銀の兄【修正版】※半分凍結中   作:泡泡

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 時間軸はロイドがアルタイルロッジを探索しているところです。


碧の軌跡~予兆~新たなる日々~
知りたくなかった事


 

 リシャールの情報通りに、教団が使っていたと思われる施設を一通り見回ったアドルだったが大したものはなく結果はがっかりさせるものだったので憂さ晴らしを含めて火薬で爆発させた。

 

 その後、アルタイル市に戻ることになったのだが見覚えのある女性を見つけた。それは昔、模擬戦のような事をして痛み分けで終わった人物だった。それで声をかけることにした。

 

 「あのー・・・すみません」

 

 「はい?どちらさまですか?」

 

 「ごめんなさい、人違いでした・・・」

 

 振り返った女性は教会のシスター姿をしていた。両手には紙袋一杯の食物を入れて頬張っていたところだった。謝罪してからその女性の進行方向とは違う方向を向き・・・。

 

 「おっかしいなぁ。たしかにルフィナ(ねえ)だったと思ったのに」

 

 「っ!」

 

 後ろで息を呑むのがはっきり聞こえた。そして・・・。

 

 「あのっ!今、ルフィナと言いませんでしたか?」

 

 「へっ?た、確かに言いましたが・・・あのールフィナ(ねえ)の知り合いかなんかですか?」

 

 その女性はアドルの肩を強く揺さぶる。その影響で、両手に抱えていた紙袋が音を立てて地面に落下した。

 

 「ちょ、ちょっと落ち着いてくださいっ!」

 

 「あ・・・ご、ごめんなさい。少し取り乱しましたね。私の名前はリース・アルジェントと言います。お察しの通り、ルフィナは私のお姉さんです」

 

 「すみません。取り乱させてしまって。俺はアドル・マオと言います。そうですか、道理で似ているはずですよ」

 

 「はい、こちらこそ。・・・それでですね、どうやって知り合ったんですか?」

 

 「まぁ、立ち話もなんですから時間が空いているようでしたらどこかで座って話しません?そちらの兄さんも一緒に・・・・・・」

 

 「えっ・・・?」

 

 「なんや、気づいとったんか?やれやれ・・・」

 

 飄々とした不思議な話し方をする青年も路地から出てきた。どうやらリースの知り合いのようだ。

 

 「ええ、こちらを窺う気配がしましたので・・・」

 

 「おお、兄さんやるなぁ」

 

 「ええ、それでどこかでお話しませんか?」

 

 「ええよー。そこらの軽食店で話そか」

 

 どうも軽い青年である。堅っ苦しくない話し方は共感を持てるが・・・。リースが慌てて落とした紙袋を拾い、数分歩いて歩道にイスとテーブルが置かれている店へとたどり着き腰をおろした。

 

 「・・・そうか、どこかで見たことのある武器だと思ったらルフィナの持ってた武器の種類なのか」

 

 「いったい、アドルさんはどこでルフィナと出会ったん?」

 

 アドルの呟きに咄嗟に問い尋ねる青年。

 

 「俺が出会ったのは・・・そう17の時だ。少し荒れていた時に引き止めてくれたのがルフィナさんだった。それから会ってないが今はどこに?」

 

 「・・・・・・」

 

 「・・・・・・殉職したんや。5年ほど前に」

 

 「そっか。惜しい人を亡くしたもんだなぁ」

 

 少しの間沈黙が続く。

 

 「二人は騎士団か?」

 

 「・・・っ。どこまで知ってるん?」

 

 虎の尾を踏んだのかもしれない。少し険悪な口調で尋ねてくる。

 

 「・・・昔会ったと言ったでしょ。それに腰に付いている七曜の紋章は、教会関係の人たちが持っている紋章だからな。そこからカマかけてみたんだよ」

 

 「そか。疑って悪かったな」

 

 あっさりと険悪な雰囲気を無くした青年。その横でリースは顔を青ざめさせてはいるが。

 

 「まぁ、騎士団や。隠しているわけではないがちょいとパンドラの箱を開きかけたでー」

 

 「面白い表現だ・・・。ところで、あなたからグノーシスの臭いがするんだが関わっているだろうか?」

 

 「あんさんはどこまで知っているんや・・・・・・」

 

 「はい、これ」

 

 話すのが面倒くさくなったので、アリシア女王から手渡された書状をケビンに見せる。

 

 「・・・あー、そういう事か。納得したでー。確かにさっきロッジに行ってたわ。そこで暴走寸前の男性を留まらせたっちゅう事をやってきたからかな」

 

 「そっか。そっちも手がかりなさそうだ」

 

 「アドルさんは何を探しているんや?」

 

 「相手があなたでも教えられないよ、それにいつかは・・・(敵対するかもしれないしなぁ)」

 

 「・・・そか。なんや、秘密にされると知りたくなるちゅーもんやがこの場はし仲良うなるだけにしとこーか・・・」

 

 「・・・そだね。それがいいかもしれない」

 

 青年は引きどころを考えて行動しているようだった。

 

 「・・・・・・ねぇ?」

 

 「ん、なんや。いきなり真面目な顔してからに?」

 

 「お腹空いた・・・・・・」

 

 ――グギュルルルルル――

 

 その場所にリースの豪快な腹の虫が鳴る。

 

 「「プッ・・・アッハッハッハ・・・・・・・・・」」

 

 二人は顔を見合わせて、同時ぐらいに爆笑した。さっきまでシリアスな雰囲気で会話していただけに、そのギャップに笑いが止まらなかった。

 

 ひとしきり笑ったあと、むくれたリースの機嫌を治すのに、大層な額のミラが吹っ飛んでいったのは確実だろう。

 

 「なぁ、アドルさん?」

 

 「どうしました?」

 

 「ここはワリカンでええか?」

 

 「俺にも原因はあるからワリカンにしておこうか・・・・・・」

 

 「おおきに!!」

 

 ホクホク顔で軽食店を後にする女性(リース)と、トボトボ歩く男性ら(ケビン&アドル)は数日の間、アルタイル市で話題になっていた。

 

 「なぁこれからどうするん?」

 

 「俺はクローディアの護衛があるから必要な時期に必要な働きをするよ。あなたたちは?」

 

 「ワイはクロスベルに行かないが、リースは行く」

 

 青年の横でコクンと頷くリース。

 

 「そうか。クロスベルで出会っても知らないふりをしようか?」

 

 「そこまではしなくてもいいけど、騎士団と言わなければ知り合い程度でなら構わないよ」

 

 「私もそれくらいなら大丈夫です・・・」

 

 「そっか。分かった。何かあったら連絡をしてもいいだろうか?」

 

 「ああ、それはこちらからも頼もうと思ってたところや・・・・・・」

 

 「いいの?」

 

 「少しでも情報は多いほうがええ。これからリースが行くクロスベルは魔都と言われているぐらい摩訶不思議なところ。ワイはお前の身が心配や」

 

 リースの肩に手を置いて心配している様子を示していたが、どうも適度さを越しているようなスキンシップだった。

 

 「おいおい、お二人さん・・・。そういうのは誰もいないところでやってくれや。さっきから町行く人の視線が痛いぜ」

 

 アドルはジト目で二人を見るのだが、あまり効果がないようだ。ハッと気付いたリースが彼のすねを蹴ってその甘甘な雰囲気を終わらせた。

 

 「ハハ・・・、すまんなぁ。ちょっと暴走気味やったわ・・・」

 

 「ご、ごめんなさい・・・。私も少し離れるからって神妙になりすぎたわ」

 

 「全くです。二人とも、そんなに離れるのが嫌なんですか?それはないですよね、騎士団として今までもやってきたんですから・・・」

 

 「・・・そうや。うん、君のおかげですこーし頭冷えたわ」

 

 表情が引き締まったものになった。これで彼は大丈夫だろう。時間も押してきたことだし、クロスベルに帰る準備にとりかかった。

 

 「・・・では、私は先に失礼します。・・・・・・リースさんも、ケビンさんもお気を付けてお過ごし下さい」

 

 「はい・・・」

 

 「・・・・・・」

 

 リースは返事を返したが、ケビンは何かを考えるように真剣な表情を崩さなかった。一瞬、俺が何かやらかしたかな?と思うようになったが、いかんせん列車の出発時間が迫っていたのであまり気にも止めずに駅内に入っていった。

 

 

 ~その後の二人~

 

 「ケビン・・・、どうかした?さっきから表情浮かないよ・・・」

 

 「なぁ、リース?」

 

 「ん、なに?」

 

 リースも行く用意をしていたが、ケビンが声をかけてきたので一旦その手を止めてケビンの方を向いた。

 

 「俺、あいつに自己紹介したっけ・・・?」

 

 「・・・・・・してないと思う。私もケビンって言ってないし・・・」

 

 「あいつ・・・何者(なにもん)や?普通騎士団ちゅー言葉も出てこないはずやし・・・。要注意人物か?」

 

 「姉さんから聞いたという事はないかな?」

 

 「どうだろう・・・。まっ、用心にこしたことはない。大丈夫だとは思うけれどあいつの事もそれとなく見ててくれないか?」

 

 「うん、分かった・・・。ねぇ、ケビン?」

 

 ケビンの服の袖をギュッと握るリースの様子にドギマギしながら答えた。

 

 「な、なんや?ちょっとワイから離れるからって寂しくなったか?」

 

 「・・・・・・うん、そうかも」

 

 「えっ・・・?」

 

 まさかの返しに心臓の鼓動が激しくなったケビン。その心臓の音が外部にまで聞こえてきたら、辺り一面に大太鼓の音が激しく鳴り響いたかもしれない。

 

 「お守り代わりに・・・してもイイ?」

 

 「・・・・・・ああ」

 

 「ふふっ、ケビン何かされるかと思った?ねぇ、あなたの鼓動激しいわよ」

 

 「しゃ、しゃーないやろ!まさか抱きしめられるとは思わなかったし・・・」

 

 数分間、リースはケビンの胸元に顔をうずめていた。それはこれから魔都に向かうためのケビン養分をふんだんに得ているかのようだった。

 

 「ありがと・・・じゃあ、私行くね?」

 

 「ああ、きばりや。俺もあとから行くからな」

 

 名残惜しむようにリースがケビンから離れて、先程アドルが入っていった駅構内へと歩いて行った。それを先程、抱いた場所から歩かないで見守るケビンがいた。 





 ヒロイン候補募集中。

 現段階で決まっている組み合わせ

 ・ヨシュアとエステル

 ・ケビンとリース

 ・ロイドとティオ

 

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