皆を置いて過去へ来てしまった。
あたしが…、あたしが助けを求めたからうさぎは…。
過去の世界はすごく……楽しかった。
……きっと、もう戻れない。
未来にいた時、セーラームーンの事は皆からも、ママからも聞いていた。
誇らしい気持ちと、劣等感。
周りからも、ママとパパの娘なのに何の力もない、両親とは似ても似つかない。
自分よりも年下の子にもイジメられていた。
それでも、ママやキング・エンディミオンが泣いているあたしを慰めてくれる。
スモール・レディ。
いつか、素敵なレディになる様にキングがつけたのだ、と。
でもあたしは、いつまで経ってもレディになれない。
素敵なパパ、大好きな優しいママ。
パパもママも一番、大切なの。
それなのに…、
あたしの事をイジメてくる子達があたしに言う。
ニセモノプリンセスって。
可愛がってもらってないって……。
「……ママもパパも忙しいんだもん。」
「プリンセスなら幻の銀水晶を使える筈だぜ。」
「お前、幻の銀水晶を見たこともないんだろ。見せてもらえないなんてやっぱりウソの子なんだ!」
そんな事ないって、証明したくて。
あたし、入らない様に言われてた幻の銀水晶のある部屋に入ったの。
ルナPを使って、幻の銀水晶に触れた時だった。
「スモール・レディ?」
つい、入って来たパパに対して隠れてしまった。
そういえば、ママも帰って来ていて一緒にいられるね、なんて話してたな…。
パパは幻の銀水晶の台座に驚いて、あたしの名前を呼んで部屋から出て行った。
見つからない様に隠れて、ドキドキしてた。
でも、その瞬間ピカッと光ったかと思うと大きな音が聞こえてきて。
あたしは、何が起こったのかわからなくて泣きながらパパとママを探したわ。
でも、そこで見たのはクリスタルに守られる様に包まれたパパとママの姿だった。
あたしのせいで……。
あの時、あたしが幻の銀水晶を持ち出したりしなければ…。
思い返しながら、泣いてしまうとルナPからおまじないが流れてくる。
『アブラカダブラポンッ』
プルートが教えてくれた、元気の出るおまじない。
プルートの所へ行こう。
あたしのたった一人の友達。
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プルートの元へ向かい、その姿が見えた時だった。
プルートに声をかけようとした時、キング・エンディミオンと小さくなったママがいた。
あたしを心配して、プルートのとこへ来ていたみたい。
ちょっと、出づらいからバレない様に離れて見てたの。
「君を頼りにしている。」
「プルートには、負担ばかりでごめんね。頼むね。」
「……ええ、キング、クイーン。もちろんですわ。」
……プルート?
こんなに嬉しそうに笑うプルートは初めて見た。
あたしの前では、少し寂しそうだけど、あたしにだけ……。
もう、どこにも、あたしの居場所はない……。
プルートの前にも出れず、あたしは引き返した。
でも、どこかわからない。いつもの時空の狭間と違う。
怖くて、戻ろうと思った時に気がついた。
カギがない!?
どこかで落とした!?
混乱していると、誰か知らない声が聞こえてきた。
冷たくて怖い、けれど、あたしを。
あたし自身を必要とする声。
あたしは、その手をとってしまった。
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クイーン・オリオネスとの話が落ち着き、皆のところへ戻った時だった。
キング・エンディミオンがプルートの元へ向かおうとしていた。
何があったのか、聞いてみると嫌な予感がする、と。
「ついに、この時が…。」
クイーン・オリオネスが辛そうな表情で、呟く。
ちびうさがブラック・ムーンの手をとってしまったのか。
「オレも行きます、キング!」
「私も行かせてください!」
タキシード仮面が一緒に行くと行った時に、意識せずに言葉が出た。
私も、ちびうさの事が心配なんだ。
「待って!あたしも。」
「……ヴィーナス、お願いがあるの。」
「リオちゃん…?」
共に行こうとしてくれたヴィーナスの手を握って、向き合う。
「必ず、セーラームーンは皆と一緒に帰ってくるよ。だから、ヴィーナスは待っててあげてほしいの。」
「……なら、リオちゃんも必ず帰ってきて?」
心配そうな表情で手を握り返してくるヴィーナスに微笑む。
ブラック・レディとなってしまったちびうさに対して、私にできる事はないかもしれない。
それでも、その約束は絶対に守ろう。
クイーン・オリオネスとヴィーナス達を置いて、私達はプルートの元へ急いだ。
扉を開けると、そこはまるで嵐の様に荒れていた。
そして、倒れているプルートに急いで駆け寄る。
プルートを抱き起すキング・エンディミオンに意識を取り戻したプルートが状況を説明する。
ちびうさがカギを持たずに時空の彼方へ消え、嵐はちびうさが消えた方向から起こっている。
ちびうさ自身に何か強い変化が起こった、と。
その説明を聞いた途端に、タキシード仮面が嵐の方向へ走り出す。
続いて、私も嵐に向かって走る。
「戻って来れなくなるわ!タキシード仮面!リオ!!」
プルートの声が聞こえたけど、足は止めなかった。
それでも、私もちびうさが大事なんだ。
美人の遺伝子!!