ハイスクールD×D 黒いウサギがお邪魔します   作:這い寄る劣等感

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本当はそれこそ毎日更新したいんだお……。
でも昨日から学校が始まって都合がつかなくなりそうなんだお……。
だから週4更新できるように頑張るお!


とまあ意気込みしまして投稿です。
お話しした通り、昨日から学校が始まったんですよねー。しかも今年は修学旅行があるときたもんだ。
正直、そんなんいく暇あったら投稿したいねん!って感じですけどねー。
週4に関しましてももしかしたらできないかもしれないので大目に見てください


黒ウサギ、二度目はさせない

〜一誠サイド〜

 

 

またあの夢だ。俺が夕麻ちゃんに殺される夢。だけどこうして俺が生きている以上、あれは夢だと断定せざるを得ない。

俺は制服に着替えてから最悪な気分を心の奥底に押し込みつつ、学校へと出掛けた。

 

 

 

そう、夢と言えばあの夢を見だしたた日から俺は夜型人間になってしまった。

今もこうして登校している最中だが太陽の光が俺の肌をチクチクと刺してくる。別段、俺の肌が弱いってわけじゃない。あの夢を見てからというもの朝昼ドンヨリ夜はハイテンションになってしまう。俺は吸血鬼か!って思ったね。

だってそう思うのも当然だと思う。俺は昼と夜とで身体能力に差ができてしまっていた。この場合凄いのは夜の方だ。吸血鬼とか思ったくらいだしそれくらいわかるだろうけど。

 

 

 

私立駒王学園ーーーー。

俺が通っている学校だ。

現在でこそ共学だが、数年前までは女子校だった。そのせいか、ここは男女の比率が半々ではなくなっている。女子の方が圧倒的に多いんだ。因みに結構難関なのだがそこはほら、俺のスケベ根性でどうにか突破しましたよ。だって自分に好意を持ってないにしろ周りがほぼ女子なんだぜ⁉︎

この学園でハーレムを作る。それが俺が掲げていた目標だ。こんなに女子がいるんだ。彼女の二人や三人余裕でできるだろうと思っていたが現実はそこまで甘くなかった。

一部のイケメンがモテるだけ。……まあ、例外もあることにはあるが。

と、ともかく!当初の計画では入学早々彼女が出来ていた筈なんだ!そして別れと出会いを繰り返し俺を取り合う為、バトルロイヤルを繰り広げるなんて目標がただの妄想になってーーーーーーーー

 

 

「あ、兵藤先輩。おはようっす」

 

 

俺に挨拶をしてくる奇特な奴は誰だと思い見てみればさっき話していたことの例外で且つ俺の当初の計画の初期プロットは成功させている今じゃ駒王学園に名前が知れ渡っている鉄大兎その人だった。

 

 

「鉄か……。なんで俺に挨拶なんかしたんだ?」

 

「いや、先輩なら挨拶するのは普通……ですよね?」

 

 

知らんがな。疑問に疑問で返すな。

正直な話、俺はこいつと仲がいいというわけではない。

同じ部活に入ってるわけでもないし、たまたま家が近所だったとかもない。無い無い尽くしの関係の筈なのにこいつは俺に挨拶をしてくる。……まあ、後輩に挨拶されることなんてほぼない俺にとっては心地いいとまではいかないにしても悪い気はしないが。

…………だけど許せないのはアイツが!とびっきりの美少女の!沙糸ヒメアと付き合っているということだ!

見ろよ!今も鉄に抱きついて幸せそうな表情してやがる!

……といつもの俺なら思っていただろうが今回ばかりはそうは思えない。俺自身の気分が最悪だからだ。

 

 

「兵藤先輩顔色が悪いっすよ?大丈夫っすか?」

 

「あぁ、いや大丈夫だ。お前は彼女とイチャイチャしとけ」

 

「兵藤先輩がイチャイチャを許容した……?成る程、これが天変地異の前触れってやつか……?」

 

 

なんて失礼な。今はそういう気分じゃないだけだ。

……あぁ、そうだ。こいつにはこれ訊いた事がなかったな。どうせわかりきった答えが返ってくるだろうが一応訊いてみるか。

 

 

「なあ、お前天野夕麻ちゃんって知っているか?」

 

「天野夕麻?…………ああ、知っていますよ」

 

「ーーーーっ!なあ、オイ!嘘ついてんじゃないんだろうな!」

 

 

俺は周りの登校中の生徒が驚くのも気にせず鉄の胸ぐらを掴み上げた。鉄も予想外だったのか驚いて目を丸くしている。だがその状態は長く続かなかった。

バチン!

まるで頬を思い切りビンタした時のような音が鳴る。その音とともに俺の体は大きく後ろに飛ばされてしまった。

一体なにがーーーーーー

 

 

「あなた大兎の胸ぐらを掴むなんて何様のつもり?いくらあなたが下等な人間じゃなくなったとしても許される行為じゃないわ」

 

 

今度は俺が驚く番だった。

今のは彼女、沙糸ヒメアがやったのか……?彼女の身体つきを見ても到底そんな力はないように見えるが……。いや、それよりも人間じゃない……?一体どういう意味だ?

 

 

「ちょっ!ヒメア落ち着けって!すいません兵藤先輩!ヒメア意外と力が強いんすよ!」

 

「あ、ああ。そうなのか。いや、こっちこそいきなり胸ぐら掴んで悪かったよ」

 

 

どうも俺は冷静じゃなくなっていたようだ。そりゃそうだ。俺が思っていた答えは「天野夕麻なんて知らない」というものだった。それが知っているとくれば嘘じゃないか疑ってしまうのもしょうがない。

 

 

「で、本当なんだろうな?天野夕麻ちゃんを知っているって」

 

「いや、確かに知っていることには知っているけど……あ、写真見てみます?」

 

「ーーーーっ!見せてくれ!頼む!」

 

「はいはい、えーっと、あ、これだ」

 

 

俺は鉄が差し出した携帯を引っぺがすかのごとく奪い取り、画面上に写し出された写真を見た。

そこに写っていたのは金色に脱色されたショートヘアーのいかにも不良っぽい感じの少女だった。

 

 

「ああ、すまん。ありがとうな。けど俺が知りたい夕麻ちゃんとは違ったわ」

 

「それ、俺の知り合いの天野夕麻って言うんすけどね。お役に立てなくて申し訳ないっす」

 

 

俺は落胆する気持ちを隠しきれずそれを後輩に気遣わせてしまった。こんなんじゃ先輩失格だよな。元々失格しているようなもんだけど。

俺はじゃあなと簡単に別れの挨拶を告げて学園へと行った。

 

 

 

俺は教室に到着するなり自分の席に深く腰をおろした。

そこに近づいてくる坊主とメガネがいる

 

 

「よー心の友よ。貸したDVDはどうだった?エロかっただろ?」

 

 

今話しかけてきた坊主が俺の友人その一、松田だ。

見た目どこからどう見ても爽やかなスポーツ少年なのに出てくる言葉はセクハラなことばかり。

中学時代は様々な記録を塗り替えたスポーツ万能少年にも関わらず所属している部活は写真部。

レンズ越しに女子高生のすべてを撮りたいという下心全開だ。

 

 

「ふっ……今朝は風が強かったな。お陰で朝から女子高生のパンチラが拝めたぜ」

 

 

で、こっちでキザ男のように格好つけているメガネは俺の友人その二、元浜だ。

メガネを通して女子の体型を数値化できるという服飾店だと確実に重宝する能力を持っている変態だ。

俺が朝っぱらからこいつらの顔を見てゲンナリしていたところに松田が「いいもん手に入ったぞ」と俺の机の上に広げたのはエロ本やエロDVDの数々。

遠くでは女子が悲鳴をあげ、そこから他の女子は俺たちのことを罵ってくる。

 

 

「騒ぐな!これは俺たちの楽しみ!女子供が見ていいものではない!脳内で犯すぞ!」

 

 

発言が最低だぜ松田よ。

少し前の俺なら大袈裟に反応したんだろうが如何せん今はそんな気分になれない。

その様子を見て松田と元浜は俺を心配しているようなセリフを言った。

実はこいつらいい奴だったんだなと思った矢先にエロの権化は風邪ひかないだのなんだの言いやがった。

前言撤回。こいつら失礼すぎる。もうちょい歯に衣着せようぜ。

そしてこいつらも夕麻ちゃんを覚えていない。いや、正確にはこの学年。もっと言えばこの学園全体が夕麻ちゃんのことを覚えていなかった。

だったら俺が覚えている夕麻ちゃんの顔はなんだ?あれか?全て俺が作り出した妄想の産物だってのか?それにしてはあまりにもリアルすぎる。

 

 

「まあ、思春期の俺らにそういうわけのわからないことが起きるかもしれない。よし、今日は放課後に俺の家に寄れ。秘蔵のコレクションをみんなで見ようじゃないか」

 

「それは素晴らしい。松田くん、是非ともイッセーくんも連れて行くべきだよ」

 

「勿論だよ、元浜くん。俺ら欲望を糧とする男子高校生だぜ?エロいことしなけりゃ産んでくれた両親にも失礼ってもんだ」

 

 

グフフフといやらしい笑い声をあげる二人。それに俺を加えて変態三人組だ。

まあ、いいさ。俺も変態で生きる男子だ。腹ぁ括ってやるよ。

 

 

「わぁーったよ!今日は無礼講だ!炭酸飲料とポテチで祝杯あげながら、エロDVDでも視聴しようじゃねえか!」

 

「おおっ!それだよ、それ!それでこそイッセーだ!」

 

「その意気だ。青春をエンジョイしようではないか」

 

 

盛り上がる松田と元浜。

夕麻ちゃんの件はこの際置いておいてたまには息を抜くか!別のものも抜くかもしれないけどな!

そんな風に結束を新たにした俺の視界に紅が映る。

鮮やかな紅。

教室の窓から見てみればそこには人間離れした美貌を持った我が校のアイドル。スラリとした身体は日本人のそれではない。それもそのはず、彼女は北欧出身なのだそうだ。

親の仕事の都合で日本の高校に通っているんだと。

リアス・グレモリー。

この学園の三年生。俺の先輩にあたる人物だ。

気が付けば周囲のみんなも雑談を止めて彼女に釘付けだ。

あの美貌だからしょうがないとは思う。だけど俺はその感覚に変化が生じていた。

確かに美しいとは感じる。感じるのだが、そこに少しだけ恐怖を感じてしまうのだ。いつしか心の隅で彼女のことを畏怖していた。

その時、彼女の視線が俺の方を向いた。

ーーーーっ。

一瞬で心まで掴み取られたようだ。

圧倒的な実力差のある相手に睨まれたような……そう、まさしく蛇に睨まれた蛙のような状態になっていた。今の俺は。

彼女は不意に微笑んだ。

俺に対して?そんなバカな。俺と彼女の接点なんてあるわけが…………。

そう考えた時に思い出したのはあの夢の出来事。

夢の最後、紅色の髪をした誰かが俺に話しかける。

いや、まさか……な。

 

 

 

放課後、俺は松田と元浜と一緒に保健体育の参考資料を夜中の10時まで鑑賞していた。

最初の方はテンションは高かったんだ。だけど枚数をこなしていくうちに興奮が冷めて「何故俺たちには彼女がいないのか?」と真剣に思い出し、逆に泣けてきてしまったよ。

松田と元浜も泣いている。こいつらも不憫な思いをしてきているしな。

 

 

「じゃあ俺はいい加減帰るわ」

 

「ああ、じゃあまた明日な」

 

「いい夢見ろよ」

 

互いに別れの挨拶を済ませ俺は家への帰路につく。

先程から俺は身体から溢れんばかりの高揚感だとか力の疼きが酷かった。

例の「夜になるとテンション上がる」ってやつだ。

正直おかしすぎるだろう。どう考えてもまともな現象じゃない。

 

 

 

ゾクッ…………。

……俺は今悪寒を感じた。俺に向けられている視線も感じる。

ストーカー?はっ、バカ言え。俺なんかより木場をストーキングしてた方がよほどましだ。

じゃあこの視線は一体なんだ?

が、その答えはすぐに出た。

俺の眼前。道の先に男がいた。スーツを着込んだ男。とんでもなく俺を睨んでいやがる。

正直、視線が合っただけで体の芯まで凍る自信がある。

じゃあこの悪寒の正体はアレだ。……殺意ってやつだ。

 

 

「これは数奇なものだ。こんな都市部でもない地方の市街で貴様のような存在に会うのだからな」

 

 

うっわー。絶対この人頭がイッちゃってる系の人だ。どう考えても危ない人だ。刃物とか出されたらどうする!

ここはアレだ。三十六計逃げるにしかず。逃げるが勝ち。

バッ!

俺は男が次の言葉を言う前に振り向きざまに元来た道を全速力で戻った。

あんな奴に付き合ってられるか!今の内に絶対に尾けられないほどの距離を稼いでやる!

 

 

 

十五分ほど走ったところで開けた場所に出た。

そこは奇しくも俺が夢の中で夕麻ちゃんとデートをした場所ーーーーーーーー公園だ。

俺は一旦足を止め、歩みに変える。少しだけ息を整えてから噴水の辺りまで歩を進めた。

そう、ここだ。ここが俺の夢の最終地点。夕麻ちゃんに……殺された場所だ。

 

 

「逃がすと思うか?下級な存在はこれだから困る」

 

 

ーーーーっ!

後ろから気配を感じ振り返ってみればそこにさっきのスーツ姿の男がいた。

オイオイ、ご丁寧に黒い翼まで生えてやがる。なんですか?これは正夢だって言うんですか?だったら翼を生やしたお兄さんじゃなくて夕麻ちゃんにしろよ!

 

 

「ふむ。主の気配も仲間の気配もなし。消える素振りすら見せないし、魔方陣も展開しないところを見るとやはり貴様は『はぐれ』のようだな。ならば、殺したところで然したる問題にもなるまい」

 

 

そう言って男は手を翳してくる。

耳鳴りがする。俺はこの現象を知っているぞ。ああ、夢で何度も見たさ。だったら次はアレだろ?確実にーーーー槍だ。槍が形成される。

そう俺が考えた時には光の槍が出来ていた。

ーーーー殺される!

 

 

「二度目はさせねええええええええ!」

 

 

そう、思った時だった。

いつの間にか俺の目の前には一人の男が立っていた。

俺はこの男を知っている。

駒王学園の有名人の一人に名を連ねていて、俺に挨拶してくる奇特な後輩。

 

 

「ーーーーーーーー鉄!」

 

「すんません兵藤先輩!遅れました!」

 

 

そう、こいつは鉄大兎。俺の後輩にあたる人物で有名人の一人。

いや、待て。こいつは光の槍をどういう風に対処したんだ……?

 

 

「な、なんだ貴様は⁉︎先程は確かに仲間の気配はしなかったぞ!一体いつの間に現れた!」

 

 

突如現れた鉄に狼狽するスーツ姿の男。

そりゃそうだ。俺だってこいつがどうやって現れたのか気になる。

 

 

「んなもん走ってきたに決まってんだろ!結構離れたところからな!」

 

 

それに対する鉄の答えがこうだ。

いや、それはおかしいだろう。

確かに今の時間帯の俺は凄いスピードで走れるけども、スーツ姿の男のセリフから考えればこいつは気配察知できる範囲外から走ってきたことになるぞ?

いや、あの男が察せられる気配の範囲が狭かったのかもしれないけど。

 

 

「くっ!だが貴様のような人間如きがどうやったかは知らんがどうせマグレだろう。二度目はないと思え!」

 

 

またスーツ姿の男が光の槍を形成してきた。

しかも今度は先程のよりも強そうに感じる。いや、実際に強いんだろう。何故だか俺にはわかる!アレを喰らったら少なくとも俺は即死だ!

ヒュッ。

投げられる槍。

だがそれは俺たちには届くことは能わなかった。何故なら目の前で今度は爆発が起きたからだ。

 

 

「その子たちに触れないでちょうだい」

 

 

俺と鉄の隣を女性が通り過ぎていく。紅い髪。後ろ姿からでもすぐに理解できた。夢で見たあの人ーーーー。

顔までは覚えていない。だが俺には確信があった。

 

 

「その紅い髪……グレモリーの者か……」

 

「ええそうよ。私はリアス・グレモリー。ご機嫌よう、堕ちた天使さん。この子たちにちょっかいを出すというのなら容赦はしないわ」

 

「……なるほど、私が『はぐれ』だと思っていた小僧はそちらの眷属だったのか。この町もそちらの縄張りというわけだ。今日のところは詫びるが、眷属は放し飼いにしない方がいいぞ?うっかり手が滑って殺してしまうかもしれんしな」

 

「ご忠告痛み入るわ。この町は私の管轄なの。私の邪魔をしたらその時こそ覚悟していなさい」

 

「おお、怖い怖い。流石はグレモリーの次期当主といったところか。我が名はドーナシーク。再び見えないことを願う」

 

 

彼女とドーナシークと名乗ったスーツ姿の男は互いに何かを言い合い、終わったと思った時にドーナシークは黒い翼をはためかせて去っていった。

なんだかわからないが助かった?なら良かっーーーーー

 

 

 

 

 

 

〜大兎サイド〜

 

結局あの後あいつにこってり絞られた……。

いやまあ確かに言われた任務をこなせなかったのは悪いとは思うよ?だけどそっから罵詈雑言の雨あられぶつけなくてもいいじゃんかよ。ヒメアはヒメアであいつに突っかかって結局俺がストッパーにならないといけなかったしさ……。

……ん?あの姿は兵藤先輩だな。挨拶しておくか。

 

 

「あ、兵藤先輩。おはようっす」

 

 

正直敬語って慣れねえなー。けど一応形式上先輩だからなんちゃってでも敬語にしておかないとマズイよな。今後の人間関係的に。

 

 

「鉄か……。なんで俺に挨拶してきたんだ?」

 

「いや、先輩なら挨拶するのは普通……ですよね?」

 

 

先輩から疑問を呈されたからそれに対して俺は答えた。

ま、正直普通ってのが俺にもわからないから曖昧な答えになっちゃったけども。

そこで俺は気付いた。兵藤先輩の顔色が悪いことに。

一体どうしたんだろうなーと思いつつ俺は一応訊いてみた。

 

 

「兵藤先輩顔色が悪いっすよ?大丈夫すか?」

 

「あぁ、いや大丈夫だ。お前は彼女とイチャイチャしとけ」

 

「兵藤先輩がイチャイチャを許容した……?成る程、これが天変地異の前触れってやつか……?」

 

 

多分兵藤先輩は俺のことを失礼だと思っているのだろうがそう思ってもしょうがないだろう。

だって……なあ?

俺じゃなくても多分少なからず兵藤先輩を知る人なら同じ反応するんじゃないかな。まさしく青天の霹靂ってやつだ。

 

 

「なあ、お前天野夕麻ちゃんって知っているか?」

 

「天野夕麻?…………ああ、知っていますよ」

 

「ーーーーっ!なあ、オイ!嘘ついてんじゃないだろうな!」

 

 

そう俺が言った瞬間、俺は胸ぐらを掴まれた。

まずこの行為に俺は目を丸くしてしまった。更に言うならヒメアが俺に引っ付いているにも関わらず俺の胸ぐらを掴むといった行為をしでかしたことにも。

そろそろ来るんじゃないかなー。

 

 

 

バチン!

ほら来たー。ヒメアが俺との時間邪魔されたから魔術で威嚇行動に出たんだろう。だけどおかしいな。何時ものヒメアだったらすぐにでも殺すことができる魔術を組み立てるはずなのに……。

 

 

「あなた大兎の胸ぐらを掴むなんて何様のつもり?いくらあなたが下等な人間じゃなくなったとしても許される行為じゃないわ」

 

 

……ん?今ヒメアなんつった?……人間じゃなくなった?

っと、今はそれよりフォローだよな。

 

 

「ちょっ!ヒメア落ち着けって!すいません兵藤先輩!ヒメア意外と力が強いんすよ!」

 

「あ、ああ。そうなのか。いや、こっちこそいきなり胸ぐら掴んで悪かったよ」

 

 

良かった。一応は納得してくれた。

さっきの事はヒメアに後で訊いてみるか。じゃないと今度は俺が納得できない。

 

 

「で、本当なんだろうな?天野夕麻ちゃんを知っているって」

 

「いや、確かに知っていることには知っているけど……あ、写真見てみます?」

 

「ーーーーっ!見せてくれ!頼む!」

 

「はいはい、えーっと、あ、これだ」

 

 

多分、この話は兵藤先輩にとってのタブーだったんだろう。恐らくだが天野夕麻という存在はお前の幻想だとかそんなことを言われたんじゃないかな。

俺も生徒会でそういうのに巻き込まれた一般人の記憶を消去することとかはあったからな。

あの人間じゃなかった奴もそれをしたんだろうな。だけど俺や兵藤先輩が覚えている。

兵藤先輩はさっきの人じゃなくなったって件で覚えていて俺はそもそも二年じゃなくて部活にも所属していないから消さなくても大丈夫と判断されたんだろう。

…………取り敢えず、ここは話を濁しておこう。

すまん、お前の写真借りるわ。

 

 

「ああ、すまん。ありがとうな。けど俺が知りたい夕麻ちゃんとは違ったわ」

 

「それ、俺の知り合いの天野夕麻って言うんすけどね。お役に立てなくて申し訳ないっす」

 

 

そりゃ違うだろうな。

だって俺が見せたのは違う奴の写真だからな。そもそも天野夕麻の写真を持ってなかったからって言うのもあるけど。

そして兵藤先輩は軽い挨拶だけして学校へと行ってしまった。

…………さて、と。

 

 

「……ヒメア?さっきの人間じゃなくなったってどういう事?」

 

「ん〜?それはね、大兎。あいつからなんだか美雷ちゃんと似たような感じがしたからだよ〜」

 

「美雷と同じってーと『悪魔』か」

 

 

成る程、取り敢えず納得は出来た。

『悪魔』は何らかの方法で瀕死だった兵藤先輩を助けたんだろう。その代償が『悪魔』になること。或いは『悪魔』にすることが唯一の助けられる道だったのかもしれない。

 

 

「……っはぁ〜。考えなきゃいけないことが多すぎるな〜。……ま、今は学校に行っときますか」

 

 

俺は深く考えるのを止めた。

俺は頭がそこまでいい方じゃないからそんな事をしても無駄だと思ったからだ。

後のことは放課後になってから考えればいい。

 

 

 

 

 

時は流れて現在放課後。

俺たちの今日の学校生活はとくに何も起こらなかった。

……まあ、まだ入学したてだし慣れてないってのも一つの要因なのかもだけど。

で、場所は兵藤先輩と同じく変態三人組として数えられている松田先輩の家の近くだ。

まさかベランダとかにこっそり潜んで監視とかするわけにもいかないしな。つーか、金積まれてもやりたくねえ。だって今部屋でエロDVDの鑑賞中ですよ?俺の方が反応に困るわ。

時刻もいまや午後10時。よくもまあ五時間近くぶっ通しで観れるよな。逆に感心してしまう。

おっ、兵藤先輩出てきた。元浜先輩も一緒か。ようやく家に帰るみたいだな。

じゃあ今日はこれで何事もなく無事に終了ーーーーーーするわけないか。

兵藤先輩が元浜先輩とも別れた後ちょっとしてから兵藤先輩の目の前にスーツ姿の男が現れた。

……間違いない。あの天野夕麻とかいう奴の同じ感じだ。殺気がダダ漏れだしな。

あ、兵藤先輩走って逃げ出した。まあ正しい選択だよな。

スーツ姿の男は逃げ出したのを確認してから黒い翼を生やして空を飛んで追いかけて行った。

じゃあ俺は更にその後を追いかけますよっと。

 

 

 

兵藤先輩が走ってから十五分。

辿り着いた場所はあの日兵藤先輩が瀕死にされた公園だ。

あの時はヒメアがいたから間に合わなかったが今回はどうにかヒメアを説得して家に置いてくることに成功した。

……まあ、後でこってりと絞られるだろうなあ。

そんな俺にとっては他愛ない事を考えていながら俺も公園内に入ろうとしたがそこで足を止めた。

気配を探られている感じがしたからだ。

範囲は公園がすっぽり収まる範囲。だから俺はその一歩外に、つまりは敷地外で止まった。

…………よし、気配察知はしなくなったな。今から駆けつける!

俺は脚に力を送り全速力で駆けつけた。

出くわしたのは丁度光の槍を投げようとしている場面だった。

 

 

「二度目はさせねええええええええ!」

 

 

俺は光の槍を拳で殴りつけそれを打ち消した。

ん、この程度ならまだ力を使うまでもないな。余裕余裕。

 

 

「ーーーーーーーー鉄!」

 

「すんません兵藤先輩!遅れました!」

 

 

あいつにバレないように追跡するのは本当に骨が折れる。俺は追跡とか言うのよりも護ることの方が得意なのにな。

 

 

「な、なんだ貴様は⁉︎先程は確かに仲間の気配はしなかったぞ!一体いつの間に現れた!」

 

「んなもん走ってきたに決まってんだろ!結構離れたところからな!」

 

 

嘘は言っていない嘘は。

実際走ってきたわけだし、結構離れたところからって言うのも本当だ。だって松田先輩の家から離れてそこそこいったところから今の兵藤先輩の実力で十五分で着くような場所だぜ?遠くないわけがない。

 

 

「くっ!だが貴様のような人間如きがどうやったかは知らんがどうせマグレだろう。二度目はないと思え!」

 

 

…………そっかぁ。

多分だけど、アレ『堕天使』だよな?その『堕天使』さんから見て俺は『人間』なわけだ。

実際はそんなことないのにな。俺のこの身体はどうしようもなく化物の身体だってのに。

……で、またあの『堕天使』さんは光の槍を作って俺たちに投げようとしているな。今度は少し強めだな。だけどまだ対処はできるな。

だがそれは対処することができなかった。

何故なら対処する前に対処されたからだ。

 

 

「その子たちに触れないでちょうだい」

 

 

目の前で起きた爆発は紅髪の彼女、リアス・グレモリーが起こしたものだろう。

まあ、俺が動かないで済むのならそれに越したこともないな。

 

 

「その紅い髪……グレモリーの者か……」

 

「ええそうよ。私はリアス・グレモリー。ご機嫌よう、堕ちた天使さん。この子たちにちょっかいを出すというのなら容赦はしないわ」

 

「……なるほど、私が『はぐれ』だと思っていた小僧はそちらの眷属だったのか。この町もそちらの縄張りというわけだ。今日のところは詫びるが、眷属は放し飼いにしない方がいいぞ?うっかり手が滑って殺してしまうかもしれんしな」

 

「ご忠告痛み入るわ。この町は私の管轄なの。私の邪魔をしたらその時こそ覚悟していなさい」

 

「おお、怖い怖い。流石はグレモリーの次期当主といったところか。我が名はドーナシーク。再び見えないことを願う」

 

 

あいつの名前ドーナシークって言うのか。

図らずも情報収集が捗ったな。うん、感謝感謝。

そしてドーナシークは去っていった。

取り敢えず今日から暫くはわざわざこちらに出てくることも多分ないだろう。

さて、取り敢えずこの事態をどう収集するかーーーーーーーー

 

 

バタン。

俺が聞いたのはそんな音。

振り返ってみれば兵藤先輩が地に突っ伏していた。

 

 

「あら?気絶してしまったのね」

 

「みたいっすね。多分、緊張をの糸を張り詰めていてそれがブツリと切れたんでしょう。気疲れで気絶したんでしょうね。取り敢えず俺が家まで運んどきますよ」

 

「あら、そう?ならお願いするわね。……あぁ、そうそう。もうこの子も頃合いだし私の元に呼ぶけどあなたも一緒に呼ぶわよ。理由は…………わかるわよね?」

 

「出来ればわかりたくなかったんですけどねー」

 

 

俺はリアス先輩と少しばかり会話をした。

兵藤先輩は俺が家まで送り届けるとして彼女は兵藤先輩を自分の元に呼ぶんだと。で、それに俺も参加させようって魂胆だな。

まあ、当然か。この土地の管轄者なら手加減されてたとはいえ、『堕天使』の光の槍に対処できる奴は何をしでかすかわからないから危険だと感じるんだろう。

 

 

 

この事、あいつにどうやって説明したらいいもんかなー、と俺は今日来るであろう身体的疲労及び精神的疲労で明日は潰れないことを誓うのだった。




終わった……。
ヤベェ、今回ちょっと調子に乗りすぎた。
10000文字オーバーってなんだよ前回は4000程度だったのに。
話の取捨選択が確実にうまくできてないよなぁ……。
と、ナーバスになる這い寄る劣等感でした。


さて、次回の『ハイスクールD×D〜黒いウサギがお邪魔します〜』は『黒ウサギ、お姉様に呼ばれ取引をする』でお送りしたいと思います。
それでは皆様アデュー!
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