コードギアス Gの軌跡(笑)   作:木下 瀬那

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温泉に入りたくなったので投稿です。

嘘だろ……お気に入りが60人突破…だとッ!

いやぁ、流石グラハムさんですね、みんなの人気者!

それと誤字の報告ほんとありがとうございますm(_ _)m
これからも「あれ?」っと思ったら教えていただけると嬉しいです(^^;


幕間・コーネリア の 出逢い 前編

 私は弱いものが嫌いだ。コーネリア・リ・ブリタニアという人間にとって、弱いものは唾棄すべき存在である。

力がなければ、何も手に入らない。身分が無ければ、影でいわれの無い侮蔑を受ける。それが、皇位継承権争いの渦中で育った私の、一番最初の価値観だった。

 

私の父上は、この国で1番偉い人間だ。故に力を持っている。

自分の意見を通せる力。それがある父上にたいしては、誰も何も言えない。

 

私の姉上は、女性の子供のなかで1番面倒な人間だ。故にその面倒な話術とやらで力を持っている。

自分の言うことを聞く人間を集める力。それがある姉上にたいしては、誰も逆らえない。

 

私の2人の兄上の内、上のオデュッセウス兄上は、男性の子供の中で1番優しい人間だ。故にその優しさを周りに向けることで力を持っている。

自分を守ってくれる人を引き寄せる力。それがある兄上にたいしては、誰も強く当たろうとしない。

 

もう1人の兄上。シュナイゼル兄上は、男性の子供の中で1番賢い人間だ。故にその知識で大人をも言い負かす力を持っている。

周囲を納得させる力。それがある兄上にたいしては、誰も正面から否定することはできない。

 

 

…………そんな家族を持つ私は、まだ何の力も持っていない。だから、()()()()()()()

 

 

母は私はまだ、力なんてこと考えなくても良いと言ってくれてるが、その影で皇位継承権の低さに考え悩む姿を隠そうとしていることを私は知っている

 

 

嗚呼……母も強い人間だ。私にその弱さを見せまいといつも笑顔でいることができる強い人間だ。

 

 

 

 私は、そんな弱い自分が嫌いだからこそ、強くなる方法を探し始めた。最初は、いつも受けている帝王学とかいうのを教えている先生に聞いてみた。

 

「先生、私はどうやったら強くなれるのでしょうか?」

「そうですね……皇女殿下はどんな強さが欲しいのでしょうか?」

「…………私は、とにかく強さが……力が欲しいのです」

 

その言葉に、先生は考え込んだ後に

 

「では皇女殿下……まずは今のこの勉強を頑張ってみてくださいませ。そうすれば少なくとも皇帝陛下のような人を率いる力は、ついていきますので」

 

……それからは、今までより勉強を頑張るようにしてみた。

 

 

 

 

 ある時は、自分達の住んでいる屋敷の庭でシュナイゼル兄上に聞いてみることができた。年も同じで誕生日も1日違いで、他の家族よりは話す機会も多い為、すぐに私が悩んでいることを察してくれ、相談に乗ってくれた。

 

「ふむ、『力』が欲しい、か…………」

「ええ……兄上はどうやってその知識を手にいれたのですか?」

 

私の質問に、また先生の時のように考え込んだ後

 

「…コーネリア、僕の知識は手にいれたというよりも、自分の中と他人の中から見つけ出したものなんだ」

「自分の中と……他人の中?」

「知識は力と、考えること事態は悪いことじゃないけど、それは手に入れると言うよりも、自分の力で見つけ出す事が必要だと僕は考えるよ」

 

兄上は「例えば…」と言いながら屋敷の角を指差す

 

「僕は、自分の知らないことを知るために、今もそれを探し続けている。でもそれは簡単には見つからない、とても頑丈な宝箱に入っているんだ」

「宝箱ならば、鍵を探して開ければよいのでは?」

「じゃあ、その鍵はどこにあると思う?」

 

……急に理解できないことを言ってきたと思ったら、鍵は何処かと聞いてくる兄上。そんなものわからない、そもそも宝箱がどんな形かもわからないのに…

 

「ふふ……わからないだろう?コーネリアにはその宝箱がどんな形なのか、どこにあったのか、周りに何があるのか。何も知らないのだから」

「あ、当たり前です!それを探しているのは兄上なのでしょう?私が探しているのは」

「『力』だったね、じゃあその『力』はどこにあるのかな?」

「ッ!?今は兄上の宝箱の話をしていたのでは無かったのですか!?それにそれを知るために私は兄上に聞いているのです!」

 

あまりにも何を言いたいのかわからなくなってきて、私は思わず声を荒立ててしまった。それにたいして兄上は笑みを浮かべながら

 

「ふふ、そう怒らないでくれ可愛いコーネリア。そう、今は僕の宝箱の話をしていた。でもそれは僕が宝箱の話を始めたからだ。だからそれを君も考えることができた。知識とは、最初に何かを知ろうとするところから始まっているんだ。『力』を得たい。知識という力を手にいれたい。コーネリア、君は既にその『力』を手に入れる条件を満たしているんだ。私に聞くまでもなくね」

 

条件を満たしている?

 

「ならば、何故先ほどは手に入れるのではなく、見つけ出すものなどと」

「だって、知識というものは人に教わるだけじゃなく、自分で必要として探して初めて自分の『力』になるからね。ただ何処から手に入れただけじゃ、それはただの知識だ。君の求める『力』にはならないのさ」

 

……何となく…………本当に何となくだが言いたいことが解ってきた気がする

 

「……つまり、知識とはどうにかして手に入れるものではなく。必要なものを自分の意思で探していかなければならないもの、と?」

 

私にはそう、言っているように捉えることができたが……それにたいしてシュナイゼル兄上は、少し眉を寄せたあと

 

「……ああ、そうだね。()()()()()()()()()()()()()。それこそがコーネリア、君にとっての知識()の入り口だよ」

 

と、笑いながら言ってくれたのだ。

 

 

 私はシュナイゼル兄上のことが好きになった。親身に話を聞いてくれて、自身の『(なにか)』を手に入れるすべをおしえてくれた恩人。この日から、私は何度もシュナイゼル兄上のもとに訪れるようになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 シュナイゼル兄上の部屋を度々訪れるようになって暫くたったある日のことだ。その日は珍しく兄上から頼み事をされた。

 

「そうだ、コーネリア。君にお願いがあるんだが」

「ほう?……うむ!兄上からのお願いとは珍しい。私にできることなら何でも言ってくれ」

「この前、君が持ってきてくれたチョコレート菓子何だが」

 

兄上がそう言いながら、部屋の角に置いてある、その菓子が入っていた包装箱を指差す。

 

私は兄上に相談に乗ってもらってから、自分の『力』として知識を手に入れる為に、ありとあらゆる分野に興味を持つようになっていった。

その中の成果として、兄上に「こんなものを見つけることができるようになった」と何度か自分で見つけ、買うことができたものを部屋にお土産として持っていくことがあった。

兄上が指したチョコレートもそのお土産の1つだ。

 

「ああ!あの老舗の「ハムハムチョコレート」だな。それがどうかしたのか?」

「実は、あれを買いに行きたくてね。プレゼントしたい子がいるんだ」

 

ふむ……てっきり美味しくて気に入ったからまた食べたい、とかかと思ったが。プレゼントか……いったい誰に?

 

「別に構わないが、買いにいくより取り寄せよう。あのチョコレートは母も気に入ってくれてな、あれから何度か買いにいって、連絡先も教えてもらっているから直ぐに連絡しよう。ところで誰へのプレゼントなのだ?」

 

話ながら、兄上の部屋の電話の前まで行き、店にかける準備をする。

プレゼントしたい子、と言っていたからにはおそらく年下だろうが、つい先日生まれたクロヴィスは赤ちゃんだから違うだろう。そうなると他に年下の仲の良い人など……いや、1人だけいたな

 

 

「ああ、グラハムだよ」

「ッ!あの軟弱者にですか!?」

 

やはり、そうか。思わず声を荒げてしまったが、やはりあのグラハムか。

 

 

 私とシュナイゼル兄上より1つ年下の弟。グラハム・エル・ブリタニア。

この男が生まれてから、今だ顔を合わせたことはないが、ろくな噂を聞かない。

 

曰く、声が出せない

 

曰く、体が弱いため部屋を出ることができない

 

曰く、部屋の前を通るとフンフンと音がする

 

等々。まぁ、皇位継承権争いが起こると影で囁かれている現状を考えれば、恐らく陥れるための嘘も混じっているのだろうが……

私は、例え嘘だとしても部屋から1歩もでず、噂が流れるままに任せているなど、心も体も弱い私の大嫌いな人間だろうと考える。

 

しかし、何故かその不肖の弟を、シュナイゼル兄上はいたく気に入っているようなのだ。

 

私がシュナイゼル兄上の部屋にお邪魔するような日は、時間の許す限り私と歓談に付き合ってくれるのだが、それ以外の日はあのグラハム・エル・ブリタニアの部屋を頻繁に訪れているらしい。グラハム付きのメイドが言っていたから事実だろう。

 

「何故……何故兄上はあのような軟弱者に会いに行かれるのですか……私には理解できません」

 

気付いたら、私は思わず自身の想いを吐露していた。

 

「……君は、グラハムに会ったことは?」

「…………いえ、まだ1度も」

 

むしろ、あんな噂がまかれている中、会いに行く理由など無いのだが……

 

 

「……そうか。なら今度1度会ってみるといい」

 

しかし、そんな私の心を知ってか知らずか兄上は会えと言ってきた

 

 

「なッ、何故私が会う必要があ」

「君は知識という『力』を欲していたね」

 

なにか理由をつけて断ろうと口を開いた途中で、兄上は今まで見たことの無い鋭い視線で言葉を重ねてきた

 

 

「コーネリア、知識を力と理解できている今の君には、彼に会うことを心からおすすめするよ」

「何故ですか!」

「それが、きっと君のためになるからさ」

 

 

兄上はそう言うと、もうこれ以上はこの話をする気は無いのか、ハムハムチョコレートの店の電話番号だけ私から聞くと、また今度話そう、とそれだけ言うと私のほうを見なくなった。

 

 

癪ではあるが、兄上がそこまで言うのならば1度ぐらいは会ってみるべきなのかもしれない……

そう考えた私はそれから1週間後にグラハム・エル・ブリタニアの部屋を訪れたのだ。

 

 

それが良くも悪くも、私の生き方を定める出逢いとも知らずに……

 

 

 

 




ちょっと切りが良いところなので、もう1話だけコーネリアの話を書きます。
次回はロリコーネリアの実際に見たグラハムの話になります。



またもや4000字未満ではありますが、何か1話ずつはこれぐらいが読みやすいかなぁって感覚で区切ってます(^^;
いずれ変わるかもだけど……

お気に入り数100突破で何か書こっかなぁ?

  • うむ、原作前の日常とか読みたい
  • フラッグファイターとしての活躍を期待する
  • 番外編?!聞いていないぞ!シャルル!
  • それより本編を頼む。私は我慢弱い

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