破壊者はその世界で何を成す   作:ベリアロク

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アップするデータを間違えていたので再17.5話アップしました。

といっても多少情報が異なる程度ですので再アップ前の話を読んだ方は見るまでも無いかもしれません。

のでページ下にあるアンケートにのみ答えていただければ幸いです。
今後の参考にします。


17.5話 ドライバーと天才

生徒に雄英体育祭の開催が告げられてから時が経ち早数日。

ある者は己が体を鍛え、ある者は戦いに向けて戦略を立て、ある者は神に祈る。

()()社会の名の通り、生徒一人一人が迫る体育祭に向け必死に努力する。

正に青春と形容できるような放課後の光景を横目に相澤は廊下を歩いていた。

 

 

「雄英体育祭まで期間はそう無いが……本当に大丈夫なのか?」

 

 

目的地は発目が根城とする整備室。

発目を担当する教師曰く「天才すぎて俺の手には余る」とのこと。

それに加えて整備室からは日常の如く爆発が起きていることからも相澤の心中にはもはや不安しかない。

けれど「既に実力はある」という同僚の言葉を信じ目的の部屋まで歩き、その扉の前までたどり着いた。

 

 

「おい、俺だ。相澤だ」

 

 

扉をノックし返事を待つ。しかし数秒のうちに返ってくるはずの言葉は一切なく、外で賑やかに過ごす他の生徒らの声が廊下に小さく聞こえるだけだった。

 

 

「おい、邪魔するぞ」

 

 

返事は無いものの扉に鍵がかかって様子から入って問題無いと判断した相澤はひんやりと冷えた扉に手を掛ける。

扉の先にあったのはそびえ立つように並ぶ何台もの機体、それを隠すかのように舞う砂埃とガラクタの山々だった。

 

 

「……」

 

「あ、先生! いらしてたんですね!」

 

 

 

あまりにディストピアすぎる空間を前に相澤が絶句しているとガラクタの山から一人、顔をひょこっと飛び出す。

薄汚れた髪にゴーグルを額に付けた少女、発目明である。

 

 

「……なんだこの散らかりようは」

 

「いや~今回のは中々ハードでヘビーでして。寝る間も惜しんで楽しんでたらあっという間に……何日経ちました?」

 

「一週間だ。それより一体なにがあったらこんな汚い部屋に……」

 

「あ、そこらへん歩くとき気を付けた方がいいですよ」

 

「おい、いい加減こっちの話をだな……」

 

「そこらへんに門矢君倒れてます」

 

「……は?」

 

 

「……よぉ相澤」

 

 

聞き慣れたかすかな声を拾い相澤は足元を見る。砂利のように積もった鉄くずに半ば身体を埋めるように士はそこに横たわっていた。

士の浮かべる表情は普段からは想像つかないほど疲れ切っていて、相澤には相当なことがこの一週間で起きていたのだと理解した。

 

 

「っ……大丈夫か門矢!」

 

「何とかな……執念深さだけなら夏みかんレベルだよこいつは……」

 

「? それって誉め言葉ですかね? ありがとうございます!」

 

「褒めてねぇよ……」

 

「それよりもです! 遂先ほど完成したんですよ……例の『ブツ』、私のドッ可愛いベイビーちゃんが!」

 

「もう少し時間がかかるかと思っていたが……本当に出来たのか。」

 

「結局何作ってたんだよ。こちとらベルトと身体を酷使されただけで何も話されてないんだが」

 

「今回発目に作ってもらっていたのは体育祭でのバランスをとるためのアイテム……いわばお前の使ってるそれの劣化版だ」

 

「劣化版?」

 

「個性把握テストの時の超スピードとか諸々を制限をしたバージョンの作成を雄英側から依頼されたのです! 門矢君とベルトは好きなように使っていいとのことでしたから遠慮なく使わせてもらいました!」

 

オイ。俺の人権どうなってんだ」

 

「お前には入学前の事件の借りがあるんだからそれぐらい良いだろ。結構面倒だったんだぞあの情報操作」

 

「汚い大人だなぁ……ヒーローってのは清廉潔白が売りだと思ってたよ」

 

「……そんなに綺麗なもんじゃないさ、ヒーローは」

 

 

「そういうアレは後でやってもらって……そろそろ良いですか? 良いですよね! 今回私が発明したドッ可愛いベイビーちゃんの紹介をば!」

 

 

発目は再びガラクタの山の中へとダイブすると

その様は某ネコ型ロボットが道具を辺りに散乱させるかのよう。

 

 

「ええと……これでもない。これ……じゃないな。これか?」

 

「おい馬鹿止めろ!」

 

「チッ……発目一旦落ち着け!」

 

「こっちのほうかな……」

 

 

相澤と門矢が同室にいることなど気にする欠片もないのか次々と飛んでくるガラクタを二人は避け続ける。静止の声も当然の如く届くわけもない。

割と命がけな障害物避けゲームは発目の「あったーーーー!!」という終了のホイッスルが鳴るまで続くのだった。

 

 

「「はぁ……はぁ……」」

 

「ありましたありました! ……ってなんでそんなに疲れてるんです?」

 

「さぁな……誰かさんの……せいなんだがなぁ」

 

「……発目、後で職員室に来い。先生たちとゆっくり話をしよう」

 

「? わかりました!」

 

 

空気がピリつくことなど気にも留めず発目は取り出したブツに巻き付けていた布を剥がし二人の前に露わにする。

これが完成した『ブツ』。けれどそれは二人の想像していたものとはかなり形が異なるものだった。

 

 

「悪戦苦闘しつつもようやく完成したものが……コレです!」

 

「これが……か? 悪いが俺には到底ベルトには見えんが……」

 

「最早形状違うし……ディスクだし。劣化版どころじゃないだろコレ」

 

「いや~実は門矢さんのベルトを丸々同じものを造ろうと思ってたんですけど、どうにも今の地球の技術でどうこう出来そうな感じじゃないんですよ」

 

 

本当に残念といった感じに発目は肩をがっくりと落とす。

どうやら4、5年あれば何とか作れるかもしれないとのことだがこの短時間での作成は不可能ということらしい。

 

 

「かの有名なMr.Jならパパっと作ってしまうのかもしれませんが……そんな夢物語は止めておきましょうか」

 

「じゃあ結局作れなかった……ということなのか?」

 

「正確には『入れ物』は再現出来たんです」

 

 

そう言って発目は懐からもう一つのブツを取り出す。左右に3つずつ並ぶ丸いクリスタル、そしてそれを際立てせるように純白なベルト。それは形状は少々異なるものの士が普段扱うベルトに違いなかった。

 

 

「けれど肝心な『中身』が作れなかったんです。ので……」

 

「ので……?」

 

「門矢さんのベルトのデータを先ほど見せたディスクを使って新たなベルトの方に移します! それが終われば依頼通りベルトの完成です!」

 

「おぉー」

 

「へぇ……」

 

 

士はその言葉にニヤリと微かに笑う。時代も違えば技術も大きく進んでいる。そんな世界でかつ形だけとは言えかの大ショッカーの技術の粋を生まれて十数年の子どもが作り上げたのだ。それも過去に士が使用していたベルトをそっくりそのまま、だ。

こんなことショッカーが知れば怒り心頭かもしれない。恐れ、顔をピクつかせる奴らの顔が目に浮かぶ。

 

 

「フッ……」

 

「それでですね門矢さん」

 

「……ん?」

 

 

そんな風に士は考えていると不意に肩を叩かれる。

見上げた先には発目の不気味な笑み。ここを訪れた初日に何も知らされず拘束され、地獄の日々を送ったことを思い出させるようなそれだった。

 

 

「実はデータを移す作業にも時間と……使う人のデータが要りまして……」

 

「……そう、か……へぇ……」

 

「また一週間……よろしくお願いしますね!」

 

 

 

発目の悪意など欠片もない輝かしいほどの笑み、対する門矢の青ざめ引きつった顔。

この相反する二つが揃ったこの光景をしばらくは忘れることはないだろう……そう相澤は第三者であることを良いことに心の中で笑いながら静かにその場を後にするのだった。

 

 

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