ごめんなさい……年内に……書き上げられなかった…
何より、分量が足りないよね…申し訳ない…
ーーーー6年前
『お前は我が一族の最高傑作だ』
齢4歳にして、父から出た最初の言葉がそれだった。
篠崎流36代目
それが私の名前らしい。父の話では母の名前も篠崎咲世子らしいが、その名前はもう私の名前だと言われた。正直意味がわからない
母についての話は、その名前以外何も知ることは無かった。
物心がついてからの日々は、全て篠崎流というものの修行の日々だった。
女性の柔軟性を基礎とした体作り
声帯を鍛え、様々な声の出し方の練習
瞬時に移動できるような歩法の練習
日々高くなる障害物を飛び越える練習
体格が大きい相手にも使える護身術
日本に伝わる様々な歴史と知識
そして、
どれ程の長い間、その修行を続けていたかは記憶にない。
恐らく途中で
わかっていたが故に、気付けなかった。その辛さばかりに目が行き、その成果を周りがどう視てるかなど子供にはわからなかったのだ。
『……何故お前は女に産まれてしまったのだ』
辛い日々の合間に1年に数回しか会わぬ父の言葉は、次第に口数が減っていき、二言目にはそう言われるようになっていた。
『御当主、あの咲世姫の御子故大層な別嬪となり、後々の御家の間諜としてこれ程の逸材はないと思っておりましたが……』
『ああ……分かっておる。我が娘の才。たかが他国の妾として送るには余りにも惜しい』
『しかし、国内に留め置けば母君のような事態にならぬとも……』
『あれは事故よ……事故としか思えぬわ、故にそれは語るなと申し付けたであろう』
『ッ!申し訳ありませぬ…』
いつの頃からか。母のことが少しは知れるかもと思い、私が寝た後に開いていると言う会合の話に聞き耳をたてていた時の話も、私をどこか惜しむような話しかしなくなった。
『咲世子、お前に教えるかは迷っていたが…今日より女の武器について教えていく』
そんな日々が唐突に終わりを告げた日の父は、どこか嬉しそうな顔をしていた。
『まだ内密の話だが、近々他国からその国の世継ぎとなる男が我が日ノ本に来るらしい。お前は持てる全てを使いその者を我が国の傀儡へと仕上げるのだ』
父はまるで、私が金平糖を初めて食べたときのような顔をして私にその命を下した。
ーーー嗚呼、私は漸く報われるのか
幼心に思うのはそれだけだというのに……
父の口はまるで三日月のように怪しく歪むばかりで…
それが今までに見た、人の死体や臓物よりも恐ろしいと感じたのだった
「咲世子、先日ブリタニアという国の世継ぎが日本に来日したのは聞いているな。とうとうお前に大事な仕事を与えるときが来た」
「はい、父上」
「大恩ある、桐原翁からの依頼でな。我等篠崎家全員でことにあたるが…咲世子、お前だけは別に任務がある」
不思議なものだ、篠崎家全員と言っておきながら私だけは別とは。それ程大事な仕事なのだろう。また何処かの要人の暗殺だろうか?もう
「我等は中華連邦からの客人を桐原翁と共に歓待しに行くが、桐原翁不在の間お前が変装し代わりを勤め、ブリタニアの小僧の相手をしておけとのことだ」
「私が…翁の代わりを、ですか?」
「そうだ、あくまで桐原翁の代わりに相手をするだけだが…」
父上はそこで言葉を切ると、私を数秒黙って見つめたのち
「落とせる隙を見つけたならば」
ーーー傀儡へと落としてこい、全てを使ってな
「……はい、父上」
私の頭の中の鯛焼きは、そんな父の言葉に書き消されていき……何とも形容しがたい思いに埋め尽くされるのであった。
ーーはい、そんな気持ちに埋め尽くされた日は一瞬で崩されました。
「チェストォォォオ!!」
「まだ甘いぞ、グラハム君!!」
いったいなんなのでしょう、この光景は。
私は、桐原翁に
そして、案内されるままに住居の離れにある道場へ入ったのだ。
はい、入ったのです
「これはどうだ!」
「うぉっ!武器を投げるとは!しかし、狙いはいいぞ!」
「ふっ、誉められても避けられていては…なっ!!」
確かに道場に入ったはずです、私はどうも、世間というモノをあまり知らないと言われていますが。ええ、一般的な価値観ぐらいは叩き込まれたはずです。
道場ーー強き者になるため、己を鍛えるために用いられる修練の場。日ノ本には様々な道場があるとか。
剣道。柔道。空手。相撲。弓道ーー等といった武に通じる道を極めんとする場。そこはともすれば、数多の人たちが喧しくも健やかに修練を励む場のはず。
「さて、どこまで腕を上げたか…試してみようか!!」
「ふ!来るか!!三段突き!!!」
はず……ですよね?
「うおぉぉぉォオオオオ!!!」
「はぁぁぁアアアア!!!」
決して…そう決して……
「セェェエエエイィィ!!!!」
「なんとぉぉぉぉおおお!!!!!」
地面が陥没していたり、木刀で壁を切り裂いたりするような場所では無かったと思うのですが………
むしろ何故、二人とも笑っているのでしょうか
何故、周りは止めようとしないのでしょうか
というかそもそも、この二人はいったいなんなのでしょうか………
そんな私の常識を初めて壊してくれた、彼らの真っ正直な気持ちのぶつかり合いに
ええ……まぁ、なんといいますか
可笑しかったのか、苛立ったのかはわかりませんが
思わずといったところでしょうか………
「ふふッ……!!」
初めて
書きたいとこまで行けなかった……己の力不足が悔やまれる