ハイスクールD×D 黒いウサギがお邪魔します   作:這い寄る劣等感

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恋の2-4-11‼︎パパァン‼︎

艦これはしてませんが、最近この歌にハマりました。ニココメ付きの親衛隊の練度の高いこと高いこと。笑かしてくれますね。

さて、えーっと、前回が11月の3日だっけ?としたらまあ1ヶ月か。殴られてもしょうがないねこれ。

ま、喰らえ!こいつが私の全力だー!


黒ウサギ、戦闘狂と戦う

俺が天使と堕天使をどうにかこうにか話し合いの席に着かせる事を確約した後、月光の下まで戻る。まあ、月光のことだし悪魔は自分で担当したはずだろう。じゃなくてもセルジュかハスガのどっちかが行っている……はずだ。

で、月光に会って『聖地』開かせて久しぶりってほどでもないけど地上に出たらメールが届いた。差出人は……イッセーだな。

 

 

『大兎!コカビエルの野郎が此処に現れてこの町で暴れ回るとか言いやがった!既にイリナはズタボロになっていて……。お願いだ、お前にとって宗教に確執があるのかもしれないけど手伝ってくれ!』

 

 

これ、結構長メールだな。割と余裕があった?なわけないか。で、送られてきたのは……十分ほど前か。

別にキリスト教自体に確執はないんだけどなぁ。気に入らなかったのはゼノヴィアとかの信仰をステータスとして捉えているその考え方だし。何て言うかその俺、神に殉じてますよアピールっての?そういうのが見てて腹が立ってくる。

まあ今は兎に角イッセーたちの救援に向かうとしようか。そしてそろそろ頃合いでもあるだろうし、な。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜木場サイド〜

 

 

僕はただ生きたかった。

研究施設から満身創痍で逃げ出し、血反吐を吐きながら走った僕はそれだけを考えていた。

森を抜け、僕の体は限界に近くもうここまでなのかと思っていた時に紅髪の少女と出会った。

少女は言った。『貴方は何を望むの?』と。だから僕は答えた。『助けて』と。

僕の命を、仲間を、人生を、願いを、力を、才能を、僕自身をーーーー。

それは叶えられた。僕自身が人間をやめることによって。

その選択に後悔はなかった。だがエクスカリバーへの憎悪と同志の無念だけは忘れられなかった。……いや、忘れてもよかったんだ。

僕には最高の仲間がいる。

イッセーくん、大兎くん、ヒメアさん、小猫ちゃん、アーシアさん、朱乃さん、そしてリアス部長。

だけど同志たちの魂が復讐を願っているとしたら、僕は憎悪の魔剣を下ろすわけにもいかない。

だが、その想いも先ほど解き放たれた。

ーーーー自分たちのことはもういい。キミだけでも生きてくれ。

同志は僕に復讐を願ってはいなかった。願ってはいなかったんだ!

けど終わりではない。目の前にいる邪悪を討ち滅ぼさない限り、第二、第三の僕たちが生を無視される。

僕は仲間たちの応援と、同志の想いを胸にーーーー!

 

 

「ーーーー僕は剣になる。部長、仲間たちの剣となる!今こそ僕の想いに応えてくれッ!魔剣創造ッッ‼︎」

 

 

僕の神器と同志の魂が混ざり合う。同調し、形を成していく。

魔なる力と聖なる力が融合していった。

ーーーーそう、この感覚。僕の神器が、僕の同志たちが教えてくれる。これは昇華だと。神々しい輝きと禍々しいオーラを放ちながら、僕の手元に現れたのは一本の剣ーーーー。

完成したよ、皆。

 

 

「ーーーー禁手、『双覇の聖魔剣』。聖と魔を有する剣の力、その身で受け止めるといい」

 

 

僕はフリード目掛けて走り出した。

『騎士』の特性はスピード!フリードが目で僕の動きを追うが、フェイントを何度も入れて彼の視界から脱する。

ギィィィン!

それでも僕の一撃を受け止めるか。やはり戦闘経験は段違いのようだ。

だが、彼のエクスカリバーを覆うオーラが僕の剣によって掻き消されていく。

 

 

「ッ!本家本元の聖剣を凌駕すんのか、その駄剣が⁉︎」

 

「それが真のエクスカリバーならば、勝てなかっただろうね。ーーーーでも、そのエクスカリバーでは、僕と、同志たちの想いは絶てない!」

 

「チィ!」

 

 

舌打ちしたフリードは僕を押し返し、後方へ下がった。

 

 

「伸びろォォォォォ!」

 

 

彼のエクスカリバーが意思を持ったようにうねり始め、宙を無軌道に激しく動きながら此方へ迫ってきた!

ーーーー『擬態の聖剣』の能力!

そうか、四本分の聖剣の能力を有しているのか。更に剣は先端から枝分かれし、神速で降り注いでくる。

こちらは『天閃の聖剣』の能力か。速度を売りにしていたね、アレは。

四方八方、縦横無尽に鋭い突きを放ってくるが、僕は全て防ぐ。

キミの殺気はわかりやすい。殺気の来る方向がわかれば、防ぐのも容易なことだ。

 

 

「なんでさ!なんで当たらなねぇぇぇぇぇぇッッ!無敵の聖剣さまなんだろぉぉ!昔から最強伝説を語り継がれてきたんじゃないのかよぉぉぉぉ!なら!なら、こいつも追加でいってみようかねぇぇっぇ!」

 

 

聖剣の先端が不意に消える。

透過現象?これは『透明の聖剣』の力だ。刀身を透明にさせる能力。

だけど殺気の飛ばし方を変えなければ、いくら刀身が見えなくなったとはいえーーーー。

ギィン!ギン!ギン!ギィィン!

攻撃をいなすことなんて容易にできる。

その様を目の当たりにフリードの目元が引き攣り、驚愕の表情となる。

そこに横殴りにゼノヴィアが介入してきた。

 

 

「ペトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ。我が声に耳を傾けてくれ」

 

 

何かの言霊を発すると同時に空間が歪む。その歪みにゼノヴィアが手を入れて、無造作に探り、何かを掴むと次元の狭間から一気に引き出してくる。

ーーーーそこにあったのは一本の聖なるオーラを放つ剣。

 

 

「この刃に宿りしセイント御名において、我は解放する。ーーーーデュランダル!」

 

 

デュランダル⁉︎

エクスカリバーに並ぶほどの有名な伝説の聖剣だ。しかも斬れ味だけなら、最強だと聞いている。

それを見たバルパーどころかコカビエルまでもが驚いている。流石に予想外だったのだろう。

そして語り出すゼノヴィア。彼女はどうやら僕や同志たちとは違い元から聖剣に祝福された者だったようだ。

 

 

「デュランダルは想像を遥かに超える暴君でね。触れたものは何でもかんでも斬り刻む。私の言うこともろくに聞かない。故に異空間へ閉じ込めておかないと危険極まりないのさ。使い手の私ですら手に余る剣だ。ーーーーさて、フリード・セルゼン。お前のお陰でエクスカリバーとデュランダルの頂上決戦ができる。私は今歓喜に打ち震えているぞ。一太刀目で死んでくれるなよ?精々エクスカリバーの力を存分に揮うことだ!」

 

 

デュランダルの刀身がエクスカリバー以上の聖なるオーラを放ち始めた。

あのオーラ、僕の聖魔剣以上の力を発揮している!

 

 

「そんなのアリですかぁぁぁ⁉︎ここにきてのチョー展開!クソッタレのクソビッチが!そんな設定少年漫画で出しとけよォォォォ!」

 

 

フリードが叫び、殺気をゼノヴィアへ向ける。目には見えないが、枝分かれした透明の剣を彼女に放ったのだろう。

ガギィィィィン!

たった一度の横薙ぎで、枝分かれした聖剣エクスカリバーが砕かれて姿を現した。

その一振りから放たれた剣風の余波で校庭の地面が大きく抉れる。

凄まじい威力だ。『破壊の聖剣』など比べ物にならない。

 

 

「フリード。キミは確かに戦闘経験は僕よりあるのかもしれない。だが、僕にはキミを倒せるだけの技量がある。正直、大兎くんの方が強かったけどね」

 

「大兎……。私のデュランダルの在処を見破ったあの男か。一体何者なんだ?」

 

 

何だって?彼が異空間にあったデュランダルの在処を?

僕が不思議に思った時に突如としてフリードが笑い声を上げ始めた。

 

 

「ククッ、クヒッ…………。キヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!」

 

 

な、何なんだ?さっきまでは自慢のエクスカリバーも叩き折られて意気消沈していたように見えたのに。

大兎くんの名前を聞いたから?いや、だったら何故大兎くんの名前に反応したんだ?

 

 

「ヒー!ヒー!腹痛ってぇ!お前ら笑かしてくれやがりますねぇぇぇ!まだあんな奴と一緒にいたのかよ⁉︎バッカじゃねえの?」

 

「悪魔でないとは言え、大兎くんも僕たちの仲間だ。仲間を侮辱する発言は許さないよ」

 

「ちっげーよダボが!お前らさては危険察知能力ねえな⁉︎あいつの正体を知ってたら俺なら怖すぎてションベンちびっちゃうね!流石の俺様もあいつは無理無理無理のカタツムリってやつよ!」

 

 

何だ、さっきからフリードは何を言っているんだ?

大兎くんの……正体?正体も何もただ不完全ながらも不老不死な人間なんじゃ……。

 

 

「なら俺ちゃん超絶優しいから教えてあげるぜ!あいつはなぁ!天使、堕天使、悪魔!その三勢力から忌み嫌われる存在!『黒ウサギ』ちゃんなんだよォォォォ!」

 

 

っ⁉︎

その情報は僕たちを驚愕させた。当たり前だ。大兎くんが『黒ウサギ』だなんてそんなことは驚かざるを得ない。

見ればコカビエルにバルパーも驚いているようだ。だがコカビエルはすぐさま顔に喜色を浮かべた。

 

 

「そうかそうか!サーゼクスが来ていなかったから期待外れかと思っていたがこの町には『黒ウサギ』がいるのか!丁度いいではないか。この俺の昂ぶる気持ちを鎮めるのに丁度いい相手だ」

 

 

コカビエルは相変わらずの戦争狂、か。よほど悪魔、天使、堕天使で戦争を起こしたいらしい。

 

 

「つーかよぉ、俺ちゃん親切にも大体九話くらい前にイッセーくんと目の前のお前とそこのちっこい嬢ちゃんに教えてやったよなぁ?あの男はお前らより強いって。それにお前らグレモリー眷属にもこの町に『黒ウサギ』がいるって教えてやったよなぁ?」

 

 

……確かに言っていた。だが所詮はフリードの戯言と思って聞き流していた。だが本当なのか……?本当に……

 

 

「木場!今はフリードに集中しろ!」

 

「ーーーーッ!……そうだね、イッセーくん。今は大兎くんがどうのこうの考えている場合じゃなかったね」

 

 

僕は雑念を振り払い、フリードに一息で駆けつけるとそのまま剣で袈裟斬りをした。

フリードは肩口から横腹まで斬られて鮮血を滴らせる。

 

 

「せ、聖魔剣だと……?あり得ない……。反発しあう二つの要素が混じり合うなんてことはあるはずがないのだ……。いや、そうか、わかったぞ!聖と魔、それらを司る存在のバランスが大きく崩れるとするならば説明はつく!つまり、魔王だけでなく、神もーーーー」

 

 

バルパーが何らかの思考に達した時に彼の胸を光の槍が貫く。こんな芸当ができるのはこの場においてただ一人のみ。

 

 

「……コカビエル!」

 

「バルパー。確かにお前は優秀だった。そこに思考が至ったのも優れているが故だろうな。ーーーーだが俺はお前などいなくてもいいのだ。最初から一人でやれる」

 

 

あいつは今まで協力していたバルパーをいともあっさりと殺してみせた。本当にどうでもよかったのだろう。ただエクスカリバーを盗むことで天使たちと戦争が起こせると思っていただけで。

 

 

「さて、魔王の妹とその眷属。そしてデュランダル使いの小娘よ。ここまでこれた褒美だ。俺がいい情報を授けてやろう」

 

 

いい情報だと?何をふざけたことをーーーー。

 

 

「それはな。この世界に既に神など存在しない。先の三つ巴戦争で四大魔王だけでなく、神もまた死んだのさ」

 

 

ーーーーッ!

……な、何を……。彼は何を言った……?

信じられない様子なのはこの場にいる全員がそうだった。

 

 

「知らなくて当然だとも。神が死んだなどと、誰に言える?人間は神に縋らなくては心の均衡と定めた法が機能しないほど脆弱な者達だぞ?我ら堕天使、悪魔さえも下々にそれらを教えるわけにはいかなかった。どこから神が死んだと漏れるかわかったものじゃないからな。三大勢力でもこの真相を知っているのはトップと一部の者達だけだ。先ほどバルパーが気づいたようだがな」

 

「そんなの出鱈目だろ!」

 

 

イッセーくんがコカビエルの言葉に噛み付く。だがそれに対しコカビエルは次のように言った。

 

 

「出鱈目じゃないさ。そこの小僧が聖魔剣を創り出せたのがいい証拠だ。本来、聖と魔という性質が真逆の異なる因子が混じり合うことなどない。だがそれらを司る神と魔王がいなくなれば特異な現象も起こるというものだ」

 

 

つまり僕の聖魔剣が出来たのは全くの偶然ではないと言うわけか。神がいないから誕生した。皮肉なものを感じてしまう。

コカビエルの言葉を聞いたアーシアさんにゼノヴィアがその場にくずおれる。

当然だろう。片や神に人生の大半を捧げて、片や現役の信徒なのだから神がいないという事実にどれほどのショックを受けたことだろうか。

 

 

「何が目的なの?そんな事実を私たちに教えて……」

 

 

部長がコカビエルに問う。

確かにその通りだ。聞かせた以上は何らかの意図があって然るべきだ。一体その目的とはーーーー?

 

 

「何、簡単なことだよ。お前たちには戦争の火種となってもらう。魔王の妹、デュランダル使い、まあ眷属はオマケとしてその首を送り届ければ流石に動くだろうよ。見ろ、そこのデュランダル使いの小娘の顔を。絶望しきっているぞ。殺した時にはその顔のままなのだろうな。それを天使陣営に送りつけて……フフフ、確実に起きるぞ、戦争が!」

 

 

狂っている……!本当に戦争がしたいがために神が死んだなどと話したのか……!

だがそのスケールは実に大きい。

ミカエルにルシファー。どちらも聖書に記された強大な存在。コカビエルはその者達を相手取ろうとしており、それだけの力を有している。

 

 

「だが目下のところ一番気になるのは『黒ウサギ』の動向だ。この町にいるとわかった以上、この町で暴れていればいずれ奴も出てくるだろう。ククク、実に楽しみだ」

 

 

……『黒ウサギ』。フリードが大兎くんがそうだといった存在。その力はとても強大だと聞く。もしもコカビエルを止められるとしたらそれこそ『黒ウサギ』でもないとーーーー。

 

 

「ふざけんな!お前の勝手な言い分で俺の町を、俺の仲間を、部長を、アーシアを消されてたまるかッッ!それに俺はハーレム王になるんだぜ、てめえに俺の計画を邪魔されちゃ困るんだよ!」

 

 

イッセーくん、それでカッコつけたつもりかい?ハハハ、とても彼らしいや。

だけど目が覚めた。そうだ。僕の町だ、僕の仲間だ。それらが消されるのは絶対に嫌だ。

僕は剣を構え直し、辺りを見回す。流石にアーシアさんにゼノヴィアは意気消沈としていたが、部長に朱乃さん、小猫ちゃんにイッセーくんも臨戦態勢だ。

 

 

「ほう?まだまだ小童にすぎない悪魔が俺に刃向かうと言うのか。ならば教育してやろう。豚のような悲鳴をあげろ!」

 

 

言うやいなやコカビエルは手に光の槍を創り出す。

アレはヤバい!光力が他の堕天使とは段違いだ!次元が違っている!

コカビエルはそれをイッセーくんに投げた!とても速い!僕の足でも間に合わない!

イッセーくんも臨戦態勢に入ってはいたが『赤龍帝の籠手』を発動させていなかったからか、挙動が明らかに遅い!このままだとーーーー。

パシュッ。

イッセーくんに差し迫っていた光の槍は突如として消えた。イッセーくんが何かしたのか?と思ったがそうではないとすぐにわかった。

イッセーくんの目の前に人がいた。それは僕の仲間でもある鉄大兎くん、いやーーーー

 

 

「戦闘中は何が起きるかわかんないから準備はちゃんとしておけよな?」

 

 

見た目こそ違えどそこに居たのは『黒ウサギ』だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜イッセーサイド〜

 

 

コカビエルが俺たちの町で暴れ回ると言ったから俺がそれに噛み付いた。当たり前だ!俺はハーレム王になりたいのに邪魔されてたまるかってんだ!

そしたらコカビエルの野郎は光の槍を創り出し、俺に投げつけてきた!

マズイ!まだ『赤龍帝の籠手』の能力を発動させてない!発動させてたとしてもあの槍かなり速い!

このままあの光の槍に貫かれて消えてしまうのかと思って思わず眼を閉じた。

…………?いつまで経っても衝撃がこないな、一体どうしてーーーー

 

 

「戦闘中は何が起きるかわかんないから準備はちゃんとしておけよな?」

 

 

目の前に人がいた。

片方の瞳が黒く染まり、腕には呪詛のようなものが這っていて頭から薄桃色のまるで鋭利な刃のような長い耳を生やしていた。

だけど、この声はーーーー

 

 

「……大兎!」

 

「よっ、イッセー。メールもらってからすぐ飛んできたけど割とピンチだったな」

 

「あ、ああ……じゃなくてその姿!」

 

 

そう、確かに姿こそ変わってはいたがそこにいたのは俺の仲間の一人でもある鉄大兎だった。

けど今俺が感じている重圧……。そしてフリードが言っていたこと……。これらを合わせたら俺の中で一つの結論が浮かんだ。

 

 

「お前……本当に『黒ウサギ』だったのか?」

 

「フリードあたりから聞いたのか?あいつにはプレッシャー与えただけで逃したからなあ」

 

 

その口振りは大兎が『黒ウサギ』であることを肯定したものだった。

いや、待て。だけどおかしいぞ。

俺はリアス部長をあの焼き鳥王子から助け出す時に一回『黒ウサギ』と遭遇している。その時はまさしく『黒ウサギ』という通称とおりの黒い兎が二足歩行したような容姿だったはずだ。

だけど俺が今身にヒシヒシと感じる重圧もまさしく『黒ウサギ』のもので……。

ああー、もうわけわかんねぇ!

 

 

「会いたかったぞ『黒ウサギ』!サーゼクスやミカエルに戦争を仕掛ける前に貴様を前哨戦としてやろう!」

 

 

そういやコカビエルがいたんだった!あいつの光の槍は強力だ!いや、だけど大兎は簡単に消してみせたよな……。じゃあもしかしたらコカビエルを倒せるのか⁉︎

 

 

「そうか。それは残念だがーーーー」

 

 

目の前から大兎がいなくなる。どこに行ったのかと探したら大兎はコカビエルの目の前にいた。

なんて跳躍力だ!飛んでいるコカビエルの目前まで跳ぶなんて!

 

 

「これはお前の終幕戦だ」

 

 

大兎は刃物のような耳でコカビエルの十ある羽のうち一枚を斬り取った。

コカビエルは一瞬何が起きたかわからないようだったが事態を把握すると憤怒の表情を浮かべる。

 

 

「き、貴様!俺の羽を!」

 

「別にいいだろう十枚もあるんだから。ほら、返してやるよ。切口はキレイだから断面同士くっつけて治癒でもかければ治ると思うぜ」

 

 

大兎は落ち行く中で手にした羽をコカビエルに投げ返す。

コカビエルはそれを無視し周囲に光の槍を形成していく!

物量戦で攻める気か!

 

 

「悪足掻きすんなよな〜。どうせここでお終いなんだからさ」

 

 

大兎は落ち着き払った様子で耳に腕に這っていた黒い呪詛を流し込む。そしてそれを頭を回すことでグルンと一回転させて周囲に形成されていた光の槍を消し去った!

あの黒い呪詛みたいなのがさっき俺に飛んできた光の槍を消し去ったものなのか!まるで部長が持っている消滅の魔力みたいだ。

 

 

「グッ……。ならば接近戦でいくのみよ!」

 

「わざわざ地上にいる相手に近付いてくれるとか優しいな」

 

 

コカビエルが無駄だと判断したのか大兎に猛スピードで接近する!

大兎はそれをやっぱり自分のペースを崩さずに見ている。

そして始まったのは激しい応酬……ではなく一方的な攻撃。

コカビエルが光の槍と剣で攻撃を仕掛けるが、大兎は黒い呪詛でそれを消し去り、殴り、蹴り、斬りつける。

コカビエルの体はたちまち傷だらけとなり傍目にもわかるくらいにスピードが落ちてきている。

 

 

「じゃあそろそろ終わらせようか。この世界からとっとと消え失せろ、コカビエル」

 

 

大兎が耳に再び黒い呪詛を流し込み、それをコカビエルに突き立てようとしてーーーー。

ギィィィン!

突如として鳴り響く金属音。

新たな闖入者の登場に俺たちは驚く。だが驚いたのはそれだけではなくーーーー。

 

 

「このタイミングで出てくるかよ『白い龍』アルビオン……」

 

 

現れた白い鎧に身を包んだ人物が『白い龍』、つまり俺に宿っている『赤い龍』ドライグと対を成す存在だったからだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜大兎サイド〜

 

 

俺は『黒』をコカビエルに流し込んで消そうと接近し、耳で突き立てようとしたその時。

ギィィィン!

金属音が鳴り響いた。一番近くにいたお陰で耳鳴りが激しい。

で、コカビエル消去を邪魔しやがったのは……うっそ〜ん、こいつかよ……。

 

 

「このタイミングで出てくるかよ『白い龍』アルビオン……」

 

 

赤龍帝と対を成す白龍皇だった。しかも鎧を着ているってことはアルビオンが封じられた神器『白龍皇の光翼』の禁手状態である『白龍皇の鎧』ってわけね……。

 

 

「済まないな。俺はアザゼルから無理やりにでもコカビエルを連れて帰るように命じられていてね。ここで殺されるとそれが果たせなくなるからね」

 

「……あー、アザゼルのとこにいるのかお前は。だったらここで消しちまったらいけねえよなぁ。ん、わかった。だったら……」

 

 

俺は拳を振りかぶりコカビエルを思い切り殴った。

コカビエルはいい感じで吹っ飛びそのまま起き上がれなくなった。

……念入りに『黒』で意識を消しておこうかな?やったことないから二度と起き上がれなくなるのかもしれないけど。

 

 

「じゃあとっととそいつを持ち帰ってくれ。俺はこのまま此処を離れるからよ」

 

「おっと、そうはいかない……よ!」

 

 

俺が後ろを振り向きその場から立ち去ろうとした時に奴がいきなり殴りかかってきた。

俺は振り返り拳を掌で受け止める。殴り飛ばされた衝撃でかなり後退させられる。

なんつー衝撃だよ!確かに『黒』は発動していなかったけどそれを抜きに考えても凄まじい威力だ。

 

 

「俺は戦闘が大好きでね。三大勢力に忌み嫌われる『黒ウサギ』……一度でいいから戦ってみたかったんだ」

 

 

うっそ〜ん、今代の白龍皇は戦闘狂なのかよ〜。

コカビエルが戦争狂で白龍皇が戦闘狂って……堕天使勢力恐ろしすぎんだろ。

 

 

『Divide!!』

 

 

白龍皇から発せられる機械的な音声。

ああ、そういやそうだったな。『赤龍帝の籠手』は十秒ごとに力を倍増させて『白龍皇の光翼』は十秒ごとに力を半減させてそのまま自分のものにするんだったな。

 

 

『ちょっと主!一体何がどうなったに⁉︎』

 

「おっ、ニャン吉どうしたんだ?」

 

『主が力を自分のものとしたから黒いウサギもなんだか組織の存続のために異世界からとても強い奴ら三人呼び寄せたけど全員問題児で気苦労しそうな感じの姿になっていたのに、急に現れたでっかい白い龍に半分喰われたに⁉︎』

 

「俺の中、そんな愉快な状況になってんのなー」

 

 

いや、けど想像してみたら割とグロいな。今まではヒャーヒャー言っているよく分からんウサギの姿だったらしいけど、どうやら今は別の姿らしいし。

 

 

『いいからとっととこの白い龍をどうにかするに!主ならどうにかできるはずだに⁉︎』

 

「はいはい、ちょっと待ってろよな」

 

 

俺は自身にある『黒』の力を高め、俺の中にある『白龍皇の光翼』の効果を打ち消す。

少なくとも自分に関してはこういったものでも消せるようになったから便利ってレベルじゃないな。

 

 

「俺の神器の効果が消されたか……。やはり、強いな。それでこそ戦いがいがあると言うものだ!」

 

 

で、こっちもコカビエルみたいに突っ込んでくるわけですよ。しかもコカビエルより速いし!

コカビエルは焦った感じがあったけどこっちはただ単純に戦いたいだけだしなぁ。

 

 

「……あーもー、しゃーない。覚悟決めるか」

 

 

向こうが突っ込んでくるのに合わせてこちらも突っ込む。お互いに勢いを落とさないまま拳を出し合う。

俺の拳はあいつの肘に受け止められて、あいつの拳は俺の手に阻まれる。

……お互いノーダメージ、いや、損耗具合だけで言えばあいつのが喰らったか。俺は威力を完全に消せるけどあっちは消せないしな。鎧である以上、ある程度威力は抑えれるんだろうけど。

けどこのままじゃ二進も三進もいかないな。

奴は歴代の白龍皇に比べて確実に強い。イッセーとは違って才能の塊だ。生半可な攻撃は通じないだろう。少なくとも今のこいつなら殺す事は容易に可能だろうけど、殺すのはダメだ。堕天使勢との関係の悪化を招きかねない。となると札を切る必要が出てくるのか……?出来ればアレはまだ温存しときたいんだけどなぁ、確かに強くはなるんだけども。戻すのが面倒だ。

 

 

「……しょうがないか。ならせめて一瞬でも早く倒すとしよう」

 

 

俺は『黒』の力を高める。この力はあらゆる事象を拒絶する力。その力は自分のかかっている重ささえ拒絶する凶悪な代物だ。

もうかなり昔になるけどこの力を上手く扱えてなかった時期がある。その時は今の姿になって暴走してたらしい。

だが今は違う。この力は完全に俺のものになった。

俺は脚に力を込め『白龍皇』に一気に詰め寄る。奴も先程までとは違うスピードに驚愕したのか一瞬だけ動揺する素振りを見せた。それが致命的なんだけどな。

ドゴォッ!

奴は勢いよく木に叩きつけられそれでもなお勢いが衰えることなくそのまま圧し折ってしまう。

それが二、三本と続いたところでようやく止まった。

 

 

「……ガハッ。……なんてスピードだ……。先程までは手加減されていたのか」

 

「ある意味そうだとも言えるな。俺はいつでもお前を殺せるだけの力量は持っているつもりだが?」

 

「……フフフ、どうやらそのようだな。だがこちらとてまだ動けぬわけではない!」

 

 

おいおい、そこは戦意喪失しててくれよ。何でそこで立ち上がっちゃうかな。

まあでも暫くは使えるか。『黒』で自分にかかっている重力を極端に低くするの。

いやー、懐かしいなー。ヒメアが魔術で段々と体重をバカみたいに増やしていってそれを『黒』で拒絶しながら腕立て伏せしてたなー。あの時はヒメアのイタズラのせいで一回死んだけど。床にめり込んで。

っとと、今は思い出に浸っている場合じゃないな。まだ戦闘の最中だったぜそういや。

 

 

『……そこまでにしておけ。アザゼルから後で色々と言われるぞ』

 

 

白龍皇の鎧に付いている宝玉から声が発せられる。まあ、言うまでもなくアルビオンのものだろうな。

 

 

「……どうして戦いの邪魔をする?これほど心躍る戦いは未だかつて経験したことがないのに」

 

『そろそろ時間だ。余り時間をかけすぎると怪しまれるぞ』

 

「…………チッ。しょうがないか」

 

 

奴は鎧で顔こそ見えないが、恐らく心底不満そうな顔をして俺が気絶させたコカビエルを肩に担ぎ、フリードを腕に抱え込む。そのまま光翼を展開して空へ飛び立とうとした時、

 

 

『無視か、白いの』

 

 

イッセーの籠手の宝玉から声がする。

ドライグだな。懐かしい声だ。前会ったのは何時だったかな?

 

 

『起きていたか、赤いの』

 

『折角出会ったのにこの状況ではな』

 

『いいさ、いずれ戦う運命だ。こういうこともある』

 

『しかし、白いの。以前のような敵意が感じられないが?』

 

『赤いの、そちらも敵意が段違いに低いじゃないか』

 

『お互い、戦い以外の興味対象があるということか』

 

『そういうことだ。こちらはしばらく独自に楽しませてもらうよ。たまには悪くないだろう?また会おう、ドライグ』

 

『それもまた一興か。じゃあな、アルビオン』

 

 

うーん、かつてのライバルが今では友達的な関係に……はこいつらの場合難しいか。

 

 

「おい!どういうことだ⁉︎お前は何者で、何をやってんだよ⁉︎」

 

 

イッセーが白龍皇に食ってかかるが白龍皇はどこ吹く風で一言だけ残していった。

 

 

「全てを理解するには力が必要だ。強くなれよ、いずれ戦う俺の宿敵くん。……尤も、ある意味では正反対の色である『黒ウサギ』にも俄然興味があるのだがね」

 

「出来れば二度とこっちに来んな。対処するだけ面倒なんだよ」

 

 

俺は追い払うように手を振った。

白龍皇はそれを見てから空へと飛び立ち消えていった。

よーし、お仕事終了。あとは……、

 

 

「「「「「………………」」」」」

 

 

あそこで無言で見つめているリアスたちをどう対処するかだな。

 

 

「ん?どうしたんだ?そんなに見つめられると照れるぜ」

 

「惚けないで。大兎、いいえ、『黒ウサギ』。貴方は何しにここに来たの?」

 

「あ〜……。残念だけど、今ここで教えるわけにはいかないな」

 

「この場から逃げ出そうとでも言うのかしら?この場はシトリー眷属が結界を張っているのよ?」

 

「逆に聞くけど俺にそれを壊すだけの力がないと思っているのか?あとは……ヒメア」

 

 

俺がヒメアの名前を呼ぶと、空間に亀裂が入り、そこからヒメアが出てくる。

 

 

「大兎、おっそーい。私、待ちくたびれちゃった」

 

「ごめんごめん。……とまあ、見ての通り結界なんて俺たちにとってはあってないようなものだぜ?まあ、探知用の結界なら存在はバレるかもしれないけど、この結界は中に閉じ込めるための結界だったしなぁ。んじゃ、イッセー」

 

「な、なんだよ」

 

「また、学校で会おうぜ」

 

 

俺はその言葉を残し、亀裂の中にヒメアと共に入り込む。

さて、確かもうすぐ授業参観が始まるな。となると月光達ももちろん来るよな。で、大体その時期に三大勢力の会談も行われるよな。

俺はこれからのことを考えつつ帰路へとつくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜Epilogue〜

 

 

「はあ……」

 

 

俺、兵藤一誠は自室のベッドで溜息を吐いていた。

今日は本当に色々なことがあったから頭を整理するためでもある。まあ、俺の頭だからたかが知れているけどな。

コカビエルにフリード、木場の禁手化に白龍皇。何より極め付けは、

 

 

「大兎が『黒ウサギ』か……」

 

 

これだった。

部長に聞かされていた恐ろしい存在『黒ウサギ』。それがまさか身内にいるなんて思いもしなかった。

 

 

『何をそう黄昏ている、相棒』

 

「ドライグか。いや、本当今日色々あったなって……」

 

『確かにそうだな。あの小僧が「黒ウサギ」であったわけだしな』

 

「そういやお前初めて会った時に生意気なウサギによろしくとか言っていたな。大兎のことに気付いてたのか?」

 

『気付いてたな。あの気配は忘れようと思っても忘れられんよ』

 

「その口振り……知り合いなのか?』

 

「まあ、な。まだ俺が肉体を持っていた時に一度だけぶつかり合ったことがあるな。あとは神器に封じられてからも二、三度は会ったな」

 

「そう……か。なあ、ドライグ」

 

『なんだ、相棒』

 

「俺はどうすればいいんだろうな?』

 

「人生相談の類か?それをドラゴンである俺に聞くのは間違いだと思うが……まあ答えるとするならばどうもしなくていいとだけ言っておこう』

 

「どうしてだ?大兎が『黒ウサギ』である以上、いつか部長を襲うかもしれないわけで……』

 

「阿呆か。その気ならあいつは即座に襲い掛かるだろうよ。それをしなかったのには何か理由があるのだろう。問うが、お前はあの小僧に関してどのような印象を抱いた?』

 

「どんな印象……か。最初は俺みたいな変わり者に好んで接してくる奇特な後輩だったけど、俺が悪魔になってからは何だかんだ甘かったり、優しかったりする頼れる仲間の一人だと……」

 

『なら、それでいいじゃないか。少なくともあの小僧は悪人ではないぞ。善人とも言い切れんだろうがな。で、だ。お前は今何故悪魔でいる?』

 

「それはハーレム王になりたかったり、部長を守りたいからだ!」

 

『いい返事だな。ならばそれでいいじゃないか。その他の有象無象のことなど考えなければいい。ただでさえお前は頭も弱いんだから一度にたくさんの物事など考えられないだろう。ならば馬鹿の一念という諺がある通り、今はその事だけ考えておけ』

 

「うっせ!……だけどそうだな。いくら考えてもわかんないなら考えなければいいだけだよな。ありがとな、ドライグ。お陰で頭がスッキリとした』

 

『なに、今後とも一緒に戦っていく相棒が動けないなどという事態になるのを未然に防いだだけだ。礼など言われる筋合いではないよ』

 

「素直に受け取れっての」

 

 

俺は俺だ。

大兎が『黒ウサギ』だとかそんなのは一切関係ない。仮にあいつが部長たちに危害を及ぼすってんなら、この拳で一発ぶん殴ればいいだけだしな!

こうして俺は決心を新たにし、部長が言っていた三大勢力の会談などのことを考えて眠りについた。

 

 

 

今後どうなるかはわかんねえ。だけどどんな逆境も俺が吹っ飛ばしてやる!




ドライグがなんだかオトン風味?

先生怒らないから戦闘狂ってサブタイトルでコカビエルを想像してしまった人手を挙げなさーい。…………え?いない?絶対ヴァーリだと思ってた?
ま、またまた、つ、強がらなくても、え、ええんやで?

そういやバトル描写も『黒ウサギ』vs白龍皇は薄めだったけどその時に書いてみた重力が低くして素早くなって殴ったみたいな描写って書いててなんだけど真実なんですかね?

少なくともドラえもんではそうだった!ま、気にせんどこ。


えー、次の話はまあ小ネタですね。サブタイトルとしては『黒ウサギ、赤ん坊を拾う』って感じになるかも?

まあ、あれです。本作オリジナルキャラのイルーナ・マルコシアスちゃんについて少しばかり掘り下げようかなと思っているだけです。気になっている人がいると信じて。

それでは皆さん、良いお年を!……絶対また一ヶ月あとくらいに投稿する羽目になるもんなぁ……私。
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