ヤンデレさんのヤンデレべリング   作:フユガスキ

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レベル100がカンストだけど、毎話増えるわけではなく、作者的にこのくらいのヤンデレならレベルはこのくらい、と言ったふうにつけます。


デパートでアレするアレの回〜ヤンデレベル1〜

 今日はヤンデレさんと近場のデパートに来ている。放課後の道草というのは、ある種の都市伝説だと思っていた。

 無論、ボッチでも偶に道草を食うが、友達との道草というのは格が違う。…あれ、可笑しいな、涙が出てきた。

 

 その涙を拭いとると、手袋の上で凍ってしまった。

 そう、今日は冬にも稀に見る寒さで、都会から離れているこの地では雪が降っている。

 とは言うものの、地球温暖化だとかの社会的影響により雪の日の回数は普段より少なかった。こちらとしても電車が止まると大変なので有り難かったりするのだが。

 

「う〜、さむーい」

 

 ヤンデレさんはこの寒さの中、手袋やマフラーなどの小物の防寒具を持ってきておらず、耳と手が赤くなっている。

 

「カイロやるから、ポケットの中に手を入れとけ」

 

「……人肌がいーなー」

 

 ふむ、人肌か。ここは俺がひと肌脱ぐしかないだろうか。そう思って、今着ているコートを脱ぎ、ヤンデレさんに渡す。

 

「取り敢えず、これでも着るか?」

 

「でも、それじゃあ、Aくんが…」

 

「ま、寒いが何とかなるレベルだ」

 

 高校生男子の筋肉量と発熱量を舐めてはいけない。ある程度の寒さなら、自家発熱でカバーできるのだ。

 

 コートを着ているヤンデレさんから、ふと目を背けると、同じクラスの前の席のため知った人を見かけた。

 

「…よし、着れた。…?そっちに何かあるの?」

 

「いや、あの人知ってるなぁって」

 

「え?Aくん、私以外を見てるの?なんで?なんであっちを見るの?あっちが好みなの?ロングより、ミディアムが好きなの?ねぇ?」レイプメ

 

「いや、動いてるものを視界の端で捉えたら、それを見にいってしまう性分でな。あと、俺は黒髪ロングが至高だと思っている。次点で銀髪ショートだ」

 

「え…あ、うん」(でも後で社会的にコロス)

 

「そういった意味で、ヤンデレさんは後ろ髪に関して、至高だ。前髪は片目を隠しているのが好きだが、それは黒髪ロングと合わない。前髪に関してはパッツンでない限り、大体合う。いや、パッツンもアリなのだが……だからこそ、黒髪ロングは至高なのだが…」ウンタラカンタラ

 

「ふぇ///」

 

 おっと、俺の中の変態が出てきてしまった。

 何故かフラフラしているヤンデレさんを支え、近くにある長椅子に座る。

 その椅子の目の前には本屋があった。

 

 俺はそれなりに読書が好きなので、電気書籍と本を半々くらいで読んでいる。そのため、最近読み始めたラノベの続きをついでに買うのも吝かではない。

 

「ちょっと、飲み物買ってくるけど、何かいるか?」

 

「あ、ココアのホットをお願い」

 

「あいよ」

 

 そうだな…まぁ、今回は奢りにしておこう。兎に角、この機に本屋に行き、本を買う必要がある。

 

 自販機に500円を入れ、ホットココアとおしるこを買う。お釣りの260円を手に取り、その足で本屋に入る。いつもの本屋とは構造が異なるが、たいていラノベは奥の方にあるため、天井にぶら下がる目印を参考にして、ラノベの並ぶ棚を見つける。

 さてさて、探しているラノベは…

 

「Aくんってその本に興味があるの?」

 

「!」

 

 ヤンデレさんの声がし振り返ると、若干蔑むような目をするヤンデレさんと目が合う。

 俺の好むラノベというものは、最近になって多少風当たりが良くなったとはいえ、未だに理解されない作品だ。いつか、理解されるコンテンツになるよう願っている。

 

「ふーん、この本がAくんを誑かす悪い子なんだね」

 

「いや、誑かすというか、それは趣味であって、だな。それは変なものではないんだ。いや、変な物かもしれないが、そこも理解した上で面白みを感じるものであって、だから、全部のラノベが気持ち悪いものではないことは分かってほしい」

 

「別に気持ち悪いなんて思ってないよ。でも、私よりこっちを優先するなんて、おかしいよね?やっぱり、貧乳より巨乳の方がいいの?あれだけ髪についていってたのに、結局胸なの?私、豊胸手術ぐらいなら頑張るよ?」

 

「いや、巨乳はそうでもない」

 

「え?」

 

「巨乳には確かに知的好奇心が向くし、時々興奮するが、それは男の本能であって、私的には貧乳、美乳。強いて言うなら、D以下でないと好きではない。……それに、豊胸手術とか人前で言うんじゃありません」

 

「はい…」テレテレ

 

 ヤンデレさんの手から最新巻を取り、ついでにホットココアを持たせる。流石にここで飲むわけにはいかないが、カイロ代わりにはなるだろう。ヤンデレさんの手は冷え切っていたので、ちょっと悪いことをした。

 

「…あ、そういえば私も買うものがあるから、ちょっと待ってて」

 

「あー、じゃあ、さっきの椅子付近に集合で」

 

「はーい」

 

 ヤンデレさんも何かしら本を買う予定だったようだ。ならば、少しだけ新しいラノベがないかを調べてから行くことにしよう。

 

……

 

 特に目新しい本も見つからなかったため、会計を済ませて長椅子に座り、おしるこを飲む。この甘ったるい味は病みつきになるなと思いつつ、ヤンデレさんが本屋から出てくるのを待つ。

 

「ごめんごめん、ゴミを処分しに行ってた」

 

 ヤンデレさんは本屋で買ったであろう数冊の本が入った袋と、ホットココアを手に持っていた。

 

「さて、そろそろ帰るか」

 

「うん、そうだね」

 

 ヤンデレさんはホットココアのプルタブを開け、溝に口をつけて飲んだ。

 

「…冷めてる」

 

「そりゃあ、なぁ。不味かったら、少しだけ飲むの手伝おう」

 

「ありがと」

 

 そう言って両手で缶を持って、チビチビと飲みながら歩く。まさか、三次元でこの光景が見れるとは思っていなかったので、少し得をした。

 ヤンデレさんは基本的にスペックは高いので、俺みたいなのとつるまなければモテただろうに。

 

「なぁ、なんの本買ったんだ?」

 

「マインドコントロールについて、だよ」

 

 ふむ、精神操作か。心理学でも専攻するのだろうか。いや、女子は心理的なものが好きらしいし、そういった類かもしれない。

 

 そんな、些細なことを話しながら、俺達は駅で別れたのだった。

 

 その次の日、学校に行ったときに、前の席の人に謝られたのは、別の話。




今度からは18:00投稿かも、です。
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