私はいま通りかかった男性に声をかけ、どこかに連れて行ってもっらている。
……なんだか、これだけいうと援助交際っぽいなぁ。ふとそんなくだらないことを思う。
ハッ!? もしやこの男性は、こんな無垢で可愛いショタな指揮官から私を寝取ろうとしている!? もしそうなった場合、私は男性を微塵切りにしなくてはならない……。
……まあ、たぶんそんなことはないだろうけど。
と、私がアダルトゲームチックなことを考えているうちに、男性の足がある場所で止まる。
「よーし、着いたぞ。おーい! こっちだ!」
男性が合図を送るように大きく両手を振る。
すると目の前にあった紺の車両からふたりの軍服を着た男性が飛び出し、駆け寄ってくる。
「生存者、発見! 直ちに保護を実行する!」
「ちょ、待ちなさいよ! あ、そこ触らないで!」
男性ふたりは機械的な言葉を発したのち、指揮官もろとも私を車両の後方に詰める。ついでにお腹も触られた。許すまじ。
「よいしょっと」
なぜか私たちを先導してくれた男性も乗ってきたよ。まさか、本当に私を寝取るために快楽堕ちさせる気!? それから犯すのね!? エロ同人誌みたいに!
などと、またもやしょうもない下品な妄想をしてしまう。
私が変な妄想を膨らませていると、周囲の赤い景色が動いていく。いや、違ったわ。私たちの車が動いているだけね。
「なあ、お前さんに訊きたいことがあるのだが」
私を見ながら、男性は言う。
「わ、私?」
「そうさ」
「……何かしら」
男性は一度覚悟を決めるように息を吸う。
この質問はただごとではなさそうね。
「間違ってたらすまねぇが――お前さん、
……いきなり本題を出すとはね。
私は肯定の合図として、首を小さく縦に振る。
「……そうか」
「…………」
まさか、分かってたなんてね。まあ、仕方ない。
「……それで、そっちの子供が指揮官か?」
やっぱりそこも割れちゃうか。もはや隠すこともできないので、素直に答えるとする。
「ええ、そうよ」
その答えを聞くと、男性は顔を暗くして俯く。
……その理由は、今の質問で分かってしまった。
「ちょっと語るぞ。
昔な、俺には十一歳の息子がいたんだよ。自慢の一人息子でな。こんな俺でも慕ってくれて、本当に可愛い奴だった。
だけどある日、そんな息子に指揮官の適性があるって分かっちまったんだ。そこからあいつは、指揮官になった。流されるままになっちまったんだよ。俺はあのとき、無理にでも引き止めときゃ良かったんだ。
――後日、息子の所属していた母港が〈セイレーン〉に爆撃され、あいつは変わり果てた姿で家に帰ってきたんだ」
今にも血が滲み出そうなほど、男性は拳を握りしめていた。
「だから俺は敢えて言う。その子は本当に戦争に参加したいのか? 流されるままに、参加しようとしていないのか?」
その問いに、私は押し黙ってしまう。
「……すまん。この問いはその子本人にするべきだったな。頭に血が昇ってやっちまった」
それからしばらく、静寂が車内を包み込んだ。
……本当に私は、戦争に参加するかもしれない指揮官を守り通せるだろうか。
そんな不安が、頭に過った。
こういう人もアズレン世界にはいるのかもしれない、ということを考えながら書いていました。