元から存在していた、主人公パーティー(剣弥・ハジメ・香織・雫・優花)、遠藤パーティー(遠藤と4、5人のクラスメイト(後々の展開で出すかもです))、元勇者パーティー(天乃河・坂口龍太郎)にオリキャラ2パーティーとして(数人・・・最高で8人かな?アタッカー2人、ヒーラー2人、ドルイド1人、キャスター2人、タンク1人って感じです)、残りの9人ぐらいは、非戦闘色職という設定にします。(愛子先生も含む)
異世界に転移してからもうすぐで二週間になろうとしていた。
その間にやった事と言えば、騎士団との模擬戦や近場での魔物討伐、魔法訓練などだ。
そして今現在、俺こと黒野剣弥とハジメは王宮内にある図書館に来ている。来た理由は、俺はこの世界のことを知るため、ハジメは(戦闘面であまり役に立てないのなら知識面で役に立てばいいのでは?)と思いつき薬草や魔物、人種、大陸、文化・娯楽、主産業などのことを調べている。
「ハジメー、なんか面白そうな本あったか?」
「特にないよ」
「そうか・・」
しかし、この返答は嘘だ。
なぜなら、ハジメは今読んでいる本を見ながらニヤニヤしているからだ。自分ではうまく隠せていると思っているのかもしれないが、全く隠せてない。口元なんかもろバレである。
じゃあ、なんで親友である俺に嘘をついたのか・・・それは読んでいる本が関係している。
「(なになに『超簡単!全大陸生存種図鑑』?)」
本のタイトルにはそう書いてあったが、なにが書いてあるのかピンと来なかった俺は、少しだけ中を覗いてみるとそこに書かれていたのは、昆虫図鑑や植物図鑑のように絵と説明文が書かれていた。それを見た瞬間(これはハジメが好きそうなやつだ)とすぐに思った。それと同時にだからさっき俺に嘘を付いたのだと理解もした。
しかし、気になる表記もあった。いや、一瞬しか見てないから見間違えかもしれないが・・・
ハジメが今見ている海竜族の横に書かれていたのは有翼族(黒翼族)という言葉だけだった。
「(有翼族・・・つまりハーピィみたいなもんか?それとも、悪魔みたいなもんかな?どっちにしろ一度でもいいから会ってみたいな)」
しかし、この世界では魔人族は忌み嫌われ人類の敵であると幼きころから教えられる。それ故、この有翼族、いや黒翼族は見た目から魔人族として扱われるかもしれない。そしたら、彼らは人目に付かないようにするために隠れ里で暮らす。すると、なかなか簡単に会うことができなくなってしまう。
全くに面倒な世界だ・・・
そんなことに考え耽っていると、さっきまでニヤニヤしていたハジメがいつの間にかいつもの感じに戻っており、話かけて来た。
「ねぇ剣弥、明日の迷宮攻略参加する?」
「あぁ、俺は参加する。なにせ、この世界に来て初めての敵だからな。どんな魔物なのか、どれほど強いのか、どんな能力をしているのかも兼ねて参加するさ。それにいつかはここを出ていくんだ、その時には力と戦闘経験が必須になってくるし、なにより俺は雫、優花や香織を守らなくちゃいけないからな。もちろん、お前もだハジメ」
「そっか・・・ありがとう剣弥。でも、僕も剣弥に守られるだけは嫌だから自分で自分を守れるくらいには強くなるよ」
「そうか、期待してるぞ」
「うん!」
明日の迷宮攻略は、最初は全員参加だったがクラスメイトの中には非戦闘職が何人かいたためメルド団長の強いお願いにより希望制になったのだ。
どうやらメルド団長も非戦闘職の人間を戦闘に参加させることには甚だ抵抗があったらしいが、自分一人が訴えた所でなにも変わらないと思っていた矢先に俺たちが訴えた始めたからそれに便乗したらしい。(本人曰く。その箇所は割愛)
他の貴族や王族は、転移者なんかどう扱おうと構わん!みたいな雰囲気を醸し出していたし・・・
暫くハジメと話し込んでいると、後ろに気配を感じたため振り返ってみると、そこにいたのは彼女だった。
「よう、雫。いたなら声かけてくれればよかったのに」
「あら、やっと私たちに気づいたのね・・・随分とハジメ君とのお話に夢中だったのね」
「私たち?お前以外いないじゃないか・・?」
「はぁ・・・」
そう、剣弥が感じた気配は雫のものだったのだ。
気づくのに遅れた剣弥に溜め息をつきながらもちゃんとに会話をしてくれているあたりから察するにあまり怒っているという感じではないようだ。しかし、雫は先程「私たち」と言っていたが、どうみても雫以外人の気配がない。気になってもう一度辺りをキョロキョロしてみると、扉の隙間から服の一部が見えていた。おかげで、剣弥は理解できた。
「(なるほど、そこにいたのか・・・それは、わからんな。でも、あの服の切れ端は確か優花のだったか?ってことは、香織もいるのか・・ここは、鎌をかけてみますか)優花ー、姿を見せてくれないと俺、寂しいなぁ~。それにハジメも香織に会いたいって言っているぞ~」
「ちょ、ちょちょっと剣弥!?」
「そっか~そんなに私に会いたかったんだね!」
「わかったから、寂しそうな顔しないで~」
俺が鎌をかけるために嘘を言うとハジメは焦り出し、香織と優花は扉の奥からタタタッと俺たちの元に駆けて来た。優花は、俺の顔を覗き込んでいたが、香織はハジメに抱き着いていた。俺からみると、弟好きの姉が溺愛しているように見える。
「白崎さん、離し・・・て。く、くる・・しい」
「ダメだよ!絶対に離さないんだから!」
ハジメが香織のデカ胸に飲み込まれて苦しそうに藻搔いていると、香織はさらに抱きしめる力を強めた。そのことによって遂にハジメはジタバタしなくなった。それを見ていた雫は額に手を当てながら、やれやれといった感じで香織に声をかけた
「香織、いい加減に離してあげなさいよ。ハジメ君、息してないわよ?」
「え?あ―――ハジメくん!?しっかりしてーーーーーーー」
ハジメの現状を理解した香織は、気絶しているハジメの肩に手を置きながらぐわんぐわんと揺らしていた。
そのことを他人目に、俺は雫たちがここに来た理由を聞いていた。
「で、なんで雫たちはここに来たんだ?」
「あ、そうそう、そろそろ訓練始まるわよ」
「あ、なるほど。知らせてくれてありがとうな」
「どういたしまして。」
★★★★
訓練場に移動してきた俺たちは、クラスメイトに凝視されながら人目の付かない場所にまで移動していた。
訓練開始まであと10分ぐらい時間がある為、ここで自主練をしようとしていた矢先だった。クラスからの信用と信頼を無くした天乃河とその後を付いてくる坂口が訓練場に来た。てっきり、メンタルが折れて訓練には参加しないかと思っていたが、どうやら復活できたらしい。まぁ、来ただけなら問題ないのだが、その後こっちにダルがらみされるという問題が残っていた。そして、その予想は当たり天乃河が独りでにこっちに歩いてくる。それも普通に歩いてくるだけでなく、歩きながら聖剣といっても過言ではない輝きを放っている剣を鞘から抜きながら歩いて来ていた。その予想外の彼の行動を見ていたクラスメイトたちはザワザワし始めていた。
「ハジメたちは、そこから動くなよ」
「わかった。でも、剣弥はどうするの?」
「俺は、あの元勇者を殺す。腐っても、あいつも剣士だ。その剣士が剣を一度抜いたらそこから始まるのは意地とプライドをかけた殺し合いだ。」
「そっか・・・確かにそうだね。心配いらないと思うけど、一応気を付けてね?」
「あぁ」
剣弥とハジメは互いに小声で話していたが、その光景を見ており人の感情に鋭い感性を持つ雫は2人がとてつもない会話をしていることに気づいていた。
(なんか、重たい話をしているわね・・状況から考えて剣弥は彼を殺す気ね・・まぁ、それが剣を抜いた者の運命(さだめ)ね。でも、ここは半殺しで我慢してもらいましょう。)
雫がこれからの対応を考えていると、元勇者は剣を強く握りながら走って来ていた。それをただ立って見ていた剣弥は背中に背負っている剣を抜こうとはしない。ただ、そのまま突っ立ているだけだ。
気づいたら天乃河は剣弥の目と鼻の先にいた。これは早速助けが必要なのではと思っていると遂に剣弥が動き出した。というより、手を目の前に突き出しただけだ。
★★★★
一方、剣弥はというとどうやって殺すか頭の中で考えていた。
「(さて、どうやって殺すかな・・・確か、俺の技能に斬魄刀形成があったはず・・・なら、物は試しで斬魄刀で殺すか。けってーい!!あ、大事なことを忘れてた!召喚口実、考えなくちゃ!やっぱり異世界来たら中二病的なことしたり行ってみたいじゃん?)」
殺し方と召喚口実を深く考え込んでいたせいか、気づけば元勇者が目と鼻の先にまで来ていた。
というか、そこまで来てようやく彼が接近していたことに気が付いたというのが正解だろう。
「我、汝と契約せし者。今、我が手にその強力な力を刀身に宿し顕現せよ!天鎖斬月!!」
そう召喚口実を言うと手には、鍔に柄頭に鎖の付いた漆黒の刀身が握られていた。
しかし、本来、前置きは必要ないのだが殺し方を考えているついでにせっかく考えた口実だったためカッコつけのために言うことにしたのだ。
雫たちは、彼の手に握られた漆黒の剣が急に出て来たことに驚いていたが、ハジメだけは全く驚く素振りはなかった。
まるで最初から知っているかのように・・・
そして、漆黒の剣に目を奪われているとキィィ―ンという鉄同士がぶつかる甲高い音が鳴り響いた。何事かと思って見てみると、目に映ったのは天乃河の攻撃を全て弾き返している剣弥の姿が目に映った。しかも、驚くべきことに剣弥はその場から一歩も動いていない・・・
しかし、当の剣弥は非常に残念そうな顔をしていた。
「これが勇者の本気か・・・弱くて話にならんな。そろそろ飽きた、死ね。月牙天衝!!」
「!!??」
剣弥の呟きに天乃河はなにも返さなかったが、漆黒の刀身から放たれた黒い斬撃には驚いたようで躱すのに遅れてしまった。そのせいで、天乃河は剣を持っていない方の手ーつまり左手を切り飛ばされてしまった。
「うがぁぁぁぁぁああ!俺の左手がーーーー!」
余りの痛さと感覚に地面をのたうち回っていたが、剣弥はそんなの関係なしに彼の元に行きトドメを刺そうとしていた。そのときだった、雫が天乃河と俺の間に入り込んできては天乃河を庇うように立ちはだかった。
「待って、剣弥!」
「なんのまねだ、雫。そこをどけ」
「退かない。退いたら殺すでしょ?」
「当たり前だ、それが剣士同士の戦いだ。それに先に仕掛けて来たのはこいつだぞ?」
「それは、わかってるし貴方の言うことも最もだわ。でも、殺すのは今じゃない。こいつは貴方の足元に及ばない程に弱かった。そんな程度の相手に貴方自身が手を下す必要はないわ。」
「ならなんだ?そいつがもっと強くなってから殺せとでもいうのか?悪いが、そんな悠長にそいつの成長を待ってる気はないぞ?それとも、お前がそいつを殺すのか?それなら潔く引くが?」
「ええ、こいつは私が殺すわ!」
「わかった、なら好きにしろ。ただし、今俺の目の前で殺せ」
「わかったわ」
雫が剣弥を止めた理由・・・
それは、本当は彼がもっと強くなってから殺すようにと交渉するためだった。しかし、剣弥に感づかれてしまったため強くなるまでの時間は稼げなかった。ましてや、自分が見てる前で彼を殺せとまで言われてしまった。最初は断ろうとしていたが、剣弥の殺気と威圧、眼圧に負けてしまい反論することができなかった。それに彼の目は本気だった。そして、遂に「わかった」と返事をしてしまった。
雫は意を決したかのように腰に付けていた日本刀を引き抜き彼の胸元に突き付けた。その光景を見ていたクラスメイトは悲鳴を上げる者や泣き崩れる者が多数いた。あんなに心優しく、誰にでも気軽に話す彼女がそんなことするとは思ってもいなかったんだろう・・・だから、自分の脳内で思い浮かべていた彼女が違う行動をしたことに絶望したのだ。そんなことを微塵も思わないのが剣弥だ。この重苦しい雰囲気を破ったのが剣弥だった。
「殺したか?」
「ええ、ちゃんとにトドメを刺したわ」
「そうか」
彼はそう言いながら、死体になりかけている彼を確認してあと数分で死ぬとわかったのか、雫を連れそのまま仲間の元に戻って行った。
因みにだが、この光景を見ていた仲間たちは自業自得とでも言いたいのか特に表情を壊すことはなく普通に剣弥と雫を迎え入れた。