赤い星座の方についた時には遅かったかと思った。それは血だまりができほとんどのテロリストが死んでいたからだった。そして引き上げるシグムントたちと出会った。
「おや、そのお面は・・・?」
「このお面の時は
「ええ、情けで一人だけ残してあります。支援課が保護しそうですが・・・。何か用事があればお早めになさって下さい」
「そうか・・・・・・ではな」
少し会話して落ち込んでいる支援課の方へ歩み寄った。最初に気づいたのはティオとワジだった。
「「ッ・・・・・・」」
警戒度最大でこちらを睨んでくる。それに気づいたロイドらもこちらを向いた。
「何者です?」
「あんたらにそれを言う必要があるか?大人しくソレを渡せ。そうすればテロリストの命だけは見逃してやる・・・」
「それを俺たちが信じるとでも・・・・・・?」
「(やっぱ、ロイドって面倒くさい性格だなぁ)本当だったら尋問や拷問するつもりだったのだが、譲歩してこの場で情報を知ろうとしているんだ。アンタらの見ている前で、な」
今の格好は頭全体を覆うフードに狐の仮面、ダボダボしたズボンに両手に隠し持った鋼糸と魔具だけなので一見すると武装していないように思える。少しでも警戒をとけば僥倖だと思っていた。
「分かりました。俺たちの見ている前でしたらどうぞ、勝手になさってください」
「ありがたいが・・・そちらの赤毛の青年はどうしてそんなに落ち込んでいる?」
「・・・こちらにも色々と事情がありますので」
「そうか。ならこちらはすべきことを行なって立ち去ることにする。では誰か監視するか?」
「わ、私が・・・・・・」
そう言うのはエリィとノエルだった。
「・・・・・・ではテロリストの男性よ。こちらに来るがよい」
「ヒッ・・・。お、俺は何にも喋らないぞっ」
どうやら、かなりの凄惨な状態を見たのだろう。血溜まりを見れば大方の予想はつくが。
「安心しろ、記憶から覗き見るだけだ。頑張って、耐えろ♪」
おちゃらけながらも勘ぐられないうちに魔具をはめている手を、テロリストの頭に置く。するとズブズブと頭に浸透していく右手。そして柔らかい感触に至る。どうやら脳内にたどり着いたようだ。
「「ッ・・・・・・」」
女性陣二人は、顔を逸らしてその状態を見ないよう必死だ。
「アガッ・・・ッ・・・・・・・・・ッ・・・・・・」
「大丈夫だ。壊れることはない。(多分・・・)」
抵抗出来ないように、筋弛緩剤も投与しながらの情報の抜き出しなので拷問ではなく尋問の類になるだろうか。それでも精神崩壊などの副作用も見られる。数分後やっと抜き出しが終わった。
「フム。ご協力に感謝する。支援課の皆さんとテロリスト。では私はこれで失礼しよう」
呆然と立ち尽くすロイドらと、意識が混濁しているテロリストの様子を見て『やはりこうなったか』と思いつつそこを立ち去ろうとした。
「な、なんで?アイツは酷いことが淡々とできる?どうしてっ・・・・・・?」
「あ゛?・・・・・・どうしてこいつらを擁護したくなるのか、その気持ちが分からない。オルキスタワーを襲ったこいつらは言わば悪者だ・・・。人権など存在しないに等しいじゃないか?・・・まぁ、支援課の方々と分かり合おうとは思いもしませんが、ね・・・・・・」
言いたいことは言ってから今度こそその場を後にした。吐きたい気持ちを堪えながら、身悶えする支援課の面々がその場に残った。
今得た情報では足りないと感じたアドルは、
たどり着くとこちらには、捜査一課のダドリーと遊撃士のアリオスが黒月と向き合っていた。何やらひと悶着があったみたいだが、こちらも早々に情報を得たいので割り込むことにした。どうせ
「割り込み失礼・・・」
「「っ・・・・・」」
どうやらこちらは気づかなかったようだ。黒月の人たちは気づいていて、それでいて知らせていなかったけれども・・・。
「おやぁ、
「ツァオ・・・。テロリストを一人貰いたいのだが・・・・・・」
「ふむ・・・」
片手を顎にやり、少々考えるような仕草をしているツァオ。これすら演技に見えてくるのだから、どうしようもない。
「見せかけの演技はいらない。
「そうですか、それならば一人どうぞ・・・」
ツァオは部下に言って一人をこちらの方に持ってくる。
「な、なにをするつもりだ?」
メガネが似合う一課のダドリーが、その場の雰囲気が禍々しいことに気づいて尋ねてくる。
「ちょっと拷・・・聞くだけだ」
「おっ、俺は何も知らないっ。知ってたとしても何も言うもんか・・・」
「へぇ、その精神貫けるといいなァ。まぁ脳が焼き切れる前に頑張って俺に情報よこせ」
そう言っている間にも、アドルが右手にはめた黒い手袋はテロリストの頭を物理的に通り、直接脳みそから情報を抜き取ってゆく。
「・・・・・・」
その場にいる誰もが、その光景に目を覆いたくなりそしてツァオの部下らも、吐き気を催してそのまま吐くやつらも多々いた。
「ガッ・・・・・・ヒュー・・・ヒュー・・・・・・ヒュ・・・・・・・・・」
身じろぎを繰り返していた男性も、痙攣をしてそのまま張り詰めた糸が切れるように地面に倒れて動かなくなった。
「・・・・・・精神崩壊か。まぁ、情報は抜き取れたからヨシとするか・・・・・・。お騒がせしたみたいだな。それに耐え切れなかった連中も多少なりともいた・・・と?はは、何が起きるか分からないな」
「ま、待て・・・」
「ん、何かなダドリーさん?」
自問自答して結論へと至り、やることはやったのでその場をあとにしようとしたところで、ダドリーから声をかけられた。それを無視することもできたが、そうしなかったのは何故だろう。
「その手にしている黒い手袋は・・・どこかで見覚えがあるのだけれども・・・。まさかお前はロッジの」
「へぇ・・・・・・。まぁ、あながち間違ってはいないか?知っている人まだいたんだ」
ロッジのことを聞かれるとは思ってもいなかった。直接介入はしていないが、間接的にも関わったのだから共犯していると言われてもおかしくはない。それも隠している事だから
そのまま口を
「一人くれてありがとう。でも、もう用済み・・・」
「そうか・・・・・・。それにしても
「んー?俺は昔っからこうだよ。何も変わっちゃあいない・・・」
首をかしげて考えてみても、その答えは出てこない。普通の状態と、段々と壊れてきているのが交差しているのか自分でもわかってなかった。
「・・・・・・」
「あれ、
「何でもない・・・」
「ふぅん。まぁ俺はやるべき事をしたから俺の依頼主のとこに戻るわ。その人の成れの果てはどうにかして?」
「・・・・・・ふぅ、こちらで何とか片付けておきますよ。でも一つ貸しです」
ツァオのその返事を向き直らないで聞いて、片手を上げ返事をする。後ろに感じるのは恨み積もった一課のダドリーと遊撃士のアリオス・・・。それに
この話だけ風の