……何か、思ったより長くなっちゃった(テヘ
ファッ!?お気に入りが80越してる!?
私はグラハム・エル・ブリタニアに会う前に、あの男の情報を自身の手で集め始めた。他人の噂だけで判断していてはシュナイゼル兄上が私に伝えたいことが解らなくなる可能性を危惧しての行動だ。
まず最初に調べたのは1日の行動パターン。それから始めないとその人のなりはわからないと、シュナイゼル兄上に教わったからだ。
ますは調べ始めて1日目。まったく部屋を出ないことがわかった。どうも出てはいけない理由があるらしい。やはり体が弱いのか……
2日目。部屋から聞こえるフンフンって音は、どうやらグラハムの声らしい。部屋の前に待機しているメイドが笑いながら教えてくれた。声がでないわけではなかったらしい、少し安心した。
3日目。部屋の前を彷徨いていると、見たことの無い貴族のような髪の長い少年が部屋に入っていくのを見た。……いったい誰なんだろうか?……友達ならば良いが。
4日目。今日はシュナイゼル兄上が例のハムハムチョコレートを持って部屋に入っていくのを見た。その後、部屋からシュナイゼル兄上の笑う声が廊下まで聞こえてきてビックリした。私の前では笑う事はあっても、声を上げてまで笑った事はないため少し羨ましい……。
5日目。今日はグラハム付きのメイドからグラハムの献立について聞けた。私たちが与えられる食事とは違って、なんというか緑が多い料理だった。やはり体が弱いから、食事も健康に気を使っているのだろうか。……大丈夫なんだろうか?……会う日を決めたら何か体に良いものでも持参しよう。
6日目。どうやらグラハムに会いに行く人間は、あの見たことの無い少年とシュナイゼル兄上、そしてお付きのメイド2人の計4人だけのようだ。……やはり体が弱く、外に出れないから友達が少ないのだろうか……会いに行く時は年の近い付き人を選ぼう。話が合えば友達を増やせるかもしれない。
7日目。……調べている内に、どうも自分の意思で弱い立場に甘んじているだけではないように思えてきた。……どうしようもない理由があるならば、何か力になれることはあるだろうか?……やはり血の繋がった相手だからか、会う前から情がわいてしまっている。……会うときには強い自分を見せなければ。
8日目。…………何故か父上が変わった棒と分厚い手袋のような物、それと白いボールを持ってグラハムの部屋を訪れたという噂が広がっていた。ありえない、あの皇帝陛下がそんな訳のわからないものを持って…ましてやグラハムの部屋を訪れるなど、まったく想像がつかない。……噂の出どころがシュナイゼル兄上だったため、本当なのだろうが……不思議だ……まったく想像がつかない。
9日目。………………もう特筆して調べることが無くなってしまった。そろそろ直接会いに行ってみることとしよう。
そうして調べ始めて10日で、私はグラハム・エル・ブリタニアの部屋を訪れることにした。
私はグラハムの部屋の前まで行くと、部屋の前で待機しているメイドに私の付き人から紙袋を渡させる。
「……滋養強壮に効くという料理のレシピ本と、それが買える店の電話番号が書いてある紙を入れてある。活用すると良い」
「あ、ありがとうございます!コーネリア皇女殿下!」
「……ふん」
メイドが頭を深く下げて、そのピンク色の髪が私の目の前に写る。
一応あそこまで調べてはみたが、ハッキリとグラハム・エル・ブリタニアの人のなりが解ったとは言えなかった。
イメージとしては「病弱」もしくは「貧弱」であり、しかしシュナイゼル兄上が気に入る程の何かを持ち、メイドからの印象は良好、そして友達も一応1人ぐらいは要るようだ。……うむ、自分で調べておいて何だがまったくわからない。今までこんな人間とは会ったことがない。
ならば、もはや当たってみるのみ。今まで調べて買ったことのある中で、健康に良さそうな物を身繕い持ってきたのだ。
頭を下げたメイドから目を離し、部屋の扉に手をかけそのまま開き中に入る。
「失礼する。お前が私の弟、グラハム・エル・ブリタニアだな。少し面を貸せ。聞きたいことがある」
とりあえず、簡潔に用件があることを伝えながら中いる人物を見る。さてグラハム・エル・ブリタニアとはいったいどんな人物なのか……
「ふ。初めましてだな、姉上」
そこには、何か……その、よくわからない格好をした金髪が腕立て伏せをしながらこちらを見ていた。
……体が弱いから、体を鍛えているのだろうか?それにしてもその服はいったいなんなのだ……
その服は、間接部に何か黒くて重そうな物体がついており、とてもではないが体の弱い人間が着るような服には見えない。
私が来て直ぐに腕立て伏せは止め、今度は部屋の壁にかけてある茶色い片刃の剣のようなものを手に取り、素振りをし始める。………………「貧弱」ではなく「病弱」なのだろうか?
「ふむ、トレーニング?の最中だったか。用件はそれが終わってからでいい。少し部屋で待たせてもらうぞ」
とにかく、私は何か話をしようと思ってきたのだ。相手が弟とはいえ訪ねてきたのは私の側だ。そのトレーニングが終わるまでは待つべきだろう……何よりグラハム本人のことを知ることができる良い機会だ。今のうちに観察させてもらうつもりで、そのまま部屋のベッドに腰掛ける。
「ありがたい。では御言葉に甘えて続けさせてもらおう」
グラハムはそう言葉を返すと、そのまま素振りを再開しはじめる。
…………ふむ、重りのような物をつけている体が
そのまま、素振りの回数が30……40……60と続いていくうちにふと思った。これ何回までやるのだろうか?腕立て伏せに素振りと、腕に負担のかかるトレーニングを続けている……腕立てを何回やったかは知らないが、あまり多くはないと思うが…………
「フン!……フン!……フン!」
……なるほど、部屋の前から聞こえるフンフンという声の正体はこの素振りの時の声なのか。あの噂が流れ始めたのは1年前……ということは少なくとも1年以上も前からこのトレーニングをしているのだろう。
「フン!……フン!」
……それにしても、ほんと何回するつもりなんだ?もう100回は越えたぞ?
「フン!……ハァッ!……フン!」
ん?何か掛け声に違うものが混じってきたな……
「セイッ!……フン!……愛!……フン!」
…………何故、愛?今「愛」って言わなかったかこいつ?
「フン!……フン!……フラッグ!……フン!」
おい、また何か混じったぞ!?フラッグってなんだ!?何で掛け声に旗!?
というか、もう120から数えるのを止めたがそろそろ一時間立つのだが…………そろそろ声をかけよう。このまま見続けているのは正直耐え難い。
「…………ふむ、グラハムよ。いつもそのようにして過ごしているのか?」
「フン!ああ、私は毎日筋トレはフン!欠かさないようにしている」
…………おい。え?そのまま言葉を返すのか?普通その手を止めてから話すべきではないのか?
そう考えてから1つの考えが浮かび上がる。
もしや……まともな教育を受けていないのでは?
体……は弱いようには見えないが何か理由があって部屋を出れないならば、私のように屋敷の勉強部屋で先生に何かを教わることも難しいのかもしれない。
ふむ、そうなると常識を問うのもまた違うのかもしれない。
ならば、このまま話を続けよう。……後で常識だけでも教えてやるか
「何故、体を鍛えるのだ」
とりあえず、気になった。何故、それほどまでに体を鍛えるのか
「愚問だな。フン!私はまだ成長の途中だ。フン!生きていればこの先様々な壁にぶつかるだろう。フン!それが物理的な壁か精神的な壁かはわからないが……フン!いざその時が来たとして、フン!私は後悔したくないのだ。私の目標の為にも……フン!……故に時が許す限り私は自身のできることをフン!やり続けるのだ」
……その答えに、驚かなかったといえば嘘になる。この男は、自分よりも年下なのに……常識も持っていないのに……自分の前に今のままでは
「それが、筋トレであると?」
「フン!……そうだ」
「…………そうか」
……正直私はここに来るまで、何かを話そうとは特に決めていなかった。
しかし、このトレーニングをする理由が自分の弱さを認めず、強さを求めているなら……私と近いのならば聞いてみたいことができた。誰にも……そうシュナイゼル兄上にも聞いたことのない話を。
「……グラハム、お前は皇帝についてどう思う」
私がそう口にした瞬間、部屋の空気が変わった気がした。
うまく口にはできないが、この男の目が鋭くなったような……何かを怖がっているような目になっているように感じた。
「ふぅ……どう、とは?」
グラハムは素振りを止めてこちらを見つめてくる。
……やはり、先程までと何か違う。もしや、常識がないわけではないのか?
とにかく、話を正面から聞いてくれそうなので、私は自分の中で答えがとてももやもやしている疑問をぶつけてみた。
「……皇帝という役割についてだ」
「随分と抽象的な事を姉上はお聞きになる」
ああ、抽象的なのは私もわかっている……だが抽象的だからこそ答えられる人間は限られる。
「お前は、オデュッセウス兄上のようにのんびりしているわけでも、シュナイゼル兄上のようにどことなく冷静に物事を見ているようには見えない。お前の中では何か明確な答えがあるのではないか?」
オデュッセウス兄上は、抽象的な質問にはどこかほわ~んとした答えしか返ってこない。
逆に、シュナイゼル兄上は、答えこそ返ってくるものこの質問をするのは……怖かった。この質問をしたら何か知りたくない……知ったらいけないものを知ってしまう気がしたのだ。
2人とも、種類は違えど『力』を持つが故の答えなのだと思う。しかし私は違う……私と同じ……いや、私に近い答えをくれるのは、弱さを認めず力を求めるこの男ではないかと思うのだ……
「それは皇位継承権を持つものの資質を、私に問われているのだろうか」
皇位継承権か……それについても考えないわけではない。今はそれについてでもいい。この男の答え知れるならば構わない
「…………そう、とってもらっても構わん。私は答えが知りたいだけだ」
そう、答えを。
ふと、グラハムの目がまた変わったように感じた。
「私にとって皇帝という役割は、国の象徴を背負う立場だと思う」
象徴?力の象徴ではなく?まして、それを得るのではなく背負う?……どういうことだ?
「国の象徴ではなく、それを背負う立場だと?」
「国の象徴は何も皇帝だけではない、国の旗であり、国の特産であり、国の誇り、引いては国民そのものが国の象徴として捉えることができると、私は考える。ならばこそ、皇帝はそれを一身に背負い、それを諸外国に示すための立場だと考える」
……確かに、言われて考えてみると多少の納得はいく。この部屋のベッドの頭に置いてある「ハムハムチョコレート」の箱もしかり。これを店の主人=皇帝と捉えると簡単だ。
この店は主人が店を開いてはいるが、店を象徴するのは主人だけではない。主人が用意する商品、名前、そしてそれを買いに来る客が店の象徴なのだ。ならばそれを示す立場が、客を迎える主人の役割なのかもしれない。だがそう考えると疑問が湧く……
「皇帝という役割は代わりがいるとでも言うつもりか?」
そう、そう考えると別にその役割は主人や皇帝でなくても良いと思うのだ。示すことができるのであれば、それが従業員でも、ただの客の1人でも可能に思えるのだ。私の質問にグラハムは
「ふ……そう、とってもらって構わんよ、姉上」
と、私が先程返した言葉とほぼ同じ言葉を返してきたのだ。
私はそれに……思わず呆けてしまった。
この男は、今の私が心のうちに持つ答えとは別の答えであったが、それを私の中に納得できるように伝えてきたのだ。私自身の言葉を使って、それを考えれるように誘導までして……
なるほど……あのシュナイゼル兄上がああも気にかけるわけだ。とても自分より年下の人間とは思えない。この男……いやこの家族は……弱い自分をどうにかしようと足掻きながら、人にも何かを与えられる強い人間なのだな……
そう感慨に耽っていると
「何はともあれ、私は皇帝という役割に興味はない。無論皇族であることにも。故に姉上、安心めされよ。私は身内と皇位継承争いをする気など微塵もない。というか、皇族という身分すら必要ないのではないかな?」
「そうか……やはり身内で争うのは……」
私の先程の曖昧に求めた答えまで寄越してきたではないか……この男はオデュッセウス兄上とは違う力を……まるで慈しむような優しさという力を持っているのかもしれない……
そこまで考えてから、グラハムの言葉を自分のなかで反芻して、思わず
「……いや、グラハムお前それは言い過ぎでは?」
なんて、取り繕うこともせず言い出してしまったのだった。
なんとも可笑しな男だ……
体が弱いと思ったらそうでもなく
自身の弱さに甘んじているかと思ったが、それを払拭せんと鍛えており
心が弱い故に交友関係が狭いかと思えば、話すとどことなく優しさを感じる
どことなく私に近い存在……これもまた家族なのだと私は認めた。これからはグラハムを悪く思うことなどできそうにない……グラハムは決して「軟弱者」などではなく……
「誇りある優しい弟なのだな……」
その言葉は決してこの弟の耳には入るまい。思わず溢すように言ってしまったが、彼は既に素振りを再開していた。
「…………まだ続けるのか?」
「フン!……無論だ!」
どうやら、この弟はまだまだ止まる気は無いようだ。ならば私も強くなるためにできることをまた探し始めよう。
まずは、この弟を真似て体を鍛えるのもいいかもしれない。自分よりも幼い体の弱い(かもしれない)男が必死に頑張っているのに、姉である私が女であることを理由に体を鍛えないのはダメだ。それは私の弱さになる。それに……この弟には私の強くなった姿を見せつけてやるのだ。私が侮ってしまった男が自身の強さを見せてくれたように、私も自身の強くなった先を、この弟に…………
その後も、何となくグラハムの素振りを見続けていたがあの時折混ざる変な掛け声に耐えられなくなり、笑いを堪えながら部屋を後にするのだった。
「さて……まずはおりをみて常識を教えてやるか……私の
何か、どんどん身内がグラハムに甘くなっていってる気が……
さすがグラハムさん……
コーネリアは家族への愛が人一倍強い気がしてましたので、気づけばこんなキャラに……反省はしてない!
お気に入り数100突破で何か書こっかなぁ?
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うむ、原作前の日常とか読みたい
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フラッグファイターとしての活躍を期待する
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番外編?!聞いていないぞ!シャルル!
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それより本編を頼む。私は我慢弱い