リーシャ&イリア。セシル&シュリ。ティオ&エリィ&キーアがそれぞれ同室です
~リーシャside~
「~~♪~~~♪」
私は、部屋に帰る途中から上機嫌なのを隠すことは出来なかった。そして多分、部屋にはイリアさんがいるだろうが寝ていることを願っていた。こんな幸福そうな表情を見られたら、いじられる事は確実だったからだ。その願いは木っ端微塵に砕かれたけれど。
「・・・・・・」
気づかれないように部屋のドアを開いて、そぅ~っと室内に入る。暗闇だけれど、私には昼間のように見える。これは夜目がきくせいだろう。――あと少しでベッドに入れる・・・・・・。
「リーシャちゃ~ん。どこ行ってたの?」
今の私には死刑宣告のような声が横から聞こえてきた。
「イ、イリアさん・・・・・・?」
「ねぇ、ど・こ・に行ってたの?」
明らかに不機嫌な声?いや、少し雰囲気が違う。これは明らかにからかっている口調だ。どうしよう。
「み、水を飲みに行ってたんですよ」
嘘じゃない、嘘は付いていない。ただちょっとだけ伝えていないことがあるだけ。
「それにしては嬉しそうな顔をしているわね・・・・・・?」
この室内はまだ証明を付けていない。暗がりで何を言うか・・・、とも思ったけれどイリアさんの直感も素晴らしいものがある。暗闇で見えなくても、何となくで相手の表情を読み取ってしまう。超一流劇団員の証だ。
「イリアさんはお酒に酔っているんですよ!」
だ、駄目だぁ。いきおいに任せて言っちゃったけれどこんな事で納得するはずがない。
「当ててみましょうか?」
「えっ・・・・・・?」
だけれど、私が想像したものとは違う・・・・・・いいえもっと斜め上を行く発言をイリアさんがしたので私の思考は硬直した。
「お兄さんと再会でもした?」
「っ。ど、どうして?」
「どうしてだろうと思う?」
はっきり言って予想できなかった答えだったが、二つぐらい予想付いた。
「えっと、イリアさんと前から知り合いだった?それか何かの拍子にイリアさんがお兄さんに気づくことができた?」
「んっふっふっふ・・・・・・。どっちだと思う?正解は、私がお兄さんだと気づいたが正解よ」
部屋に明かりが灯されると、ベッドの上で腕組みをしながらこちらをドヤ顔で眺めているイリアさんがいた。
「いつ・・・ですか?」
「最近よ。と言うかさっき?」
「ええっ・・・。あっ、将来を視た時ですか?」
「そうよ。あなたを見る雰囲気が、妹を見守るような感じだったからあなたがいなくなってから聞いてみたの。するとあっさり認めたわ」
「そうでしたか・・・・・・」
「それにしても・・・・・・」
「ど、どうしたんですか、そんな表情で?」
「あのお兄さんってリーシャの事を本当に気遣っているんだなぁ~って思ってね。・・・茶化す意味ではないけれどちゃんと大切に想うのよ?家族ってのは本当に一番重要な宝なんだからね?」
「~~~っ。う~、う~っ。ま、まぁお兄さんのことは大事に思いますよ。何たって唯一の心と心を結ぶ絆なんですからっ!」
イリアさんの言い方にはドキっとするような言い方も含まれていたが、私は一度引き離されそして再度結ばれた絆をもう無くしたくはなかった。だから、私は絶対に兄さんから離れないよ。
「よしよし。あら?少し外が騒がしいわね、どうしたのかしら」
「え、ええ。そうですね。誰かを探しているような・・・」
~アドルside~
「とうとう見つけた・・・。いや見つかった?どっちだろ」
歩きながら思うのはさっきの光景。妹と再会できた喜び。一番大切な思い出だからだろう。
「妹が
妹を前にして一瞬、ドス黒い感情が芽生えたのも事実だ。
嬉しさ半分、欝気分半分の状態で自室に戻ってきた。少し乱暴に、バネの効いたベッドに体を投げ出しつつ横になる。
「俺、どうしたいんだろ・・・?」
それにしても綺麗になってたなぁ。別に幼い頃は可愛いがしっくり来るものだったが、今じゃ出るところは出て引っ込んでいるところは引っ込んでて・・・・・・。
「こ、これじゃあただの変態おっさんの思考じゃねぇか!!」
誰かが見ていたら百面相をしているアドルを茶化しただろうか。それとも可哀想な目で見られただろうか・・・。どちらにしてもそれは避けたい事だっただろう。
「はぁ・・・・・・」
さっきから自問自答しているのにそれは虚空に消えていく。誰も答えるものはない。
(認めちゃいなよ)
心の声がそう聞こえてくる。
「何をだ?」
(あんたが犯した罪が蝕む。幸せになることなんてできない)
「俺にだって人に与えられた最低限の幸せを噛み締めることぐらいできるはずだ」
(無理だな。それにあんたは人とは違う
「ぐっ・・・・・・」
俺の思考なだけあって、痛いところを的確に突いてくる。そう、俺は人間という枠から外れて生きている。それは事実だ。人間じゃない・・・それは今まで隠してきた事実の事だった。
(俺がどうこう言うわけじゃない。それにあんたの事が心配だ。※※の事を言ったら利用しようとするに決まってる。早くここを出て独りになろうぜ…?)
「煩わしい・・・・・・」
(・・・まぁいいさ。お前がどう考えていようとも、分岐点は必ず来るぜ。それはお前が望もうとも、望まないとしても、だ)
考えるのをやめるとそれは消えた。だが、こう考えるのはこれが最初ではない。最近、頭痛と共に思考が欝になるのが増えている。
「多分、俺は見つけて獲得したものを失うのが怖いんだろうな。人は何かを得てそして失っての繰り返しだって言うのに・・・・・・。ハハッ、少しはまだ人間らしいことも残ってるじゃないか」
さて寝ようか・・・と思ったときのことだった。
「あらま、俺の髪の毛が薄紅色に?誰かが呼んでいる?この波動はキーア?思い出したか?」
アドルのその呟きは聞こえたか、聞こえないかぐらいの小さな声。そして一瞬だけ、眩い光が部屋を照らしその場には誰もいなくなった。
アドルの髪の毛が薄紅色になったのは、昔のアドルに戻りつつあるからです。そろそろ主人公設定を新たにしないと、自分自身も分からなくなりそうで怖いです。
EDF!EDF!サイコー