ハイスクールD×D 黒いウサギがお邪魔します   作:這い寄る劣等感

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ヒャッハー!ようやく更新できたー!

いや本当すまぬ。すまぬのだよ。
ちょっくら法隆寺展とかあったから親と一緒に見てきますた。特に盛り上がるようなものはなかったかな?

あれ?これってもしかしたら住んでいる都道府県はバレるんじゃね?
ま、いいか!性別なりその他諸々まだバレテないから!


それではどぞー!


黒ウサギ、死す

〜イッセーサイド〜

 

 

俺と木場と小猫ちゃんの三人はあの教会が見える位置で様子を伺っていた。

既に辺りは暗く、街灯の光が道を照らしている。

人の出入りこそないが、近づけば近づくほど悪寒が俺の身体を駆け巡る。

木場に訊いたらこの気配からして堕天使は確実にいるだと。なるほど、ボスはいるわけか。

 

 

「鉄からの情報だと聖堂に隠し階段があるらしい。……今更だけどこの情報信憑性がねえな」

 

「いや、ほぼ確実だと思うよ。はぐれ悪魔祓いは今まで敬っていた聖なる場所、そこで神を否定する行為を行うことで自己満足と神への冒涜に酔いしれるのさ。愛していたからこそ、捨てられたからこそ、憎悪の意味を込めてわざと聖堂の地下で邪悪な呪いをするんだよ」

 

 

なるほどね。だったら鉄の情報は間違っていないってことか。それがわかっただけでも無駄な時間を消費せずに済む。

なら前に進むだけだ。どうせ俺たちの存在なんて入った時点でバレるからな。気にしたら負けだ。

俺たちは聖堂に入り中を確認する。

見た感じは普通の聖堂だが、聖人の彫刻の頭部がズタボロになっている。さっきの話は本当だったんだな。

パチパチパチパチ。

突如として響き渡る拍手の音。柱の物陰からあの白髪のクソ神父が現れた。

 

 

「いっやー!再会だなんて感動的だねえ!ついでに戦闘も再開しましょうかーーーーっと!」

 

 

そう言うや否や奴は柄だけの剣と拳銃を取り出して俺たちに突っ込んできた!

ブィィン。

奴の柄だけの剣から光の刃が現れる。あれと拳銃は厄介だ。なんせ悪魔にとっては毒にも等しい光だからな。

 

 

「セイクリッド・ギア!」

 

 

俺は左手に赤い籠手を装着し、木場は剣を鞘から抜き取り、小猫ちゃんは……自分の体の何倍もあろうかという長椅子を持ち上げていた。流石戦車。

小猫ちゃんはそれを神父に投げつける。だが神父はアッサリとそれを一刀両断してしまった。

そこに木場が機を見出して剣で斬りつけた!

ガキィン!

木場の剣と神父の剣が交錯し、火花を散らす。

光とはいえ硬度が生まれているのか。木場の剣とぶつかって金属音が鳴るくらいだもんな。

 

 

「んー!んー!邪魔くせぇなあオイ!てめえらなしてそんなにウザいのよ!もうチョベリバ!死語でゴメンね!死後に許してちょ!」

 

 

発射音が全くしない光の銃弾を放つ拳銃の銃撃を木場は騎士の特性であるスピードで避けながらも相手への攻撃の手は緩めない。

神父の攻撃を全て避ける木場は凄いが、悪魔とマトモにやり合ってる神父の野郎も相当なもんだ。

おおっと、木場と神父が鍔迫り合いにもつれ込んだ!両者が睨み合う。

 

 

「やるね。かなりキミ強いよ」

 

「アハハ!あんたもやるねぇ!騎士か!無駄の無い動きだぜ!もう最高!そう、これだよこれ!最近、こんなに心躍る戦いは久しぶりだぁ!…………あぁ、いや。戦いにすらならなかったことがあったわな」

 

 

……?神父が急にシリアスな表情になったけど……どういうことだ?

正直言ってあいつがあんな表情してんのもふざけているようにしか思えなくなっている。

だが今は動向に注目しないと!

 

 

「……じゃあ僕も少しだけ本気を出そうかな」

 

 

木場が本気を出す?一体何をするつもりだ?

 

 

「喰らえ」

 

 

木場が出したとは思えない低い声音。いつもの爽やかな木場からは想像もつかないほどの迫力が今の木場にはあった。

刹那、木場の剣から黒いモヤモヤしたものが出現する。それは剣全体を覆い出した。

ーーーー闇。

形容するならまさにらそれが相応しいだろう。

闇が木場の剣を覆っていく。いや、寧ろ闇が木場の剣となる。

闇の剣は鍔迫り合っている神父の光の剣を侵食し出す。

 

 

「ん、んだよ。こりゃ!」

 

「『光喰剣』、光を喰らう闇の剣さ」

 

「て、てめえも神器持ちかよ⁉︎」

 

 

神器!そういうのもあるのか!

くそっ、闇の剣とかかなりかっこいいじゃねえか。中二病感バリバリで。

くそ!イケメンは心だけじゃなく武器までカッコイイのですか!妬けてくるぜ!男の嫉妬は見苦しいけどな!

神父の光の剣は木場の剣に喰われて光を失い、刃を形成できないほどになった。

俺はこの瞬間をチャンスと見て走り出した!

 

 

「神器!動けぇぇぇ!」

 

『Boost!!』

 

 

宝玉から音声が発生し、俺に力が流れ込んでくる!

目標はクソ神父!目的は殴ること!

神父はこちらの動きに気づき、光の弾丸を音もなく撃ち出した。

ここだ!

 

 

「プロモーション!戦車!」

 

 

バシィン!

光の弾丸は俺を撃ち抜くことなく無へと還った。

 

 

「!プロモーション!兵士か⁉︎」

 

 

酷く驚いた様子の神父。

ああ、正解だ!俺はお前をぶん殴る兵士さまだよ!

 

 

「戦車の特性!あり得ない防御力と!」

 

 

俺の左の拳が神父の顔面に食い込んだ。と思ったが、俺の拳に硬い感触が残った。

だが、そんなの知ったこっちゃねえ!一気に吹っ飛ばす!

神父が後方へ大きくぶっ倒れた!

 

 

「バカげた攻撃力だ」

 

 

俺は息をあげながら、笑ってやった。

これでアーシアが殴られた分は帳消しに出来たな。

だが神父はアッサリと立ち上がった。が、その頬には腫れが出来ていた。

見れば柄だけの剣がボロボロになっていた。咄嗟にあれで防御したのか。なんて反応速度だ。

 

 

「んー?俺はなんで弱小悪魔くんに殴られたのかなー?……ハハッ!殺す殺す殺す殺す絶対に殺す!」

 

 

神父は口の中に少し溜まっていたらしい血を吐き出しキレだした。

どうも俺に殴られたのが原因らしいな。まあ、あれほど自分の強さに自信を持っていたのなら圧倒的に実力が下な俺に殴られたのはかなり堪えたんだろう。

だが俺は一人じゃない。

ザッ。

神父の周囲を囲むように木場と小猫ちゃんが立つ。

そう、俺たちは三人だ。俺一人で勝てなくとも三人なら必ず勝てる!

 

 

「あー、これはアレですか?ピンチってやつですか?ふざけんじゃねえですよ。だ・け・ど俺ちゃん的に悪魔に殺されるとかマジかんべんなんで退散しちゃいまーす」

 

 

そう言うと神父は懐から丸い物体を取り出し地面に叩きつけた。

その丸い物体は眩い光を放ち俺たちの目を襲う。

目眩ましだと気づき、視力が回復した時には既に神父の姿はなかった。

すると、どこからともなく神父の声だけが聞こえてくる。

 

 

「そこの雑魚悪魔……イッセーくんだっけ?俺、お前にフォーリンラブ。絶対に殺してあげるんだから。俺のこと殴った悪魔は許さないよ?……あぁ、そうそう。あの水色の髪の男。ありゃお前らには扱える代物じゃねえよ。協力者だって、笑えてくるね!どう考えたってお前ら全員より強いのにさ!」

 

 

視界が完全に回復し、改めて周囲を見渡すがやはり神父の姿はなかった。

……逃げやがった。しかも捨て台詞付き。

……だけどどういう意味だ?

水色の髪の男って言ったら鉄のことだよな。それが強いだって?

そりゃ確かにまだ駆け出しの俺よりは強いだろうけど、それでも木場や小猫ちゃん、部長に朱乃さんに敵う実力だとは思わない。

いや、でもだったらあの時受けた殺気はなんだ?まるで大きな鉄球に潰されているかのような感覚だった。

今はそんなこと考えていてもしょうがないな。

俺と木場と小猫ちゃんはお互い頷きあうと、祭壇の隠し階段へ足を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

祭壇の下にあった地下への階段を下りる俺たち三人。

どうやら地下にも電気は届いているらしい。

木場を先頭、小猫ちゃんを殿にして俺たちはまっすぐ奥へと進む。

鉄が言うには一番奥にいるらしいし、小猫ちゃんも自慢の嗅覚で所在を確認してくれた。

そのまま奥へと進んでいたら大きな扉が現れた。

この奥にアーシアがいるのか。待っていろよ!

 

 

「いらっしゃい。悪魔の皆さん」

 

 

まだ何もしていないのに扉の方が勝手に開きだした。

重い音を立てながら、儀式場とやらの内部が見えてくる。

部屋の中は神父だらけ。部屋の奥にはレイナーレ。そしてその近くにある十字架に磔にされているのは……

 

 

「アーシアァァ!」

 

「……イッセーさん?」

 

「ああ、助けに来たぞ!」

 

「感動の対面だけれども、遅かったわね。いま、儀式が終わるとこよ」

 

 

儀式が終わるだと?一体どういうーーーー。

百聞は一見に如かずとはよく言ったもんだ。

こういうことかよ。

アーシアの体が光だし悲鳴をあげる。

俺はすぐさま駆けつけようとしたが、多数の神父に阻まれた。が、そいつらは木場と小猫ちゃんがどうにかしてくれた。

木場は神父に何かの因縁があるのか、闇の剣からドス黒い殺気を放っていたよ。

そうこうしているうちにアーシアの体から大きな光が出て、レイナーレはそれを狂気で彩られた表情で抱きしめた。

途端、眩い光が儀式場を包み込み、それが収まった時には緑色の光を全身から発する堕天使がそこにはいた。

 

 

「うふふ。アハハハハ!ついに手に入れた!至高の力!これで、これで私は至高の堕天使となれる!私をバカにしてきた者たちを見返すことができる!」

 

 

高笑いする堕天使には目もくれずに俺はアーシアのもとに駆けつける。

途中、神父に邪魔されたが木場と小猫ちゃんのコンビネーションで撃退した。

俺は二人に礼を言い、磔にされたアーシアを解放する。

 

 

「……イ、イッセーさん……」

 

「アーシア、迎えにきたよ」

 

「…………はい」

 

 

返事をする彼女の声には生気が感じられない。

おいおい!まだ大丈夫のはずだろう?こんなことで……。

 

 

「無駄よ。神器を抜かれた者は死ぬしかないわ。その子、死ぬわよ」

 

「ーーーーっ!なら、神器を返せ!」

 

「返すわけないじゃない。これを手に入れるために私は上を騙してまでこの計画を進めたのよ?あなたたちはここで殺して証拠も残さないわ」

 

 

……ちっ。

俺の元彼女の姿をしているからなんとも胸糞が悪くなる。

何と言おうと俺の初めての恋人だったんだ。

大事にしようと思ってた。初デートのプランを念入りに考えた。

だが今のこいつは違う。間違っても天野夕麻という存在ではない。

 

 

「レイナーレェェェェェェェェェッ‼︎」

 

「アハハハハハハハ!腐ったクソガキの分際で私の名前を気安く呼ぶんじゃないわよ!」

 

 

堕天使は嘲笑う。

俺のハラワタが煮え繰り返るほどの憎悪が俺の中で生まれていた。

ここまで外道な奴は今まで見たことがない。悪魔よりもよっぽど悪魔じゃないか!

 

 

「兵藤くん!ここでその子を庇いながらでは形勢が不利だ!一度上にあがってくれ!僕たちが道を開ける!さあ、早く!」

 

 

木場が神父を薙ぎ払いながら言ってきた。

確かにまだ神父が大量にいるこの状況下ではアーシアを守りながら堕天使と戦うのは至難の技だろう。

 

 

「……すまん!二人とも!」

 

 

俺はアーシアをお姫様抱っこしてからこの部屋を出ていき階段までの道を駆け抜けた。

 

 

「木場!小猫ちゃん!帰ったら、絶対に俺のことはイッセーって呼んでくれよ!仲間だからな!」

 

 

 

 

 

 

俺はアーシアを抱えながら聖堂まで戻ってきたが、アーシアの顔には生気が感じられず、体温も失われつつあった。

俺は理解した。この子はもうすぐ死んでしまう。だけどそれを認めたくなかった。

彼女はお礼の言葉を最後の言葉として、この世から旅立ってしまった。

彼女は微笑みながら逝ったさ。それは俺にとっては良かったのかもしれない。少なくとも苦しみながら死んだわけではないのだから。

だけど俺は涙を止めることができなかった。

どうして、なぜこの子が死ななくてはならない?

傷ついた相手を癒してあげるいい子なのに?

どうしてそんな子と今まで誰も友達になってやらなかった?

どうして俺が側にいてやらなかった?

俺は自分の無力を呪い、アーシアをこんな境遇に追いやった神に祈った。

 

 

「あら?悪魔がこんなところで懺悔?それともお願いでもしていたのかしら?」

 

 

振り返れば俺を嘲笑う堕天使の姿。

レイナーレはどうやら木場に傷をつけられたらしいが、その傷口に手を当ててそこから淡い緑色の光が発せられ、傷を塞いでいく。

おい。

その光はアーシアのものだったんだ。なんでお前がそれを使っている。

ていうか木場たちは無事なのか?それがとても気になる。

 

 

「堕天使を治療できる堕天使として私の地位は約束されたようなもの。偉大なるアザゼル様、シェムハザ様、お二方の力となれるの!こんなにも素敵なことはないわ!ああ、アザゼル様……。私の力をあなたさまのために……」

 

「知るかよ。そんなこと、知らねえよ。堕天使だとか、神様だとか、悪魔だとか……。そんなもの、この子には関係なかったんだ」

 

「いえ、関係あったわ。その子は神器をその身に宿した選ばれし人間だった」

 

「……それでも静かに暮らせたはずだ。普通に暮らしていけたはずだ!」

 

「できないわよ。異質な神器を有した者はどこの世界でも組織でも爪弾き者。それは強力な力を持っているが故。他者とは違う力を持っているが故。ほら、人間ってそういうの毛嫌いするでしょ?こーんなに素敵な能力なのにね」

 

「……なら、俺が。俺が、アーシアの友達として守った!」

 

「アハハハハ!無理よ!だって、死んじゃったじゃない!その子、死んでるのよ?もう、守るとか守らないじゃないの。あなたは守れなかったの!夕刻の時も、さっきも!その子を救えなかったのよ!本当におかしな子!面白いわ!」

 

 

「…………。知ってるよ。だから、許せないんだ。お前も。そして、俺もーーーー」

 

 

全てが許せなかった。

自分の無力が。アーシアを殺したレイナーレが。

リアス部長の言葉が脳裏を過る。

 

 

ーーーー想いなさい。神器は想いの力で動き出すの。そして、その力も決定するわ。

 

 

「返せよ」

 

 

ーーーーあなたが悪魔でも、想いの力は消えない。その力が強ければ強いほど、神器は応えるわ。

 

 

「アーシアを返せよォォォォォォォッッ‼︎」

 

『Dragon booster!!』

 

 

俺の叫びに応えるように、左腕の神器が動き出す。手の甲の宝玉が眩い輝きを放った。

籠手に何かの紋様らしきものも浮かび出す。と、同時に俺の中に力が溢れてくるのがわかった。

俺はその力に身を任せながら嘲笑う堕天使に拳を突き出した。

だがそれをまるで舞うかのようにその場で華麗に避けるレイナーレ。

 

 

「おバカなあなたにもわかるように教えてあげる。単純な算数の問題よ。私の力が千であなたが一。この差はどうやっても埋められないわ。たとえ神器が発動しても倍の二。それなのにどうやって私に勝とうというの!アハハハハハハハ!」

 

『Boost!!』

 

 

宝玉から再び音声。甲の宝玉に浮かぶ文字が『Ⅰ』から『

Ⅱ』に変わる。

ドクンッ!

俺の中で二度目の変化が訪れる。

力がーーーー目の前の敵を倒す力が更に増すのを感じる。

 

 

「うおおおおおおおおおお!」

 

 

俺は溢れ出す力を拳に乗せて一気に詰め寄る。俺は既にプロモーションで戦車に昇格済みだ。

だがその攻撃も避けられ、お返しとばかりに光の槍が俺の両足の太ももに鋭く深く打ち込まれる。

俺は絶叫を張り上げた。激痛が全身を苛むがこんなところで膝をつくわけにはいかない。

俺はすぐさま光の槍に手をかけた。

ジュゥゥゥゥ。

肉が焼ける音がする。熱い!超熱ぃぃぃぃぃ!光だからか!

俺の手のひらを容赦無く焦がしていく。

 

 

「アハハハハ!その槍に悪魔が触れるなんて愚の骨頂よ!光は悪魔にとって猛毒に等しいわ。触れるだけでたちまち身を焦がす。その激痛は悪魔にとって最大級!あなたのような下級悪魔ではーーーー」

 

「ぬがあああああああああっ!」

 

 

俺は声にならない声をあげ、槍に抜こうとより一層力を込める。

次第にズリュズリュと肉を引きずる嫌な音を響かせながら槍は少しずつ抜かれていく。

ようやく槍を抜き取り地面に捨てると光が霧散する。

今まで俺の血管ごと塞いでいたものを摘出したせいか、穿たれた穴からは鮮血が迸った。

槍を抜いたところで痛みがなくなるわけでもない。

 

 

『Boost‼︎』

 

 

再び流れる音声。

力がより溢れてくるが、激痛で俺の尻は地面についたままだ。

足に力が入らない。いや、全身に入らない。

これ、やべぇのか?

 

 

「……大したものね。下級悪魔の分際で堕天使の作った光の槍を抜き取るなんて。でも、そんなことをしても無駄。私の光は派手さこそないけれど殺傷能力は高いわ。光力の濃度が濃いのよ。神父たちの光の刃の素としても機能ができるくらいに。一つでも傷を負えば中級悪魔でもそう簡単には治らないわ。それが下級悪魔のあなたならここまでが限界。よく頑張った方と思うわよ?」

 

 

相変わらず俺にはわけのわからん事をペチャクチャと喋ってくれるね。

取り敢えずこの傷はヤバイってことだけはわかった。

さっきから身体中の内側が痛む。それもズキズキと言った感じではない。もっと凄まじいものだ。

骨も筋肉も焼かれて神経には直接痛みが流れ込んでいる感じだな。少しでも気を抜くと頭がおかしくなりそうだ。

治療が遅ければ死ぬんだろうな。

でもよ。ここで座り込んでもいられないんだ。だけど足に力が入らない。

なんてこった。ここで終わりなのか?

不意にアーシアの方に視線が向いた。

静かに眠る彼女。

うるさくしてゴメンな。ああ、大丈夫だ。俺ならマジで大丈夫。意外と頑丈ですからね。問題ねぇよ。ほら、見てろよ。アーシアの悔しさは俺が少しでも晴らしてやるからな。

ぐぐぐ……。

俺は足を動かす。

足の感覚など既に無い。一ミリ動かしただけで俺には激痛がはしる。でも動く。ケツが少しずつ床とおさらばしている。

 

 

「ーーーーッ!う、嘘よ!立ち上がれる体じゃないのよ⁉︎光のダメージでーーーー」

 

 

驚愕しているレイナーレの視線位置に少しずつ近づいていく。

そして、俺は立った。奴の眼前に。足を子鹿のように震わせながら。血を大量に流しながら。

 

 

「よー、俺の元カノさん。色々と今までお世話になりました」

 

「……立ち上がれるわけがない!か、下級悪魔如きがあの傷で動けるはずがない!全身を内側から光が焦がしているのよ⁉︎光を緩和する魔力も持たない下級悪魔が耐えられるわけがないわ!」

 

「あー、痛えよ。チョー痛え。意識も今にでも飛びそうだ。でもよ、てめぇへの怒りと憎悪があまりにもスゴくてさ、どうにかなっちゃいそうだ」

 

 

俺は視線を一ミリもズラさず相手を睨みつける。

次の一発がどうやら俺の最後の一発になりそうだ。それを撃てば俺は倒れるだろう。

だからこそ次で決める。目標から目を逸らすことは絶対にしない。

 

 

「なぁ、俺の神器さんよ。目の前のこいつを殴り飛ばすだけの力はあるんだろうな?いっちょトドメと洒落込もうぜ」

 

『Explosion!!』

 

 

宝玉から流れる機会的な音声は今この場においてのみ力強かった。

何やら宝玉がより一層輝く。すげェ光だ。眩しい。

でも堕天使とかの光と違ってこれはダメージではなく俺に力を与えてくれる。悪魔が平気な光って結構あるもんだな。

俺は前に足を動かす。たったそれだけの行為で足の傷口からは血がどばっと溢れ出し床に落ちた。

ついでに喀血もした。これはいよいよもってピンチかな。

激痛も天井知らず。脳天に響くね、これは。でも大丈夫。動ける動ける。

いまだに籠手から溢れんばかりの力の奔流が俺の中に流れ込んでくる。

夕方にレイナーレと対峙した時は実力差に怯えた。

圧倒的な力の差を悪魔としての本能が感じ取ったから、体中の震えが止まらなかったよ。あの時は絶対に勝てないと思った。

だが今は違う。

籠手から伝わるこの力強さはハンパじゃない。

でも理解してしまう。それは俺がこの神器の持ち主だからかな。

この力は永続的なものじゃない。一発限定だ。

なら話は簡単だ。この一発を打ち損じなければイイ。

 

 

「……ありえない。何なのよ、これ。どうして、こんなことが……。その神器は持ち主の力を倍にするだけの『龍の手』でしょう?……どうしてあなたの力が私を超えているの……?この肌に伝わる魔力の波……魔の波動は中級……いえ、上級クラスの悪魔のそれ……」

 

 

俺の力が上級悪魔?原因は神器か?

おいおい、お前さんは俺の力を倍にするだけの神器じゃなかったっけ?

上級悪魔とやらは部長にしか会ったことないけど、今だけでも部長並みに強くなったってことか。

 

 

「嘘よ!こんなの嘘だわ!わ、私は究極の治癒を手に入れた堕天使よ!『聖母の微笑』を手に入れ、この身に宿した私は至高の存在と化してるの!シェムハザ様とアザゼル様に愛される資格を得たのよ!あ、あなたのような下賤な輩に私は!」

 

 

レイナーレが光の槍を再び作り出す。しかも今度は二本だ。

それを勢い良く投げたが、俺はそれを横殴りして霧散させた。その様を見ていたレイナーレは黒い翼を羽ばたかせ、今にも逃げ出そうとしていた。

今まで散々俺を嘲笑っていたくせに勝てないとわかると逃げ出すか。いいご身分だな。

だが逃がさない。逃がすわけがない!

俺は相手が飛び立とうとした瞬間に駆け出し、その手を引く。自分でも信じられないくらいスピードが出た。堕天使ですら反応ができない位のスピードだ。

掴んだ腕はなんとも頼りなく、弱々しく感じるほど細かった。

一気にグンっとレイナーレの腕を引いて、身を寄せる。絶対に逃がさない。

 

 

「逃がすか、バカ。吹っ飛べ!クソ天使ッ!」

 

 

俺は雄叫びと共にレイナーレの顔面に全部の力を集結させて殴る。

ゴッ!という派手な音が響き、レイナーレは後方へと吹っ飛んで行き、壁に叩きつけられ、その壁すらも破壊して地面に転がった。

ピクリとも動く気配はないが死んではいないのだろう。だが気絶はしているはずだ。

 

 

「ざまーみろ」

 

 

思わず笑みがこぼれるが、すぐに涙もこぼれた。

もう二度とアーシアは笑ってくれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

堕天使を殴り飛ばして完全に力が抜けた俺はその場に倒れそうになるがそこを木場に支えられた。

こいつ、無事だったんだな。良かった。

 

 

「お疲れ。堕天使を倒しちゃうなんてね」

 

「よー、遅えよ、色男」

 

「ふふふ、邪魔をするなって部長に言われたんだ」

 

「その通りよ。あなたなら、堕天使レイナーレを倒せると信じていたわ」

 

 

声のする方へ振り向けば、紅の髪を揺らしながらリアス部長が笑顔で歩いてくる。

しかし一体どこから?と思ったがその疑問はすぐに氷解した。

 

 

「どこから来たのかと思ってるんでしょうけど、地下からよ。魔方陣でジャンプして来たの。教会にジャンプは私にとっても初めての経験だから緊張したわ」

 

 

初めての経験って聞くとなんかエロいよね。

って、今はそんなこと考えてる場合じゃねえな。

そうか、だから部長は木場たちと一緒に上がって来たのか。

てことは、下の神父は全滅だな。部長を相手取って無事だとは到底思えない。

と、思っていたところ小猫ちゃんが俺の横をスタスタと横切っていく。どこに行くんだろう?

 

 

「それで無事に勝ったようね」

 

「ぶ、部長……。ハハハ、なんとか勝ちました」

 

「フフフ、偉いわ。さすが私の下僕くん」

 

 

俺は部長の指で鼻をツンと小突かれる。

 

 

「あらあら、教会がボロボロですわね。部長、よろしいのですか?」

 

 

え?教会がボロボロなのってなんか問題だったの?

部長曰く、教会は神、或いは何らかの宗教に属するもので、今回みたいなケースもあり、その場合に悪魔が教会をボロボロにすると他の勢力から付け狙われるそうだ。恨みと報復で。

……あれ?なら今回の俺の行動ものすっごく大問題なんじゃね?

 

 

「その心配はないわ。元々ここは捨てられた教会でとある堕天使達が私利私欲のために活用したわけで、私たちはちょっとそこでケンカをしていただけよ。相手の公式な陣地に戦争を仕掛けたわけではないわ。あくまで、一悪魔と一堕天使の野良試合の小競り合い。そんなことはどこでも年がら年中起こっているわ。ただそれだけのことよ」

 

 

なるほどね。物は言いようってやつだな。

と、そこに先ほど俺の横を横切っていった小猫ちゃんがその手にレイナーレを引きずって現れた。

小猫ちゃん持ってきたって中々豪快な言動だね。まるで荷物みたいに思えてくるよ。

小猫ちゃんはポイッとレイナーレを投げ捨てる。

そこに朱乃さんが魔力で水の塊を作り出し、それをレイナーレに被せる。

バシャッ!と水音の後に咳き込む声が聞こえてレイナーレは目を覚ます。

レイナーレは最初は部長を睨んでいたが、途端に嘲笑ってきた。

 

 

「……してやったりと思っているんでしょうけど、残念。今回の計画は上には内緒ではあるけれど、私に同調し、協力をしてくれている堕天使もいるわ。私が危うくなった時、彼らは私をーーーー」

 

「残念だけど助けにはこれないわ。既に彼らはこの世にいないもの」

 

「嘘よ!」

 

「嘘じゃないわ。これがその証拠。堕天使カラワーナ、ドーナシーク、ミッテルトのそれぞれの羽よ。同族のあなたなら偽物かどうかくらいは判別つくでしょ?」

 

 

そう言うと部長は懐から三枚の黒い羽を取り出す。

それを見た瞬間、レイナーレの顔が曇った。どうやら本物みたいだ。

 

 

「部長。まさか、倒しに行っていたんですか?」

 

 

部長が用事だと言っていたのはこれをするためだったかと思うと胸が熱くなる。

だが、部長の反応は予想とは違い、顔を曇らせる結果となった。

俺、何かマズイこと言った?

 

 

「……いえ。私が行った時にはもうこの三枚の羽だけ残して彼らは既にいなくなっていたわ。逃げ出したのか、それとも誰かに消されてしまったのかはわからないのよ」

 

 

それってなにかマズイのか?俺にはさっぱりわからない。

 

 

「イッセーくん。つまり、堕天使を消滅できるほどの力を持つ者がここら近辺に潜んでいるかもしれない、ということだよ。部長はこの地を任されている者として危険因子は見過ごせないんだ」

 

 

おっ。早速イッセーって呼んでくれたな。

って、そうじゃねえや。

成る程、そういうことか。

ここら辺に堕天使を消滅できるほどの力を持つ者が潜んでいると。

逃げ出したのかもしれないがそれは楽観的予測だろう。

でも、堕天使を倒したんだから味方なんじゃねえのかな?

 

 

「イッセー。堕天使を倒したから味方かもしれないと思っているのでしょうけど、その考えは甘いわよ。敵の敵は味方。そんな考えは通用する時としない時があるわ。もし倒したのが天使だったら?それは悪魔にとっても敵だわ。他の悪魔や堕天使、或いは神器持ちの人間だったら?彼らが堕天使を倒した理由が不明瞭だからこれもまた、危険なのよ」

 

 

そうなのかー。

でも考えたらその通りだよな。別に堕天使を倒したからって味方たりえるわけじゃないよな。

寧ろ、倒したのが誰なのかわからないからこそ、危険なのか。

 

 

 

「だけどあなたがなぜイッセーに敗けたかはわかるわ。それはこの子の神器が特別な神器だったから。この子の神器は『赤龍帝の籠手』。神器の中でもレア中のレア。『神滅具』のうちの一つ。その効果は人間界においての十秒ごとに持ち主の力を倍にすること。たとえ、最初が一でも何度も倍加を繰り返していればいずれは上級悪魔や堕天使の幹部クラスの力になる。極めれば神ですら屠れるわ」

 

 

マジか。俺の神器、そんなに凄い代物だったのか。

本当に力を二倍にするだけのコスプレグッズと思っていたわ。

だがレイナーレの驚愕の感じを見れば本当なんだとわかるな。

 

 

 

「はーい。空気も読まずに俺、参上〜☆」

 

 

あのクソ神父が自身の言う通りに空気も読まずに参上した。

なんで今更になって出てくるんだよ。もうこの状況じゃどう足掻いてもひっくり返らないだろ。

 

 

「助けなさい!わたしを助ければ褒美でも何でもあげるわ!」

 

「うわぉ!堕天使さまからそんな言葉をいただいちゃうなんて俺ちゃん大感激。…………だけどさぁ、助けられまっせ〜ん。理由わかる?わからないよね?だって頭が弱いもんね?じゃあ教えてあげまっ〜す。なんと!他の堕天使さまさまを倒したのはあの有名な『黒ウサギ』なのです!」

 

 

『ーーーーっ!』

 

 

え?なんだ?俺以外の全員が一瞬にして顔が強張った。

『黒ウサギ』って一体なんなんだ?

部長たちがここまで顔を強張らせているんだ。なんか凄いのには違いなさそうだけど。

 

 

「そんな……。『黒ウサギ』ですって……。なんでそんな大物が私たちを……」

 

 

レイナーレの表情は絶望に染まっている。

それほどまでにか。それほどまでに恐れるような相手なのか。

つまり、今回他の堕天使を倒したのが『黒ウサギ』と呼ばれる存在。そしてその『黒ウサギ』は部長たちも顔を強張らせているくらいだから、確実にこっちの味方じゃねえな。

 

 

「部長。『黒ウサギ』とは一体……?」

 

「え、ええ。そうね、イッセーにも知る権利はあるわ。『黒ウサギ』とは悪魔、天使、堕天使、その全てにとって害悪でしかない存在よ」

 

 

害悪でしかない存在……?

曖昧すぎてよくわからない。

 

 

「私も詳しいことを知っているわけじゃないわ。ただ確実にわかっていることは『黒ウサギ』と呼ばれる存在は悪魔、天使、堕天使の全てに分け隔てなく攻撃を加えている者よ。なんで攻撃したかの動機もわからない。その力もわからない。ただ、危険な存在とだけがわかっているわ。見かけたら逃げ出すことを推奨されるくらいにはね」

 

 

そんなにヤバイ奴なのか、『黒ウサギ』って奴は。

動機も力もわからないけど、危害を加えてくることだけはわかる。

なんだ、その危険人物。なんか快楽殺人者みたいだ。

 

 

「そ!んもぉ〜、『黒ウサギ』が狙っているなら予め言ってくださいよぉ〜。言ってくれれば最初から協力とかしなかったのにNE!だから俺はここでバハハーイするのぜー。あっ、そうそうイッセーくん?だっけ?オレサマオマエマルカジリしちゃうからそこんとこよろしくねー」

 

 

フリードはそんなセリフを残して去って行った。

しかしあのセリフとともに背筋が凍る殺気もオマケされた。あいつは本気なんだろうな。なら俺もまたあいつが来た時にはもっと強くなって今度は木場たちの力も借りずに一発ぶん殴ってやる!

 

 

「『黒ウサギ』……。もうお終い……。……ハハッ、アハハハハハハハ!ならせめてアザゼル様やシェムハザ様の為にも兵藤一誠!『神滅具』を持つお前をこの場で殺す!」

 

 

突如としてレイナーレが自暴自棄になったように叫び、光の槍を作り出して俺に投げつけてきた。

ヤベェ!さっきまで何もしてこないと思ってたから完全に油断していた!

そしてこの俺、兵藤一誠の悪魔としての人生は終わーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「ガハッ!」

 

 

ーーーーらなかった。

死ぬ!と思った瞬間閉じた目をゆっくり開いてみるとそこには俺の後輩で尚且つ悪魔ではなく人間の鉄大兎がいた。

 

 

「鉄ェッ!」

 

 

鉄は俺の声に反応しこちらを見てからニコッと笑い、そのまま地に倒れ伏した。

ヤバイ、そういやレイナーレは中級悪魔でも危ないほどの光の槍を作り出せる奴だ!

人間にとって光が毒にならなくてもその殺傷力は健在だろう。

 

 

「ーーーーっ!死になさい!レイナーレ!」

 

 

部長が己のドス黒い魔力をレイナーレに向けて放つ。

それだけでレイナーレは消滅してしまった。己の黒い羽を複数枚残して。

そして俺たちは鉄に近寄る。

血が大量に出ている。例え死んでいなくともこれでは失血多量で死んでしまうだろう。

 

 

「部長!鉄を救えないですか!俺を悪魔にした時みたいに!」

 

「そ、そうね。イッセーには説明していなかったけど悪魔の駒というのがあってそれを使えばたとえ死んでいたとしても悪魔に転生させることができるわ」

 

「おーい」

 

「なら!」

 

「けどダメなの。私は以前大兎を眷属にしようとしたけどもどの駒も全く反応がなかったわ。悪魔の駒の不調は考えられないから、恐らく彼にはどの駒も等しく適性がなかったのよ。だから、彼を転生させることはできない」

 

「もしも〜し、聞こえてるか?」

 

「くそっ!鉄の声が聞こえてくるかのようだ!俺なんかを守る為に……!」

 

「イッセー、私も聞こえてくるようだわ。彼には悪い事をしたわ。私たちが不甲斐ないばかりに」

 

「ねえ、本当は聞こえてるんだろ?トボけてるのか?」

 

「うるっせえな!鉄が死んだ時に!」

 

 

さっきからずっと聞こえていた耳障りな声の主を確かめて怒鳴る為に振り返ると…………なんとそこには無傷の状態でピンピンしている鉄がいた。

 

 

『アイエエエエ⁉︎鉄(大兎)(鉄くん)⁉︎鉄(大兎)(鉄くん)ナンデ⁉︎』

 

「……お前ら本当に仲が良いな」

 

 

 

 

 

 

 

 

〜大兎サイド〜

 

 

「よし、これで証拠は全部残ってないな」

 

 

俺はヒメアが魔力の弾の機関銃をぶっ放したところで証拠隠滅を行っていた。

もうね。辺りに血やら肉やらが飛び交っていてどこのホラー映画かと思っちゃったね。

俺の『黒』は体の何処かに触れている必要があるから一々手で触れないといけないんだよなぁ……。お陰でかなり時間がかかってしまった。

 

 

「ヒメア〜。なんでこんな面倒臭い殺し方したんだ?」

 

 

俺は若干ばかし非難の目を向けてヒメアを見る。

 

「だってこいつらが私のことを犯すが如何の斯うの言ってきたんだもん。それに私の計画を邪魔してきたから……」

 

「それならしょうがねえな。寧ろグッジョブ!」

 

 

俺のヒメアに手を出そうと考えるなんざ、惨たらしく死んでも何も文句は言えないな!

だったら俺のこの労力は当然だな!

 

 

「さて……と。じゃあ今からイッセーんとこに行くぞ。時間がかかったのは事実だし、それに今頃は覚醒も済ませてあるはずだしな」

 

 

俺が重圧すら感じられるほどの殺気をぶつけた理由。それはイッセーをいち早く覚醒させたかったからだ。

なんでかこの前見た時は『赤龍帝の籠手』じゃなくて『龍の手』だった。

神器は想いの力で動くのはわかるけれどイッセーが腑抜けというか今のままだと覚醒には時間がかかりそうだから少しばかり荒療治をさせてもらった。

あとは少しでも想いの力があれば目醒めるだろう。

 

 

「まあ本当にそろそろ行かないとあいつらのうち誰かが死ぬだろうしな。かなりの確率で赤龍帝で今は弱いイッセーだしな〜」

 

 

俺の二つ名みたいなのが広まり過ぎてるしなぁ。

きっと誰かが俺の存在に感づいてレイナーレを絶望のどん底に突き落としているところだろうし。

そうなったら本当嫌なんだよなぁ。

死ぬことすら恐れなくなった奴と死んでも構わないって奴ほど恐ろしいものはない。何をしでかすかわからないからな。

 

 

 

 

 

 

さーて、到着したのはいいけど修羅場って言うか、アレだな。

俺がさっき言った通りの展開になってら。

レイナーレが俺の存在に怯えて、リアスが俺の存在説明中。わかってはいたけど見事に快楽殺人犯だな。

 

 

「私の大兎にあんなこと言うなんて……ちょっと殺してくるわ」

 

「ヒメア、落ち着けって。あいつらからすればほぼ100%真実なんだしさ。大体理由があっても俺は悪人だぞ?悪魔だと今断絶している家の幾つかは俺が原因だし、堕天使だとあのレイナーレみたいなのとかネフィリムを消したし、天使もそこそこ消したし、それに堕天云々騒ぎも俺が原因だからなぁ」

 

 

と、俺は自身が行なってきた悪事を言って落ち着かせる。

俺は悪い事とは一切思ってはいないが第三者観点で見るとやっぱ悪いことだよなぁと思ったりもする。

家系を消し、子供を消し、堕天の原因を作り出す。

うわっ、すっげぇ悪人。

 

 

「そろそろだな。もう少しでプッツンするだろうから、そん時に俺が身代わりになろう。そしたらまさかあいつらが俺のことを『黒ウサギ』と思うことがある程度少なくなるだろうし」

 

 

世評の効果で俺はとんでもない存在になってるからな。

まさか『黒ウサギ』が他人を助ける、なんて思うことはまずないだろう。

さーて、じゃあいっちょ死んでくるか!

俺は駆ける。イッセーのもとに。イッセーを守る為に。

 

 

「ガハッ!」

 

 

俺の身体にはレイナーレの光の槍が見事に刺さる。

攻撃力はともかく防御力は本当に人並みの俺にとっては立派な致命傷だ。

俺を呼ぶイッセーの声に振り向き俺はニッコリと笑う。

俺は大丈夫だというニュアンスを込めて。

だけど多分違うな。イッセーの顔あの馬鹿野郎みたいな顔している。明らかに勘違いしている。

いや、この場合俺の方が紛らわしいのか?

まぁいいや。どうせすぐに服ごと再生するし。

と、思ったけどそういやこれ抜き取らなけりゃ蘇りはしても傷までは癒えないな。抜き取っておこう。

うし、これで完璧。さて、あとはイッセーに……ってなんで漫才やってんの?

もうちょい生死の確認ぐらいはしようぜ。そりゃリアスみたいな奴がいたら生死の確認なんかどうでもいいかもだけどさ。

 

 

「おーい」

 

 

ダメだ。反応がないな。

それに俺をどう救うかってそもそもまだ死んでないぞ規定の回数は。

 

 

「もしも〜し、聞こえてるか?」

 

 

これでも反応がないか。でも怒鳴るのもアレだしな。

もうちょい待ってから話しかけるか。

 

 

「ねえ、本当は聞こえてるんだろ?トボけてるのか?」

 

 

ようやく反応が返ってきたかと思ったら無駄に驚かれました。

あー、やっぱ不老不死って珍しいのかね〜?後でキチンと説明しないとな。

今はそれよりも

 

 

「……お前ら本当に仲が良いな」

 

 

 

 

 

 

 

〜イッセーサイド〜

 

 

「な、なるほど。じゃあ鉄は不老不死なのか」

 

「そ。だから別に死んでも問題ないんだよね。すぐに治るから」

 

「それにしても驚いたわね。まさか不老不死を与えられるなんて……」

 

 

本当だよな。

ヒメアちゃんは確かに凄い存在っていうのは薄々理解はしていたけど、まさか不老不死を与えるほどとは思っていなかった。

流石に俺でも不老不死を与えるってのが凄いことってのはわかるぞ。

 

 

「いや、正確には自分の力を分け与えただけだから早い話がこの能力は元々ヒメアのモノだったんだ。それに不老はともかくとして俺の不死は不完全だしな」

 

「不完全?」

 

 

不死に不完全とかあるのだろうか。

致命傷から蘇れるだけで十分働いているように思えるんだが。

 

 

「俺の不死能力は十五分間に七回の制限付き不死。つまり、最初に命を落としたところから十五分間以内に六回命を落とせばその時点で俺は死んでしまうんだよ」

 

 

成る程、不死には弱点があるわけか。

鉄が吸血鬼だったら胸に杭を打たれるだとかニンニクだとか十字架だとかでいいんだろうがな。

あ、そう言えばフリードの野郎が気になることを言っていたな。一応訊いてみるか。

 

 

「なあ、フリードがお前が俺らより強いって言っていたけどそれって本当か?」

 

「それ多分俺の不死のカラクリに気付いてなかったからじゃねぇ?何度か殺されたけどその度に蘇ったからね。七回まで殺さないでアイツは逃げたんだよ。まあ、気付いてなかったら妥当な判断だとは思うぜ?言ってしまえば殺す度にHPMP全快でまた再戦ってのを繰り返さなくてはならないって思うからな。そういう意味で言えば俺はお前らより強いと言えるかもしれないな。俺は持久戦に持ち込めばいいわけだし」

 

 

そういうことか。

そりゃ、不死なんてものを見せられたらヤル気が削げるよな。しかも殺す度に全快で再戦となるといずれは部長や木場とかでも倒せるよな。こっちにも体力の限界はあるわけだし。

 

 

「それ抜きでもお前らを倒す技がないとは言えないけどな」

 

 

あんのかよ。

持久戦以外で勝つ手段があんのかよ。

 

 

「取り敢えず早いとこアーシアを転生させたらどうだ?彼女の神器は使えるんだろう?」

 

「そういや、なんでお前急に敬語……ともあんま言えねえけど止めたんだよ」

 

「だって俺の方が実年齢は上だしなー。肉体年齢はともかくとして。あ、けどだからって俺に敬語はなしよ?俺は堅苦しいのってなんか苦手だから。あとできれば大兎って呼んでくれ」

 

 

あー、こいつ不老不死だから実際は俺らより年齢が上なのか。

一体何歳なんだろうな。そういうの訊いたら教えてくれるだろうか。

 

 

「え、ええ。そうね。我、リアス・グレモリーの名において命ず。汝、アーシア・アルジェントよ。いま再び我の下僕となるため、この地へと魂を帰還させ、悪魔と成れ。汝、我が僧侶として、新たな生に歓喜せよ!」

 

 

部長が持つ紅い駒から光が発せられてアーシアの胸へと沈んでいく。

それと同時にアーシアの神器も彼女の中に入っていった。

駒と神器が完全にアーシアの中に入り込んだのを確認してから部長は魔力の波動を止める。

アーシアの瞼が開き始める。

俺はそれを見てこみ上げてくるものがあった。

 

 

「あれ?」

 

 

二度と聞けないと思った彼女の声。

だが今こうして聞けている。

なら俺がすることは一つだ。こう声をかけてやるだけだ。

 

 

「帰ろう。アーシア」

 

 

 

 

 

 

 

〜Epiloge〜

 

 

「ほう?兵藤一誠は赤龍帝として目醒めたということだな?」

 

「ああ、それは間違いねえよ。で、今後どうすればいい?」

 

「貴様は何を言っている?指示がなければ動けないのか貴様は。やはり貴様はいつまでたってもミトコンドリア以下の生物だな」

 

「あ”ぁ”ん⁉︎……って今はそんな事してる場合じゃねえな。取り敢えず護衛はともかくとして調査の続行をしとくか?」

 

「そうだな。今後はお前は悪魔にかかりきりになっておけ。そしたらお前が疑われることは少なくなるだろう。尤も、魔王や一部の上級悪魔、堕天使の上級幹部並びに副総督と総督、熾天使のメンバーがお前を見れば一発でバレるだろうがな」

 

「そんなこと滅多にねぇ……こともないのか。リアスは確か魔王の妹だっけか?ならドッキリ訪問があるかもなあ……」

 

「用件はこれだけか?なら切るぞ」

 

「おう、じゃあな……………………月光」

 

 

 

俺は携帯を切り、ポケットにしまう。

報告は終了。あとは自分の正体がバレないようにアイツらと接触しないとな。

 

 

「ヒメアー。部室に行くぞー」

 

「うん!大兎と一緒に行くー!」

 

 

俺たち二人はアーシアの歓迎会も兼ねた祝勝会に参加する為に学校へと向かった。

 

 

 

スグにある人物に正体がバレるとも知らずに。




どやった?
無駄に長かったやろ?読むの実際キツかったやろ?

私も書くのキツかったねん。書き終えた時に変なテンションの上がり方になるくらいには。


アンケートって本文じゃなかったら募集していいんだっけ?まあ違ったら書き直せばいいよね。


ほいアンケート。

いつ天主要キャラは出す予定ではあります。
だけど一人だけ容姿が定まっていないキャラがいますのよねん。
それは月光ぽんのお嫁さんである美雷ちゃん。
ほら、スクラルドのオカンはナイスバディなお姉さんだったやん?
だから童顔は残しつつも体型はスクラルドに近づけるかそれともそのまんまの君がいいにするか悩んでおりますのよね。

よってどちらがいいか読者諸君に決めてもらいたいと思う!要するに丸投げだ!

あっ、そうそう。ついでに子供をこさえているかこさえていないかのアンケートもするよ。
勿論、月光ぽんと美雷ちゃんね。
名前とか容姿は作者が考えてもいいんだけど、そこら辺弄くりたいんだぜウェヒヒな人がいればそれもアリだと思うねー。


まー、気長に待つ必要ありますけどね。ここでアンケートとってもねえって話。
あ、でも本格的に出るのがであってチョクチョク出させるのはいいのかな、いいんだろうね、よしそうしよう。



なんか他の作品も書きたくなったとインスピレーションが無駄に溢れる私ですが今でさえそこまで管理できてない状況で新しいのに取り掛かったら死ぬ未来しか見えないので諦めませう。



さーて次回は『EX 黒ウサギ、鎧武者と甲冑騎士に出会う』です。
さーて、次回もサービスサービスゥ!
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