ハイスクールD×D 黒いウサギがお邪魔します   作:這い寄る劣等感

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本当は昨日投下するつもりだったがバカみたいに風邪引いとりました。
いっつもすっぽんぽんで寝るのがあかんかったんや……!
よーし、おじさん頑張っちゃうぞー!


黒ウサギ、己の間違いを知る

〜イッセーサイド〜

 

 

俺は部室に転移してから部長に悪魔祓いについての説明を受けた。

悪魔祓いには二通りあるらしく、一つは正規の悪魔祓い。もう一つがはぐれ悪魔祓い。

またはぐれなのかと俺は思う。

もうなんでも頭にはぐれをつけたらそういう意味になるんじゃないんだろうか。はぐれ天使、はぐれ堕天使ってな。

どうも、はぐれ悪魔祓いは悪魔を殺すこと自体に快感を覚えてしまった類らしく、そういうのは一つの例外もなく追放されるか、裏で始末されるかするらしい。

だがそれでも運よく生き延びたはぐれ悪魔祓いは堕天使のもとに集い、その加護を受ける。先程のフリードがいい例だ。

……ヤバいのはわかる。俺がこの身で感じ取ったからだ。鉄も見た感じだと互角みたいだったが、実際はどうなのだろう。

 

 

「部長、鉄はどうするんですか?」

 

「彼は力を持っているわ。堕天使を倒すことは無理でも、逃げる事くらいならできる。それに彼女、サイトヒメアが黙ってないでしょうね」

 

 

サイトヒメア……。今までは沙糸ヒメアというただの女の子かと思っていたが、どうも違うらしく鉄に力を与えた張本人らしい。

取り敢えず、鉄のことはいいとしよう。そもそも、俺の実力じゃ鉄を救うどころか足手まといにしかならない。

 

 

「部長!俺はあのアーシアって子を!」

 

「無理よ。どうやって救うの?あなたは悪魔。彼女は堕天使の下僕。相容れない存在同士よ。彼女を救うってことは、堕天使を敵に回すことになるわ。……そうなったら、私たちも戦わねばならなくなる」

 

「…………」

 

 

俺は何も言い返せなかった。俺のワガママで部長たちに迷惑をかけてしまう。いや、実際既にかけているのだ。例え、不可抗力だとしても。

俺は無力だ。女の子の一人も救えない。俺は弱すぎる。

 

 

 

 

 

 

「はぁ……」

 

 

俺は児童公園のベンチに座り大きなため息をついた。

別段、どこも悪いわけではない。強いて言うなら学校に行く気分ではなかったのだ。

部長には無理を言って休ませてもらった。部長が実質的にあの学校を仕切っているわけだしこういうのはアッサリと通るものなんだろう。

ぐーっ。

腹が鳴る。そういや朝から何も食ってないな。

ずっとアーシアや俺の悪魔人生を考えていたからな。

どうやってアーシアを助けるか。そもそもアーシアは今の環境を憂いているのか。いくら考えてもわからない。

俺ならあんな殴ってくる神父がいる職場で働きたくはないと自分勝手に思ってみる。

うーん。俺が独断で動いたら部長たちには多大な迷惑をかけるしなぁ。

……強くなりたい。それが今俺の心を支配していた。

力こそ全てというわけではない。だけど力がなくちゃなにも始まらないこともある。

あれから訓練して神器を好きな時に出せるようになった。けれど、いまだ発動していないため、宝の持ち腐れをしている。って、神器に頼るような根性じゃダメなのかな。

よし、取り敢えず筋トレだ!んで、部長と朱乃さんに魔力の扱い方を教えてもらう。……遺憾だが木場に剣の使い方を教えてもらおうかな。それと鉄に格闘術を。

取り敢えずの目標ができた。あのクソ神父より強くなる。いや、最低でも堕天使から逃げられる程度の強さは欲しい。

俺は兵士だけど頑張れば出来るはずだ。よし、頑張るぞ!

と、重い腰をベンチからあげたとき、視界に金色と淡い水色だった。

 

 

「……アーシア?」

 

「……イッセーさん?」

 

「……俺は無視なのね」

 

 

 

 

俺たち三人は昼飯のためにハンバーガーショップに行っていた。

アーシアが一人で何とかしてみせると言うので見守っていたが、ダメだ。注文に四苦八苦している。

考えてみたら日本語上手くないもんね。見兼ねて俺はフォローを入れて俺と同じメニューにした。

そして俺とアーシアは鉄が確保しておいた席に座りハンバーガーを食べ始めた。

アーシアがハンバーガーの食べ方がわからない感じだったので食べ方をレクチャーした。ポテトは手づかみだーと言うことも。

それらに新鮮な反応を返してくれるアーシアちゃんマジ可愛かったです。

同時に世俗とかけ離れているなぁと思いもした。

そういや鉄はどうしてここにいるんだ?

 

 

「おい、鉄。お前なんでここにいるんだよ?」

 

「部長さんに扱き使われている最中です。堕天使から辛くも逃げ出した俺にこの仕打ち、酷くね?」

 

「……何やらされてるんだ?」

 

「イッセーを探して今日一日様子を見なさいですって。ようは監視ですね。バカな行動に出ないように」

 

 

何だよ、それと思わなくもなかったが昨日の今日だからしょうがないと言えなくもない。

今日休んだ理由だって堕天使のとこに乗り込むんだと思われたかもしれない。

 

 

「で、なんでアーシアと一緒にいた?つーか、お前言葉がわからないんじゃなかったのか?」

 

「アーシアとはたまたま出会いました。で、何となく連れ立っているうちにイッセー先輩を発見したわけですね。言語に関してはヒメアにらどうにかしてもらいました。ヒメア、魔術で全部の国の言語が自動的に翻訳されるみたいですね。それを俺にもかけてもらいました」

 

 

本当にヒメアちゃん凄いな。悪魔じゃないのに悪魔みたいだ。翻訳とかそこらへん。

今はそんなことよりもアーシアだよな。

休み時間に出てきたとか言っていたけど鉄と一緒にいたとはいえ、何かに怯えているようだった。いや、寧ろ鉄に怯えていた……?

マサカな。そんなことはありえない。鉄は普通にいい奴だ。それに怯えるなんて、な。

何にしろアーシアを今憂鬱な気分にさせるのは偲びない。

うん、そうだな。今日はそうしよう

俺の中で一つの結論が出る。

 

 

「アーシア。今日は遊ぶぞ。次はゲーセンだ」

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

「峠最速伝説イッセー!」

 

 

ブゥゥゥゥン!

アクセルを踏み、カーブで手早くギアチェンジ!

そして一気に相手車両を抜き去る!

 

 

「速いです!速いです、イッセーさん!」

 

「それに付き合わされてる俺の身にもなってくんねえかな⁉︎」

 

 

因みに鉄も参加させています。

しっかしこいつ上手いとも下手いとも言えない平凡なレベルだな。

そんなレベルじゃオカルト研究部に入るまでは帰宅部で近くのゲーセンを駆け抜けた俺には敵わない!

 

 

『WIN!』

 

『LOSE!』

 

 

俺の目の前には勝利を告げる文字が、鉄の前には敗北を告げる文字が浮かぶ。

ああ、また世界の速度を縮めてしまったぜ……。と自分で酔いしれてみる。

ふと、アーシアが視界から消えていた。キョロキョロと見渡せば、クレーンゲームの前に張り付いていた。

 

 

「どうした?」

 

「はぅ!い、いえ……。べ、別になんでもないです」

 

「何か欲しいのか?」

 

 

そう言いクレーンゲームの中を見るとそこには人気キャラクターのラッチューくんの人形がいた。ネズミが元の可愛いマスコットキャラだ。

 

 

「ラッチューくんてなあ……。俺の頃はピカチュウとかなのに」

 

 

鉄も近くに来てなんかよく分からない事を言い出した。

ピカチュウってなんだ?全くわけがわからん。

 

 

「よし!俺がとってやるよ!」

 

「えっ!で、でも!」

 

「いいから、俺が取るよ」

 

 

こう見えてもクレーンゲームも中々の戦績を収めているんだぜ?

そうは思ったが、これがまた苦戦してしまった。

一度目はいいところで落とし、二度目は問題外。三度四度と外しアーシアが不安がるようになった五回目でようやく人形を落とした!

 

 

「やりぃ!」

 

 

俺は思わずガッツポーズを取りながら取り出し口に落ちてきたラッチューくん人形を手にしてアーシアに渡す。

 

 

「ほら、アーシア」

 

「ありがとうございます、イッセーさん。この人形、大事にしますね」

 

「おいおい、そんな人形くらいだったらまた取ってあげるよ」

 

「いえ、今日いただいたこのラッチューくんは今日の出会いが生んだ素敵なものです。この出会いは今日だけのものですから、この人形を大事にしたいです」

 

 

……なんとも恥ずかしいセリフを言ってくれるものだ。

でもこの子が言うからかなんか様になっている。

まあいいさ!

 

 

「よし!まだまだこれからだ!アーシア、今日一日遊び尽くすぞ!ついて来い!」

 

「は、はい!」

 

「まだやんのかよー……」

 

 

俺はアーシアの手を引き、ゲーセンの奥へと向かった。

鉄?そんなもんアーシアに比べたら優先順位が低い!

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、遊びすぎたな」

 

 

俺はアーシアと二人で苦笑しながら歩道を歩いていた。

鉄は後ろでグロッキーになっている。確かにあれは大概やり過ぎたとは思うけどそこまでなるほどか?

 

 

「ん、痛」

 

 

不意に鉄が声を出したのでそっちを見たらなんでか鉄が指を切っていた。どこかで切ったんだろうか?

 

 

「大兎さん、ケガをしたのですか?手を貸してください」

 

「ん?あ、ああ」

 

 

鉄は言われた通りに手を差し出し、アーシアがそこに自分の手のひらを当てる。

そこから優しい緑色の光が照らされ鉄のケガは見る見る内に治っていった。

おおっ、これはすげぇ!

 

 

「凄いな。アーシアは。治療の力、すごい力だ。……これって、神器、だよな?」

 

「はい、そうです」

 

「実は俺も神器を持っているんだ。つっても、アーシアのに比べたらいまだどんな機能かもわかっていないやつなんだけどな」

 

 

アーシアは複雑そうな表情を浮かべ、少しだけ俯く。

少しして、彼女の頬を一筋の涙が流れ落ちた。そして彼女はその場で咽び泣きだした。

俺と鉄はどうしたらいいかわからず、取り敢えず座れる場所を探しアーシアを座らせた。

その時に語ったのは『聖女』と祭られた優しい少女の末路だった。

 

 

 

 

 

 

 

欧州のとある田舎に生まれた少女は生まれてすぐに両親から捨てられた。

捨てられた先の教会兼孤児院でシスターと他の孤児たちと共に育てられる。

子供の頃から信仰深く育てられた少女に力が宿ったのは八つの頃。

偶然、負傷した犬子犬のケガを不思議な力で癒したところをカトリック教会の関係者に見られてしまう。

そこから少女の人生はガラリと一変する。

少女は『聖女』としてカトリック教会の本部に連れて行かれ担ぎ出された。

訪れる信者に加護と称し、体の悪いところを治療してあげる。

噂は別の噂を呼び、少女が多くの信者からも『聖女』と呼ばれるのはそう遠くなかった。少女の意思などそこには介在していないのに。

待遇に不満はなかった。教会関係者は良くしてくれるし、ケガをした人を治すのは嫌いじゃない。

自分の力が役に立つのが嬉しかった。

神様が授けた不思議な力に彼女は感謝した。

だけど彼女の周りには彼女を理解しようとする人間はいなかった。彼女が心を許せる友人にはなれなかった。

少女は理解していたのだ。自分の身に宿るこの力は周りの目からは異質なものとして見られていることを。

更に彼女の人生に転機が訪れる。

彼女の目の前で悪魔が傷ついていたのだ。

悪魔と言えどケガをしているのならば少女は治さない道理はない。それは彼女の元来の優しさ故の行動だったのだろう。

だがそれは裏目に出た。

ここでもたまたま関係者に見られていたのだ。

そして教会の人間は驚愕する。彼らの常識で言えば悪魔を治す力などないのだ。

治療を受けられるのは神の加護を受けし者だけ。

過去にも事例はあったらしい。だが教会は彼女を『魔女』と称した。

『聖女』だった少女は『魔女』となり、あっさりとカトリックから捨てられた。

そんな少女を救ったのは極東にあるはぐれ悪魔祓いの組織。つまりは堕天使の加護を受けなければならなくなっなのだ。

彼女は一度たりとも神への祈りを欠かしたことはなかった。感謝も忘れたことはない。なのに裏切られた。

 

 

 

「きっと、私の祈りが足りなかったんです。ほら、私、抜けてますから。一人でハンバーガーも買えないくらいバカですから」

 

 

そう言って少女ーーーーアーシアは笑いながら涙を拭った。

俺はなにもかける言葉を持たなかった。

想像を絶する彼女の過去を知り、どう声をかけたらいいかがわからなくなったからだ。

そんなことを思っている時にも彼女は自分に言い聞かせるかのごとく自分に与えられた試練だと言う。

もう、言わなくてもいいんだぞ……。

その内、彼女は涙を溢れさせた。

もう見ていられなかった。きっと、ずっと我慢しきたんだ。

自分の意思を心の奥へ奥へと引っ込めて神の加護を待っていたんだ。

おい。おい、神様!どういうことだ⁉︎なんでこの子を救ってやらない!

誰よりもあんたに救いを求めて誰よりもあんたへ敬意を払っているじゃないか!

何してんだよ!なんで何もしてやらないんだよ!

俺はあんたのことなんかちっとも信仰してないし、今は悪魔だけどさ。だからって声をかけるくらいなら俺ですら出来るんだぞ!

神器はあんたが与えているんじゃねえのかよ!

あー、わかったよ。ならこうしてやる!見てろよ、神様よ!

 

 

「アーシア、俺が友達になってやる。いや、俺たちはもう友だちだ。悪魔だけどさ、大丈夫だぜ。アーシアの命なんて取らないし、代価もいらない!気軽に遊びたい時は電話をかけてくればいい!あ、ケータイの番号も教えてやるからさ」

 

「……どうしてですか?」

 

「どうしてもこうしてもあるか!今日一日俺とアーシアは遊んだだろ?話したぢろ?笑っただろ?なら、それでもう俺たちは友達だ!悪魔だとか人間だとかそんなの関係なくさ!俺とアーシアは友達だ!」

 

「それは悪魔の契約としてですか?」

 

「違う!俺とアーシアは本当の友達になるんだ!わけのわかないことは抜きにして!話したい時に話して遊びたい時に遊んで!そうだ、買い物に今度付き合うから!本だろうが花だろうが何度でも買いに行こう!な?」

 

「……私は世間知らずです。日本語も喋れませんし、文化もわかりません。友達と何を喋っていいかもわかりません。……そんな私でも友達になってくれるんですか?」

 

「ああ!もちろんだ!鉄、お前も友達になってくれるよな?」

 

「んあ?あー……なるのは構わないんですけどね。お客さんですよ」

 

 

客?と俺が首を傾げると突如としてバサッバサッと音が聞こえた。

この音は翼をはためかせる音。そして今そんな音を鳴らせるのはと上を見ればそこには夕麻ちゃんがいた。

 

 

「へえ?生きていたの。それに悪魔?嘘。最悪じゃない」

 

 

夕麻ちゃんはおかしそうにクスクスと笑い出す。

その声は可愛らしい夕麻ちゃんのものではなく、大人っぽく妖艶さを感じさせるものだった。

 

 

「……レイナーレさま……」

 

 

レイナーレ?ああそうか。あいつは堕天使だもんな。天野夕麻が本名じゃないよな。

 

 

「おい、堕天使さんよ。何か用かよ」

 

「汚らわしい下級悪魔如きが気軽に私に話しかけないでちょうだいな。その子、アーシアは私たちの所有物なの。返してもらえるかしら?」

 

「……嫌です。もうあんなところには戻りたくありません……」

 

 

アーシアは拒絶の意を示している。それに彼女の体は恐怖で震えていた。なら俺がすべきことは一つだ。

 

 

「おい、ゆう、いや、レイナーレさんよ。あんたこの子を連れ帰ってどうするつもりだ?」

 

「下級悪魔、私の名前を呼ぶな。私の名前が汚れる。あなたに私たちのことは関係ない。さっさと主のもとに帰らないと死ぬわよ?」

 

 

そう言うとレイナーレは手に光を集めだした。

もう何度も見ているんだ。あれは槍を形成しているのだろう。

だったら先手を打たせてもらう!

 

 

「セイクリッド・ギア!」

 

 

俺は左手を天高く掲げ、叫ぶ。

すると俺の左腕に光が纏い、それは赤い籠手となる。

あのポーズを取らなくても出せるように練習してたんだ。

レイナーレは一瞬虚を衝かれるが、すぐに哄笑をあげる。

一体何がおかしいんだ?

 

 

「あははっ!上の方々が危険視していたから命を受けたけどどうも勘違いだったようね!教えてあげるわ。あなたの神器は『龍の手』と呼ばれている神器の中ではありふれたものよ。効果は所有者の能力を一時的に二倍にすること。でもあなたの力程度が二倍になったところで恐れるに値しないわ。ホント、下級悪魔にはお似合いの代物ね」

 

 

所有者の力を二倍にする?それが俺の神器の能力なのか。

しかもありふれている……。

いや、今はこれで十分だ。

アーシアをどこに連れて行くかなんてのは後で考えて、今は目の前の堕天使をぶっ飛ばすことだけを考えていよう。

 

 

「動けよ俺の神器!俺の力を倍にしてくれるんだろう⁉︎働いてみせろよ!」

 

『Boost!!』

 

 

機械的な音声が流れた瞬間、俺の中に力が流れてくるのがわかった。これが倍になるってことか!

よっしゃ、これでーーーー。

 

 

「危ないなぁ。そんな物騒なモン投げないでくれます?」

 

「あら?ボーッとしてる方が悪いのよ。高が人間のくせによく止めれたわね。だけど残念。それは弱めに弱めて撃った槍なのよ。あなた、今のをどうにかするだけで精一杯でしょう?」

 

「…………」

 

 

何が起こったんだ……?

今、槍を投げられた?いつの間に?

それを鉄が防いだのか?だけどアレを防ぐだけで限界?しかも弱めに弱めて撃っただって?

見れば大兎もキツそうだ。てことは本当なのか。

 

 

「アーシア。その悪魔と人間を殺されたくなかったら私と共に戻りなさい。あなたがその身に抱える神器は我々の計画の中枢を担うのよ。そこにいる悪魔のとは違って希少なモノだしね。応じないのなら、そいつらを殺すしかないわ」

 

 

レイナーレは冷酷な指示を下す。

俺たちの命が人質ってことかよ!そうはさせるか!

 

 

「う、うるせぇ!お、おまえなんかーーーー」

 

「わかりました」

 

「アーシア!」

 

「イッセーさん。大兎さん。今日は一日ありがとうございました。本当に楽しかったです」

 

 

彼女が浮かべるのは満面の笑み。

俺にはそれが何故だか悲しいものに見えてしまった。

 

 

「下級悪魔と人間。アーシアのおかげで命拾いしたわね。次に邪魔をしたらその時は本当に殺すわ。じゃあね、イッセーくん」

 

 

レイナーレはアーシアを抱いて空高く飛び上がり、空の彼方へと消え去ってしまった。

あとに残されたのは黒い羽と俺、鉄にラッチューくんの人形だけ。

ーーーー何もできなかった。

俺は自分の無力を呪いながら空に向かってアーシアの名を叫んだ。

 

 

 

 

 

 

〜大兎サイド〜

 

 

ヤッベェ……。くっそ眠ぃ……。

俺、鉄大兎は兵藤一誠を探していた。

理由は部長さんに何をしでかすかわからないから見張っておいてほしいと言うものだ。まあ、言葉の節々に心配するような声音があったから心配しているんだろうけど。

だからって俺をこき使っていい理由にはならねえよなあ。

眠気を取るための簡単な方法である自殺もこんな往来じゃ使えないしなあ……。

 

 

「あ、大兎さん……」

 

「んあ?あー、アーシアちゃんか。こんなとこでどしたん?」

 

 

探している最中に昨日も会った金髪シスター、アーシアに出会った。

けどなんでかビクついてるなあ。一体何があったんだろう。

……あれ?これもしかして俺が原因?昨日殺気振り撒いたのが原因だったりする?それを覚えていたり?

うっわー、だったらビクつくのはしょうがねえわ。うん。

 

 

「あの……イッセーさんはどこにいるのでしょうか?」

 

「俺も今探してんだけどねぇ。あ、じゃあ一緒に探すか?」

 

「あ、は、はい」

 

 

俺とアーシアは二人連れ立ってのんびり緩やかにイッセー探しを開始した。

結果だけで言えばかなりすぐ見つかったけど。

そこらへんの児童公園でなんか黄昏ている。と思ったら立ち上がったな。で、俺は軽く無視と。まあいいんだけどね。

 

 

 

 

 

 

ハンバーガーショップかあ。

俺は席取り、イッセー先輩とアーシアは注文を取りにいった。

注文の様子は……っと、ありゃ苦労してるな。俺も最近までわからなかったしなぁ、その気持ちはかなりわかる。

おっ。ようやく来たな。

モシャモシャ食ってるとイッセー先輩が俺になんでここにいるかと何故アーシアと一緒にいたかを訊いてきたのでしっかりと説明しました。まあ、アーシアが探していたとかいう部分は言わないけどね。

で、なんでか遊ぶことになりました。さっきから俺のこと無視してるよね?

 

 

 

 

 

 

今はゲーセンでレースゲームをしている。

ハッキリ言おう。俺もまあまあゲームする方だがやりこむ方じゃない。だからこんなんで勝てることの方がまず無理だ。なんで参加させられているのか不思議でたまらない。

アーシアの視線がラッチューくんの人形から離れない。どうも欲しいらしいね。

俺の時はピカピカ言う電気ネズミだったんだけどなー、と思っていたらどうも考えが漏れていたらしい。イッセー先輩が不思議な顔をしている。

イッセー先輩は五回チャレンジしてラッチューくんを落とすとアーシアにプレゼントした。

アーシアは本当に嬉しそうだな。

 

 

 

 

 

 

さす……がに遊び……すぎだ……ろ。

ヤバイ本当にヤバイ。もう眠すぎてたまらん。こんな時に限って付き合わされるんだもんなあ。早く自殺したい。

えーい、こうなったら少しだけ指を切るか。

痛っ。痛覚は残ってるから厄介だよなあ。まあ痛覚残ってなかったらそれはそれでアレだけどさ。

これで当面は大丈夫と思った時にアーシアが俺に治癒の神器を使ってきた。意味ないんだけどね。俺にケガなんてないし。

治ったのも俺の能力によるものだ。神器より早くな。

イッセー先輩が神器のことを言ったら唐突にアーシアは泣き出した。

あー、そういやなんかいやな過去があるっぽかったしな。きっとそれだろう。

 

 

 

 

 

 

それから聞かされたアーシアの過去はなんだか既視感のあるものだった。

アレは確か……そう、オルレアンの聖女。ジャンヌ・ダルクだ。

まさしくあれのエピソードにそっくりだ。経緯はともかくとして『聖女』から『魔女』になる部分が。

イッセー先輩はなにかに憤慨したらしくそれを覆すためだかは知らないけどアーシアと友達と言い出した。ついでに俺も友達宣言させられそうになったがそうもいかないようだ。つっても、なること自体にはなんら問題ないけどね。

現れたのは天野夕麻と名乗っていた堕天使。本当の名前はレイナーレと言うらしい。

俺はレイナーレの話を聞いていたら俺の中ではありえない言葉が聞こえてきた。

アーシアが所有物。

いや、だがまだ足りない。そう断定してしまうのに必要なピースが足りない。だがもしそうだとするならば、俺はあの時に救っておかなきゃいけなかったんだ。

イッセー先輩が神器を発動させた。

アレが神器か。それも神を滅するほどの力を持っていると言う。だけどまだ完全じゃないみたいだ。レイナーレもなんか『龍の手』とか言っているし。

おっと。

レイナーレは光の槍を投げてきた。俺はそれに対処する。

どうも弱いな。そう思っていたが相手の方から種明かししてくれた。

どうも、弱めに弱めて撃ったらしい。つーか眠いな。もう喋る気力も残っていない。

眠気的にはさっきので限界だ。

そしてようやく出来上がった。断定するに足るパズルが。

アーシアは所有物。儀式。アーシアの嫌がり方。

これだけで十分だ。俺が間違っていたことを知るには。

レイナーレはアーシアを抱えその場から飛び去った。

イッセー先輩は天に叫んだ後、学校へと向かった。

これでようやく死ねる。

俺は自分の右手を躊躇することなく喉に突き刺した。

俺の右手は首の骨を粉砕し、延髄まで断ち切る。これで俺の命は一回終了だ。

さーてと

 

 

「イッセー先輩はアーシアを助けようとするだろうしなあ。俺がするのは裏方だ。四人の内三人を俺が引き受ける」

 

 

誰も聞いていないがそんなのは問題じゃない。

それに誰も聞いていないわけでもないしな。

俺はイッセー先輩の後を追い、学校へと向かった。




今回は文字数10000手前でーす。
しかも書いててアレだけど大兎くんの方手抜きですねこりゃ。
すいません。正直ダルかったんです……!

次回の『黒ウサギ、堕天使を殲滅する』では本気出しますから!
間違っても「作者と読者の間でこんなにも意識の差があるとは思わなかった……!」にはさせませんから!……多分。



それでは皆様、オンドゥルルラギッタンディスカー!
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