はぶかれた2人が世界最強   作:カワイイもの好きのスライム

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奈落(橋の下)に落ちたクラスメイト

今洞窟内では、生死を賭けた戦いが開幕しようとされていた——

 

 

なぜこんな状況になっているのかというと、数時間前にこの洞窟迷宮—―【オルクス大迷宮】——に入り第30階層まで攻略しようとしていた。実際、順調に30階層に辿り着き、ラットマンと呼ばれる両手足の筋肉が以上に発達したウサギ魔物とロックマウントと呼ばれる岩に擬態できるカメレオンみたいな能力を持つ魔物と戦闘を行った。そのあとそこから少し先に進んだ場所で休憩してから帰る予定だったが、白崎が高い位置にあるグランツ鉱石と呼ばれる緑色に光る石に見惚れていると、それを聞いた檜山が白崎の気を引くためにその石をトラップだと考えずに採取。その結果、その石はトラップ用でありそのまま第65階層に飛ばされてしまったのだ。

 

 

 

結果、今に至る。

そして、最悪の状況を向かえている——

 

 

今、俺たちがいる橋の上には前方にベヒモスと呼ばれる伝説の魔物がおり、後ろにはトラウムソルジャーと呼ばれる骸骨型の魔物が魔法陣から大量に出現し、その数は有に100体を超えまだ増え続けている。その光景を見たクラスメイトは絶望したかのように顔を青褪めさせ足を震わせていた。本来ならこの様な状況に陥ったらパーティーは壊滅しても可笑しくないのだが、周りにいる王国騎士団兵の頑張りによってまだ壊滅せずにいた。しかし、戦力としては数えられないありさまだ。数えたとしても微々たるものだ

 

 

クラスメイトたちは普段訓練で行ってきたフォーメーションを忘れ、ただただ武器を振っているだけだった。中には敵がいない方に目を瞑りながらメイスを振っている者や喚きながら魔法を適当に撃っている者、敵との距離感を測り間違え反撃を受けている者など様々だ。

 

 

そんな中で即座にベヒモスに向かって行った人物がいた。

そう、剣弥たちだ。

 

 

 

剣弥、ハジメ、雫、メルトが目の前の巨大モンスターに立ち向かっていく姿を見て、後ろにいたクラスメイト達の目からは少しずつ恐怖心や絶望という感情が消えつつあった。

 

 

「おい見ろよ、一番脆弱なハジメがベヒモスに向かって行ってるぞ!スゲぇ・・・」

「それにハジメだけじゃない。雫さんや剣弥までいるぞ・・・」

「怖くないのか?・・」

 

 

 

クラスメイトたちの声に「怖くないわけないだろ!」と反応したくなってしまった剣弥だが、今はそんなこと言ってられない状況だとわかっているためベヒモスに立ち向かっていった。

 

 

 

初めにベヒモスを攻撃したのはメルトだった。メルトはベテラン騎士の威厳を見せるかのようにベヒモスの足を狙って剣を振り下ろしてはいるもののベヒモスの皮膚が固く思っていた以上にダメージが入らなかった。当のベヒモスは攻撃されたとは思っていないのかメルドのことを見ようともしなかった。

 

 

 

「俺なんかの攻撃じゃビクともしないのはわかっていたが、まさか眼中にも入れてもらえないとわな・・・なら、これでも喰らっとけ!」

 

 

メルドは今度、剣に魔法を纏わせた剣——魔法剣——で先程と同じ箇所を攻撃した。

 

 

それと同時に攻撃を仕掛けたのは、剣弥と雫の二人だった。

剣弥は斬月で、雫は王宮からもらった日本刀もどきの剣でベヒモスを攻撃していた。雫が初めにベヒモスの片目を剣で刺し、そのできた隙を剣弥が斬月で右足を攻撃していた。

それでも、ベヒモスの皮膚は硬く掠り傷さえもできなかった

 

 

「やっぱり硬いな、こいつ・・・今の俺じゃ、全然切れる気がしないぞ・・」

「えぇ、そうね・・・私も同感よ」

 

 

2人とも同じことを思っていたが、後ろでトラウムソルジャーと戦っている優花やケガ人を回復している香織をみてここで諦めるわけにはいかないと思いなおしていた。

 

 

「はぁ、勝てる気がしないけどやりますか」

「そうね。やるなら手伝うわよ?」

「なら頼む!」

 

 

少しだけ言葉を交わした剣弥と雫はナイスコンビネーションで次々と攻撃を仕掛けていくが、レベルが低いせいでダメージを与えることができずにいた

 

 

 

そんな三人をうっとおしく思ったのかベヒモスはその長い尻尾で三人を薙ぎ払ったが、剣弥と雫は剣身を尻尾が来る方向に合わせていたため、少しズレた場所で留まることができたが、メルドはというとモロに攻撃を喰らいあと少しで橋から落ちそうな場所まで飛ばされてしまった。

そのことにいち早く気づいた剣弥はすぐにメルドの元に向かった。

 

 

 

 

「間に合ええぇぇぇぇええ!」

 

 

 

                                      ★★★★

 

 

 

 

 

一方、薙ぎ払いされたメルドは払われた勢いを完全に殺すことができず、このまま橋から落ちて死ぬんだろうと覚悟していた。

 

 

 

「あぁ、俺はこのまま落ちて死ぬのか・・・最期にしてはスッキリしない死に方だな・・・最後ぐらい国のために戦って死にたかった・・・」

 

 

 

そんなことを馳せていると聞いたことのある声がだんだんと大きくなりつつあることに気づいた。

そして、すぐにこれが剣弥の声であることがわかった。上を向いてみるとそこには自分の腕を両手で掴んでいる剣弥の姿があった。

 

 

 

「なにしている。このままでは、お前も落ちるぞ!早くその手を離せ!俺はお前たちを守るという義務があるんだ!」

 

 

自分の思いを感情のままに叫んでいるメルトだが、剣弥はその手を決して離すことはなかった

 

 

「だったら、今ここで生きて俺たちを守ってみせろよ!まだ、戦場は不安定なんだ!それなのに先にアンタだけ死んだらあいつらになんて言えばいいんだよ!」

 

 

 

そう言い終わると剣弥は決して軽くはないメルドの腕をゆっくりと持ち上げだした。

このまま行けばあと数分でメルドが持ち上げると思った瞬間ベヒモスが戦えない状態の剣弥に突進してきた。

 

 

「錬成!!!」

 

 

それに気づいたハジメがそうはさせないと自分にただ一つだけ許された魔法 錬成を使いベヒモスの行く先に次々と壁を作り妨害工作をしたが、それでも決してスピードは落ちることなく剣弥に向かって行きその度に錬成で壁を作ることにした。

 

 

「剣弥まだ!?」

「あと、ちょっと・・・」

「もうすぐで来るよ!」

 

 

ベヒモスはもう目の前まで迫っていた。

あと数秒でハジメと剣弥にぶつかるところまで来ている。

 

 

その時だ—―

 

 

「どりゃあぁぁあああ!!!」

 

 

そんな声と共にメルドが宙を飛んでいた。

ハジメは何事かと思って後ろをチラ見すると、そこにはメルドを思いっきり宙に放り投げている剣弥の姿があった。

その姿にホッとしていると遂に魔力が切れ、今まで自分の前に展開していた土壁も消えベヒモスに突き飛ばされてしまった。

 

 

「うわああぁぁぁぁああ!!」

 

 

その飛ばされた衝撃で後ろで動けずにいる剣弥に当たり二人とも橋から落ちてしまった。

 

 

二人が落ちていく姿を見た雫と香織、優花は絶望の表情をしたあと、クラスメイトの静止も聞かず自ら二人の後を追って橋の下に飛び込んでいってしまった。

その様を見ていたメルドはいたたまれない表情をし、クラスメイトたちは泣き叫んでいた。

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