新学期辛い・・・
ルノが結城家に来た次の日の朝。窓から差し込む朝日でルノは目を覚ます。まだ眠たげにしている眼をこすりながらも体を起こし布団から出るがまだ完全には目を覚ましていないのかふらふらしている。それでも部屋を出るためにドアに向かうがーーー
ゴンッ
「あうっ」
寝ぼけているためドアを開けることを忘れ頭を勢い良く打ってしまう。突然の衝撃に声を出してしまうが額を少しさすりつつ今度はきちんとドアを開け部屋から出る。部屋から出ると美味しそうなにおいが漂ってくる。まだ覚醒しきっていないながらも本能のままにふらふらしながらもにおいをたどっていく。進むにつれだんだんとにおいが強くなりキッチンに着くとエプロンを着けた美柑がいた。机の上にトーストや目玉焼き、ウインナーソーセージやサラダが並んでいるのを見たところ、朝食の準備をしていたようだ。
「あ、ルノ君起きたんだね」
「……みかん?」
「まだ目が覚めてないのかな?そうだよ、美柑だよ、おはよう」
「……みかんおはよぉ」
ルノがいることに気づいた美柑はルノに声をかける。だが舌っ足らずな返事を聞いてまだ目が覚め切ってないと苦笑い。それでもちゃんと挨拶を返してくれることに笑顔を浮かべる。
「ふふっ、よく眠れたみたいだね」
そう言いながら美柑が頭をなでてくる。どうやら寝癖がついていたようだ。
そう言えばこんなにぐっすり眠れたのはいつ以来だろうか、といまさらながら美柑に言われて気づく。少なくともここ1年はなかった気がする。
「……ねれた。あったかかった」
「そっか、よかった。家で寝るのは初めてだから1人で寝させるのとか少し心配だったんだけど、大丈夫だったみたいだね。よかった」
初めての家で寝るというだけでなく、昨日リトに説明してもらったように両親もおらず、姉も行方不明なのだ。そのためルノを一人にすることが心配だったのだがとりあえず昨夜は大丈夫だったようだ。
そういえばそのルノを家に連れてきた兄がまだ起きてきていないと気づく。ルノに起こしてきてもらおうかと考えるもルノはこんな状態。この状態だと下手したらリトと一緒に寝ちゃうかも、そう思い準備もほとんど終わっているため自分で起こしに行くことにする。エプロンを外し、兄の部屋へと向かう。
「ルノ君、朝ごはん食べる前に洗面所で顔洗って来ようか」
「・・・ん」
部屋を出る前にそうルノに声をかける。ルノの返事は曖昧だが洗面所の方を向いたところを見るとちゃんと聞き取れたのだろう。ルノの姿を見送りながら兄を起こすために美柑は二階に向かった。
洗面所から戻ると二階に行っていた美柑も戻ってきた。だがリトはまだ来ていないのか姿が見えない。
「あ、ルノ君、ちゃんと行ってきたんだね。えらいぞ」
「……ん、おなかすいた」
「ふふっもうできてるから一緒に食べよっか。あ、そうだ。ララさん見てない?」
「……おふろってぺけがいってた」
「そっか、ありがと」
昨夜はペケがエネルギー切れで話すことができなかったが先ほど洗面所で会った時に自己紹介も含め少し話すことができた。キッチンに戻ろうとした際、ララがシャワーを浴びているためその世話をする、というようなことを言っていたのを思い出しそれを美柑に伝え、朝食を食べ始める。
「「いたただきます」」
そしてカリカリに焼かれ、きつね色をしたトーストを口に入れる。美柑もそれを見てから朝食を食べ始める。するとリトが二階から下りて来た。
「あ、やっと来た。おはようリト」
「おう、おはよう。美柑、ルノ」
「……おふぁほー」
「ああ、ものを食べながら喋っちゃダメ」
リトは顔を洗う前にとりあえずのどを潤すためにコップに水を注ぎそれを一気に飲む。
「もうご飯はできてるよ」
「ああ、とりあえず顔洗ってくるよ」
美柑の言葉に相槌を返し、コップを置くとリトは洗面所に向かった。それを見送りながらまた食べ始める。
「あ、たしか今洗面所って・・・」
すると美柑が何やら1人でつぶやき始める。
「あ、やばいかも。リトちょっとmーーーー」
『ラ・・・ララ!!裸でうろつくなよ!!服を着ろ!!』
『あ、リト!おはよー!』
「・・・おそかったか」ハァ
「……だいじょうぶ?」
「ああ、大丈夫だよ。ただ、朝から騒がしいなって。さ、食べちゃお」
皆が朝食も食べ終えた後、平日ならルノを除いた三人は学校に行くはずなのだが今日は休日。それぞれが思うように過ごしている。リトは庭にある植栽や鉢植えの世話、手入れをしており、美柑は食器を洗ったり洗濯をしたり、ララは自作のメカの手入れをしながらテレビを見ている。その中でルノはリトに付き添い、手伝いをしていた。
「ルノは花とか好きなのか?」
「……うん。みんなきれいですき」
家で花の世話などをしているうちにそれが趣味になったリトだが、ルノも花が好きなようだ。花に水を与えては顔を近づけて花を見ている。
「俺も世話を続けるうちに楽しくなってさ、世話したらその分綺麗に咲いてくれたりするのが嬉しくてな。今じゃ俺の趣味の一つだよ」
「……なんとなく、わかる。この子たちしあわせそう」
そんなことを話しながら鉢植えに水をやったり雑草が生えていたりしたら手入れをしたりと穏やかに時間が過ぎていく。
庭での作業も終わり部屋に戻ろうとしたとき、リトがルノに声をかけた。
「そういえばルノ、昼から一緒に来てほしいとこがあるんだけど大丈夫か?」
「……ん、大丈夫」
ルノはこの町、この家に来てまだ日がとても浅い。そのため昼からは姉を探しながらこの家の周辺や遠方を散策しようかと考えていたのだが、これは絶対に今日やらなければならないわけでもないし、そもそも今日だけで終わるとも思っていない。
それに、1人で居た自分に優しく声をかけてくれて快く家に住まわせてくれたリトが来てほしいと言っているのだ。ついていかないという選択肢はルノにはなかった。
「……どこいくの?」
「ああ、親父の家だよ」
「というわけで昼はルノと出かけてくる」
昼食を食べている途中、リトがルノと父親の家に行くということを美柑とララに説明していた。
いわく、ルノと会って、結城家に住まわせることを決めたときに父親に電話をしていたらしく、その際に会って話してみたいから連れてきてほしいと言われていたようだ。
「リトパパのところに行くの?私も行きたい!」
「ララさん誰かと約束してるって言ってなかった?」
「そうだ!春菜と遊ぶ約束してたんだった!」
ララは前に行ったときに漫画に興味を持ったらしくまた行きたいと思うが、春菜との約束があったことを思い出し断念する。
「……みかんはこないの?」
「ん~、特に用もないし邪魔になるだろうからいいかな。ごめんね」
「ん、大丈夫・・・」シュン
「はは、ルノに余裕があったら帰りに町の案内がてら買い物でもしてこようと思うから夕飯の材料とか買ってきてほしいものがあったらメールでもしてくれ」
「りょーかい。ありがと。リトもルノ君も気を付けてね」
そうして昼食を食べ終えると、食器を洗い準備を済ませルノとリトは家を出た。
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