人理修復はプロトマーリンと共に   作:ゼノ丸

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UA一万突破ありがとうございます!これからも頑張っていきますのでよろしくお願いします!

一週間予定があって書けぬと言ったな、あれは嘘だ。寝る前に時間があったのでちょっとずつ書きました。


帰還

「――死にぞこなった二十一番目のマスターはともかく、四十八人目のマスター。まさか君たちがここまでやるとはね。見込みの欠片も無いガキだからと、善意で見逃してしまった私の失敗だったよ」

 

声の主、レフ・ライノールはわざとらしく声を張りながら俺たちを見下していた。

 

「レ、レフ教授!?」

 

『え、レフ教授だって!?まさか彼がこの特異点にいるのかい!?』

 

マシュたち四人はレフの姿見て仰天していた。俺はレフが助かっていることや、彼の正体が魔神柱であることが分かっているので特にこれといった反応は無いのだが、他の人から見れば、[爆弾で爆死したと思っていた人物が、無傷で生還していた]という風に見える。

 

――今思えば、俺と合流した時の四人の気持ちもこんな感じだったのかもしれない。

 

 

「おや、その声はロマニ君かな?君も生き残ってしまったのか。直ぐに管制室に来いと言ったのに――統率のとれないクズばかりで、吐き気が止まらないよ」

 

「…皆さん、下がってください。あの人は、あれは私たちの知ってるレフ教授ではありません!」

 

あまりに今までと明らかに態度が違うレフにマシュは危険だと判断したのか、自分の後ろに付くようにと盾を構え、俺たちを誘導する。しかし、オルガマリー所長は一人、ふらふらとレフの元へ駆けて行った。

 

「あぁ、レフ!あなたがいなくなったら私はこの先どうやってカルデアを守ればいいか分からなかった――」

 

「所長!戻ってください!その男はレフ教授では…」

 

マシュの叫びも虚しく、オルガマリー所長はレフの元へ辿り着いてしまった。ここは俺も止めるべきだったかもしれない。

 

 

「――やぁオルガ。元気そうで何よりだ。君も大変だったようだね」

 

「えぇ、そうなのよレフ!管制塔は爆発するし、カルデアには帰れないし…想定外のことばかりだった!でもあなたが、レフがいれば何とかなるわよね?」

 

「勿論だともオルガ、本当に想定外な事ばかりで頭にくる。特に想定外だったのは――君だよ、オルガ」

 

 

「―え?」

 

 

「爆弾を君の足元に設置したのに、まさか生きているなんてね」

 

ナ、ナンダッテー!ここでレフのカミングアウトが始まる。オルガマリー所長は、自分の肉体はもうとっくに死んでいることを聞いて、膝から崩れ落ちた。

 

「嘘…私は、カルデアに戻れないの?私が…消滅…?」

 

オルガマリー所長の顔は真っ青だ。その時、絶望している姿を見ていたマシュが何かを思い付いたのか、プロトマーリンに言い寄った。

 

「マーリンさん!マーリンさん程の魔術師なら、オルガマリー所長のことどうにかならないんですか?」

 

「な、マーリンだと!?」

 

 

レフはマーリンという名を聞いてギョッとした。マシュの言う通り、プロトマーリンならばオルガマリー所長のこともどうにかなるかもしれない。俺もプロトマーリンなら出来るかもしれないと思っていた。しかし、オルガマリー所長を救うことはできないとプロトマーリンは判断したのだ。何故なら――

 

「すまないね。私は魔術が大の得意ではあるけど、魔法が使えるわけじゃないんだ。彼女の肉体が残ってない以上、彼女を救うことはできないよ」

 

「そんな…」

 

そう、プロトマーリンは魔術師であって魔法が使えないのである。推測だが、オルガマリー所長を救うには第三魔法、『天の杯(ヘブンズフィール)』魂の物質化が必要だと考えている。遺伝子だけ持ち帰り、後からホムンクルスやらを生成するという手もあるが、それだとオルガマリーのそっくりさんになってしまう。なので今の俺らには、オルガマリー所長を救う方法は存在しないのだった。

 

「フ、フハハハハハ!残念だったねオルガ。どうやら最後の希望も消えたようだ!」

 

プロトマーリンの言葉を聞いて安堵したかのように、レフは再び笑い出す。

 

「そうだ、冥土の土産に、今カルデアがどうなっているのか見せてあげようじゃないか」

 

レフが指を弾くと、大聖杯の上の空間が歪み、その中に真っ赤なカルデアスが映し出される。

 

「さぁ、見たまえアニムスフィアの末裔よ。あれが君たちの夢の成れの果てだ――」

 

途端、オルガマリー所長がカルデアスに吸い寄せら始める。このままでは不味いと思い、助けようとは思ったが、俺も、マシュも、藤丸も、その場から動こうとはしなかった。否、動けなかったのである。一歩でも前に出たら自分もカルデアスに引っ張られる、と本能が警報を鳴らしていたからだ。

 

「――さぁ、オルガ、君の宝物に触れるがいい。遠慮なく、無限の死を味わいたまえ」

 

 

 

死の宣告が響く――

 

 

 

「嫌…いや…誰か助けて――」

 

 

 

 

足は動かない

 

 

 

「死にたくない…しにたくない――」

 

 

 

…動かない

 

 

 

「だって私まだ何もしてない!褒められてない!認められてない!――」

 

 

 

…動け

 

 

 

「ヤだ…ヤめテ…いやイやいヤいやイヤイヤイヤイヤ!!!――」

 

 

 

 

動いてくれ…

 

 

 

 

オルガマリー所長の体が、ゆっくりとカルデアスに溶けていくき――

 

――消え去った。

 

 

 

「「「………。」」」

 

 

結局一歩も動かなかった。もしかしたら、助ける方法があったかもしれないのに。…この特異点が消えるわけじゃないので、助けてここで待機してもらうこともできた筈だ。

 

今更こんなことを言ってもオルガマリー所長は帰ってこない。俺は、自分の無力さに絶望していた。

 

 

「アハハハハハハハハハ!!!素晴らしい!君たちのその顔は最高だ!」

 

奥でレフが何かを言っている。そうだ、無力な俺をもっと笑ってくれ。

 

 

「これで終わりだと思っているのかな?お前の番だよ天道健。君もこのカルデアスと一体化する最高の地獄を――」

 

 

――それ以上の言葉は続かなかった。

 

 

 

「『ㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤㅤ』」

 

 

 

 

無言の詠唱。否、ソレは妖精が語りかけているのかと錯覚させるほどの美しい詠唱を極限にまで圧縮させた末に無音に近くなっただけにすぎない。されど、その詠唱は瞬時に膨大な魔力を束ね、一瞬にしてレフ・ライノールの体を無に返した。

 

 

 

「――僕はね、別にこの物語がバッドエンドになっても構わないんだ。でも、こんな序盤で終わってしまうのは面白くない。だから、手を加えるぐらいはさせてもらうよ。」

 

今の攻撃を放った者がそっと呟く。レフ・ライノールは、プロトマーリンの一撃によりあっという間に倒されたのだった。

 

 

「…!」

 

俺たちはこの事実を処理するのに数秒を用した。

 

「…マーリン。レフは死んだのか?」

 

「死んではないと思う。どこかで生き残っている筈だよ」

 

俺の質問に、マーリンは優しく返す。その華やかさは、先程までの人物とは雰囲気がまるで違かった。

 

そして、その問答が終わるのを待っていたかのように、洞窟が振動し始める。

 

『…不味い、このままじゃ全員生き埋めになるぞ!今からじゃ霊子転移(レイシフト)までに時間がかかる!だからこの洞窟から急いで脱出して!』

 

…そうだ、急いでここから出なければ生き埋めにされてしまう。

 

「マーリン」

 

「分かっているとも、ささ、皆集まって、この洞窟から脱出するよ」

 

魔法陣を展開させたプロトマーリンの元へ俺たちは集まり、無事に外に脱出することに成功した。

 

 

 

 

 

「オルガマリー所長…」

 

藤丸が今は亡き所長の名を呟く。今の気分は最悪だ。

 

ドクターにより、霊子転移(レイシフト)の準備が整うまでの自由時間が与えられた。当然なにかアクションを起こす気分ではないため、そのまま座って待ち続けた。

 

このままぼーっとして何も考えない時間が続けばいいのにと、俺は初めて思った。

 

 

「フォウ!フォウ!」

 

フォウ君も慰めてくれている。なに、元々分かっていたことだ。覚悟はできていた筈だ。

 

しかし、実際に話していて、そこにいた人が突然消えるということが、どれほど辛いのかまではまるで理解していなかった。

 

『…霊子転移(レイシフト)の準備が完了した。皆準備して』

 

霊子転移の準備が整ったらしい。俺たちは出てきた魔法陣の上に乗り、カルデアに帰還した。




…シリアスな展開で終わってしまいました(自分基準)
次回、英霊召喚します!藤丸はニ基召喚します、どんな鯖なのかお楽しみに!

藤丸sideの話欲しいすかね?

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