ハイスクールD×D 黒いウサギがお邪魔します   作:這い寄る劣等感

16 / 24
また遅れた……。
しかも前話で速く仕上げられるぜ!とかぬかしといてこのザマ……。


ま、気にしない方向でいきますあたしゃ


月光校庭のエクスカリバー
黒ウサギ、ヴァチカンの遣いと会う


〜大兎サイド〜

 

 

「イッセーをどうにかできるかもしれない奴等連れて来たぞ〜」

 

 

俺は左手がドラゴンのそれになってしまったイッセーを治せるかもしれない人材を引き連れて部室に入った。

そこにはリアスに朱乃、そして左手にほうたいまいたイッセーがいた。まあ、イッセーは一応は腕を怪我したで通しているけど少なからず厨二病と思う奴はいるんだろうなぁ。

 

 

「あら、ありがとう大兎……って、エントリオ兄弟⁉︎」

 

「え、何お前ら有名なの?」

 

「当たり前だろ大兎。俺達は封・解呪師として有名なんだぜ?まあ、友人であるお前の頼みだから今回は友達料金にしといてやるけどよ」

 

「友達なら金取ろうとするなよ」

 

「しょうがねえだろ⁉︎また兄貴が何処ぞの女に金貢いでんだよ!」

 

「こらハスガ。いけませんよ?美希ちゃんはお父さんが不治の病で……」

 

「その会話前にもしたことがあるぞ!あれだろ、たまたまその不治の病を治せるけど医療費ボッタくる医者がいるって言いたいんだろ」

 

「おや、よく分かりましたねハスガ。お兄ちゃん、弟の成長に涙を流しそうだ」

 

「なんなら本当に流させてやろうか?あ?」

 

「え、えーっと、話をしてもいいかしら?」

 

「あ、ああ、すまねえな。で、依頼内容は?」

 

「あ、あのそれはこいつを見て欲しいんすけど……」

 

 

そう言ってイッセーが腕に巻いてある包帯を解き始める。そして露わになった腕を見てハスガは言った。

 

 

「あー……、こりゃまた見事にドラゴンの腕になってんなあ。お前いったい何したんだよ」

 

「え、えーっと、神器の中にいる魂だけのドラゴンに腕を捧げました」

 

「ふむ、それだと一生このままですねえ。なんとか出来るといえば出来るんですけど」

 

「それは本当なの⁉︎」

 

 

対処可能というセルジュの言葉を聞いて身を乗り出すリアス。後ろでは朱乃がどうどうとか言っている。リアスは馬か。

 

 

「ええ、出来ますよ。でもしません」

 

「っ。それはどうしてですか?」

 

 

イッセーが一瞬ムッとした顔になったがそれを抑えて理由を尋ねた。

イッセー……成長したんだな。直情的なお前からはとても想像ができない光景が俺には見えているぞ。

 

 

「それはだな。お前らが悪魔だからだ。あ、別に悪魔を差別しているわけじゃないぞ?言ってしまえば天使陣営に堕天使陣営、で悪魔陣営に所属しているのが悪いって話だ」

 

「それはどうしてかしら?」

 

「僕達は封・解呪師です。ですから自然、対処する方法は封印か解呪ということになりましてね。で、今回施そうと思っているのは二重封印みたいな感じになりそうなんですよ。神器に封印された魂を外側から更に封印する。するとドラゴンの力が外に漏れでない、つまりはその腕が元の通りの腕になるというわけです。そんな腕になったのもドラゴンの力が原因ですしね」

 

「だったらいいのではないですか?特にデメリットが見受けられませんが」

 

「いーや、あるね。お前らにとっちゃ特大のデメリットが。封印して外に力が漏れでないようにするってことは要は神器としての力も使えなくするってことだ。こいつが人間でこんな力ウンザリしているってんなら話は変わったんだが、そういうわけじゃないんだろう?ただでさえ三竦みな状況だ。より力を持った人材が欲しいよな?更にそれが神器の中でも特に強いとされる神滅具となると手放したくはないだろう?だが腕を元に戻すってことはこいつの力を手放すってことだ」

 

「っ……!それは……」

 

 

おーおー、リアスが渋面になってるなってる。まあ今やイッセーも貴重な戦力だしそれにリアスも惚れているしなぁ。手放したくはないだろうな。けどセルジュが何時もの如くだけどニコニコ顔ってことは何か別の方法があるんだろうな。

 

 

「こら、ハスガ。あまり脅かしてはいけませんよ?特にこんなに可愛らしいレディは。すいませんね、うちのハスガはどうも恥ずかしがり屋で」

 

「誰が恥ずかしがり屋だ誰が!」

 

「確かに封印はしませんが、何とかする方法を教えないとは言ってませんよ?」

 

「「「え?」」」

 

 

見事にハモったなー。

 

 

「ちょ、ちょっと待って。他に方法かあるというの?イッセーの力を消すことなくどうにかする方法が」

 

「それはですね。貴女や後ろにいるお嬢さんのような人が一定周期で力を吸い取ってやればいいんですよ」

 

「力を吸い取る?それはどういうことでしょうか」

 

「正確にはストレスの発散みたいな感じになるのでしょうか?腕に溜まったドラゴンの力を……そうですね、指からでも吸い取ってやれば見た目は人間のものになりますよ」

 

「一定周期ってことはあくまで見た目しかどうにもならないってことだな?」

 

 

ここで俺が質問する。いつまでも黙ったまんまじゃ俺空気だしなぁ。

 

 

「ああ、そうだな。こいつがドラゴンに腕をくれなきゃ完全に戻せたんだろうがそれはもう無理だ。わかりやすく言うなら人間という器なら人間としての力という名前の水しか入らないがそれがドラゴンの器になっちまってるからドラゴンの力という名前の水が溜まることができるようになってんだよ。神器の封印で外に漏れ出る力も微小だからまだマシなんだろうけどな」

 

「落ち着けハスガ。今ここでイッセーをいじめてもなんにもならないぞ。で、どれくらいの賃金をもらうんだ?お前ら本来の仕事してないけど」

 

「おや、そういえばそうですね。ここはグレモリー嬢に朱乃嬢に免じてタダということに……」

 

「できるかクソ兄貴!せめて三分の一もらわねえと後がねえぞ!」

 

「もう、ケチですねえハスガは。では報酬はまあ情報料だけですしこの程度で。指定の口座に振り込んでおいてください」

 

「おっ、帰るのか?だったら校門の外まで送ってくぜ」

 

 

俺、ハスガ、セルジュの三人は部室の外に出た。言うまでもないと思うが俺とこいつらは知り合いだ。出会いこそ最悪……とまではいかなくても悪印象だったが今では俺の友人だ。

 

 

「そういや泉はどうした?あいつのことだからお前らについてきそうだと思ったんだが」

 

「ああ、泉さんなら『強化魔術と変装魔術をいっしょくたにしてロマンをつくりあげてやるぜー!』とか言ってましたよ?」

 

「あいつは時々変な行動に出るからわけわかんなくなるんだよな……」

 

 

強化魔術に変装魔術……もしかしてガン○ムとかそういう感じなのか?それとも戦隊モノ?或いは仮面○イダー?

そんなことしなくても今のあいつは『終末の幸福』だからよほどヘマしない限り負けはしないんだけどなぁ。そもそも俺を犠者にしたヒメアと違ってあいつは完全な不老不死だと思うんだけどなぁ。いや実際にはヒメアが今不完全な不老不死なんかは知らないけど。

 

 

「で、だ。アレが本当に今代の赤龍帝か?ぶっちゃけ弱いだろあれ」

 

「ですねぇ。才能が微塵と感じられませんでした。だけど潜在能力は凄そうですね」

 

「それを如何に発揮するかだろ?あいつどう見ても頭良さそうには見えなかったぜ?」

 

「あー、それだが多分変な方向に発揮すると思うぞ。乏しい魔力の才能を服を弾け飛ばすのに使っていたからな」

 

「……は?なんだそりゃ。そんなのが実用性あんのか?むしろ俺らみたいな男に眼の毒になるだけだろ」

 

「いえ、女性の羞恥心を出すという点では優れているかと。服が急に弾け飛ばされたら露出狂とか痴女でない限り局部を隠すことに意識がいってしまいますからね」

 

「あー、そういう意味では優れてん……のか?それより大兎、今何スクデュルだ?」

 

「あー、ちょい待ち。…………今は第五スクデュルってとこか。しっかし月光のことを悪く言う気はないけどこの『預言』はどうにかならなかったのかねえ」

 

 

『預言』とはシャクではあるが運命のようなものだ。基本的にはこの『預言』には逆らえない。

例えば第一スクデュルーーーースクデュルとは『預言』の階層を示すものだーーーーでAの行動をBはとるといったことが書かれていたとする。だが実際にはBの行動なんてそれこそ無数にあるわけだからBがCの行動をする可能性だってある。だがその旨は第二スクデュルに書かれてある、といった具合にどんな人物がどんな行動をとろうとも『預言』には全て記載されているのだ。

 

 

「第五スクデュルか……。まあ、そもそもなんであんな奴が世界の命運を左右する奴なんだって話だが」

 

「その点は私も同感ですが、そうである以上私達の役目はどうにか彼を死なせないようにすることでしょう。文句はいいっこなしですよ?」

 

「そうだな。折角ちょっと違う感じになったが元通りにした世界だ。今度こそは壊させないように頑張ろうぜ」

 

 

俺はセルジュにハスガを校門のとこまで送ってから別れた。

後もうちょいで部活対抗の球技大会があるからなぁ。

ライザー戦以降リアスは勝敗にかなり強い姿勢になってるからなぁ。

あー、それで思い出したけどそういや祐斗がイッセーの家で聖剣の写真見て以降心ここに在らず状態だからなぁ。これもどうにかしないとな。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜イッセーサイド〜

 

 

さあ、ついにやってきたぜ球技大会!

俺たちオカ研は今センターラインを挟んで野球部と睨み合っている。そして始まりのホイッスルが鳴ると同時に俺と大兎が標的となる。それでも7:3くらいの比率で俺が狙われているけど。

理由は至って簡単だ。俺と大兎以外狙えないからだ。

部長ーーーー駒王学園の二大お姉様のお一人。大人気の学園アイドル。当てられない。

朱乃さんーーーー部長と同じく二大お姉様のお一人。学園のアイドル。当てられない。

アーシアーーーー二年生ナンバー1の癒し系天然美少女。しかも金髪!当てられない。

小猫ちゃんーーーー学園のマスコット的なロリロリ少女。当てたらかわいそう。

ヒメアちゃんーーーー二大お姉様に勝るとも劣らない妖艶な美貌の持ち主。しかも亡国のお姫様!当てたらどうなるかわからない。

木場ーーーー全男子の敵だが、当てたら女子に恨まれる。当てられない。

その点俺ことイッセーと大兎なら当てられる。理由としては美男美女が揃いに揃っているオカ研に片や性欲魔神だとか言われている顔も普通な俺と何故かヒメアちゃんと付き合っているやっぱり顔が普通な大兎。何故あそこにあいつらがいる。まあ当てても問題はないだろう。寧ろ積極的に当てるべきだ。よし当てよう。

とまあこんな具合だろう。

ギャラリーからは熱い死ね死ねコール。はは、涙が出てくらぁ。

部長からは意訳で頑張ってボール取ってねというお言葉をいただいた。

まあこのままいけば優勝は確実だ。後は俺と大兎が逃げまくればいいだけで。

と考えていたら一人の豪胆な野球少年がボールの照準を木場に定めやがった!

 

 

「クソォ!恨まれてもいい!イケメンめぇぇぇぇ!」

 

 

その気持ちはわかるぞ!よほどイケメンへの憎悪が大きかったのか、俺でも大兎でもなく木場にボールを撃ち出す。

そのまま当てられてしまえ!とか思ったがーーーー。

 

 

「何ボーッとしてやがるんだ!」

 

 

遠い目で試合に集中してなかった木場のもとへ、俺は毒づきながらも駆け寄っていた。

奴を庇うように前へ出る。

 

 

「……あ、イッセーくん?」

 

 

あ、イッセーくん?じゃねぇだろう!何やってんだ、おまえは!

そして、ボールが迫る!しょうがねぇ!俺が体を張って止めてやらぁ!

そう思っていたら、ボールの起動がズレる。フォークボールのように降下していく球体は、勢いだけは衰えずに俺の下腹部へーーーー。

ドォォォォォンッッ!

 

 

「ーーーーッ‼︎」

 

 

ちょ、直撃するボール……。

……玉が玉にクリティカルヒット……。

この痛さは骨を何百回と折って出産を何十とやるのと同等の痛み……。

 

 

「おーい、イッセー?球は地面に着く前になんとかキャッチしたから痛み引いたら戻ってこいよー?」

 

 

どうも球が落ちる前に大兎が取ったからルール上俺はセーフみたいだ。けどこの痛みのせいで俺はアウトだよ……。

俺は小猫ちゃんに引き摺られアーシアに付き添われながらコートをあとにした。

 

 

 

 

 

 

パン!

雨音に混じり乾いた音が響く。木場が部長に頬を叩かれたからだ。

 

 

「どう?少しは目が覚めたかしら」

 

 

部長、かなり怒ってらっしゃいます。

競技は俺たちオカ研の優勝に終わったが、一人だけ非協力的な奴がいた。木場のことだ。

何度か貢献こそしたが終始ボケっとしていた。試合中にも怒られていたのにそれでも木場はどこ吹く風だった。

木場は部長の了承もとらずに勝手に部活を休むと宣いその場をあとにした。

聖剣を破壊するという強い決意を秘めた表情を見せながらーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜祐斗サイド〜

 

 

土砂降りの中、僕は傘もささずに歩いていた。

自分を救ってくれた主に初めて反抗した。『木場祐斗』としては失格だろう。だが聖剣計画の生き残りとしてはこれで合っている。

僕はこれ以上の幸せを望むべきではなく、想いを果たすまで、同志たちの分まで生きていいなんて思ったことなどーーーー。

びちゃ。

雨とは違う水の音を僕の耳が捉える。

眼前に神父がいる。十字架を胸につけ、憎き神の名の下に聖を語る者。

僕の大嫌いなもののひとつだ。憎悪の対象。エクソシストならば、ここで牽制してもかまわないとさえ思った。

ーーーーッ!

神父は腹部から血を滲ませ、口から血反吐を吐き出すと、その場に倒れ伏した。

だれかにやられたのか?誰だ?ーーーー敵?

 

 

「ッ!」

 

 

ギィィィイインッッ!

雨の中で銀光が走り、火花が散った。

殺気の方向へ体を向けた時、長剣を振るう何者かが襲い掛かってきたのだ。

相手は眼前で死んだ聖職者と同じ格好ーーーー神父。ただ、こちらは明確なほどの強烈な殺気を飛ばしてきている。

 

 

「やっほ。おひさだね」

 

 

嫌な笑みを見せる少年神父を僕は知っていた。

白髪のイカレた少年神父ーーーーフリード・セルゼン。先日の堕天使との一戦で僕たちとやり合った輩だ。

……相も変わらず癇に障る笑みを見せてくれる。

 

 

「……まだこの町に潜伏していたようだね?今日は何の用かな?悪いけど、今の僕は至極機嫌が悪くてね」

 

「そりゃまた都合がいい!素晴らしいぜ!感動的だねぇ!ーーーーだが無意味だっと。いやさ、本当にグッドなタイミングで現れてくれやがりましたねぇ。ホラよ、こいつを見てくれ。こいつをどう思う?」

 

 

奴がふざけた口調でそう言って長剣を掲げると長剣が聖なるオーラを発し始める。

ッッ!あの光は!あのオーラは!あの輝きは!

ーーーー誰が忘れるものか!

 

 

「おまえさんの魔剣と俺さまのエクスカリバー、どちらが上か試させてくんね?ヒャハハハハ!お礼は殺して返すからさ!」

 

 

彼が持つ剣は聖剣エクスカリバー、そのものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜大兎サイド〜

 

 

現在、ヴァチカンからの遣い二人と部室で相対している。

ほらそこ、急展開とか言わない。俺だってそう思ってるんだからさ。

で、なんかここら一帯を縄張りとしている悪魔リアス・グレモリーに用件があるらしい。

因みに片方はイッセーの幼馴染だそうだ。

 

 

「先日、カトリック教会本部ヴァチカン及び、プロテスタント側、正教会側に保管、管理されていた聖剣エクスカリバーが奪われました」

 

 

おいおい、エクスカリバー奪われたのかよ。教会の警備もザルだな。いや、この場合は身内でのゴタゴタが原因か?

 

 

「え?エクスカリバーって一本しかないんじゃないのか?」

 

 

あー、イッセーはエクスカリバーの事情を知らないのか。俺だってこの世界だとエクスカリバーがああなるなんて思わなかったからなー。

よし、教えてあげようか。

 

 

「イッセー。エクスカリバーは大昔の戦争で折れたんだ。で、その折れた刃を破片を拾い集めて錬金術で七本聖剣が作られたんだ。それが今のエクスカリバー。まあ、大元のエクスカリバーの七つ子ってことだ。破壊力が随一の『破壊の聖剣』、カタチを自由自在に変えられる『擬態の聖剣』、刀身が透明になり相手に攻撃を悟らせなくする『透明の聖剣』、相手に幻を見せる『夢幻の聖剣』、凄まじい攻撃スピードをほこる『天閃の聖剣』、特に祝福があって儀礼とかに使われる『祝福の聖剣』、そして今現在行方が分かっていない『支配の聖剣』。……とまあ、こんなところか。他にも聖王剣コールブランドなんていう聖剣もあるけどな」

 

「随分と詳しいんだな、大兎」

 

「ああ、本当に詳しいな。七つに分かれたエクスカリバーの能力をそれぞれ知っているなんてな。貴様は何者だ?」

 

 

おっと、ゼノヴィアとか言われていた緑のメッシュをした女の子に訝しがられたな。

そりゃ、俺はエクスカリバーが折られた現場にいたしその後作られたエクスカリバーどもを全てこの肉眼で見たしなぁ。流石に作られた現場にはいなかったけど。

 

 

「そんなの少し調べれば簡単にわかるさ。お前たち教会の情報統制は結構甘いからな」

 

 

とまあ本当のことはボカして相手を挑発する。まあ信仰心が厚いこいつらだ。この程度では揺らがないだろう。

 

 

「いいじゃないゼノヴィア。相手が知っているということはわざわざ教える必要がないということよ。それに能力が知られているからといって悪魔のみなさんに後れを取ることなんてないわ」

 

 

……確かにメンタル面では揺らがなかったな。

この面子を相手取っても後れは取らないだなんてよくもまあ言えるよなぁ。今の俺なら簡単にフルボッコだぞ。何もしなければ。

 

 

「……それで、奪われたエクスカリバーがどうしてこんな極東の国にある地方都市に関係あるのかしら?」

 

 

「カトリック教会の本部に残っているのは私のを含めて二本だった。プロテスタントのもとに二本。正教会にも二本。残る一本は神、悪魔、堕天使の三つ巴戦争の折に行方不明。そのうち、各陣営にあるエクスカリバーが一本ずつ奪われた。奪った連中は二本に逃れ、この地に持ち込んだって話なのさ」

 

「私の縄張りは出来事が豊富ね。それでエクスカリバーを奪ったのは?」

 

 

あー、そりゃまあドラゴンは力を呼び込むからなあ。聖剣泥棒がここに来たのも偶然じゃないんだろうな。

 

 

「奪ったのは『神の子を見張る者』だよ」

 

「堕天使の組織に聖剣を奪われたの?失態どころではないわね。でも、確かに奪うとしたら堕天使ぐらいなものかしら。上の悪魔にとって聖剣は興味の薄いものだもの」

 

「奪った主な連中は把握している。グリゴリの幹部、コカビエルだ」

 

「って、コカビエル⁉︎」

 

 

俺が知ったどころではない名前を聞きつい大声をあげてしまう。

それにイリナとゼノヴィアは不思議な目で俺を見て、祐斗以外のオカ研メンバーも俺を驚いた眼で見てくる。

しまった、流石に今のは迂闊だった……!だけどしょうがねぇだろコカビエルっていや戦争狂じゃねえかしかも堕天使の幹部!出会った瞬間俺の正体バレるんだろうなー……。んで嬉々として俺を襲うんだろうなー……。

 

 

「私達の依頼ーーーーいや、注文とは私達と堕天使のエクスカリバー争奪の戦いにこの町に巣食う悪魔が一切介入してこないこと。ーーーーつまり、そちらに今回の事件に関わるなと言いにきた」

 

「随分な言い方ね。それは牽制かしら?もしかして、私達がその堕天使と関わりを持つかもしれないと思ってるの?ーーーー手を組んで聖剣をどうにかすると」

 

「本部は可能性がないわけではないと思っているのでね」

 

 

あー、まあ悪魔にとっちゃ聖剣なんて目の敵だしなぁ。

ただでさえ天使や堕天使が光の力使ってきて悪魔にダメージ与えてきてんのにそこに聖剣まで加わってちゃなぁ。消す理由は十分にあるか。

まあ、それよりもーーーー

 

 

「お前ら死ぬ気だろ?」

 

「おや?よく私達の意見がわかったな。ああ、できるだけ死にたくはないが我々二人では取り戻すのは困難だろうしね。最悪、エクスカリバーを破壊してでも堕天使どもの手には聖剣は残さないつもりさ」

 

「勝算でもあるのか?コカビエルが出張った時点でお前ら殺されるぞ?」

 

 

俺は忠告してやる。

あいつは戦争狂でしかも実力も備わっているという相対したくない奴だ。仮にこいつらに何らかの切り札があったとして効かないだろうな。

あいつなら俺の貂魔の炎でも簡単に消してみせる。

 

 

「ご忠告ありがとう。悪魔に魅了された人間が私達に忠告をするとは思わなかったがな」

 

 

あ、そうか。こいつらの中で俺の立ち位置はそんな感じなのか。

悪魔崇拝者か魅了された人間か。

そんな立ち位置だったら忠告なんて普通はしないよな。それよりもなんでコカビエルの実力を知ってるんだとかそこらへん問われるかと思ったんだけど。

 

 

「ーーーー兵藤一誠の家で出会ったとき、もしやと思ったが、『魔女』アーシア・アルジェントか?まさか、この地で会おうとは」

 

「あなたが一時期内部で噂になっていた『魔女』になった元『聖女』さん?悪魔や堕天使をも癒す能力を持っていたらしいわね?追放され、何処かに流れたと聞いていたけれど、悪魔になっているとは思わなかったわ」

 

「……っ」

 

 

アーシアがゼノヴィアにイリナの言葉に体をビクッと震わせる。

……しかし『魔女』か。

かつて『聖女』と呼ばれたが『魔女』と糾弾され業火に焼かれて死んで数百年経ってからまた『聖女』に祀りあげられたジャンヌ・ダルクみたいだな。……あくまで表の歴史だけどな。

 

 

「君はまだ神を信仰しているのか?」

 

「何言っているのよゼノヴィア。彼女は悪魔になったのよ?今更主を信仰しているはずないじゃない」

 

「いや、なんといえばいいか私は信仰のにおいが感じられてね。彼女からは背信行為をする輩と同じ匂いが伝わってくるんだよ」

 

「そうなの?アーシアさんは悪魔になったその身でも主を信じているのかしら?」

 

「……捨てきれないだけです。ずっと、信じてきたのですから……」

 

「そうか。それならば、今すぐ私たちに斬られるといい。今なら神の名の下に断罪しよう。罪深くとも、我らの神ならば救いの手を差し伸べてくださるはずだ」

 

 

うわっちゃー。この物言いはないだろうよ。こんな物言いだとイッセーが……

 

 

「触れるな」

 

 

ホラ、キレた。

 

 

「アーシアに近づいたら、俺が許さない。あんた、アーシアを『魔女』だと言ったな?」

 

「そうだよ。少なくとも今の彼女は『魔女』と呼ばれるだけの存在であると思うが?」

 

「ふざけるなッ!救いを求めていた彼女を誰一人として助けなかったんだろう⁉︎アーシアの優しさを理解できない連中なんか、皆ただのバカ野郎だ!友達になってくれる奴もいないなんて、そんなの間違っている!」

 

「『聖女』に友人が必要だと思うか?大切なのは分け隔てない慈悲と慈愛だ。他者にも友情と愛情を求めた時、『聖女』は終わる。彼女は神からの愛だけがあれば生きていけたはずなんだ。最初からアーシア・アルジェントに『聖女』の資格はなかったのだろう」

 

「自分たちで勝手に『聖女』にして、少しでも求めていた者と違ったから、見限るのか?……そりゃねえよ。そりゃねえだろう⁉︎アーシアの苦しみを誰もわからなかったくせによ!何が神だ!何が愛だ!その神さまはアーシアがピンチだった時に何もしてくれなかったじゃないか!」

 

「神は愛してくれていた。何も起こらなかったとすれば、彼女の信仰が足りなかったか、もしくは偽りだっただけだよ」

 

 

……あ、このワードは俺にもアウトだ。介入する気は微塵もなかったが気が変わった。ちょっとばかし挑発するかね。

 

 

「ちょい待ち。落ち着けよイッセー。何もこいつらがアーシアのことを『魔女』だなんて言ったのはそんな悪い意味じゃねえよ」

 

「あ?どう意味だよ」

 

 

そりゃ聞き返すわな。

イッセーはまだ怒りが残っている表情で、ゼノヴィアとかいうのとイリナとかいうのは不思議な表情で俺を見た。

 

 

「いや考えてみろよ。『聖女』から『魔女』になったんだぜ?その次に来るのは決まってんだろ」

 

「え?『聖女』から『魔女』でその次に来るの?……いや、さっぱりわかんねえ」

 

「なんだわかんねえのかよ。答は『聖女』だよ。なんでかわかるか?かの有名なジャンヌ・ダルクと同じだからだな。最初彼女は天啓を聞いて『聖女』とされたがその次には『魔女』と呼ばれた。だがジャンヌ・ダルクが死んだ数百年後にはまた『聖女』に返り咲いているんだぜ?こりゃアーシアが次になるのは『聖女』ってことだろ。それをこいつらは言いたかったんだよ」

 

「何を言うの⁉︎アーシアさんとジャンヌ様では全く違うわ!現にアーシアさんは悪魔に魂を売り払い自らも悪魔と成り果てたけどジャンヌ様に関しては完全な濡れ衣!その証拠にジャンヌ様の死後二十余年経ったらジャンヌ様を異端とし『魔女』と仕立て上げたことは完全に撤回されたわ!口を謹んでちょうだい!」

 

「あっそ。お前らがそう思うんならそうなんだろうな。お前らの中では。ま、それはいいとしてだ。お前らって何?学習能力ないの?」

 

「……?何を言っているんだお前は?」

 

「いやさ、そこのゼノヴィアだっけか?その子が信仰が足りないとか言っていたけどそれって信仰をステータスとして捉えているってことでいいか?ゲーム画面とかで出てくるんだろうな。信仰値とかで。これこれこれだけ信仰しているから私はきっと神の国に行けるに違いない!ってか。ハッ、笑わせてくれる」

 

「だからお前は何が言いたいんだ」

 

「わかんねえか?なら口にして言ってやるよ。それは免罪符とどこが違うんだ?免罪符は金払ってこれ買えば罪は許されるよーってお題目で売られていた。言ってしまえばそれを買えば自分の罪は許されて神の国に行けるんだーってことになる。そん時はそん時でああ、信仰は金で買えるやっすいものなんだなーとか思っていたけどお前の物言いからすると今もたいして変わってねえんだなと思っただけさ。なに?信仰の深度が足りなかったから神様に見放された?なんだ、太極に至るまで祈ればいいのか?つーか祈るだけで神の国とやらに行けるんなら誰だって祈るわ」

 

「な……私たちの信仰がそんな安っぽいもののはずないじゃない!貴方、私たちを愚弄しているの⁉︎」

 

「しているさ。少なくともそちらの言い分にあわせればそう捉えられてもしょうがないとは思わねえのか?屁理屈なのかもしんねえけど俺はそう思うぜ。いや別に宗教自体をバカにするわけじゃねえよ?心の拠り所としてはあってもいいんじゃないかなーとは思っているし。けどお前らの信仰はハッキリ言って盲信、狂信一歩手前だ。神の名の下に断罪するってなんだ?お前ら一丁前に言ってるけどもそれって要は責任を取るのは上司だから何やってもいいんだぜ!とどこが違うんだ?どうせな

ら自分の名の下断罪しろよ。神、神言ってりゃなんでも許されると思うなよ」

 

「貴様……!」

 

 

おーおー、キレてらっしゃるねえ。

だけどこっちも幾らかトサカにきてんだ。まだいかせてもらうぜ。

 

 

「言っとくがな。お前らが信仰する神にしろ何にしろ大体神と名のつく全てに基本的に当て嵌まることだが神は迷惑かけるか全ての事柄において無視決め込んでいる奴らしかいねえよ。ゼウスしかり、オーディンしかり、お前らが信仰している四文字しかりだ。まあ?お前らが信仰する神に関してはほんの一部の人間には手助けしてるみたいだけどね。その点捉えたら気に入った奴しか助けない不平等掲げてるようなただのニートになるけどな!」

 

「貴様ァ!神を愚弄するのもそこまでにしろ!そこに直れ!叩き斬ってくれる!」

 

 

……ちょっと挑発しすぎたかな?それともあれ?図星すぎて実力行使に出たパターン?

ま、どっちにしろ俺の胸もスカッとしたしいっか。このまま校庭に出てそこで果し合いみたいなのをしてやれば……と思っていた時だった。

 

 

「なら大兎くんを斬る前に僕が相手になろう」

 

「……誰だキミは?」

 

「キミたちの先輩だよ。ーーーー失敗だったそうだけどね」

 

 

……あれ?なにこの雰囲気。

あ、これもしかして俺……やらかしちゃった?




今回の話は……その……なんだ。

ちょっと喧嘩売りすぎたかなぁ……?


弁解的なのをさせてもらえれば一応ですけど大兎くんのこの考えも物語に関わってはくるんですよ。今回は虐めというか挑発というかそういうことをするためにバカにした感じで書きましたけど。


それでもバカにしたのは変わりないので謝ります。すいませんでした!

そういや四文字で通じるのだろうか……?


次回『黒ウサギ、独自行動をする』ですね。
今回で教会勢に喧嘩を売ったんで本筋の聖剣を破壊するためにイリナとゼノヴィアに近づくーってのができませんので。だからオリジナルストーリーになるのかな?一応。

じゃあいつもの調子で(∪^ω^)わんわんお!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。