ハイスクールD×D 黒いウサギがお邪魔します   作:這い寄る劣等感

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ま た せ た な !



いやホントすいませんっしたー!
いくら学生特有の体育会とかいうバカみたいに疲れるだけのイベントの練習があったからってここまでの遅延は普通ねえよ!えーと、前話が5月の16日だから…………三週間過ぎてるじゃねえか!別作品からだとしても二週間!


……オホン。まあ今後はそういった帰った瞬間寝落ちしそうなイベントはないのでどうぞです、はい。


黒ウサギ、敗北する

〜大兎サイド〜

 

 

ただいま深夜の十一時四十分頃。

あと二十分もしたらある意味では悪魔の命運を決めて、リアスのこれからを決めるレーティングゲームが始まる。

リアスや朱乃は流石に変な緊張は見られないな。優雅に紅茶を啜っている。

 

 

「皆さん、準備はお済みになられましたか?開始十分前です」

 

 

あと十分かと考えていた俺のもとにグレイフィアが近づいてくる。

お互いに軽く会釈しグレイフィアは要件を言う。

 

 

「本日のレーティングゲームは我々悪魔のことに巻き込んでしまい、申し訳ありません」

 

「いやー、別にいいよ。そりゃ確かに巻き込まれたけども戦局は大して変わらないだろうし」

 

 

申し訳ないというのはあくまで表向きの理由だな。こうして俺に近づいてきたのには訳があるはずだ。

 

 

「今回のレーティングゲームは両家の皆様も他の場所から中継でフィールドでの戦闘をご覧になります。さらに魔王ルシファー様今回の一戦を拝見されておられます。それをお忘れなきように」

 

 

成る程なー。今回の一戦はサーゼクスも観戦すると。

リアスが自分の妹というのも理由に含まれるんだろうが本音は別のところだな。

 

 

(既にわかっておられるとは思いますが念の為に言っておきます。サーゼクス様が今回の一戦を拝見する理由は貴方が不審な行動をしないように監視するためです。これは念話ですので、返答の際は心の中で思うだけで結構です)

 

(はいはい、わかってるって。大体レーティングゲーム泣かせの俺の能力を披露するなんて愚行、誰が起こすかってんだ…………ああ、そうそう。少なくとも今はだがリアス達を害する気なんて一切ないから安心していいぜ。尤も、こんなこと言っている以上安心は出来ないと思うけど)

 

 

俺は念話でグレイフィアに返答する。

その答えを聞いてもグレイフィアは眉の一つも曲げずに淡々としている。流石に最強の女王。私情は持ち込まないようにするかそりゃ。

 

 

「そろそろ時間です。皆様、魔方陣の方へ。なお、一度あちらへ移動しますと終了するまで魔方陣での転移は不可能となります」

 

 

逃げられないときましたか。ま、『聖地』だったらそんなこと軽く無視して移動できるんだけど俺は主じゃないからなー。逃げる気も一切ないけど。

 

 

「じゃ、行こうぜ。焼き鳥王子に目の物見せてやろうじゃねえか」

 

 

俺達は魔方陣に入りゲーム会場へと向かう。

ついに始まるのだ。堕天使とか天使からも人気があるレーティングゲームが。

俺は今後は参加する機会はないだろうし、ま、目一杯楽しむとしますか。

 

 

 

 

 

 

 

魔方陣を過ぎた先に出た場所は見慣れているオカルト研究部の部室だった。

下手すれば地形破壊もあり得るレーティングゲームでまさか本物で戦うわけにもいかないだろうしあくまで駒王学園を模したレプリカなのだろう。

 

 

『皆様。この度グレモリー家、フェニックス家のレーティングゲームの審判役を担うことになりました、グレモリー家の使用人グレイフィアでございます。我が主、サーゼクス・ルシファーの名のもと、ご両家の戦いを見守らせていただきます。どうぞ、よろしくお願いし 致します。早速ですが、今回のバトルフィールドはリアス様とライザー様のご意見を参考にし、リアス様が通う人間界の学び舎駒王学園のレプリカを異空間にご用意しました』

 

 

丁度グレイフィアからレプリカ宣言があった。早い話がフィールドの損耗を一切考えずに全力が出せるってことだ。

聞きかじった話だとそういうのに制限が課されているレーティングゲームもあるらしいが、今回はそれに該当しないだろう。

 

 

『両陣営、転移された先が本陣でございます。リアス様の本陣が旧校舎のオカルト研究部の部室。ライザー様の本陣は新校舎の生徒会室。兵士の方はプロモーションをする際、相手の本陣の周囲まで赴いてください』

 

 

こちらの兵士はイッセーただ一人。即ちイッセーもこのゲームの中核を担う一人となるわけだ。まあはっきり言えば全員中核を担えるんだけど。

 

 

「全員、この通信機を耳に付けてください」

 

 

そう朱乃が言いながら渡してきたのはイヤホンマイクタイプの通信機器。これで情報のやり取りをするわけだな。けど乱戦で壊れる可能性があるなあ。

 

 

『開始のお時間となりました。なお、このゲームの制限時間は人間界の夜明けまで。それでは、ゲームスタートです』

 

 

夜明けまでなら大体五時間弱ってところか?

もとより勝敗なんて神のみぞ知る。それを神である俺が言ってちゃダメか。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、まずはライザーの兵士を撃破しないといけないわね。八名全員が女王にプロモーションしたら厄介だわ。大兎、何か名案はないかしら?」

 

「残念、リアスたちの快進撃はここで終わってしまった!……ってふざけている場合じゃないわな。相手側は駒を全て揃えてきているから頭数の時点でこっちは負けている。だから極論だけど相手は数人一殺の気概で臨めばいいんだよなあ。それに対してこっちは逆に一人数殺の考えじゃないとまず負けるな。んで、案ってほど考えは纏まってないけど例えばだが、イッセーの溜めに溜めたドラゴンショットなんかはライザーの眷属を退場させるに足る威力がある訳だからそういった大技を上手い具合に相手の数人に当てられるような状況に持っていきたい」

 

「つまり囮役と仕留め役。それらが必要と言うわけね。仕留め役に相応しいのは私、イッセー、朱乃ね。だけどイッセーは私の唯一の兵士だから女王にプロモーションしてほしいところだし、私は王で取られるわけにはいかないから……朱乃が適任かしら?」

 

「そうだな、それがいいんじゃないか?で、次は如何に新校舎までのルートを確立させるかだが……」

 

「新校舎に入るなら裏の運動場からはどうだ?」

 

「普通ならそうするでしょうね、イッセー。だけど相手もそれは理解しているわ。運動場に下僕を配置するでしょうね。……運動場にある部活の棟。ここに戦車か騎士を置くかしら。いえ、運動場みたいに広い場所なら機動力が求められる。騎士を一名置いて、下に兵士を三名ないし、四名配置かしら。それなら運動場全域を把握できる」

 

「部長、旧校舎寄りの体育館。これを先に占拠しませんか?ここを取れば新校舎までのルートを確保できます。体育館は新校舎とも旧校舎とも隣接してますし、相手への牽制になります」

 

「ん?成る程、体育館か…………だったら使えるかもしれないぜ」

 

「どういうことかしら?」

 

「ああ、体育館自体を囮にするんだよ。此方にしても彼方にしても体育館は重要な拠点たり得る。だからこそ彼方も確保するために出向いてくるだろうな。だから体育館でちょっと乱闘してやって大技放つ準備が出来たら即退散。これでいいと思うぜ」

 

「しかしどこで溜めるかが問題になりますわ。入り口付近だと流石に相手にわかるでしょうし」

 

「屋根の上からでいいじゃん。屋根に遮られているから察知しにくいし、察知されないために幻術なりなんなり仕掛ければいい話だしな」

 

「それでいいでしょうね。……祐斗に小猫は、まず森にトラップを仕掛けてきてちょうだい。予備の地図も持っていって、トラップの設置場所ひ印を付けるように。後でそれをコピーして全員に配るわ」

 

「はい」

 

「……了解」

 

「トラップ設置が完了するまで他の皆は待機。あー、朱乃」

 

「はい」

 

「さっき大兎も言っていたことだけど、祐斗と小猫が帰ってきたら、森周辺、空も含めて霧と幻術をお願いね。勿論、ライザー眷属のみに反応するようにね。序盤はこんな感じかしら、中盤に動きが激しくなりそうだけど。霧と幻術の件、お願いね、朱乃」

 

「わかりました、部長」

 

 

…………あー、話し込んだなぁ。

作戦会議ってのは慣れないな。いつもは月光が考えたことを実行すればいいだけだし。

あー、喉がカラカラだ。俺も紅茶飲もうっと。

俺は紅茶を淹れにティーポットの場所まで行きカップに紅茶を入れて元の場所に戻った頃には何故かイッセーはリアスに膝枕されていた。

何を言っているかわかんねえと思うが俺もわかんねえ。超スピードだとか瞬間移動だとかそんなものじゃ断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ……。

 

 

「何してんだ?」

 

「イッセーに施した兵士の封印を解いているのよ。今までだと耐えられなかったから」

 

「イッセー、どんな気分だ?」

 

「最高にいい気分だ!今なら死んでもいいと思う」

 

「死ぬなよー。この戦いにリアスの婚約の件が絡んでいるんだから。ま、瀕死になったら退場らしいけどな」

 

「ああ、わかってるさ。あんないけすかないイケメンに部長を渡してたまるかってんだ!大兎、よろしく頼むぜ」

 

「期待してもいい結果は出ないからなー」

 

 

イッセーの気合は上々だな。後はそれがどこまで持続出来るかだ。

俺もある程度は頑張らないとな。ただでさえ魔王さまに監視されているわけだし。惨い結果になっても恨まないでほしいところだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「イッセーくんたちの首尾は良さそうですわ」

 

「相手が上手い具合にこちらの作戦に嵌ってくれているからなー。……ってうわー、イッセーそりゃないわー」

 

「どうかしたのですか?」

 

「謎の技名叫んで相手の女の子に触れたら服が全部弾け飛んだ。何やってんだよあいつは」

 

「イッセーくんは魔力の才能が乏しかったから、あのためだけに全てを使い切ったのですわ。大兎くんの反応を見る限り、成功したみたいですね」

 

「イッセーェ……。ところでそろそろじゃないか?」

 

「ええ、もう雷は溜まりましたわ。あとはイッセーくんたちに退避してもらうだけです」

 

「了解。……リアス、イッセーたちに退避を促してくれ。こちらの準備は整った」

 

『わかったわ。……イッセー、小猫。聞こえる?私よ。朱乃の準備が整ったわ。今すぐ退避してちょうだい』

 

 

俺は朱乃と共に行動し朱乃は空で魔力チャージ、俺は『黒』で視力と聴力を強化しつつ体育館の窓からイッセーたちの様子を確認しリアスにGOサインを伝える伝令役をしていた。

……イッセーがライザーの眷属に俺の新必殺技で目にものを見せてやるぜと息巻いていたがこういうことだったのか。性欲の権化らしい必殺技だったが。

イッセーと小猫が体育館の中央出口から出てきた瞬間、体育館に巨大な雷が落ちる。その雷は体育館を根刮ぎ飛ばし俺たちに圧倒的な破壊力をまざまざと見せつけてくれた。

……本音を言うなら美雷だったらあの程度だと溜めなしで使えるから対して驚かないんだけど。

 

 

「撃破」

 

 

朱乃が静かに呟きその後のアナウンスで確たるものとなる。

 

 

『ライザー・フェニックス様の兵士三名、戦車一名、戦闘不能!』

 

 

凄くよってこの勝者、マサラタウンのサトシって言いたい。

だがライザー除き十五人の眷属から四人を差っ引いた。

残りは十一人。内訳は女王、戦車、僧侶×2、騎士×2、兵士×5だ。

対するこちらは朱乃、小猫、祐斗、アーシア、イッセー+俺で六人だ。数で見るとようやく半分以下ってとこか。

 

 

『皆、聞こえる?朱乃が最高に一撃を派手に決めてくれたわ。これで最初の作戦は上手く出来たわね』

 

 

ミーティングの時に俺が提唱した体育館ごと相手を複数潰す作戦。戦果は上々だった。見事にこちらの策に嵌ってくれて相手を一気に四人削れた。

 

 

『あの雷は一度放ったら二度目を撃つまでに時間がかかるの。連発は不可能。まだ相手の方が数では上。朱乃の魔力が回復し次第、私たちも前に出るから、それまで各自にお願いするわね。次の作戦に動き出してちょうだい!』

 

 

次の作戦か。

俺の次の作戦は朱乃の魔力が回復しきるまでの護衛。

そう考えていた時に爆砕音が鳴り響く。音の出先にはボロボロになった小猫がいた。そこにすかさずイッセーが駆け寄る。

 

 

「撃破」

 

 

魔導師の格好をした女が翼を広げて空に浮かんでいる。

確かライザー眷属の女王だったはずだ。初っ端大物が登場するとはね。

 

 

「ふふふ。獲物を狩る時、獲物が何かをやり遂げた瞬間が一番隙だらけとなっていて、狩りやすい。こちらは多少の駒を犠牲にしてもあなたたちを一つ狩れば十分。ただでさえメンバー不足ですもの。それだけで大打撃でしょう?どうせ、私たちを倒してもライザー様は倒せないんですもの。足掻いても無駄よ」

 

 

おーおー、言ってくれるねぇ。ま、彼奴が言っているのは純度100%の真実だけど。

残念だがこのレーティングゲームは万に一つも勝てる可能性は存在しない。

敗因は幾つかある。経験だったり、実力だったり特質の違いだったりと様々だ。

諦めなければ勝てるとかいった根性論もここでは通用しない。

 

 

『リアスさまの戦車一名、リタイヤ』

 

 

遂に小猫が送還された。

送還された先には医療設備が整っているから死ぬことは決してない。だがら仲間をやられたというのはイッセーにとっては堪えられない事実だったのだろう。

 

 

「降りてきやがれぇぇぇぇ!俺が相手だ!」

 

 

愚かにも相手を挑発するイッセー。しかし相手はどこ吹く風だ。

魔導師の腕がイッセーに向けられる。先程の爆発をイッセーに喰らわせる気なのだろう。そこに朱乃が割って入る。

 

 

「あらあら。あなたの相手は私がしますわ。ライザー・フェニックス様の女王、ユーベルーナさん。『爆弾王妃』とお呼びすればいいのかしら?」

 

 

随分と物騒な二つ名を持ってるな、あの女。

 

 

「その二つ名はセンスがなくて好きではないわ。『雷の巫女』さん。あなたと戦ってみたかった」

 

「イッセーくん。祐斗くんのもとへ向かいなさい。ここは私が引き受けますから」

 

「でも!」

 

「イッセーくん。あなたはあなたの役目があるでしょう?お行きなさい。ここは私の仕事です。大丈夫。小猫ちゃんの仇は私が取ります。この女王は、私が全身全霊をもって消し飛ばしますわ」

 

 

朱乃が宣言した途端に金色のオーラが朱乃を包み込む。まさしく朱乃が最も得意とする属性が顕著に現れたオーラだ。これでもう一方の方も使えるようになれば言うことなしなんだが……今はそんなことを考えている場合ではないだろう。

 

 

「朱乃さん!頼みます!」

 

 

イッセーはそう告げてから運動場に向けて走り出した。そのすぐ後に爆音と雷鳴が鳴り響く。

二人の女王の決戦がここに始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、俺はどうすべきだろうか。

本来なら俺の役目は護衛だったが、今この場においてはそれも意味をなさないだろう。それと言うのも朱乃もユーベルーナとかいう相手の女王も両方空を飛んでいるからだ。

勿論、俺は化け物であるのは認めるが流石に空を飛ぶといった行為は出来ない。

空を制している者に勝つとなると相手を同じ土俵に立たせるか、何らかの道具で補うかだが……

 

 

「そんな都合のいいもん持ってねえしなあ。一瞬だけなら同じ土俵には立てるんだけど」

 

 

そんな風に下で燻っている時でも朱乃とユーベルーナはぶつかり合う。

朱乃は雷撃でユーベルーナは爆発でそれぞれに応戦する。

朱乃が爆発を躱した瞬間雷を放ちそれを避けて爆発を放つ相手の女王。

手に汗握る、或いは息の詰まる戦いは永遠に続くかと思われた。

だがその均衡は崩された。

朱乃が相手の翼を凍らせたのだ。ユーベルーナは朱乃が雷しか使わないといった感じの思い込みをしていたからだろうがそれが仇となったみたいだ。

ユーベルーナはバランスを崩しそこにすかさず朱乃が雷撃を叩き込む。雷撃は見事、ユーベルーナに命中し、所々焼け焦げが見られる状態となり地面に落ちる。

朱乃はそれを確認し静かに地面に降り立った。

 

 

「お疲れさん。接戦だったな」

 

「あら、大兎くんいらしたんですの。……随分と運動場に近づいてしまいましたね。全く気が付きませんでしたわ」

 

 

確かに朱乃とユーベルーナは戦っているうちに運動場に近づいていた。運動場の方を向けばそこそこ遠くはあるがイッセー達の姿を視認出来た。

 

 

『ライザー・フェニックス様の兵士二名、騎士一名、僧侶一名、リタイヤ』

 

 

見ていたら木場が地面に大量に魔剣を生やした。イッセーも関わっているようだ。

確か『赤龍帝の籠手』に備わっている能力の一つである『赤龍帝の贈り物』だったか?今まで高めた力を指定した相手に譲渡できるっていう。

そうか、このレーティングゲームでイッセーは次の段階に進んだわけだな。今までの奴らよりは格段に遅いがマズマズと言ったところだな。

 

 

「では私達もそろそろ合流しーーーーーーーー」

 

 

朱乃がイッセー達のもとに向かおうとした時に爆発が起こる。

それは俺の近く、具体的に言えば朱乃がいた辺りから起こっていた。

……ああー、なるほど。そういえばこれはフェニックス家とのレーティングゲームだったな。なら関わってきてもなんらおかしくはないな。

 

 

「私は先程言いましたのにねえ?獲物を狩る時、獲物が何かをやり遂げた瞬間が一番隙だらけだと。余りにも隙だらけだったのでつい「お前もなー」ーーーーがはっ⁈」

 

 

俺はペチャクチャと得意そうに喋る先程までの戦闘が嘘かのように無傷だったユーベルーナの腹を蹴り飛ばす。

勿論相手は飛んでいたわけだがそのハンデを俺はなくすことができる。

 

 

「ぐっ……。貴方、どうやって……人間如きが……飛べるわけ……ないのに……」

 

「簡単な話だけどなあ。飛べないのなら跳べばいいじゃないっと!」

 

 

俺は『黒ウサギ』になる寸前まで『黒』で身体強化をした。その状態で跳んだのなら僅かな時間ではあるが俺も空中にいることが可能となる。

俺は跳び上がり、その勢いのままユーベルーナを殴ろうとするが流石にそうは問屋が卸さない。ユーベルーナは余裕をもって躱し、俺に手の平を向ける。

 

 

「これで……終わりですわ!」

 

 

そのまま俺がいた場所は爆発する。

空中にいた俺には逃げ場がなく甘んじて受けるしかなかったわけだ。足場があったり空気そのものを足場に出来たのなら話は変わったのだろうが。

俺は惨めに落ちる。だがこれでいい。相手はまだ気づいていない。もう既に俺から目を逸らしている。その僅かな隙が命取りになる。ステンバーイ、ステンバーイ、……今だ!

俺の身体は既に元に戻っている。その為に数ある命の一つを消費したわけだが。そして相手は完全に俺に意識を向けていない。そこに後ろから飛び掛かり背中から羽交い締めにする。

 

 

「なっ……!貴方、何故まだいますの⁉︎私の爆発は戦車ですら一撃で屠れる威力なのに!」

 

「戦場では生死の確認はしっかりしましょう。自分の思い込みで味方全てを危険に巻き込むだなんてザラにあります。お爺さんとの約束だぞ?ーーーーまあ、俺は空を飛ぶなんてことは出来ないから、お前を俺と同じ土俵に立たせてやるよ」

 

 

俺はユーベルーナが背中から生やしている翼に手をかけ、その骨を折る。

 

 

「っ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」

 

 

ユーベルーナは声にもならない悲鳴を上げそのまま地面に落ちる。そして今度はユーベルーナが無様に地面に落ちる。まあ、翼の骨を折られたらそりゃ空を飛ぶことが出来なくなるしなあ。

だがまだ瀕死ではない。

確かに翼は折った。一発だけだが蹴りも入れた。しかし相手の体力の半分も削れていないだろう格ゲー的に考えて。

 

 

「さあ、これでようやく俺とお前は対等だ。こっから泥仕合と洒落込もうぜ?」

 

「……巫山戯ないでくれるかしら?いくら翼を折られ地にいざるをえないにしても貴方と対等なんてあるわけがないわ。……喰らいなさい!」

 

 

またも俺に手の平を向けてくるユーベルーナ。

そこから爆発がまた俺を中心に巻き起こるが俺はそれを回避。相手は訝しがるがそれも束の間、何度も爆発を巻き起こす。しかしそれをも俺は回避する。

 

 

「くっ……なぜ!なぜ当たらないの!」

 

 

ユーベルーナは痺れを切らしたように叫ぶ。あいつからすれば高々人間(と思っている)に自分の二つ名の由来にもなる爆発が幾度となく避けられているのが腹立たしいやら苛つくやらなんだろう。

 

 

「あのさぁ……。逃げ場のない空中で一回当てたからってそれが地上でも同じだなんて本当に思ってんの?大体がお前の技でリタイヤしたのは全て不意打ちじゃねえか。戦術的には正しいのは認めるけど、裏を返せば不意打ちじゃなければお前の攻撃は当たらないってことになるぞ?……それになんで俺がピンピンしているのか不思議に思わないわけ?」

 

 

俺に矢継ぎ早に言われて少しばかり戸惑うユーベルーナだがすぐに戸惑いを押し殺し、俺に詰め寄る。

 

 

「一体何をしたの?私の一撃は確かに貴方に当たったはず。なのに生きているなんて……」

 

「俺はあんたらの王様と同じで不死身だよ。尤もあんたらのとこはただの超再生みたいなもので俺の方は本当に死んでも蘇るけどね」

 

「なっ……!」

 

 

ユーベルーナは驚愕し後ずさる。

それも当然だろう。相手が一番フェニックスの厄介さを理解している。だが不死身と謳われるフェニックスも要はただの超再生。本当に不死身というわけでもない。

だが俺は違った。フェニックスのようなバカげた回復力こそ存在しないとは言え、一部のパーツに限界が来たら回復し尚且つ死んでも蘇るという事実は相手にとっては恐怖とも取れるだろう。

 

 

「さあ、お喋りはここまでだ。俺も鬼じゃないからな、一気に仕留めてやる」

 

 

俺は貂魔の炎を右拳に宿し、一歩ずつゆっくりと相手に近づく。

それに合わせるように相手も一歩ずつゆっくりと後ずさった。

 

 

「 逃げるなよ。それでもライザー眷属の女王なのか?」

 

「……っ!」

 

 

ユーベルーナは俺の一言で足を止めた。

大した奴だと思う。勝ち目がない相手でも逃げないその姿勢は。眷属の中でも一般的に最強とされる女王としての矜恃も足を止めた一因かもしれない。

 

 

「私は『爆弾王妃』ことユーベルーナ。貴方のお名前は?」

 

 

自分で嫌いだと言っていた二つ名まで用いての名乗りか……。相当覚悟を決めているようだな。ならこちらもそれに倣わないとな。

 

 

「俺は鉄大兎。リアス・グレモリーの協力者だ。……名乗りを上げたってことはもう逃げないってことでいいか?」

 

「……貴方は私より強者なのはわかりましたわ。ですが!私にも女王としての矜恃がありますわ。故に貴方に敵わないにしろ、手傷ぐらいは与えます」

 

 

お互いに名乗り合ったと同時に構える。

今どい珍しい奴の相手なら本気でないにしろちゃんとぶつかりあうことが重要だろう。

 

 

「…………行くぞ!」

 

「かかってきなさい!」

 

 

俺は走る。ユーベルーナに向かって。

ユーベルーナは手の平を向ける。俺に爆発を当てる為。

俺の貂魔の炎は確かに遠距離もいけるがただそれだけだ。確実に当てるのならそれこそゼロ距離射撃が最も適しているだろう。

対してユーベルーナの爆発は恐らくだが視認できる範囲内ならどこでも爆発させることが可能。だがそれ故に避けるのは容易。自分を狙っていると最初から分かっていれば対処はできる。

だがそう考えていた俺も甘かったのかもしれない。

確かに俺の考えていたことは正しかったみたいだ。だがユーベルーナの方は最初から当たらないことを前提で爆発を巻き起こしている。

ようは適当に爆発を起こしているのだ。それも大量に。

俺は側で巻き起こる爆発を避けた先にまた別の爆発があるという爆発の檻に囚われていた。ここから抜け出すとなるともう一つ命を覚悟しなくてはいけないのかもしれない。

 

 

「……っあ〜、グチグチ考えてもしゃーねーか。行かせてもらうぞ」

 

 

俺は避けに徹していたのを止めて相手に一直線に向かう。

実のところ、狙われているのが分かるからこそ当たらなかったのではなく、狙われているのが分かっていながらも避けに徹しなければ避けられなかっただけなのだ。

まあ要はさっきまで縦横無尽に動いていたものが真っ直ぐこっちにしか向かってこないのなら狙いがつけやすくなるといったところだ。

 

 

「勝負を決めにきましたのね!ならば私もーーーー!」

 

 

ユーベルーナが起こそうとしているのは連鎖爆発だろう。ボンバーマンでよくあるアレだ。爆弾連続で置いてその爆風の範囲内に別の爆弾があるなら爆発するってやつ。

ここには爆弾も何もないから魔力で肩代わりするのだろうけど。

 

 

「だーもー!メンドくせえ、喰らえ貂魔の炎!」

 

 

ゼロ距離ではないがこの際四の五の言ってられない。

俺は右拳を前方に突き出し貂魔の炎を放った。そしてその際にちょっとだけ仕掛けをしておいた。

 

 

「なっーーーー!この威力、上級悪魔クラスの一撃!ですが避ければいいだけーーーー」

 

 

そう言っていたユーベルーナの横を何らかの物体が横切りそれにユーベルーナは気を取られる。

時間にしてしまえば一秒にみたない僅かな時間ではあったが、その僅かな時間が彼女にとっての命取りとなる。

が……まあ、どうでもいいだろう。

 

 

『リアス・グレモリー様の騎士一名、僧侶一名、リタイヤ』

 

 

祐斗にアーシアがやられたか。兵士のリタイヤ宣言がされていないあたりイッセーは状態はどうあれまだゲーム上では生き残っているのだろう。

さて、ゲームもいよいよ終盤。

俺は屋上に向かって駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

屋上で見た光景。それはイッセーがボロボロになりながらもライザー・フェニックスに立ち向かっている姿だ。

対してライザーはそれを腹を抉るように殴るなどして対処している。

傍目から見ても敗色濃厚。勝てる要素が一切見受けられないのにイッセーは立ち向かっている。

 

 

「……おい、イッセーはどうしてまだ立ち向かっている?」

 

「それが私の呼びかけに一切応じないのよあの子!もういいと何度も言っているのに!」

 

 

リアスもこのゲームは負けだと確信したわけか。だけどイッセーはまだ立ち向かっている。それはどうしてかと言うとーーーーーー

 

 

「……リアス、今すぐ投了しろ。じゃなけりゃイッセーはお前の為に何度でも立ち上がって何度でも立ち向かうぞ。今のあいつには既に意識はなく、あるのは執念のみだ」

 

 

イッセーのダメージはもう今すぐにでもリタイヤできるほどだ。だがそれでも執念で立ち上がるからまだ動けると判断されてリタイヤとならない。このままボコボコにされ続けていたら……最悪、死ぬこともあり得る。

 

 

「……っ!……ええ、そうね。ライザー、リアス・グレモリーは投了します」

 

 

リアスがライザーとイッセーの間に割って入り、イッセーを優しく抱きとめる。するとイッセーはまるで操り人形の糸が切れたが如くその場に崩れ落ちる。

 

 

「何だ、そっちの奴は戦わないのか?本来ならリアスの僧侶も俺の女王が抑えて何も出来なくさせる手筈だったのにリタイヤしてしまった。つまりお前が倒したんだろう?どんな絡繰を使ったかはわからないが」

 

「このままだと死ぬかもしれない仲間を放ってまで戦いなんてやれねーよ。それに(今の)俺はお前に手も足も出ないからな」

 

 

嘘は言っていない嘘は。

フェニックスのバカげた再生力を前にしては貂魔の炎も形無しだし心臓に直接衝撃を叩き込むにしろそこまで近寄れない。

まさしく実力だけなら(今の)俺を超す相手だ。

 

 

「……フン。この場に来た時点で既に満身創痍にも関わらず俺に何度も突っかかってきたそこのバカよりはマシか」

 

 

ライザーがイッセーを貶す言葉を吐いた際にリアスが歯軋りをする音が聞こえた。

悔しいのは分かるが今は我慢しろ。

 

 

 

 

俺が参加した、イッセーたちにとって初となるレーティングゲームは俺たちの負けで幕を降ろした。




どやったですかー?


三週間にもわたっておきながらクオリティが大したことなかったと言われたら私の強化ガラスのハートに傷がつくわけねえや。
高評価を貰えるのは嬉しいですしそれも活力の一端を担ってはいますけど大体がこの作品は溢れ出るリビドーを抑えられなかったから発散した結果ですしー。



とまあ読者さまが今後二度とこんなもん読むか!って言いそうな話題?はおいといてまず先に謝罪しときますねー。



次話の『黒ウサギ、茶番を演じる』では意図的に大兎くんをキャラ崩壊させます。
ちょっとそういうのマジ許せないといった方はなるべく見られない方がいいかと思います。



あー、また別作品の構想が二つも思い浮かんじまったよバカじゃねえのいつか作ってやる。


それでは皆様ドシダーニャ!(ロシア語のさようなららしいです。発音はちょっと不安)
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