次の日、僕たち異世界転移組は王宮の裏に裏山に集まっていた。
もちろん、昨日の今日でクラスメイトの雰囲気は最悪だし、普段なら天乃河の所にみんなが集まって和気藹藹 ( わきあいあい)としているのに既にそんな気配はなく、僕たち剣弥グループ(ハジメ、雫、香織、優花)と遠藤君グループ(遠藤をリーダーとして幾人かの人が集まっている。その中には愛ちゃん先生もいた)それと天乃河グループ(天乃河、坂口)に分かれていた。
各グループで集まり暫くするとメルド・ロギンス ハイリヒ王国騎士団団長が数人の部下を連れてやってきた。わかる人には何故来たのか分かったが、何人かの生徒には何故来たのかわからないようだった。
「聞け、勇者たちよ!今回、お前たちの指導をすることになったメルド・ロンギスだ。今からお前たちにこの世界における座学と戦闘訓練を行ってもらう。その前に、お前たちに配る者があるー」
メルド団長は自分がここに来た理由と訓練内容を話してくれた。そして、そこまで言うと一回言葉を切り、兵士たちとアイコンタクトを取っていた。すると、兵士たちも理解したのかコクンと頷くと手に持っていた銀色のプレートを生徒たちに配り始めた。全員に辿り着いたことを確認した団長は、また言葉を紡ぎ始めた。
「今、お前たちに配ったのはステータスプレートというものだ。文字通り自分の客観的なステータスを数値化して示してくれる便利な物だ。そして、この世界で最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だ。だから失くすなよ?ちなみに、これを再発行するにはギルドに行って手続きをする必要があるのだが、手数料が如何せん高い。それと、今からこの山の上にある訓練場に向かうが落とすなよ。」
そう言い残しながら歩きだしたメルド団長の後ろをついていくことにした。
★★★★
少し歩くとそこにはロープウェイみたいな乗り物があったが、どこにも動かす装置が見当たらなかった。すると、近くにいた兵士がなにかを小言で呟いていたが声が小さすぎて聞き取れなかった。フォークリフトが動き出すとゆっくりながらも上昇していき、中間部に辺りを過ぎる下を見て見るとさっきまでいたはずの王宮や町・建物なんかが小さく見え、上を見て見ると今なら雲に手が届くんじゃないだろうか、と思えるほどだった。
フォークリフトもどきに乗ってから数分経ち、やっと聖教教会の総本山【神山】と呼ばれる麓に到着した。そして、その麓には岩々に囲まれた訓練場しかなかった。
「よし、今から座学を開始する。適当に座って聞いておくように!」
その言葉に従ってクラスメイトたちは地面に座り、メルド団長の異世界講義を聞いていた。すぐに終わるだろうと思っていたメルド講義だったが、そんなことはなく二時間ちょっともかかってしまった。おかげでお尻が痛い・・・
「少し喋りすぎたか・・・」
「はい、団長喋りすぎかと・・・」
メルド講義が終わると団長は満足したような表情をしていたが、部下たちは団長に「喋りしぎですよ、団長」「彼らが可哀想ですよ」などと言われ猛省していた。
暫しの休憩を挟んで今度行うのは、まずステータスプレートの確認とその報告、時間があれば簡単な訓練を行う予定だ。まず、ステータスプレートを確認するには自分の血をカードに垂らせばいいという話だった。仕方なく自分の指を切り、血を垂らすとすぐに表示された。
黒野 剣弥 (くろの けんや)17歳 レベル:1
天職:死神、魔剣士、剣聖
筋力:170
体力:160
耐性:70
敏捷:80
魔力:800
魔耐:500
技能:鬼道・斬魄刀[+始解][+卍解]・魔力操作・言語理解・瞬歩・魔力感知・斬魄刀生成・武器形態変化・隠蔽・霊力操作
なかなかのチートだと思う。
うん、絶対チートよ・・・レベル1でこれはヤバイって・・
しかも、天職3つもあるし・・・
自分のステータスに驚き、呆れ、感動しているとメルド団長がステータスプレートの説明をしようとしていた。
「全員見られたか?説明するぞ。まず、最初に”レベル”があるだろう?それは各ステータスの上昇と主に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりはレベルはその人間が到達できる領域の現在地を示しているというわけだ。レベル100ということは、自分の潜在能力を全て発揮した極致ということだからな。そんな奴はそうそういない。ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇させることもできる。また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことはわかっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後でお前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。なにせ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大開放だぞ!」
簡単に言うとゲームはレベル上昇=ステ上昇になるが、この世界ではそういう訳では無いらしい。つまり、レベルと言うのは本当の意味でその人の総合的強さの指標でしかないというわけだ。
(武器ねぇ・・・ん~やっぱ剣かな~日本刀みたいなのあるかな~)
剣弥がそう考えていると、メルドがまた喋り出したので注視して聞くとー
「次に〝天職〟ってのがあるだろう? それは言うなれば『才能』だ。末尾にある〝技能〟と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」
「後は……各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな!全く羨ましい限りだ!あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」
見慣れない文字がいきなり識別できたのはこの《言語理解》の技能のお陰だろう。エヒト神が彼らを召喚した時点で全員に付与されたものらしい。以外にも気が利くやつなのね・・・
しかし、メルドの説明を聞いた途端視界の端ではハジメがステータスプレートを見て落ち込んでいた。
「どうしたんだ、ハジメ」
「あ、剣弥・・・ステータスプレートが・・・」
そう言いながら、渡されたステータスプレートを見て見るとー
南雲ハジメ 17歳 レベル:1
天職:錬成師
筋力:10
体力:10
耐性:10
敏捷:10
魔力:10
魔耐:10
技能:錬成・言語理解
ハジメのステータスはザ・平均だった。
しかし、ハジメは落ち込んでいたが錬成師ということはモノを作る職業・・・つまり、防具や武器なんかを作って自身専用の装備を作ることができるのと同義だ。ある意味最強じゃね?
まぁ、しかし本人はそのことに気づいてないからあとで教えないと・・・
一方、ダメ勇者はというとー
天之河光輝 17歳 男 レベル:1
天職:勇者
筋力:100
体力:100
耐性:100
敏捷:100
魔力:100
魔耐:100
技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解
流石、勇者と言ったところかね・・・
剣弥には大半は負けるが、多くの技能を持っていた。
その横でメルドが天乃河のステータスプレートを見ていたが、その高さに驚いたのか褒めちぎっていた。その光景をよそ目で見ていたクラスメイトたちはぞろぞろと自分のステータスプレートを見せにいった。が、剣弥は最後になるまで動こうとはしなかった。そして、遂に最後になった剣弥はメルド団長にステータスプレートを見せた。
「これは……すごいな。天職は見たことがないが、ステータスは勇者であった光輝より優れているものもある。特に魔力と魔耐が素晴らしい。何個か謎の技能はあるものの有望株だな!」
と褒めてくれた。褒め終わり戻ろうとすると、耳元で小言を残してきた
(いいか、魔力操作だけは他言禁止だ。魔力操作は本来魔物しか持たないものだからな。肝に銘じておけ)
(はい)
メルドの小言に返事をして元に場所に戻って行った。
しかし、次のハジメのステータスを見てメルド団長は固まってしまった。
そこからハジメのステータスや天職について誤魔化すように説明し始めた。だが、なんとなく剣弥が予想していた通り生産向けの天職で、ステータスも平均値で特に突出したことが一つもない『普通』なものだった。
「まぁ、気にするな。俺たちが守ってやるさ」
「はい・・・すいません」
メルドに一声かけてもらい、申し訳なさそうに戻って行った。
しかし、ここでメンドクサイグループに目を付けられてしまったが、本人は全く気付いてはいなかった。
今回のお話は、如何だったでしょうか?
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