異世界PMCs   作:秦霊

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王は幻想を掲げる

ー異世界:街道ー ==響side==

「あ、あのぉ…お取り込み中申し訳ないがちょっといいだろうか?」

さっきの馬車を守っていた騎士がオドオドと私達に話しかけてきた。

 

「…なに?」

あさら様に刹那が警戒してカランビットを何時でも振れるように構えている。

 

「先程は助かった、礼を言う」

護衛と思われる騎士達は深々とお辞儀をすると手を出してきた。

 

「私は"アレン・ハリス"だ。こっちは"アルフレート・バンクトン"、それで隣のこいつが"ウィリアム・アンダーセン"だよろしく」

 

男達が握手を求めてくるので私は手を取り握り返す。…が刹那は無視していた。まぁ仕方ないだろう…根っからの男嫌いだ。

何も知らない騎士達はにこやかに刹那と握手しようと手を出すが…

 

「そう、よろしく」

彼女は興味無さそうにカランビットを持つ手とは逆の右手を軽くか上げそう返した。

 

騎士達は少し困り顔をしていたが気には止めていないようだった。

そうこうしていると騎士達の後ろから高価そうな服を着た少し老けた老人が出てきた。騎士達の顔に緊張が見て取れる。

 

…どうやらコイツが馬車の中の人間のようだ。

 

「初めましてお嬢さん方私は"アンドレイ・アーサー"と言う。よろしく」

 

…できるだけ無礼のないようにしておきましょうかね。お偉い方とのパイプはいざという時に使えるし。

 

「えぇ、初めましてアンドレイ様?かな?何分旅人なのものでしてこの地についたのも先程故お名前をご存知なく申し訳ありません。私は"兎谷 響"と申します、そしてこっちの仲間は私の旅の相棒の"橘 刹那"と申します。以後お見知り置きを」

 

私が自己紹介をすると彼はニコッと笑うと「こちらこそよろしく頼むよ」と握手を求めてきた。

 

…来たかぁやっぱり握手来たかぁ…これ刹那大丈夫かしら…?

チラッと隣の刹那を見るとムスッした様子で握手しそうにない…はぁフォローしてやるかぁ…

 

「えぇ、よろしくお願いします」

ニコッと営業スマイルをかましつつ握手をする。そしてすかさずフォローも忘れない。

 

「すみません、私の相棒は男性が苦手でして…」

そう言うと私の苦労も知らずに刹那は

「よろしくです」

と先程の様に右手を上げ適当な挨拶をかます…。

 

案の定騎士達が黙っていない…

「先程から見ていれば貴様っ!ここに居られるアンドレイ様に対し無礼であろう!」

…うわぁっ!面倒事になったぁ!刹那の野郎めぇ!

 

「…貴族様だろうがなんだろうが男は男でしょ、私は男嫌いなのよね。そっちの都合勝手に押し付けないでくれないかしら」

 

ここにしてテンプレぶっ壊してきやがったったよ!困るんだけど!ここはテンプレじゃないと困るんだけどっ!

 

「…っ!貴様っ!」

騎士がまた声を荒らげようとした時だった。

 

「やめなさいっ!」

「「「!?」」」

騎士達が驚いたように声の方を見る。そこには金髪の身なりのいい少女がいた。…さっき人質に取られていた女の子だ。

 

「あなた方!救ってもらった恩人に敬意を持ちなさい!私は彼女に助けられたのですから!」

 

「ハッ、ハッ!申し訳ございませんっ!姫様!」

 

…は?…姫様?

「よろしい、私の騎士が無礼を働き申し訳ございません。では改めて紹介を、私はキャメロット王国"アンドレイ・アーサー王"が娘、"アメリア・アーサー"と申します。御二方には賊に襲われている時に助けられました。改めてお礼を、ありがとうございました。」

 

深々と姫様はお辞儀をする…というか、え?なに?私達が助けたの王族なの?なんでこんな騎士ひ弱なの?もっと強いんじゃないの?え?え?

 

…私の思考回路は意味もなくグルグルと回り続ける。

 

「…えっと?国王様方?一体こちらでなにを?」

私は不意に疑問を問いかける。

 

「あぁ私達は丁度隣の国と同盟を結びに行った帰りなのだよ」

「あぁなるほど、そこを賊に襲われていたのですね」

「そうだよ、今日は厄日だね全く…」

 

…いやアンタ方より私らが一番の厄日だよ、というか世界中で今日1番厄日なの私ら説あるぞこれ…

 

「…そ、そのようですね」

「ほんとだよ…ん?君、隣の子何故固まってるけど大丈夫かい?」

「え?」

 

チラッと隣を見るとボーとしている刹那がいた…。

 

ん?どうしたんだろうか……あっ!これは行かん!

即座に刹那の頭を叩いて正気を戻した。

「いったぁーい…何すんのさ!」

「…いや固まってたから?」

「…まぁいいや、そんなことより姫様ものすごく可愛いねっ!!」

 

そう言って近付こうとするのでまたぶっ叩く…

「いったっ!」

「アンタいい加減にしろ!」

「うー、はい…」

 

全く…刹那の性癖には呆れる…刹那は同性愛者なのだ…言わばレズ…。

だから男なんて興味もないし男嫌いが発症した原因でもある…。

 

…はぁ、早くこの性癖を治さねば…まぁ無理だろうけど…。

 

「え、えっと…そんなにその子叩いて大丈夫なのかい?」

アーサー王が問いかける。

「大丈夫です!問題ありません!」

「そ、そうかい。…そう言えばなんだが君たちは旅人と言ったね、ということは街にでも行くのかい?」

 

「えぇそうですね、街を目指して旅をしております」

「なるほど、では一緒にどうだい?我が国まで」

「よろしいのですか!?」

お、これは嬉しい申し出、ここは乗るしかないっ!このビッグウェーブに!

 

「うん、それに君たちが居れば盗賊にも怯えなくて済みそうだからね」

 

なるほど、街まで連れていくから護衛しろってことか…いいだろう。

 

「いいでしょう、交渉成立です。ではよろしくお願いしますアーサー王」

「うむ、こちらこそよろしく頼む響殿に刹那殿」

 

 

 

 

ー異世界:馬車の中ー ==響side==

馬車に乗ってから数分、会話はなかった…びっくりするほどなかった…というか刹那が隣でめちゃくちゃ何かを考えているのが見て取れる…なんなんだろうか…この状況は。

 

そんな中口を始めに開いたのは刹那だった。

 

「アーサー王、失礼とお見受けしたしますが失礼したします。アーサー王と言うとあの伝説のアーサー王一族の末裔なのでしょうか?」

 

アーサー王伝説、私もその一部は名前だけだが聞いたことがある。

アーサーと言う少年が湖の真ん中の聖剣エクスカリバーを抜くところから始まるその伝説の伝承はその類に疎い私で知っている。

 

「よく知っているね刹那さん、そうだよ私達はそのアーサー王の末裔だ。我が国は聖剣と共に周りに平和をもたらさんとする為国を起こしたと私の先代から聞いている」

 

 

 

…平和ね、真の平和なんぞ永遠に訪れることの無いというのになんと呑気な人達だろうか。そんなことをするならまだ武装平和の方がいい、あれやこれやと介入が難しくなるからだ。それに、平和思想家なんてみんながみんなそうじゃない、私らのように裏の人間だって居るのだから。

 

 

ふと、私は地球のことを思い出してしまった…真の平和なんぞない世界の話だ。

1942年アメリカにてとある計画が開始された。

当時まだWW2(第二次世界大戦)真っ只中に発足されたその計画は数年後、戦争を強制的に終わらせた。

翌年の1943年にはイタリアが降伏し、枢軸国からの脱退を表明。その二年後1945年枢軸国最後の二国は降伏しWW2は終わりを迎える。

 

 

 

で、だ。その計画が作り出したのが人間達が世界に産み落とした悪魔の開発だった。…時は1945年大日本帝国で起こる。8月6日午前8時15分アメリカによって人間の作った最大の禁忌が広島に落とされる。

 

 

 

…そう原子爆弾だ、

マンハッタン計画で生み出されたこの悪魔の兵器は同月9日11時2分 長崎にも落とされた。

 

 

 

アメリカが作ったこの禁忌の兵器を目の当たりにした大日本帝国は翌月9月2日に降伏。

それから冷戦と呼ばれるアメリカと旧ソ連による核開発競争時代が幕を開ける。

 

旧ソ連の崩壊に伴い冷戦が終了し、現代に戻る…。

お互いに核を向け合う核抑止で世界の均衡が保たれた世界。だが、誰が核の息吹を聞いたのならば、撃たれた側は即時報復しまた核を撃つ、そうやって脆い安全ピンでやっと平和が、世界の均衡が保たれたのだ。

現代がやっとそうなのに対しここは中世、そんな平和なんて実現するはずがない。

 

…私はそう皮肉を浮かべた。

 

 

「私もその伝承に関してよく調べておりました。ですのでこうしてアーサー王の末裔の方々と出会えて光栄に思っております」

 

そういうと刹那は軽く会釈をする。…珍しい、この子が男に対してそこまでするなんて…

ふと私はそう思う。

 

「そうかい!ならよかった。君のような可愛いお嬢さんにそう思ってもらえると私としても光栄だよ」

 

…なんだ、案外刹那も男と話せるじゃないの…。特定の男だけだけどね…

 

 

刹那と私、国王、姫達で馬車の中で話が盛り上がる。相手の好感度もある程度上がっただろう、いざという時に使えそうだ。

 

「国王様、そろそろ王都に着きます」

「おぉ、そうか。報告ご苦労」

「ハッ!」

 

馬車の手網を引く騎士がそろそろ王都に着くと王へと伝える。

 

「見て驚くでないぞ?ワシの王都はかなり栄えておるからの」

フォフォフォというか笑いをすると少し真剣な顔付きへと変わる。

 

「して、ワシの命を救った恩人達じゃ礼をしよう。そのまま王宮まで来て貰えんかの?」

「そんな!よろしいのですか?」

 

私が咄嗟にそう答える。

 

「うむ、良い良い」

王はそう言うと背もたれに体を任せる。

 

ふと外を見ると大きな城壁が見えてきた。ここが目的の王都のようだ。




如何でしたかね?できるだけ長く描きすぎないようにしているのですが読みやすかったら幸いです。
ではでは次回もお会いしましょう〜
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