伝承の武器って色々ありますが、どれもロマンがあっていいですよね!
最近のゲームではしょっちゅう使われるので実はこの武器も…という事が多々あるかと思います。
同じものを指していても名前が複数あるのも珍しくなく、例えば天叢雲剣と草薙剣は同一の剣の事だったりします。
特に草薙剣は草を薙いで窮地を脱したことからそういう名前に…そういえば手に入れた時点で草薙剣って名前だったような…?
それはさておき舞台は英国です。英国も様々な伝承がありますよね!
皆さんはどの伝承が好きですか?
それでは本編をどうぞ!
『どうした東洋人‼極東ではその程度で軍人になれるなんてな‼』
「っく…!」
やはり中距離の射撃戦では不利か…
先ほどからお互い木々の間を駆け抜けながらの撃ちあいになっている。
そして俺の撃つ弾はさっきからかすりもしてないが、向こうの弾は俺の外套に穴を増やしている。自分の射撃の腕が憎い。
だが向こうが先に弾切れとなったらしい。ライフルを投げ捨て、突撃してくる。
俺は咄嗟に銃を向ける。
だが銃はガキンッと音を立て、トグルが動きを止めた
『そっちも弾切れか、もらった‼』
男は剣を大きく振りかぶる。狙いは俺の左腕、拳銃ごと叩き切るつもりだ。
「…そうやって油断してくれるのを待ってたんだ」
俺は即座に後ろに飛びのき、拳銃を投げつける。
『なんだと⁉ぐぅっ‼』
大上段に剣を振りかぶっていた男はそれを左手で受ける。だが俺が投げたのはボーチャードピストルだ。拳銃にしては異常に重い一・三キロ、それなりの衝撃だ。
男の体勢が少し崩れる。まあ攻撃の出鼻をくじかれたら普通そうなる。
「はぁっ‼」
すかさず右手の刀を横一文字に振り抜く。
切っ先が男の服を切り裂き、腕に切り込みを入れる。
『このっ…‼』
男は顔を歪めながらも剣を振り下ろす。
だがその前に刀を両手に持ち替え、返す刃でその腕もろとも斬り飛ばす。
少し遅れて俺の頭上から鮮血が降り注いだ。
男が悲鳴を上げる。同時に完全に体勢が崩れた。
「これで終わりだ‼」
とどめを刺すなら今だ、斬り抜いた刀を上段に構えなおした。
このまま袈裟で叩き斬るのは容易だが、一応峰打ちで済ますか。
『今だっ‼撃てっ‼』
だが突然男が大声で叫んだ。俺は不意打ちでうかつにも一瞬動きが止まる。
次の瞬間、男の斜め後ろからけたたましい音と共に銃弾の嵐が襲ってきた。
「何⁉」
俺は咄嗟に飛びのいて木の影に入る。貫通はしないが銃弾が幹を削っていく。
キャリーの言っていたマキシム機関銃とやらか…ご苦労な事にこんなところまで運んできたらしい。残りの三人がいなかったのはそういう事か。
おかげであの男はすっかり逃げてしまった。
「これでは動けないな…くそっ」
ここまで連射されていては一歩も動けない。
応戦しようにも、もう飛び道具は使えない。
どうしたものかと思案していると、また唐突に射撃がやんだ。
結構撃っていたから弾切れでもしたのだろうか。
少し木の影から撃ってきた方を見る。
さっきの男が何か注射器のようなものを受け取っている。強壮剤か?
すぐ横で三人がマキシム機関銃をいじっている。あれは長く連射は続けられないらしい。
狙い目は今か!
そう思い木の影から飛び出した瞬間だった。
「がっ‼」
連続した三発の銃声と共に左足に激痛が走る。足が縺れ、その場に倒れこむ。
見ると左足の太腿を弾丸が貫いている。そして白煙を上げるマキシム機関銃が見えた。
『かかったな!野蛮な東洋人め!』
どうやらわざと弾を残していたらしい。俺のことを馬鹿笑いしながら再装填しているところから、今弾切れになったようだ。
『そこでそのまま寝ていろ!リロードが終わったらハチの巣にしてやる!』
痛む足で無理やり立ち上がろうとするが、すぐに転んでしまう。
目測でマキシム機関銃との距離は十メートルはある。
みるみる足元に赤い染みが広がる。
刀が重い…このままではまずいのはわかっているが、身体がうまく動かない。
湖のほうから光が見えたのはそんな時であった。
◇◇◇
俺が銃撃戦をしている頃、城和泉はキャリーを守りながら戦っていた。
「またこいつの相手しなきゃなんてね!」
無論、人間二人程度なら造作もない。すでに戦闘不能にしていた。
だが彼らは気絶する寸前、二体目の騎士型禍憑を召喚したのだった。
しかも今度の騎士は自身の背丈ほどある大剣を装備しており、城和泉は苦戦を強いられていた。
「信じられないくらい大きいのにちゃんと剣、金棒より立ち悪いわ…」
彼女が苦戦している理由はほかにもある。騎士はやみくもに剣を振るうのではなく、明確に剣術を用いていることだ。
騎士が上段から斬り下ろす。城和泉はこれをひらりと躱し、大剣が地面を砕いた。
すかさず城和泉も斬り返す。刀ががら空きの横腹に入るが、カーンという音をたてて弾かれる。
「刃が通らないっ‼」
騎士は平然と大剣を持ち上げ、踏み込み、風を切るように大剣を横に薙いだ。
騎士の身長が高いために、剣はちょうど城和泉の胸の高さになっている。
城和泉はこれをのけぞって躱すが、彼女の髪が若干切断された。
そして斬り抜いた姿勢の騎士を蹴飛ばして距離をとる。
「この時ばかりは細い体に感謝ね…はっ⁉私は何をっ‼」
宙返りしながら着地。正眼に構え直す。流石の騎士も多少よろめいている。
「ジョウイズミサンッ‼ダイジョブデスカ⁉」
「はぇ⁉だ、大丈夫よ‼いや、そうでもないかも…」
後ろに控えていたキャリーが心配している。
城和泉はつい安心させようとしたが、冷静に状況を分析していた。
この騎士型禍憑と刀では相性が良くない。
そのまま斬っても刃は通らず、得物が重いので攻撃を受け止めることも避けた方が賢明だ。
城和泉は刀に巫魂を籠め、刃に炎を纏わせた。
体勢を立て直した騎士が大きな音を立てて踏み込み、大剣での突きを繰り出す。
「くっ、これでえええぇぇっ‼」
怒涛の勢いの突きを刀の鎬で受け流し、火花を散らす。
そのまま鎧の腋の下、鎖帷子部分を刺し貫いた。
即座に炎が騎士に広がっていく。
それでも騎士は倒れなかった。
「がはっ!」
城和泉が吹っ飛んで木に叩きつけられた。
騎士は炎にその身を焼かれてもなお平然と立ち、その上で彼女を蹴り飛ばしたのだった。
「ジョーイズミサンッ‼」
「ぐっ…大丈夫、まだ戦える…あなたを守るって約束したもの!」
城和泉はゆっくり立ち上がり、刀を構えた。もう湖の手前まで追い詰められている。
彼女は刃こぼれこそしていないが、今の一撃が相当効いているのは明らかだ。
騎士は剣で炎を振り払い、ガシャンガシャンと金属音を立てながら迫ってくる。
すると突然、キャリーが城和泉の前に出た。
「⁉キャリーさん、何をっ⁉」
「ココマデクレバ、ダイジョブデス!ツカエマス!」
そう自信満々に言うと、キャリーは天に向かって手を掲げた。
同時に騎士が大剣をゆっくり大きく振りかざす。
次の瞬間、湖の中央から水しぶきと共に何かが飛び出した。
「何⁉」
驚く城和泉をよそに、その何かはクルクルと回転してキャリーの手に向かって飛んできた。
それは一振りのロングソードであった。
深い紺色の鞘に、金の装飾が柄にまで精巧に施された豪勢な剣である。
キャリーはこれを軽々と抜刀、そのまま騎士を斬りつけた。
大剣を振り下ろしたはずの騎士が、さっきの城和泉以上の勢いで吹っ飛ぶ。
同時に剣を中心にキャリーの体が強烈な光を放つ。
「きゃあっ‼え、何⁉これは…巫魂⁉」
余りのまぶしさに目を細めていた城和泉が叫ぶ。彼女が感じたのはまぶしさだけでなく非常に強力な巫魂の気配であった。それも目の前からだ。
眩い光が収まると、城和泉の目の前には一人の聖騎士が佇んでいた。
長く美しい金髪をたなびかせ、胴や手足には角ばった白銀の甲冑を纏う。鎧の下には純白の衣、それに鞘と同じ紺のラインが走っている。非常に露出のない服装だが女性らしいラインを甲冑も組み合わせて表現している。
城和泉に比べるとはるかに重装備にも関わらず、スラっとしたシルエットをしていた。
そんな美しい女騎士に先ほど吹き飛ばされた騎士型禍憑が大剣を大上段に振りかざして襲い掛かる。
「危ないっ‼」
思わず彼女に見とれていた城和泉だが、すぐ我に返り叫ぶ。
直後、金属が激しくぶつかる音と共に火花が花火のごとく散り、騎士の大剣は大きくはじき返された。騎士の胴体ががら空きになる。
彼女はそれを横一閃に振り抜いた。
そしてその剣は、刀が軽く弾かれた甲冑を容易く両断したのだった。
硬直した騎士はずるりと上半身と下半身が分離し、けたたましい金属音を立てながら地に倒れ伏した。
すると彼女はその騎士が持っていた大剣を拾い上げ、それを片手である方向に投げ飛ばした。
大剣が飛んで行った先はマキシム機関銃と再装填していた三人がいるところであった。
轟音と共に機関銃は砕け、同時に発生した衝撃で三人も地面に叩きつけられて気を失ったようだ。
「あ、あなたは一体…」
余りのことに城和泉が呆けながらも訪ねる。
少し離れたところにいた俺も突然飛んできた大剣と、それを投げた彼女に呆然とするしかなかった。
すると彼女は俺に歩み寄り、流暢な日本語で手を差し伸べてきた。
「さぁ、お手をどうぞ。アルジさん。」
「あ、ああ…」
俺はどうにか立ち上がった。だがかなり出血したせいか、足が震えて倒れそうになる。
「主!捕まって!」
「う…城和泉、すまないな」
幸いその前に駆け寄ってきた城和泉に支えられた。そして城和泉と共に彼女を見据えた。
「君は一体…キャリー、なのか?」
すると彼女は剣を胸の前にまっすぐ掲げた。これは騎士の敬礼、捧げ剣か。
「改めまして自己紹介を。私はキャリー、またの名をエクスキャリバー。この国を守る聖剣です!」
今回は巫魂について多少説明させていただきますね。
巫魂:巫剣特有のものであり、巫剣の力の源そのものである。
他の巫剣や巫剣使いはこれを感知することができ、巫剣使いの力の付与を可能と
している。
巫魂の強さ≒巫剣としての強さ である。
それではまた来週も読んでくださいね!!次で最終回です!