ハイスクールD×D 黒いウサギがお邪魔します   作:這い寄る劣等感

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本日中の投稿という嘘はついてないからええんや!

投稿!


黒ウサギ、修行及び魔王様に呼ばれる

〜イッセーサイド〜

 

 

「ヒィヒィ」

 

 

俺はヒィヒィ言いながら山を登っていた。

何故登っているのかと言うと10日後に控えたレーティングゲームの為に修行を泊まり込みでするためだ。

で、何でヒィヒィ言ってるかだけど大量の荷物を背負っているからだ。

俺のには巨大なリュックサック。それに加えて部長と朱乃さんと大兎の荷物を持たされている。

 

 

「つか……なんで……大兎には……荷物がないんすか……」

 

「今の私たちは彼に戦い方を教えてもらう身なのだから当然よ」

 

 

その大兎はヒメアちゃんをおんぶしてるんですけどねぇ!

荷物か!ヒメアちゃんが俺の荷物ってやつかこのやろー!

 

 

「うおりゃあああ!」

 

 

俺は掛け声とともに一気に駆け登ることを何度も繰り返し、なんとかグレモリー家の所有物である別荘に辿り着いた。

 

 

 

 

 

別荘に着いた俺たちはジャージに着替えて早速修行に取り掛かることにした。

だがその前にーーーー。

 

 

「大兎には私ですら倒せる技を持っているとこの前言っていたわよね?それを見せてくれないかしら」

 

「普通は嫌だって言うとこだけどいいぜ。俺も一緒に戦うからな」

 

 

あー、そういやそんなこと言っていたな。

結局あの後訊く機会こそあったけれど訊こうとは思わなかったから訊かなかったんだ。

 

 

「じゃ、俺の後方には絶対に来るなよ?あとは離れたところから見ててな。ヒメア、念の為に皆に障壁張ってくれ」

 

「うん、わかった!」

 

 

ヒメアちゃんが頷くと、俺たちの目の前に薄い壁のようなものが現れる。

なんだ?大兎は一体何をする気なんだ?

すると大兎は右手に白い炎を纏わせる。あれが大兎の技なのか?

 

 

「これは貂魔の炎つってな。この状態だと大丈夫だけど一度放つとーーーー」

 

 

大兎が拳を前面に突き出して、白い炎を放った。

瞬間、炎が一気に増大し、眼前にある山を吹き飛ばした。

なんだこれすっげぇ!そう思い俺は大兎の方を見るがそこには予想だにしない大兎の姿があった。

上半身が綺麗に吹き飛んでいるのだ。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

俺は悲鳴を上げる。それに気づいた他の部員たちも俺の悲鳴に気づき、大兎の方を見た。

俺みたいにみっともない悲鳴は上げなかったが、代わりに目を見開いたり気絶したりだ。

 

 

「おい、そんなに驚くなよ。別に死んじゃいねえさ。まだな」

 

 

え?

俺は再び大兎の方を見ると大兎はピンピンしていた。

上半身が吹き飛んでいた痕跡などどこにも見当たらず、まるで最初から生きていたと思う位の綺麗さだ。

 

 

「前にも説明しただろ?俺は不完全にしろ不死だって。お前とアーシアは見てなかっただろうけどニョキニョキと体が生えるんだぜ?」

 

「……気持ち悪かった」

 

 

小猫ちゃんが本当に気持ち悪いものを見たかのように言い放った。

マジなのか。大兎はあの状態から生き返ったのか。

 

 

「……凄いわね。今の一撃は上級悪魔クラスよ。私でも力を溜めないとアレは消せないわね」

 

 

溜めれたら消せるんすね、部長。

 

 

「そ。貂魔の炎は確かに強力だ。それこそ余りの威力に反動で自分の体が吹き飛ぶ位には。だけど下級、中級はともかくとして上級悪魔には俺はこれが致命傷になるのは難しいと思っている」

 

「ならどうやって当てるのかしら?」

 

「一回ワザとやられる。今時相手が本当にやられたのかを確認する奴は少ないからな。だからそこで相手に隙が生まれるからそこにこいつをぶつける。ずっと気を張り詰められる奴には効かないだろうけどな」

 

 

そういやこいつは十五分間に七回の不死者だったな。

この場合のやられるは殺されるって意味だろう。で、一回殺されて相手の油断を誘い、そこにさっきの使うために一回死ぬ技をぶつけるのか。

 

 

「それってライザーにも使えるんじゃないか?」

 

 

俺はそう思い大兎に言ってみる。

あれほどの高威力の技だ。喰らえばライザーもひとたまりないだろう。

 

 

「無理(ね)だな」

 

 

と言ってみたら大兎と部長の両方に否定された。

え?なんで?

 

 

「まずあいつの名字がフェニックスってとこがポイントだ。イッセーも知ってるんじゃないか?フェニックス、或いは不死鳥って言葉を」

 

「確かに知っているけどそれがどうしたんだ?」

 

「イッセー。この10日で教えようと思っていたけれどこれに限っては今言うわね。フェニックスには聖獣と悪魔の二種類いるのよ。そしてそのどちらも本質は同じ。つまり不死身よ」

 

 

ーーーーっ。

俺は部長の一言に戦慄した。

奴はフェニックス。不死身の悪魔。

 

 

「だからアレを当てられたとしてそれで致命傷を与えたとしてすぐに再生するんだ。しかも俺とは違って完全な不死身だからな。最初の一回以降は手も足も出ない」

 

 

そうか。

あの貂魔の炎とかいうのが当てられても二回目以降は当たらなくなるのか。

だったら放つだけ命の無駄遣いになるな。

 

 

「で、俺がリアス含めたお前たち眷属の中でやりにくいと思うのは祐斗に朱乃だな」

 

「部長じゃないのか?」

 

「確かに実力においてはリアスのが上だろうけど、リアスの攻撃はパワー寄りなんだよな。だから連発が出来たとしてもそれは朱乃の雷や氷なんかを使った攻撃よりかは遅いし、こっちが接近できさえすればどうとでもなるしな」

 

「木場は?」

 

「単純に騎士の特性。木場はそれを十二分に発揮してくるし、元々剣を使った接近メインの奴だから逆にやりにくいんだ」

 

 

成る程。必ずしも接近メインの奴が遠距離戦が得意な奴が苦手だとは限らないんだな。

苦手だとしても本当に近寄る隙が無い位に連発できる奴ってだけで。

 

 

「よし、じゃあ早速修行を始めるぞ。俺が教えられるのは不死者に対する心構えだけだ。一人ずつ俺とヒメアのコンビと組手をしような。多対一の状況でも安心出来るようにな」

 

 

こうして俺たちの打倒ライザーのための修行が始まった。

 

 

 

 

 

 

レッスン1 木場との剣術修行

 

 

「はっ!」

 

「おりゃ!おりゃぁぁ!」

 

 

俺は木刀を振り回し、木場との剣の修行に入っていた。

軽やかに俺の攻撃をいなす木場。俺がどんだけ力いっぱい木刀を振るっても当たる気配がない。

バシッ!

また木刀を木場に叩き落とされた。

 

 

「そうじゃないよ。剣の動きを見るだけじゃなく、視野を広げて相手と周囲も見るんだ」

 

 

言われてもそう簡単に出来るわけでもなく、やればやるだけ木場との実力差を実感させられた。

やっぱり騎士なだけあって木場の技量は凄まじい。大兎が苦手とする理由もこれなんだろう。

 

 

「ほら、まだまだ行くよ!」

 

 

その日に改めて思い知らされたが、木場の剣さばきはは凄まじかった。

 

 

 

 

 

レッスン2 朱乃さんとヒメアちゃんとの魔力修行

 

 

「そうじゃないのよ。魔力は体全体を覆うオーラから流れるように集めるのです。意識を集中させて、魔力の波動を感じるのですよ」

 

 

黒いジャージ姿の朱乃さんに懇切丁寧に説明してもらうが手の平に魔力は一向に集まらない。

俺が集中してなんとか米粒大の魔力の球体は作れているけど、隣でやっているアーシアは素養があるらしくソフトボール大の球体を作っていた。

 

 

「ヒメアちゃん、なんかコツとかない?」

 

「そもそも私は魔力を操るとかじゃなくて魔術にして使うんだけど…………まあ、いいわ。そうね、自分が一番イメージしやすいことだと比較的上手くいくらしいわ。貴方の場合、女性の裸体とかじゃない?」

 

 

ーーーーっ!

俺に電流が奔った。ヒメアちゃん。あんたぁ、神様だよ。

そうか、そんなやり方でもいいのか。

俺は早速朱乃さんに先程思い浮かべた俺なりの魔力の運用方法を言った。

朱乃さんは最初ポカンとしていたが、すぐに俺らしいとクスクス笑い、別荘からカレーの具材一式を持ってきた。

成る程ね。何をさせたいのか理解した俺はすぐに作業に取り掛かった。

まだまだ道は険しいな。

 

 

 

 

 

レッスン3 小猫ちゃんとの組手

 

 

「ぬがあああああ」

 

 

ドゴッ!

ぐふっ!俺は本日十回目の巨木との熱いハグに成功していた。って、そうじゃない。小猫ちゃんのパンチでまた吹っ飛んでしまった!くー!悔しい!

 

 

「……弱っ」

 

 

黄色いジャージのロリ少女がボソリと痛烈な一言を俺にお見舞いする。

その一言が俺のハートにグサっと刺さるぜ!

小猫ちゃんは立ち技、寝技、その他色々な格闘技が得意な悪魔少女。戦車の特性、バカげた腕力と強固な防御力も相まって冗談のように強い。小柄な体のせいで結構俊敏でもあり、ふと目を離すと懐に潜られてボディーへ一撃もらう。

 

 

「……打撃は相手の中心線を狙って、的確かつ抉りこむように打つんです」

 

 

そんなこと言われても素人な俺にはそもそも当てることすら難しいんだけどね。

小猫ちゃんは腕をブンブン回した後、俺へ拳の照準を定めた。

 

 

「……さ、もう1セットです」

 

 

どうやら、俺は死ぬようだ。

 

 

 

 

 

 

 

レッスン4 部長と!

 

 

「ほーら、イッセー!気張るのよー!」

 

「おおっス!」

 

 

俺は険しい山道を背中に岩を括り付けて駆け登っていた。更に岩の上には部長が鎮座されておられる。

この状態で上りと下りを何十往復もしたね。お陰で足がガクガクだ。

 

 

「つぎは筋トレね。腕立て伏せいくわよ」

 

「へ、へーい……」

 

 

鬼じゃ!これは鬼の仕業じゃ!

基礎能力が俺には絶対的に不足しているため、他の部員の比べると練習量がハンパじゃない。特に戦場を一番駆け巡るであろう兵士のため、筋力、体力を高めるのは絶対条件だ。

 

 

「ぐわっ!」

 

 

腕立て伏せの姿勢をしている俺に部長は容赦無く岩を載せてくる。魔力って本当に便利だね。岩を軽々と浮かせられるもん。追加で勿論部長も岩の上に座る。

 

 

「さーて、腕立て伏せ三百回。いってみましょうか」

 

「オースッ!」

 

 

悪魔じゃなかったら、俺は百回死んでるって。

 

 

 

 

 

レッスン5 大兎とヒメアちゃんと組手

 

 

「いくぞイッセー!」

 

「おう、バッチこい……ってグボァ!」

 

 

俺は大兎とヒメアちゃんのコンビと組手をしていた。何故弱い俺に対して二対一なのかと言うとレーティングゲームは敵味方入り混じって戦闘を行うのが大体だから複数と戦うことも経験しておくのが重要だと。

で、大兎に気を取られた俺は見事ヒメアちゃんに魔力の弾を喰らいました。

 

 

「イッセー。そんなんじゃレーティングゲームだとすぐにやられるぞ?相手が馬鹿正直に一対一してくれるとは限らないんだしさ。つーか、戦術的に考えてしてこねえな、多分」

 

「わかってるっつうの。で、これは魔力が得意な奴と近接戦闘が得意な奴とのコンビの戦いだっけか?こういう場合どっちを落としたらいいんだ?」

 

「難しいところだな。まあ、後々面倒になる方を倒せっていうのが普通だ。イッセーは神器がそもそも籠手だから近接の奴よりも遠距離型を潰した方がいいと思うぞ。パワーアップが途切れたところを狙って滅多打ちとかされたらまず間違いなく退場だからな」

 

「じゃあヒメアちゃんの方か…………すまん、勝てる未来が全く見えない」

 

「ハハハハ……」

 

 

こうして俺は大兎とヒメアちゃんに何度も吹っ飛ばされながらなんとなくだがコツみたいなものを掴んだと思う。

初日の修行は自分の弱さを実感して終わりました。

 

 

 

 

 

 

 

〜大兎サイド〜

 

 

「さて、そろそろか?」

 

「そうね、大兎。でもなんでわざわざついていく必要があるの?あんなのサッサと消せばいいじゃない」

 

「そんなことしたら今後の展開に支障が出るって月光が言ってるしなあ。それに流石にグレイフィア相手だと全くの無傷ってわけにはいかなくなるしな」

 

 

ヒメアは一応理解はしたが納得はしてない感じだった。まあ、そりゃどの勢力の情勢にも興味がないからなあ、ヒメアは。

グレイフィアをもしも消してしまったら待っているのは魔王の一人で超越者でもあるサーゼクス・ルシファーとその眷属による報復だ。そんなことされたら確実に殺されるな。

 

 

「……来たな」

 

 

俺にあてがわれた別荘の一室に魔方陣が現れる。そこからは最強の女王と名高きグレイフィア・ルキフグスが現れる。

グレイフィアはこちらの姿を認め近寄ってくる。

 

 

「『黒ウサギ』。魔王サーゼクス・ルシファー様の命で貴方をサーゼクス様の元まで連れて行きます」

 

「了解。ヒメア……俺の隣にいる女の子も連れていっていいか?」

 

「なりません。魔王さまに呼ばれたのは『黒ウサギ』、貴方だけです」

 

「そっかー。済まん、ヒメア。少しだけ待っててもらえるか?」

 

「本当は嫌だけどしょうがないわね。大兎、行ってらっしゃい」

 

「行って来ます」

 

 

俺は魔方陣へと進む。俺の後ろにはグレイフィア。背後を取られたらちょっと厳しいかもしんないね、逃げる時に。逃げる気は一切ないけど。

 

 

 

 

 

魔方陣に入り出た場所は何処かの部屋だった。

まあ、答えは言うまでもないだろう。

 

 

「ようこそ、『黒ウサギ』くん。私が魔王の一人であるサーゼクス・ルシファーだ」

 

「自己紹介どーも。俺は鉄大兎って名前で訳あってあんたの妹であるリアス・グレモリーの手伝いをしている化け物だよ」

 

 

俺は内心かなりビビっていた。

俺の目の前には魔王様。背後にはグレイフィア。

これだけなら良いとは言えないがまだマシな方だったんだがなんと俺の周りを囲うようにサーゼクス自慢の眷属たちがいる。

兵士の英雄の子孫であるベオウルフに麒麟の炎駒。騎士の駒を二つ消費した新撰組一番隊隊長である沖田総司。僧侶の駒を二つ消費した黄金の夜明け団を創立した一人であるマグレガー・メイザースに変異の駒で戦車になったユグドラシルを燃やしたスルトのコピー体であるスルト・セカンドと豪華ラインナップだ。あと一匹バハムートがいたはずだが流石にデカすぎるからかこの場にはいねえな。

 

 

「弱い者イジメはよくないって学校で習わなかったか?」

 

「残念だが君は弱い者じゃないからね『黒ウサギ』くん。いや、それとも『孤独を埋める人』とでも呼んだ方がいいのかな?」

 

 

俺はサーゼクスの一言に表情を引き締める。

『孤独を埋める人』。確かに俺の事である。が、今ではそれはそんな簡単には知り得ない事となっているはずだ。

 

 

「…………ハァ。それを知っているって事は俺がいる神話を調べられたのか?あれは既に忘れ去られた神話の筈だが。尤も、神話と呼ぶほど高尚なモノでもないけどな」

 

「たまたま知り得る機会があったものでね。君のものと思われる犯行と照らし合わせたら奇妙なまでに一致したよ。だけど一致しただけだと揃っているのは状況証拠だけ。物的証拠がなかった。だがそれを思わぬ形でリアスが用意してくれたよ」

 

「リアスが、だって?」

 

「そうだよ。一度だけリアスが君を眷属にしようとしただろう?だが出来なかった。それが証拠だよ」

 

「え?何だそれ。そんなんが証拠になんのかよ」

 

「眷属にする際に使う悪魔の駒。そしてそれに関連するシステムを作ったのは僕の友人で魔王の一人でもあるアジュカ・ベルゼブブでね。彼はゲームバランスの崩壊を防ぐ為に眷属に出来る者に制限を課したんだ。それが神は眷属に出来ないと言うことだ」

 

「つまり俺を眷属にしようとした際のデータがアジュカに送られてその結果見事に俺だと判明したわけか。で、本題は?」

 

「何故、幾つかの家を潰したのかだね。理由を聞かせてもらうよ」

 

「何で俺の犯行ってわかった?証拠になりそうなモノは全部消したと思うんだけど」

 

「その場の証拠は確かになかったけど、君が殺る瞬間の映像くらいは送られてきているんだよ」

 

「あっちゃ〜、ヘマしたなー。……俺が潰した理由はただの下らない正義感みたいなもんだよ。俺が潰したところは俺の価値観から非道な事とかしてたからな。ついお節介で潰してしまった。反省も後悔もしていない」

 

「そのような行為に及んでいた事は私たちも把握していたからいずれ検挙しようと思っていたんだけどね……。まあ、この件についてはいいだろう。次に訊きたいのは何故リアスに近付いた?……もっと正確に言うのなら何故赤龍帝に近付いた?」

 

 

うぐっ。それは訊かれたくない質問だな〜。

どうする?こいつらに囲まれている以上、タダでは逃げられないよな。最悪、命の一つや二つ覚悟しないと。

俺がそう考えていた時に突如として俺の隣に穴があく。

その穴から相変わらず詰襟の制服をキッチリ着用している眼光が鋭い少年が現れる。

 

 

「ふん。バカでどうしようもないミジンコ以下の生物の為に来てやったぞ。ありがたく思い俺に毎日一本コーラを献上しろ」

 

「おっまえいきなり来て言うことがそれかよ〜。それよか周りの状況を見てみ?すっげえ殺気だってるから」

 

「うん?」

 

 

俺が言ってからようやく周りの状況を確認する少年。

辺りを見回せばルシファー眷属の皆様が殺気だっておられた。

 

 

「おいお前何をした。ただでさえお前がどうしようもないバカで間抜けだからこうして捕まっていたのにその上相手に殺気を向けられるとかとてもじゃないがどうしようもないバカの所業じゃないな。これは一回ばかしお前を殺す必要が出て来てーーーー」

 

「ないからな。考えりゃわかるだろうよ。ここ魔王城。警備はバッチリ。その上ルシファー眷属の歴々。こんだけ守りを固めていて警戒もバッチリなのにそこに急にお前が現れたんだ。スグに襲われなかったのが奇跡なくらいだ」

 

 

一触即発の空気ってまさにこの事を言うんだろうな。俺とこいつが知己の間柄と認めたから迂闊に手を出せないんだろう。俺が迎撃すると思っているから。まさにその通りだけど。

 

 

「…………そちらの彼は?そもそもどうやってここに?」

 

「一々説明をしないといけないのか?面倒だな。いいか、俺は一度しか言わないから貴様の足りない脳みそによく刻み込んでおけ。俺の名前は紅月光。お前が知り得た情報でいう『最古の魔女』とでも言うべき存在だ。より正確には『最古の魔女』自体も俺の自殺願望が作り上げたものにしか過ぎないがな。ここに来た方法だがそれは言えない。と言うよりは貴様らに教える道理がない。知りたければ悪魔、天使、堕天使の三勢力が協力して今後起こるであろう最悪の事態に備えることだな」

 

「君が『最古の魔女』だって?確かにそれならば『孤独を埋める人』を作ったものとして私も認識できるが……それよりもその『最古の魔女』を作った存在だと?そのような存在は私は認められなかったのだが」

 

「単純に名前がないだけだ。『最古の魔女』、『孤独を埋める人』、『源書の光』、『終末の幸福』。これがお前が知り得た情報なのだろう?俺はその上にいる存在だ。そしてーーーーーーーーいや、これは今言うべきことではないな。ああ、赤龍帝に近付いた理由を言ってやろうか?ーーーー弱いからだ。今後の展開において奴は鍵となる人物だが如何せん弱い。歴代の赤龍帝よりも才能も実力もない。少なくとも今の段階ではだが。だからこいつを遣わして護衛を命じていたのだが…………このプラナリアのような生物は一度とは言え失敗した。が、今となってはそれで良かったのかもしれんな。俺が言えるのはここまでだ。このバカを引き取らせてもらうぞ」

 

 

そう言って月光は相手の了承の返事も聞かずに再び穴を開ける。その穴の奥には全く別の世界が広がっていたのだが、今はそんなことは些細なことだろう。

月光が穴の中に入り、俺も入ろうとしたところでサーゼクスに呼び止められる。

 

 

「待ちたまえ。君はライザーくんとリアスのレーティングゲームに参加するのだろう?」

 

「まあな。トントン拍子に話が進んじまってたけど」

 

「君の力に制限をかけさせてもらうよ。『黒ウサギ』としての力を使ったら君には退場してもらう」

 

「身体強化と存在を消す力。この場合、消す力の方が禁止ってことか?」

 

「その通りだ。その力を使えばいかにフェニックス家の者とは言え、簡単に消滅してしまうだろうからね。君がどんな戦いを見せるか。楽しみにしているよ」

 

 

『黒』の用途の内一つは封印か。妥当というか当然だな。あの力を使えばそもそもレーティングゲームが成り立たなくなる。0か100しかない俺の力だと、な。

俺は穴の中に入り、あちら側に広がる世界へと行き、穴は閉じられた。

 

 

 

 

 

 

 

「サーゼクス様。良かったのでしょうか?」

 

 

月光も大兎もいなくなった魔王城の一室でグレイフィアがサーゼクスに問う。それは『黒ウサギ』をとその上司らしき存在も逃がしてよかったのかというもの。

事前にサーゼクスから『黒ウサギ』は悪い奴ではないと聞いていたところで幾つかの家を潰したのは事実なのだ。先入観とでも言うべき感情が簡単になくなるわけではない。

 

 

「良かったんだよ。いや、寧ろ僕たちは彼らに見逃されたと言う方が正しい」

 

 

そんなグレイフィアにサーゼクスは驚愕の一言を発する。

魔王の一人でもあるサーゼクスの眷属たちはどれもが強力だ。そんな彼らに囲まれている状態でなお見逃された。この言葉が意味するところとはーーーー

 

 

「『黒ウサギ』。彼はその気になれば僕たち全員殺し切ることは無理でも何人かは殺せただろうね。それほどまでに彼は強い」

 

 

『黒ウサギ』が強い。しかも多対一の状況で何人かを殺せるほどには。

それは魔王と言うよりは悪魔と言うカテゴライズで取り分け強いサーゼクスが言うような言葉ではなかった。

 

 

「しかし、サーゼクス様が本気を出されたのなら敵わないのでは?」

 

 

至極単純かつもっともな疑問。それに対してサーゼクスは

 

 

「そもそもこんなところで本気を出したら色々とまずいよ。僕のは指向性が選べない無差別な滅びなんだから。しかし彼の力は違う。彼は指向性が選べるんだ。だから多対一じゃないと倒せない」

 

 

とこう返した。

グレイフィアは少し考え、ある一つの結論に達する。だがだとするとそれは一対一だとまず倒せないという結論だった。

 

 

「まさか…………彼は、『黒ウサギ』は攻撃の威力すら消すことが出来る、と?」

 

「その通りだ。私やリアス、バアル家の面々が持つ滅びの力は相手の身体だとか攻撃そのものは消すことが出来てもその威力だけを消すことなんて出来ない。だが彼は違う。彼は威力だけを消して自分に全くダメージが無いように出来るんだ。だからこそ多対一じゃないとそもそも勝てない。仮に勝てるとしてもそれは手数が彼より多くないと無理だ。それに紅月光と名乗った彼。彼の実力は『黒ウサギ』には及ばないだろう。けど、それを補う何かを彼は持っている。だからあの状況では精々見栄を張ってさもこちらが逃がしてやるという風にするしかなかったんだ」

 

 

グレイフィアはようやく理解する。『黒ウサギ』の危険性を。そしてそれの手綱を握っている紅月光という少年の凄さを。

しかしだとすると自分の義妹は大丈夫だろうか。そんな不安が込み上げてくる。

 

 

「リアスなら大丈夫だよ。あの子は強い子だ。きっと、赤龍帝と一緒にどうにかしてくれるさ。それよりも三勢力の会談か……。中々どうして私たちも望んでいるところを突いてくるのだろうね。まるで未来が読めているかのようだ」

 

 

各魔王に連絡。堕天使総督や熾天使に会談の要請。他にもまだする事は一杯あった。とにかく一つずつこなして彼らの意図を知りたいと思う。

そんな好奇心にも似た感情がサーゼクスを支配していた。

 

 

 

 

 

 

「多分、無理だろうなー」

 

「何が?」

 

「イッセー達だよ。あいつらもこの10日でかなり力をつけてきたけどそれでもライザーの眷属っつうよりはライザー自身とフェニックスの涙でやられると思うんだよね」

 

「でもでも、大兎も出るんでしょう?戦わないの?」

 

「戦うんだけどね。魔王さま直々に『黒』の用途を一つ封じられてさ。封じられた方が使えないと俺はライザー眷属とさえあまりマトモには戦えないかな」

 

 

そう、俺はマトモには戦えない。ならマトモじゃなければいい。自分の命を散らしてでも相手を倒せばそれでいい。或いは暗殺めいたことでもいい。

マトモに相手と相対しなければ勝てる。ただそれだけのことだ。

と、そう考えていたらクスクスと笑い声が聞こえる。勿論、考えるまでもなくヒメアの笑い声だ。

 

 

「俺なんかおかしな事言った?」

 

「おかしいわよ。だって大兎、封じられた方じゃない方を使わなくてもあの程度なら余裕でしょ?」

 

「いや、そりゃ出来なくはないけどさー。あれ面倒なんだよな使うの。相手の防御を無視してそのままダメージを与えるってやつ。けど、あれ戦車には効きにくいぜ?そもそもの防御力が違うし」

 

 

だがやってやれないことはない。それは事実だ。

 

 

「ま、今はそんなことより明日のレーティングゲームに向けて俺は英気を養うとするよ。今更養う英気もないけどね」

 

 

俺はそう言いベッドに仰向けに転がる。

いよいよ明日がリアス対ライザーのレーティングゲーム当日だ。この試合の結果如何でリアスの人生が決まると言っても差し支えない大一番。

さて、イッセーはどんな動きをしてくれるかな?




次回『黒ウサギ、敗北する』でデュエルスタンバイ!

月光ぽん出してみて吹っ切れますた。三巻の初めの部分でエントリオ兄弟出せるでよ。ついでだけど泉ちゃんも
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