コードギアス Gの軌跡(笑)   作:木下 瀬那

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さて、何か進めたくなったので投稿です。
あと、そこそこ独自解釈が混ざっていきます。


初めましてだな!兄上!

 私が生まれてから3年の月日が経った。

無事首も座り、多少ならば歩けるようにもなった。

しかし、思い返すとこの3年間は退屈に過ぎるものだったな

今も私は小さな部屋に半ば軟禁状態だ。(子供が住む部屋としては大きい部類)こんなところでは筋トレしかできんではないか。(まだ3歳時の為そもそもやっちゃダメ)

 

 さて、まずは現状の確認だ。

あの少年、「V.V.」はあれ以降何度か私の顔を見にやって来ていた。やれ誕生日だの、やれ国の記念日だの、シャルルがなにかしただの、何かにつけてやって来てそれを私に伝えてくるのだ。……これはあれか。反応を見て楽しんでいるのか?そう考えるとあの時最後に私に伝えてきた「変な精神」とはやはり「転生した私の精神」という意味なのだろうか?……しかし、そんな精神とか見る能力がV.V.にあったとか知らないんだが?てか、そんなもんあったらもう私詰んでないか?(まだ詰んでない)

 逆にシャルルのほうは、あれ以降1度も顔を出してこない。あれかギアス主人公のルルーシュの母マリアンヌとイチャイチャしてるのだろうか。爆発しろ。

 

 

 

 現状といえば、V.V.の訪問時の話でいくつかわかったこともある。

まず、私の母親だが名前も顔も知らないときた。私を生んだ後に亡くなったのか。それとも、このV.V.がなにかしたのか。わからない以上、いない人間として扱うしかあるまい。前世での親は優しかったからか、この世界の親にたいしてあまり親しみを覚えないのが、この場合は良い具合に精神を安定させてくれている。

また、3人目という言葉に引っ掛かっていたがどうも男の子としての3人目の意味のようだ。既に第1皇女ギネヴィアと第2皇女コーネリアは産まれてるらしい。V.V.にとって女性は政治的価値以外に興味は今のところ無いらしく、男の子にたいしてのみその興味を向けてくるようだ。

 

 

 そして、これが私の未来のために重要な事なのだが。……ナイトメアフレームの開発具合だ。

現状第一世代すら開発は出来ておらず、どうも手探りの状態でまだ戦争は戦車や装甲車、戦闘機といったもので行っているようだ。

 

ナイトメアフレーム。KMF

 神聖ブリタニア帝国の次期主力兵器となる予定の人型の機動兵器。

原作ではこのKMFの第四世代の「グラスゴー」の投入により、日本との戦争を有利に進める決め手となったのは印象深い。

テレビアニメでは最終的に第九世代相当のKMFが出てくるため弱く見られがちの第四世代だが、この世界初の大型人型兵器は十分な脅威となりうる。

 

 私の指標。「グラハムさん」の為にはまずこのKMFに乗り、その実力をもってエースパイロットとして名を上げていくのが理想的だ。

正直言うと「ユニオンフラッグ」をどうにか開発して乗りたいが、私自身機械の設計についてはド素人な上、フラッグ自体空を飛ぶことを前提としている機体であり、原作KMFが空を飛べるようになるのは1期の終盤。尚且つ完璧に再現するとなると変形機構が必須なのだが、そもそも変形するKMFは、原作2期から出てくる第八世代と言われるブリタニアの「トリスタン」と主人公が乗る「蜃気楼」の2機しか確認されていない。早期から変形機構込みの空を飛ぶロボットの開発はとても難しいだろう。

 

 となると、今すべきことはKMFに乗るための体作りを行うことだろう。「グラハムさん」はフラッグに乗り、10Gと呼ばれる殺人的加速に耐えうる体を持っていた。彼を目指すのならばそれぐらいこなしてみせねば、同じ名を持つ人間として申し訳がない。

そして、どうにかして皇族の身分を捨て軍人になり、戦闘機乗りとして功績を上げ、最後まで生き抜くのだ。

そうすれば、いずれ空を飛ぶ人型兵器に乗れるはず。

 

 

 そこまで考えていると、3回ノックの音がした後扉が開く音が聞こえた。私は部屋の中央でうつむきながら考えていた為、顔を上げて今回の来訪者を確認する。

さて、またぞろV.V.の訪問か、それともメイドが食事でも運んできたのだろうか。余談だがメイドが持ってくる飯は結構美味い。グラハムさんらしくはないが、私自身メイドという存在は前世から好きなので食べさせてくれる時は少しの幸せを感じてすらいる。

しかし、訪れたのはどうやら私の地獄(V.V.)幸福(しょくじ)のどちらでも無いようだ。

 

 

「やぁ、はじめまして。君が僕のはじめての弟かな」

 

 

 そう言いながら、原作において最後まで主人公ルルーシュを苦しめた男「シュナイゼル(第2皇子)」は薄い笑みを浮かべながら、私の前に現れたのだった。

 

 

「はじめまちてだな!あにうえ!」

 

 

 

 

 


 

 

 私は、空虚なのだろうか?

私が初めて言葉を理解したとき、最初に父から言われた言葉は空虚な子だった。

空虚とは何か?空虚であることは何を意味するのか?そもそも父は私を見て、何を感じて空虚と称したのか?……疑問はとどまることなく溢れそうになるが、ふとそれは止まった。

 

 

そもそも、何をもって空虚となすかなど()()()()()()()()

 

 

それを探す必要などない。それが何なのか知らなくてもどうとでもなる。私の根底に関係ない。何故なら、生きていく上で目前の疑問などいずれわかるのだ。それがわからないからといって今死ぬわけではない。そもそも自分が今生きている意味すら必要と感じない以上、その先を理解することなど非合理的だ。

 

 

そう心と頭が言葉は違えども「必要なし」と断じた瞬間から、私の根底は決定したのだろう。

 

 

合理的。己が存在を守るものと断ぜず、ひたすら負けない理由と場所を理解し、その上でどう転んでも大局において決定的に負けない生き方を選ぶ。

 

故に空虚。

 

ならば、是非もなし。私はその答えを得た時から。シュナイゼル(空虚)となったのだ。

 

 

 

 

 

 

「しかし、これはナンセンスではないかな?」

 

 

 

 私の根底が定まってから4年の月日が経ち、私に弟が出来ていた事を知った。

確かに私は人1人の価値など、自分の身分故に国やその先を考えれば重要ではないと理解している。その自分自身すら捨てることも時には必要だろうと。

しかし、そのためにはまず知らなければならない。意味を、意義を、存在を。

故に、私が未だ知らない家族(コマ)がいるのならば、まずは会って理解しなければならない。理解した上で接し方を考えよう。そうすれば、未だ理解できないあの父上のことも多少は解るのではないか?そう思いながら、その弟のいる部屋に向かう。

 

 部屋の前に立ち、3回ほどノックをして中に入る。

父などは私の部屋に入るとき、1度もノックなどしたことはないが私は常にしている。父にとって私は下位。なれば礼儀は不要といったところだろうか?理由はわからないが私にとっては、最初に印象を悪くしないためには必須の行動になるとここ2年で学んだ。

部屋の中から返事がないため、留守かと思ったが部屋の前に立つメイドからまだ声を聞いたことがないので、話せないのかも。と言われ、ならばとそのまま中に入る。

 

 

「やぁ、はじめまして。君が僕のはじめての弟かな」

 

 

私は部屋の中央で下を向いている子供に、普段周りに話すときと同じように声をかける。

私の声に顔を上げた弟を見ると、見た目は私と同じ金色と髪を短く切り揃えてあり、瞳の色は緑がかった青色。私と血の繋がった兄弟とわかる特徴をしていた。

しかし、私が2歳のころから片言とは言え話していたらしいが、この弟はまだ声も出せないらしいとは。やはり彼も普通の家族(コマ)なのだな、と思っていると

 

 

「はじめまちてだな!あにうえ!」

「ッ!グラハム殿下がお声を!」

 

 

 弟が声を上げたのだ。私の後ろに立つメイドが驚いていることからして、本当に今初めて声を出したのだろう。初めてにしては()()()()()()()()()ようなところが不思議だが。まぁ、私のような例もある。さして、重要ではない。

それよりも重要なのは、私を見るこの弟の目だ。こんな突き刺すような視線は初めて感じる。

父の視線もどことなく鋭さを感じるが、この弟の目はそれとは違う。

そうだな、これは貴族が向けてくる探る視線のようでもあり、何か興味深いものを見るような視線でもあり、何よりうっすらとだが()()()()()()()視線だ。

私の想像話に怒りの表情を浮かべる時の軍人が、主にこの警戒心を向けてくることがあるが。

 何故、ただの、初めてあったはずの弟が私にそのような視線を向けてくるのか。

 

 

 

 

その視線に、とても興味が湧いた

 

 

 

私は気付くと口元に笑みを浮かべていた。弟グラハムが初めて喋った相手が私とあっては、多少なりと喜ぶのが人間的であり合理的だろう。

その後は他愛もない自己紹介をした後、また来るよと告げそのまま自分の部屋へと戻った。

 

彼の視線の意味。彼の初めてを向けてきた意味。深読みすればどうとでも捉えられる。

浅く考えれば、ただの子供の成長の一端に立ち会えただけと思える。しかし、私は深読みしたくなった……あの視線の意味を知りたい。

あれは知らなければならない。あれは私の空虚を埋める可能性を持っていると直感的に感じた。

 

 

それからは、ことあるごとにグラハムのもとを訪れるようになる。

 

 

 

私はシュナイゼル(空虚)。己の根底にあるこの合理性(空虚)をもって、興味の対象を事細かに暴く。

私のこの生き方を決定付けたのは恐らく……この弟グラハム(異物)と出会ったからなのだろう。いつか私の空虚を埋めるものを見出だすその時まで、私は止まらない。そしてその時まで、私を楽しませてほしい。グラハム・エル・ブリタニア……

 

 

 

 

 

 

 

 




グラハムさんの誕生で、早くも己の合理性を自覚し始めるラスボス。

まぁ、その心情を幼いころから持ってしまうのは環境のせいということで(汗)

お気に入り数100突破で何か書こっかなぁ?

  • うむ、原作前の日常とか読みたい
  • フラッグファイターとしての活躍を期待する
  • 番外編?!聞いていないぞ!シャルル!
  • それより本編を頼む。私は我慢弱い

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