ!!」
「くっ!なんという滅茶苦茶な!」
乱雑に見えて、しっかりと隙をついてくるグラハムの木刀に思わず尻餅をつく。
軽く挨拶をして、我も門下生だと嘯くと「ならば手合わせ願おう!」とか言われ。それなら手合わせの最中にでも軽く触ってとっとと帰ろうなんて考えていたのに……
なんだこの男……V.V.様の話ではまだ12歳になったばかりの子供。道場に通ってはいるが、我のような他者に触れるためだけに暗殺の技を習ったものでも、軽く対応できるとか言ってたのに……
「ふむ、少しやり過ぎたか?まだ手加減がうまくできてなくてな、すまない」
……え、手加減してこれか?木刀を振ってる最中に、急に笑顔で喋りだしたと思ったらどんどん加速していったんだが?え、手加減?これが?
「そうか、手加減してくれていたのか!いや、こちらこそ対応できなく申し訳ない!!ははは……」
乾いた笑いしかでないではないか……普通手加減してる人間が道場の壁を蹴りながら「隙ありッ!!」って三角跳びしながら木刀を振り下ろしてくるのだろうか……確かに攻撃は全て木刀目掛けて行われていたから……いや、でもこんなものなのか手加減って
そう思い悩んでいるとグラハムのほうから手が差し出されてきた
「ほんとすまないな、大丈夫か?随分と強く尻を打ち付けたように見えたが……ほら、手を貸そう」
……少々癪ではあるが、このまま手を握って帰るとしよう。
V.V.様の因縁とは別に、ここまで変な動きで叩きのめされては我自身も仕返ししてやりたくなった。
「ありがとうグラハム殿。よいしょっと……ふむ、今日は他にも行かなければならない用事があってな。申し訳ないがここで失礼するよ」
「ふむ、そうか……もう少しで手加減がしっくりできそうだったが。仕方ない。また縁があったら会おう!さらばだ!」
ああ、さらばだグラハム。そして、すぐに会えるとも。首を洗って待っているがいい!夢の中で今度はこちらがお前を圧倒してやる!!
V.V.様が用意した仮の拠点で、時間を待って寝てみると……
「ほう、これがグラハムの想像、魂の世界か」
そこは海が見える箱の中だった。一応今回は正面から叩きのめしてやろうと敵の立場を想像しながら寝入ったが、成功のようだ。基本、夢の中で明確な立場を想像しないか、味方を選ぶとすぐそばに夢の主がいるのだが……どこにもいないということはしっかり敵側で入れたらしい。
それにしてもここはいったいどこなのだろう。というか、この機械の人形みたいなものはいったい……夢の中であるがゆえに自分の視点だけじゃなく、周囲も見ることができるがどうやら我は人形の機械の中にいて海の上を飛んでいるらしい。……初めての経験だ。空を飛びたいという願いの夢に入ったことはあるが人形の機械で飛びたいなんてどんな夢を持っているのだろうか…………
『隊長!見つけましたぜ!!』
思案しながらそのまま身を任せて飛んでいると、突如声が響いてきた。夢の中だからできることだが、ある程度の距離であれば他者の声を自由に聴くことができる。どうやら、今の声は我に向けて言ってるわけではないようだが……
『よく見つけたハワード!行くぞ!フラッグファイター!!』
突如、グラハムと思える声から聞き覚えのない名前と単語が出たと同時に体に軽い衝撃が響く!
「くっ!何だ!?何が起こってる?」
思案を止め、再びこの機械の外に意識を向けると黒い飛行機のような機械1つと、似た形状をした水色の機械が2つこちらに向けて接近していた。先程の衝撃はこの黒い機械の先端にある銃のようなものから出た、青白い弾に撃たれたようだ。
『ようやく見つけたぞ!ガンダム!!夢のようだ!さぁ、私の腕がどこまで通用するか……試させてもらうぞ!ガンダム!!!』
『お供しますぜ隊長!』
『私も続きます!』
『ダリル、ハワード……感謝する!』
何故かはわからんが……グラハムが現実でやりあった時とは比べ物にならないほどの感情を爆発させているのはわかった。やはりあの黒いのにグラハムが、そしてその後ろに続いている水色の2つにそのダリルとハワードとやらが乗っているのだろう。そして、我が乗っているこの白と青で彩られた……そうだなこれはロボットと呼ばれるものだろう、本で見た記憶がある。この人形ロボットがガンダムとやららしい。
名前を理解すると、装備している武装をどう使えばいいか何となく解ってきた。我はガンダムを振り返らせながら、その右手の銃のような物で、黒い飛行機目掛けて発砲した。
『は!その程度の腕では当たらんよ!!』
3発程撃ったが、その全てが避けられる。ならばとその右手の銃のような物を変形させ、剣に変える。
『ほう!接近戦がお望みのようだ!!』
『隊長!危険ですここは我々が』
『構わんダリル!ここが私の魂の正念場だ!!』
何か叫んでいるが、気にせず接近して剣で横一文字に切りつける。しかし、その黒い飛行機はその一撃を紙一重で避けて見せた。
「くっ!なら振り返り様に……」
もう一度切りつけようとした瞬間、背中に強い衝撃が走った!
「な、どうやって!?」
黒い飛行機の銃は前方に固定されているように見えた。これに撃たれたわけではない。残りの水色の飛行機もまだ我の前方にいるためこの2つからの銃撃でもない。ならばどこから……戦いに集中していた為、行っていなかった夢特有の俯瞰視点で見ると答えがわかった。
「黒い……ロボット!?」
『くッ!!は!まだ呼ばれてはいないが……人呼んで、グラハムスペシャルッ!!!!』
『あれは中尉のッ!』
そこにいたのは、先程の黒い飛行機ではなく黒い人形のロボットだった。いや、夢だからわかったが、このロボット……先程の黒い飛行機が変形したのか!!どうやら変形した直後にこのガンダムの背中を蹴り飛ばしたらしい。
何だこの男の想像力は……何だこのロボットたちは!?何だこの魂は!?!?我は今までこんな夢に出会ったことはない!
そんな驚愕も、一瞬にして切り替える。
しかし
嗚呼、恐ろしい恐ろしい恐ろしい恐ろしい恐ろしい恐ろしい恐ろしい恐ろしい恐ろしい恐ろしい恐ろしい恐ろしい恐ろしい恐ろしい恐ろしい恐ろしい恐ろしい!!!
だが!!楽しい!!!
「こんな経験は初めてだ……初めてだグラハム!!!」
『接近戦がお望みならば、やはりこのプラズマソードでお相手する!!』
「お前はいったい!!」
『行くぞガンダム!!』
「何者なんだ!!!」
『敢えて言おう!グラハム・エーカーであるとッ!!!』
その後、何時間も我のガンダムとあの飛行機……フラッグと呼ばれるロボット達と戦い続けた……負けることはなかったが、勝つこともできず、とうとうV.V.様に起こされる形で夢から覚めてしまった。
我はまたあの夢の世界に行けるのだろうか……この世界に、あの高揚感を感じさせてくれるものが現れるだろうか……今はそればかりが頭の中を埋めつくし。V.V.様のことも忘れ、感慨に浸るばかりだった。
尚、その頃のグラハムはというと。
「ん!?ここはどこだ!?何故君たちが私の世界に!!」
「隊長のいるところに我ら在りですよ」
「例え、違う世界であろうとあの人の魂があるならば、どこだろうと駆けつけますぜ」
「うぅぅぅ……これは夢か、夢なのだな!!ハワードとダリルに会えるなんてッ!!」
「驚くのは早いですよ、どうせ夢なら乗ってみませんか?」
「ちゃんと隊長のも用意できてます」
「これは…………フラッグか!!!!!」
夢の中で歓喜乱舞していたことは言うまでもない。
みんな!待たせてすまなかった!!!本編ではもっと活躍させるつもりだ!刮目して待ってて欲しい!!
お返しは感想だと、とても嬉しい(ボソッ)
しれっと出したけどダイアリーはオリキャラ
記念話に関して
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あんな感じなら歓迎する!!
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もう少しギャグよりで頼む
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どうせならばシリアスに!!!
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やっぱり本編!!!!