あれから、部屋を抜け出して重たい足を動かしている。
苦しくて仕方なかったけど、その中でマーズ、マーキュリー、ジュピターが生きていて、地下牢にいる事がわかった。
でも、それがわかった瞬間に安心してしまったのか意識を失ってしまった。
再び目を覚ますと、元の部屋に戻っていた。
リオちゃんが、叫んでいる様な気がして胸が騒がしい。
それと同時に、プリンス・デマンドが僕に触れようとしていたのがわかった。
殺そうと、手を伸ばしていたのかもしれないが、幻の銀水晶の力に弾かれていた。
「触るな…!」
しっかりしろ、うさぎ。
こんなところで死ねないだろ!
「僕の仲間はどこだ!?地下牢はどこにあるんだ!?」
「かわいそうだが、もう生きてはいまい。」
「生きてる!探してみせる!」
まるで憐れむ様な表情で言われたが、生きてるに決まっている。
それでも動けないのかもしれない…。
だから僕が見つけ出さないと!!
そのまま、部屋を飛び出して走り出す。
しばらくすると、強い力を感じる場所にたどり着いた。
そこに立っていたブラック・ムーンの人間が詳しく説明してくれる。
「邪黒水晶」の反射炉。
ネメシス自体がいつ暴走してもおかしくない。
そして彼の兄、プリンス・デマンド。
地球もネメシスもブラック・ムーンも全てが危険という事。
「あなたはそれを、伝えなくちゃならない。」
「…伝える?僕が?どうやって…!?」
静かで不穏な雰囲気で話してた彼が、配下を使って僕を拘束した瞬間に勢いよく首を締められる。
苦しい中で、彼はセーラームーンの死によって皆が危険に気づくと。
「……兄さんはお前とクイーン・オリオネスのせいでおかしくなったんだ。お前達のせいで何もかもめちゃくちゃだ。」
首を締めていない方の手で、鋭く尖った邪黒水晶を作り出す。
このままじゃ、僕はっ!!
「恐ろしい人間。「幻の銀水晶」とお前達の存在が歴史を狂わせるんだ。折本 リオも同じ場所へ送ってやる。……死ね!!」
恐ろしい人間!?僕達が!?
全て、僕達の存在のせいなのか!?
コンパクトをキツく握りしめて考える。
例えそうだとしても、リオちゃんは違う。
リオちゃんは普通の女の子だ、恐ろしい人間なんかじゃない!!
その瞬間に強い光が輝き出す。
拘束していた配下が消滅して、相手が怯んでる間。
信じられないけど、今までなかった力がみなぎる。
ここでなら、変身できる!!
「ムーン・クリスタル・パワー・メイクアップ!!」
コンパクトをかざし、セーラームーンに変身できたあたしは急いで仲間を探す。
地下牢、奥深い、地の底、底の底。
見つけた!!
マーズ、マーキュリー、ジュピター!!皆!!
目覚めなさい、
目覚めなさい。
地面が割れ、3人が目覚めたのがわかる。
混乱している3人に語りかける。
変身するのよ!あたしが、手を貸す!さあ!今よ!
その瞬間割れた地面から変身した3人が姿を表した。
やっと、やっと再会できた!!
「ワイズマン!」
プリンス・デマンドの声の方向を向くと、黒いローブを着た人物がいた。
黒い巨大な影、邪黒水晶のマイナス・エネルギーを纏って。
ワイズマンが幻の銀水晶のパワーの事を言えば、プリンス・デマンドが恐ろしい力だと笑う。
でも、それは違う。
確かに、幻の銀水晶は凄まじいパワーがあるけれど。
それは、平和を守る力。愛と安らぎをもたらす力だ。
歪んだ思想、悪に付け入られる事がなければ、争いなど起こるはずもなかった。
「目を覚ましなさい。あなた達は「邪黒水晶」も誤った使い方をしている。…キケンです。」
「愛や安らぎなど幻想だ。」
わたしの言葉に対して、プリンス・デマンドは幻の銀水晶があるから全ての災いが起こると言い、ワイズマンに同意を求める。
そして、その言葉を肯定するワイズマン。
わかり合う事は、できないようね…。
そのまま、わたしを殺し、幻の銀水晶を奪おうと指示を出す。
そんな事させるものですか!
「あなたにわたしは、殺せないわ。」
わたしがそう言った瞬間に建物が崩れ始める。
ネメシスのマイナス・エネルギーと幻の銀水晶の力がぶつかった結果だろう。
早く離脱しないと、わたし達も危険だ。
「皆、力を合わせて!ここから抜け出します。」
「セーラームーン!?ムリよ!どうやって!?」
崩れる建物に混乱したマーキュリーが叫ぶ。
あたしは持っていたプルートのカギを掲げる。
それに気づいた皆が、あたしの側に来る。
プルート!あたし達を導いて!!
「帰すものか、逃がさんぞ!」
プリンス・デマンドが力を使う前にあたし達はネメシスから脱出する事ができた。
リオちゃん…、あたしの名前を叫んでいた姿を思い出す。
今から皆と帰るね…。
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タキシード仮面と時空の彼方を進む。
ちびうさ、どこにいるの!?
「ちびうさ!!」
私とタキシード仮面が、ちびうさの名前を叫び探していると、何処からか笑い声が聞こえてくる。
そして、こっちよ、と声が聞こえる。
『ねえ、あたしはここよ。さあ、こっちよ。』
その人物に手を引かれる直前、私が持っていたロッドが小さく光った気がした。
暗い嵐の様な風が吹く中で、自分を呼ぶ女性ってホラーですよね…。