咲ちゃんとキャッキャウフフしたいだけの人生だった 作:sannsann
「強い!強すぎるぞ宮永選手!」
「対戦相手の子、泣いてますね…可哀そうに」
「おおっとここで18年前のインターハイで対戦相手をボコボコにして、トラウマを植え付けたうえに牌を持てなくなるまでした人が何か言っています!」
「人聞きが悪い!?しかも8年前だよ!」
「これで8連続和了…しかもどんどん点数が高くなっていっていますね。
もしかすると次は…」
「スルー!?自分からふったのに?!」
実況者と解説者が話す中、対局が再び始まる。
カメラに映された、向き合う4人の少女のうち、赤い髪に白い制服を着た少女がアップされる。
少女の右腕は何故か目視できないほど、震えているような、はたまた空間が歪んでいるような、渦巻いているような、そんな風に映っていた。
対局が進むにつれ、少女の役が昇華されていく。
そしてついに、昇り詰めた華が咲き乱れる時が来た。
少女の
掴まれたその牌は激しく回転をしつつ卓上へと叩きつけられた。
「キタキタキタキター!!!
数え役満!!!
もう!!
誰もこの選手を止められない!
そして新たなチャンピオンの誕生ですっ!!
高校1年生ながらも!
全国の数多の強者達を退けて頂点に立ったその名は!
宮 永 照 ! !
麻雀界に新たな歴史が刻まれました!!」
「本当に宮永選手は強いですねぇ。
私でも危ないかもしれません。」
「おおっとすこやん、それは私の方が強い宣言?
さすが元世界
「そ、そう言うのじゃないって!
私はただ、それ位強いって言いたかったの!
こーこちゃんのバカァ!」
いちゃいちゃと騒ぎ立てる実況者と解説者を余所に、チャンピオンとなった件の少女は静かに立ち上がり、礼をする。
「対局ありがとうございました」
圧倒的強さを見せつけたのに、謙虚な姿。
あまりの点数差に絶望にうちひしがれ、目のハイライトが無くなっていた他の少女達が慌てて立ち上がり、揃って礼を返す。
彼女達も、全国大会決勝に出るほどの猛者なのだ、即座のメンタル切り替えはできて当たり前である。
そんな中、一人の少女が、びくつきながらも新チャンピオンに質問をする。
「何が、貴方をそこまで強くさせたんですか?」
チャンピオンは予期せぬ質問に一瞬だけ目を瞬かせたが、直ぐに不敵な笑みへと表情を変えてこう答えた。
「さ、咲ちゃん……んんッ!
…い、愛しい人への
愛だよ!
」
そう答えたチャンピオンの瞳は、キラキラと輝いて…はおらず、ドロドロとひどく濁って渦巻いていた。