コードギアス Gの軌跡(笑)   作:木下 瀬那

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いや、実は初めましてじゃない気がするやらかしです。ということで投稿です。

いや、待たせて申し訳ない!ちょっと弔辞の関係でまた次も遅れそうです!!
感想も返せてなくてすまん!!ちゃんと見ているぞ同胞たちよ!!!


初めましてだな!やらかし!

 皇歴2003年10月26日。私の元に吉報が届いたのは、秋の夜更けの事だった。いつも通りに計画の段取りを頭に思い浮かべながら、藤堂さんとの稽古の振り替えりや、最近仲良くなった千葉という年上の女性の門下生や、卜部という少年の門下生との日々を思い返している時に、唐突に電話がかかってきたのだ。

 

『も、もしもし!?』

 

「はい、こちらユニオン直属米軍第一航空戦術飛行隊……」

 

『え、私かけ間違えた……?』

 

「失礼、グラハム・エーカーです」

 

 くッ!せめてMSWADまでは言わせて欲しかったぞ!!

 

『ああ、良かった!やはり殿下の連絡先で間違いないですね!!急に変なこといいだすから困惑しちゃいました!』

 

 変なこと……変なことだとぉッ!!…………いや、まぁただグラハムさんの台詞言いたくなっただけだし。このユニオン軍とか知らない人々には確かに奇怪な発言に聞こえるか……世知辛いな、グラハムさん……

 

「それは申し訳ない。ところで君はいったい?」

 

『あ、あたしのこともう忘れちゃいました?』

 

 何!?その台詞はよく聞く「あ、久しぶり!あれ?わたしのこと憶えてない!?ほら!中学で同級生だった、隣の席の……」とか言っておいて「へへ、ちょろ(笑)簡単に騙されてやんの!」とかのパターンに落としこむ美人局系女性か!?(いやなんでそうなる)私は騙されん!騙されんぞ!!いや、騙されてもいいかもしれない!!!(いいのかよ)

 

「失礼、どこかで会ったような気もするが……」

 

『そんは酷いですよぉ殿下ぁ……ほらあたしですよ!あたし!』

 

 あたし?…………あたし……あぁ、何か思い出してきたぞこのよく泣く顔!

 

「ああ……そうかお前は!?」

 

『そうですあたし!!』

 

「誕生日パーティで給紙やってたどじッ子メイド!!」

 

『ええ!あのときはシャンパンを溢して大変な迷惑を…………って違う!!』

 

 む、何だ違うのか。わりといい線行ったと思ったのになぁ

 

『殿下、あたしですよ。ナターシャです!殿下のオムツを変えてたナターシャですッ!』

 

 そう言いながら「えっへん!」っと胸を張る姿と泣き顔が頭の中で1人のメイドを思い出させる。

 

「ああ!私の出立の後すぐ結婚したあのメイドさんか!!」

 

『そう!そのメイドさんです!いやぁ、今では一児の母なんてやってます!えっへん!』

 

 とうとう自分の口でえっへん!と言ったかつての私つきメイドの1人。ナターシャ。現在の名をナターシャ・ヴァインベルグ。……勘の良い読者は気づいているだろうが(メタい)煩い!私は四次元の壁など気にしない!何故なら!私もその壁を越えてきたのだから!!!(ドヤるな)

 

ピンク髪のメイドさんは、実は最初から登場していたわけではなく。最初から私の世話を担当していたメイドさんが、このナターシャさんだ。私の初めての言葉をシュナイゼルと共に聞いたのも彼女。コーネリアからいっつもお土産を手渡されていたのも彼女。ぶっちゃけ、私が出掛ける時がピンク髪のメイドさんで、他が全てこのナターシャさんが担当していたのだ。

 

それにしても、結婚相手がまさかヴァインベルグ家とはなぁ…………まぁ、これからあれが産まれてくるとは思えんし……きっと分家筋とかだろう。そうであってくれ……

 

『あ、そうでしたそうでした!殿下に至急報告がありまして。同じく殿下に仕えていた私が任を授かりました!』

 

「同じく…………ということは彼女に何か!?」

 

 まさか!計画が嗅ぎ付けられて!私の縁者として彼女が!?……いや、それならばナターシャも殺されていておかしくはない。ということは事故か何かにあったのか!?

 

『はい、おめでとうございます!つい先程、無事に出産を終えられました!』

 

…………はい?

 

「出産!?」

 

 今年中かもとは聞いていたが……え、今日!?だって今日は…………

 

 

 


 

 

 

 私はメイド。今はそれでいい。それで良かった。

 本名。ヘレン・アールストレイム。しかし、今はただのメイド。私は常にそれを意識してきた。

 

 いつからだったろう……そんな私のメイドの仮面が剥がれていくのを感じたのは。

 

 始まりは、ただ新たに誕生した皇帝陛下の子の世話を任されたという栄誉からだった。

この時既に私の夫、ハルート・アールストレイムは軍人として最前線で戦っており、年に1度か2度会えるのみだったが、別段寂しい思いはしていなかった。遠くに居ようと想いが色褪せることなど、私たちには無いと思えた。

 

最初に皇子……グラハム殿下と会ったときは、自身の子供もこんなふてぶてしい表情をするのか、等と変な考えを巡らしていたものだ。……それも直ぐに別の考えで上書きされたが。

 

変化を感じ取ったのは、グラハム殿下の元に、あの幼くして天才、冷静に物事を捉える才多き子と持て囃されるシュナイゼル殿下が、足しげく通われてると気づいた頃だった。もう1人のメイド、ナターシャ・メイスンからグラハム殿下の最初の声をシュナイゼル殿下と一緒に聴いたと、涙を流しながら報告があったときは、泣くほどかと呆れていたが……それがシュナイゼル殿下を引き寄せたのか。瞬く間に2人の殿下の事は噂になっていった。その時のグラハム殿下の顔は、とても赤子とは思えないほどはりつめた表情だった。子供には似合わない……そんな仏頂面とも言うべき顔。私はそんな殿下に思わず

 

「大丈夫ですか?どこかお体の具合でも?」

 

なんて、子供が理解できるはずないか……と思いながらも言ってしまった。それにたいして、殿下は赤子のようにわからないと首をかしげることはなく

 

「ふ、ちんぱいごむよう、だ!あちがとぅ!」

 

なんて、舌足らずなりに懸命に言葉を紡いでくれたのだ……。赤子とは、こんなにも可愛いものなのだな……()

 

 

 それから、私もシュナイゼル殿下が興味を持ったのがわかるような感じで、日々グラハム殿下の成長を見守っていた。

 

そして、殿下が5歳の時だったか……何人も新たに皇帝の子が産まれていく中で、殿下がお絵描きをなされるようになったころに、私はそれを見てしまった。いや、見てしまったというより、見せられたのではないかと、今では思ってしまう。

 

何枚も描かれた、黒い飛行機と黒いロボット。そして、ある程度書き慣れた頃に書き足していったのか、似た形をした青い飛行機とロボットの絵。それだけ見れば、子供が何となく思い付いた落書きで終わっていたのだ。しかし、そのお絵描きの紙の中に、1つだけ文字だらけの紙があった。そこに書かれていたのは……

 

「クロヴィス ゆーふぇみあ じぇれみあ まりあんぬ じの どろてあ  びすまるく ぎるふぉーど      」

 

最近産まれた皇族や、貴族達の名前が書き連ねられていた。そこにはグラハム殿下が産まれるより前の貴族の名前もあったが、それを引いても沢山の名前が書き連ねられていた。その中に唯一フルネームで書かれており、尚且つ◎で囲まれた名前に私は驚愕したのだ。

 

「アーニャ・アールストレイム」

 

 何故ここに、アールストレイムの名がある?何故この名前だけ、フルネームなのだ?何故この名前だけ◎がしてある?何故だ?この名前に何がある?むしろ他の名前に何かあるのか?いったいこれは何だ……?

 

そんな思考の渦の中で困惑しているところに、殿下が声をかけてきたのだ。

 

「む!それを見てしまったのか!」

 

「うぇ!?あ、いやその一生懸命お絵描きされていたので、どんなものを書かれているのか気になったもので……」

 

 私はこの時、言い様のない恐怖を感じて思わす声が震えてしまっていた。しかし、殿下はそれを意に介せず、ただ人差し指を自身の口と私の口に押し当て

 

「ふむ、内緒だぞ?これは今まで、そしてこれから先産まれてくる人たちの名前さ」

 

と、まるでイタズラを思い付いたような顔で話し始めた。

 

「私はね、ここに書かれた名前の人達がどうか幸せになって欲しいと。身勝手に願って書いていたのさ」

 

その言葉は、まるでイタズラがバレた子供のようでもあり、その顔に似つかわしくない、何かしらの覚悟を決めたような顔でもあった。その顔にこの疑問は聞かなくてはと、焦った気持ちで口を開いてしまった

 

「で、では殿下。その丸で囲んである名前は?」

 

「ああ、この名前はね。……うん」

 

先程よりも悩んだ素振りを見せた殿下は、天井……いや、窓から見える空を見つめながら答えた。

 

「もしも、この名前を見掛けたら、その子にはみんなが優しく接してくれたらいいなぁって、勝手にも願いを込めてたんだ」

 

そして、また殿下は人差し指を自身の唇に押し当て

 

「ーーだって、まだ誰も見つけてない名前だからね。それぐらいの願いを勝手に込めても、構わんだろう?」

 

なんて、ニヤリと笑ってみせた。

 

 その言葉に私は、ふと最近の自身の出来事を思い出してまう。

年に1回は必ず帰ってくる、夫といつも子供が欲しいと話していた。しかし、産まれた子供にたいして、父親である自分は戦場で戦うばかりで、年に1度しか帰れない。そんな親が子供を持つなんて、産まれてくる子供には申し訳ないと言う夫。私自身も、今はメイドとしてこの離宮に務める身。仮に子供が産まれて仕事を辞めれたとしても、子供を養いながら生きていくには平凡貴族なアールストレイム家では厳しい。自ずと子供にたいして、まともに接してやれる時間は少なくなる一方だろう。

 

しかし、この殿下はその話をどこかから聞き付けたのだろう。でなければ、あんなドンピシャでアールストレイムの名字を付けた名前に、そんな願いを特別に込めるなんて言うわけがない。…………この殿下は、一方的に見えるが、どうにか周りの悩みを解決できないかと頑張る傾向があると、コーネリア殿下が仰っていたが、どうやらそのようだ。

 

ああ、その優しさはとても胸に響いた…………私や夫が勝手に諦めている子供の将来を、まだ産まれて年端もない殿下にまで未来が明るくあるようにと願われては、勝手に諦めるなどもっての他だ!

 

「殿下……このアーニャという名前……私から産まれる子につけても構わないでしょうか?」

 

気付くと私は、今さらながらにメイドとしての礼儀を思い出して、片ひざを付きながら殿下に頼み出た。

 

「ふむ……ピンク髪…………まぁ、名前だけならばいいと思うぞ」

 

なんて、訳のわからない照れ隠しまで使って、殿下は名前を与えてくださったのだ。……思わず泣いてしまった私に、「あ、女の子ならアーニャでいいと思うけど、男の子ならやめた方がいいかもしれん」なんて違う名前をつけても怒らないと、フォローまでいれてくださった。

 

ああ、私のなかでの殿下のイメージがどんどん変わっていったのだ。しかし、それが不快でないことが嬉しい…………。ふふ、次はどんな優しさを見せてくれるのか。それをどこか楽しみにしてしまう自分を恥ながら支え続け、日本での命の危機などを乗り越え……ついに今日出産となった。

 

5時間以上も死ぬと思う体の痛みに耐えて、産まれた赤子はとても綺麗なお揃いのピンク髪の女の子だった。

 

「あなたは……アーニャ……アーニャ・アールストレイムよ」

 

ーー殿下が付けてくれた名前と願い。それが貴方を守りますように。

 

私はそう思いながら赤子の、頬をなで続ける。嗚呼、グラハム殿下。殿下の優しさが、このアーニャを守りますように……そして、私が貴方をアーニャと共に守ります……その優しさゆえにいつも苦労をされる貴方を…………

 

私は出産の疲労もあり、ここで意識を落とすのだった…………

 

 


 

『と、いうことがありまして無事ヘレンさんの出産は完了です!』

 

ーーえ、どゆこと?あの紙を見せた記憶はあるよ?もう見られちゃった以上は仕方ないかぁって思って、伝家の『GN口滑った』を使って難を逃れたつもりが、自分が原作キャラの名付け親になっていた!?何を言っているのかわからないが、と軽くポルナレフ状態だぞこれは!?どうしたらいいんだカタギリ!?教えてくれ!!フラッグは何も教えちゃくれない!!

 

なんて様々なネタで混乱したところで動き出したものは仕方がない…………腹をくくるしかあるまい。

 

 

 

 

と、いうわけで

 

皇歴2003年10月26日……アーニャ・アールストレイム。

グラハムの名付けにより誕生。

 

 

 

 

うーむ、カオスだ……大丈夫か?コードギアス?ま、今さらか!!これであとは計画実行と共に帰るのみよ!(目線そらしながら)

 

『あ、そうそうシュナイゼル殿下からも言伝てです!』

 

ほらな?さすが我らのシュナイゼルよ!もうお前がカタギリポジ…………は、やれんな!

 

『不足の事態発生、日本にて暫し待機。だそうです!』

 

「………………は?」

 

 

 どうやら、まだ計画は進まんらしい…………何故だ!?

 

 

 

 

 

 




うむ、ちょっときついかなぁ?

…………ばれてなかったよね?正体

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