コードギアス Gの軌跡(笑)   作:木下 瀬那

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今回はちょっと難産だった……政治がこんなにめんどい描写を求められるとは……聞いていないぞガンダム(いや言えんわ)!!


今さらですけどお気に入り1000人突破ほんとありがとうございます。ちょっと直視するのに時間かかりました……やっぱグラハムさんは偉大だね


初めましてだな!資源!

『ーー先日より、日本にて発表された『サクラダイト』と命名されるレアメタルの重要性について各国で協議が始まっておりーー』

 

「そうか、とうとう動き出したかゲンブ……」

 

 私はテレビの目の前で、少し青みがかったロングヘアーの優しげな目をした女性キャスターが話している報道の内容に事態が急速に動き出していることを実感する。

 

先日の私の、メイドさんへの贈り物何にしようか相談所が終わり、ゲンブからの質問に追加で2つ、3つ答えた結果な今目の前で起きているニュースなのだろう。

 

「日本はブリタニアからすれば、糧のように見られている。実際には日本に限った話ではなく、諸外国全てをそう見ているだろう……しかし、これはナンセンスだ」

 

あの後聞かれた質問は、「ブリタニアと戦わずに済む道はあるか」「君から見て我が国の強みは何か」といった解決策を模索するようなものだった。その全てに答えたわけでは無いが、確実に伝えたことは

 

「決して傲らず、謀らず、誠実に行くことだ。そうすればブリタニアに睨まれても、抵抗できる」

 

 それだけは……いやそれしか伝えることはできなかった。別にブリタニアの国力に劣っているとはいえ、日本軍人の練度そのものは高い方だろう。少数とはいえナイト・オブ・ラウンズに食らい付ける者もいるだろう。藤堂とか……後……うん……いるだろう。後十年もすれば出てくるさうん。

 

「サクラダイトの重要性に目をつけていたのは流石だが、よもやこのような手段に出ようとは……やはり歴史は繰り返す運命(さだめ)か」

 

 まぁ実際には繰り返すのではなく、原作通りに起こるだけなんだがな。何せテレビの報道はこのレアメタルの発見だけではなく……

 

『ーー現状でこのサクラダイトの採掘が好調な我が日本国は、他国との共存共栄の為、この貴重なレアメタルの輸出を決定いたしました。それにともない、今後の国交に関しての話し合いがーー』

 

既に輸出の話までしてしまっている。…………このまま利権を握り続けて他国に目をつけられるのも悪手だが。これもブリタニアに対しては悪手だぞ、ゲンブ……。

 

 現状はこのレアメタルの使い道が明確に定まっておらず、これから各国で協力して経済の発展を望む腹積もりだろうが……。その使い道が既に見えているのがブリタニアだ。ゲンブが知らないとしてもおかしくはないが、現在我が国で開発している人形のロボット・KMFはまだ実践運用が不可能というだけで、構想自体は固まっている。問題はそれを支え、かつ確実な稼働を可能とするエネルギーだけだった。それが、こうして提供されてしまえば……後はあのシャルルとV.V.のことだ。原作と同じで上手い餌(きっかけ)が転がり込んできたと思うだろう。

 

例え、原作と同じくそれが各国に平等に配分されるとしても彼ら(ラスボス)には関係ない。

 

 

 

 

 

 ここで、改めてこの世界と前世での違いが際立つのだが。

前世では核エネルギーを初めとする、割と豊富な資源をもっていた。それによって熱エネルギーを基礎とする科学の発展が根幹にあるが、この世界は違う。

基礎とするエネルギーが、電力に依存するのだ。すなわちエネルギーと言えば電力が主流として浸透している文明世界なのだ。

 

さて、そこでサクラダイトというレアメタルの性質が鍵となる。このサクラダイトの性質とは常温で超電導状態にあり、この世界の発展の基盤となっている電力文明における壁。高温時の超電導体の完全な調整に必要不可欠な存在なのだ。

さて、ではこの電導体を調整してできるものは何か?簡単に言うとモーターエンジンだ。それも巨大構造物を動かせるほどのとびっきり高出力のな。その上、このサクラダイトというレアメタルは流体した場合、引火性の強い物へと変化してしまう性質も持つ。

 

その技術に行き着くまではまだまだ先があるが、その先を見通せるだけの傑物はどの国にもいるだろう。後はどうやっても時間の問題。加えてシャルルとV.V.にとってはこの日本そのものに用がある。まだ、ラスボスの計画も終わりが見えているわけではないのだろう。じゃなければ、私の我が儘を通して日本にやるなんてことはしないだろうしな。

 

「さて、賽は投げられた。後は私の計画次第といったところか……」

 

 サクラダイトの取り扱いにたいして、ゲンブに伝えられれば良かったが、そもそといつこの世界でサクラダイトが発見されたかも知らなかった為、変に助言すると何故知っているのかと面倒な言及があると踏んで黙っていたのだが……。既に発掘してそれを足掛かりにしようとはな。

 

思案しながらテレビを見ていると、藤堂さんが昼食を運んできてくれた。

 

「さて、今日は君の大好きな卵焼きと鯖の味噌煮だ」

 

「おおお!なんという僥倖!!いただきますだな!!!」

 

 後のことはシュナイゼルからの連絡次第。それが来るまではこの生活を甘受させてもら……「旨い!!!」

 

 

 

 

◇ ◇ ◇

 

 

 あれから数日後、とうとうシュナイゼルから連絡が来た。

 

『やぁ、待たせたねグラハム。こちらの準備は万全だ』

 

「ありがとうございます、兄上。……サクラダイトの動きは?」

 

『ああ、今のところは特に何も。皆何に使えるかの手探り状態だよ。それに我が国でも少しは取れるみたいだし、1年ぐらいは研究の日々なんじゃないかな』

 

 科学者たちの嬉しい悲鳴が目に浮かぶよ、と額に指を当てながら首を振るシュナイゼル。月日というのは残酷で可愛らしさの方が上回ってたシュナイゼルも随分と切れ長な目になり、顔立ちは一層イケメンな優男という印象を抱かせるようになった。それに時折とるポーズが様になっていて余計に目立つ。グラハムさんも、ガンダム系の雑誌でいろんなポーズ決めてたし!別に負けてはないからな!!ミスター・ブシドー時のあの顔を上げながらの仮面に手を当ててニヤリとするポーズとか超カッコいいし!!!あれを本編で見れたらきっと全国のグラハムさんファンは心を乙女にしていたに違いないのだ!!!あのカッコよさに合わせて言い回しも強くなってていいじゃないか!!!このブシドーだけはぁぁぁああああ!!!!

 

 

…………久々に荒ぶってしまった……今は電話中だ、落ち着け私。

 

「となると、現状のKMFの開発状況は?」

 

私が内心を整えて聞くと、珍しくシュナイゼルが顔をしかめた。

 

『悪くはないよ。悪くはないんだが……はっきりいってコストがかかりすぎている。君がくれたこのフラッグ人形を見せたりしてインスピレーションは与えているが、いかんせん頭が固い人たちばかりでね。まぁ、だからこそ研究者なんだろうけどさ…………一応動く理論は完成している。後は実際に稼働させるだけだ』

 

「なるほど、つまりその問題が稼働しないということですね」

 

恐らく、形は既に人形にでも近づいてはいるんだろう。まさか私が誕生日に贈ったフラッグ人形試作三号機を見せて回ってるとは完全に予想外だが、問題そのものは予想通りだ。

 

『そうなんだ。現状稼働させるための動力が弱すぎる。ある程度スケールダウンさせてみても、精々首が回る程度。そもそも足も腕も動かせないんじゃ意味がない』

 

となると、やはりこれを解決するのは

 

『ま、だからこの間発表されたサクラダイトにみんな夢中さ。現状ある動力機関はすべて試した。単純に一方方向に動くだけなら大量のモーターを積めばなんとかなるだろう。だがそれではわざわざ人形にする意味がない。KMFに求めているのは汎用性だからね』

 

「ならば、私の夢はまだ遠いですね……」

 

 私の落胆するような声に、抱えていた頭から指を離してそのまま自信の唇まで持っていく。……だからいちいち行動がなんか艶かしいんだよ!!私は男食家……ではないのだ!!そこだけはドラマCD版のグラハムさんだけで勘弁してほしい!!!愛は認めるが!愛は!ちょっとその勇気が私にはない!!そこだけはない!!

 

『それはどうかな?』

 

その色気を持つ口で、私の落胆を笑うように言葉が出てくる。

 

『あのフラッグ人形を見て、想像の意欲が湧いたって言う学生が3人程いてね……もしかしたら、作ってくれるかもしれないよ』

 

ーー原寸大のKMF…君のフラッグをね。

 

 

 私はその言葉に、自分の心臓を鷲掴みにされたような感覚を味わった。

その3人とは、もしや原作において活躍する大半の名前つきの一騎当千系KMFを設計したあの人たちなのでは?

 

そして、もしや私の尊敬する、本来ならこの世界には存在しないはずの3人すらも私は脳裏に浮かべてしまった。よもや、よもやだ。もし前者であるなら喜ばしい。しかし後者であった場合は…………いや、自分で想像しておきながらあり得ないだろう。

 

「しかし、興味が湧いてくれるのは嬉しいが。私のフラッグに妥協はない」

 

『そのほうが彼らも喜ぶさ。何せ、KMFがまだ日の目を見ていないのにもう、可変機の構想を練ってる少年がいるなんて、正しく驚嘆に値するだろうからね』

 

 私の口調を真似するように、そう言って笑うシュナイゼル。それならば喜ばしい。私の愛は決して妥協を許さないのだからな

 

『さて、では作戦の日取りはグラハムが決めてくれ。こちらはそれに合わせて動く』

 

「わかった、ならばーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

ーー皇歴2004年の春に、血塗られた場所で。

 

 

 

その言葉を最後に通信を切る。切った後も画面の前で私は意地の悪い笑みを浮かべるのであった。

 

 

 

 

「あ、メイドさんの出産日決まったか聞くの忘れてた!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




さて、そろそろグラハムさんの旅行はおしまいです
おしまいにします……たぶん

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