荒くれもの人生 侍 活動中止 作:(´・ω・`)しょんぼりくん
だがもしその理から外れる事ができたら?二度目の人生を迎える事ができたら?もしどんな願いもかなう事ができれば?
それを可能にする事はできる軌跡など少ない、それが出来るとしたら聖杯のみだ。
突然の奇襲
「綺麗だな~。」
そう手に持った日本刀を見ながらそう呟く、シグルドやアーサーが持つ剣とはまた違った雰囲気がある。刃に自身の顔を映るほどの美しさ、少し背中に寒気がするが何故かその刃に見惚れる程の目が離せない。そしてその刀の持ち主だと思われる人物、千子村正が口を開く。
「まあ日の国の刀って言うのは剣の中でも至高の存在って言われてるからな。練度、精度、どれを取っても最高レベルみたいだったからな。まあこれが人殺しの武器何だがな。」
「でも綺麗だよ。」
「鍛え上げ続けた物だからな、綺麗なバラにもとげがあるって言うやつかね。」
「日本の武器となれば鉄砲もあるぞ!わしの鉄砲も悪くないぞ。」
そう信長は目の前に鉄砲を出す、火縄銃と言う物で日本が作ったわけではないが織田信長がこれを使用して戦に勝ったのは有名な話である。
「確か隊を作って撃った人が後ろに下がって弾込めてる間に他の人が撃つんだっけ?」
「そうじゃ、昔の鉄砲は今のように便利じゃなかったからのう。装弾数も一発だけだし、込めるのもただ弾詰めるだけじゃなかったけんの。」
火縄銃は今の銃とは違いまず弾を弾き出すための火薬を詰めた後に弾を入れる、その後はその火薬に火をつけて発射される。そのため一度でも水に濡れると火薬が濡れて撃つことが出来なくなる。そのため雨が降る時期は使う事が限られてしまう。
だが武器としては最高だった、それは今が証明している。前までは環境に振り回されていたのに今ではそれを克服して現代での主力武器になっている。遠距離からの制圧射撃、一方的な攻撃が可能。前までは両手でしか持つ事ができなかったのに今では片手で持つ事ができる程スリムになった。
にも関わらず刀は形を変えずそのままだった、その理由は使われなくなったと言うのもあるが法律により日本刀の武器として扱う事が禁じられたからである。武器として扱われた刀にとっては終わりを告げられているようなものだった。日本刀はそれ以降進化はしなくなりただの美品として扱われた。
「まあ平和による抑止とも言える。使わなくなったものは忘れ去られるだけだからなぁ。」
「刀は才もいる上にでかいからのぉ、鉄砲の方は逆に便利になり過ぎて手放せなくなった感じがする。」
「まあ刀鍛冶として伝統が廃れるのは少し悲しいな。」
「こんなに綺麗なのに…」
「人殺しの武器だからな、平和で廃れるのは仕方ねぇ。きっと昔の時代にもこうやって亡くなった技術はあるだろうな。」
技術と言うのは進化する、だがすべてがその恩恵を受けられる訳ではない。時代に求められずそして忘れられた物もある。それも仕方がないとも言える。藤丸は手に持っている刀を見る、確かに人殺しの武器ではあるが何故だか悲しい気がする、それが藤丸の中に残っていた。そんな事を考えていると手に持っていた刀が消えた。村正が刀を消したようだ。
「そろそろ昼だ。飯にしようぜ。」
「…そうだね。」
「今日は何を食おうかのう。」
サーヴァントの部屋もあるが他にも食堂がある。厨房は料理が得意なサーヴァントが担当している、中にはプロの人もいるので美味い物しかない、それが和食洋食すべて対応してくれるので職員や藤丸たちにとってもかなり助かっている。サーヴァントたちも食事をとっている時もある。
そして藤丸はと言うと食事を終え中をぶらぶらしていた、廊下を歩いたり他のサーヴァントと話をしてみたりと色々な事をしている。今は廊下を歩いている所だった。
「おぉ!いたいた。」
そう声を掛けられた方に振り向くとそこには見知らぬ何かがいた、青い鎧のような物を着ている人のような何か、腰には刀のような物がありこちらに向かって笑みを浮かべながら手を振っている。とは言っても顔は見えずただ瞳がそう言っていると言う感じだが。
「ここって意外と広いんだな。同じような景色が続いているばかりで何処にいんのかわかんなくてよ。」
そう頭をかきながら近づいて来る、思わず引いてしまい一歩下がる。何故そんな事をしたのかよくわからない。ただ何となくだが彼には近づかない方がいいと悟った。だが相手の方が早くもう目の前まできている。
「まあいいや、お前がここのマスターだっけか?」
そう藤丸を品定めするように見つめる。藤丸はその場から動けなかった、蛇に睨まれた蛙、頭は逃げろと警告しているのに体が動かない。それどころか何故か口が動いている、相手の質問に答えている。
「佐藤和也は知ってるか?」
俺はそれに頷く。
「今何処にいる?」
俺はそれを知らないと答える。
「居場所に心当たりは?」
俺はそれを横に振り答える。
「…そっか、あいつはいないのか。いるとしたらここだと思ったんだがな~。」
そう落胆からくるため息、何故自分がこの事を喋ったのかわからない。この人が何故和也さんを探しているのかもわからない。謎が深まるごとに背中に走る悪寒が強くなる。
「まあいいや、そんじゃ…
お前で少し遊ぼうかな?」
刹那、相手が刀を抜きこちらに向けて振り下ろした、あまりにも一瞬な事でなにも反応ができない。ただ綺麗に光る刃を見るだけで藤丸はただその場で立ち尽くし村正が言っていた人殺しの刀と言うのが思い浮かぶ。そして目があった、相手は笑っていた。そしてその瞳には自分が映っていた。そしてその間に盾が出現する。そしてすぐさま誰かが藤丸を抱えその場から離される。
「頼光さん!?」
「大丈夫ですかマスター?」
「う、うん。何とか。」
「ほぉーちゃんと来たか。」
そう関心するような声が聞こえる、そしてマシュが反撃をするとそれと同時に相手が後ろに下がる。
「あなたは何者ですか?」
「んーしがない侍って所?」
テキトーな言い訳、その場で考えたような言葉が出てくる。マシュは藤丸の前に立ち頼光は藤丸の方を大切に抱えている。
「私の息子に手を出すとは、死にたいのですか?」
「…母さんプレイとはまた新しいな、これがあの有名な源氏の人とはねぇ。」
また落胆するような冷めた目が向けられる、軽蔑、落胆、そのような目が向けられている。だが頼光は藤丸を攻撃されたためか相手の方をずっと睨んでいる。睨み合いが始まる、相手が見下ろし頼光とマシュが藤丸を守るように立つ。
「まあいいや、そんじゃやろうか。」
相手の斬撃が放たれる、間が空いているにも関わらず一気に詰められそして鞘に納められていた刀が既にマシュの前にあった。それをギリギリで感知して盾で防ぐが防御でできた隙にすぐさま切り込まれた。それを頼光が刀が防いだ。火花が散る、明かりが二人を照らすがそれでも相手の顔を見る事はできなかった。そして次はマシュたちが仕掛ける。盾を振り上げただけの身体能力に身を任せた攻撃、それを相手は刀を当て下に流す。慣性の法則にしたがった盾が地面にめり込んだ。そして出来た隙を埋めるように頼光が仕掛ける。頼光の激しい攻撃をまるで水のように流している。
「重いけど、流せない訳じゃないな。」
相手の斬撃が頼光の頬をかすめる、それを受けて頼光は下がる。
「この速さ、居合ですね。」
「そ、俺の我流だけど。にしてもよかった、変な奴かと思ったけどちゃんと退治屋としての腕はあるんだ、全盛期の生身と戦ってみたかったけど。」
頼光が矢を放つ、相手はそれを居合で弾きながら接近する。マシュはその間に入り突撃を止めるがその瞬間居合の嵐がマシュに振り注ぐ、盾で防いだがすべてを防ぐ事はできなかった。そして頼光が矢を放ち近接に持ち込む、だがそれも相手に捻じ伏せられる。すると相手が後ろに引いた。
「びっくりだな、俺の刀で傷もつかない何てな。英雄の盾も中々出来がいい。」
そう刀を触り刃が欠けてないか見ている。逆にこちらから言わせてもらえばあれ程の攻撃を行って刃も欠けないのが不思議だ。しかも一番の謎なのが…
「あなた、サーヴァントではありませんね?」
「え?」
「…見る目はあるようだな。」
「ありがとうございます、それで、あなたは何者なのですか?私たちの事を知っているようですが?」
「言ったろ?しがない侍さ。」
「少なくとも日の国にあなたような人物は見かけた事もありません。そしてその鎧を見ると武士でもありませんね。」
「そういうあんたは随分ラフな格好してるね、カルデアって所はいつから風俗サービスとかしだしたの?」
少し怒りが混じった声が頼光に当てられる、頼光はその事を気にせず会話を続けるがどれもこちらを見下すような言葉ばかりだ。それと同時に蔑んだ冷たい視線も向けられている。落胆している、頼光はこのままでは勝てないと思い時間稼ぎを行う。
「私が思ったような人物ではなくて残念でしたか?」
「まあそんな感じ?別に男女とかどうでもいいんだけどもうちょっと変な方向に曲がって欲しかったよ。」
「私は母です、それ以外の何物でもありません。」
「頼光のじじいが見たらさぞ落胆するだろうな。」
「…じじい?」
いやこの言葉はここにいる頼光に向かって吐いた言葉ではない、何処か別の人物に言った言葉だ。すると相手が突然後ろに振り向き歩き始めた。
「何処に行くのですか?」
「まあちょっと広い所?こんな狭い場所じゃやりにくいし広い場所で応援来るまで待とうかなって…てな訳で早く来いよ。」
そう言い残すと相手は消える、結局何者なのかも告げずにただ好き勝手言われただけだがこちらとしてはありがたい。時間は限られているがそれでも少しでもあるのなら対策の使用はある。
「藤丸君!」
「ダ・ヴィンチちゃん!」
情報整理をしている所にダ・ヴィンチたちが駆けつけてきてくれた。流石にカルデアの中での事件なのでホームズやゴルドルフには焦りの表情が浮かんでいる。どうやらこの三人にもあの謎の人物がいつここに現れたのかわからなかったようだ。
「大丈夫!?」
「マシュたちのおかげで何とか…」
「何なんだあいつ、一体どこから現れた!?」
「やっぱりみんなも知らない?」
「謎の人物の存在に気づいたのはつい先ほど、恐らくミス・キリエライトが戦闘を行った時にようやっと反応したのだろう。計測によれば途方の無い魔力が発生していた、魔力量は聖杯に近い。」
「それだけじゃない、ここを通る際に何名かのサーヴァントが負傷していた。退去とまではいかないけど誰もが退去寸前の状態だった。今ナイチンゲールを中心に治療を行っている。
負傷していたのはセイバーを中心とした三騎士だ、ラーマ、清少納言、ビリーザキッド、宝蔵院胤舜などのサーヴァントが襲われていた、まだ正確な人数は確認はできていないが…
侵入したのは恐らく30分前、その間にこの痛手を考えるとかなりの手練れだ。」
不意打ちとはいえわずか三十分でこの人数を相手にしてすべて切り伏せている。しかも頼光たちとの戦闘を見ると目立った傷もしていなかった。つまりほぼ無傷で勝っている事になる。マシュと頼光が押された訳だ。
「それで?その謎の鎧武者は何処に?」
「ここより広い場所で待つって。」
「広い場所?まさか!?」
「ここから近いのは…レイシフトを行う部屋だね。」
「お?やっと来たか。」
そう刀を手入れをしていた目を部屋に入ってきた藤丸たちに目を向ける。藤丸とサーヴァントはもちろんゴルドルフたちも後ろにいる。
「ほぉこれは中々…」
「あれは…龍なのか?」
「これは、また変わった者が来たな。」
柳生但馬守宗矩、ジークフリート、ネロなど現段階で連れていけるサーヴァントを連れて来た。他のサーヴァントには周辺警戒および治療を行っているサーヴァントの護衛、だがほとんどのサーヴァントはここに来ている。とは言え近接戦闘を得意とする人間に限られている。火力が高すぎるとレイシフト装置に被害が出るかもしれないからだ。
「ふーん、中々いい編成じゃないか。少し戦っただけで中々…それにここがどういう場所なのかもわかっているようだ。」
立ち上がり藤丸たちの方を見る、刀に手を掛けこちらを見定める。ホームズたちが言うには相手の魔力は聖杯並み、しかもサーヴァントではない。一体どういう理由でここにいるのか、何故こちらと敵対しているのかわからないがこっちの敵と言う事には変わりはない。なら戦うしかない、だがここで行う訳にはいかない。ここに相手が誘い出したのは恐らく純粋な近接戦闘をしたいあるいは別の意図があるのかはわからないがこれ以上被害を出す訳にはいかない。
「さーて俺と切り合うか?そうなってもここはただじゃ済まなさそうだが?」
そう、本来カルデアそのものが戦闘を行っていい場所ではない。だから…
「ネロ!」
「わかっておる。見せてやろう。我が劇場を!」
手を掲げる、それに呼応するように周りに赤い花が散り始める。
「オリンピア・プラウデーレ!門を開け!独唱の幕を開けよ!
我が才を見よ!万雷の喝采を聞け!インペリウムの誉れをここに!
咲き誇る花のごとく……開け!黄金の劇場よ!!」」
詠唱が終わる、世界が塗り替えられる。周りに広がるは黄金、幾つもある観戦席。まさしく黄金の劇場。固有結界とは似て非なる大魔術。自己の願望を達成させる絶対皇帝圏。彼女が設計し建築物「ドムス・アウレア」を、魔力によって再現したものだ。
「こりゃまた…目が痛い場所で…」
「良いであろう!すごいであろう!余が作りだした劇場!ここにいる限り余のルールに従ってもらうぞ!」
そう隕鉄の鞴「
瞬間、姿が消えた。そして刀を振り下ろそうとしている敵がいた。それを見切ったかのようにネロはその刀を受け止める。
「ん?止められた?」
そしてネロの両側から二人のセイバーが襲い掛かる。敵はすぐさまその二人の攻撃を止めるが流石にセイバーの三人を相手にしているためか押されている。だがそれも居合ですべて捻じ伏せられる。それを読んでいたのか敵に向かって矢が降り注ぐ。敵も刀で帰切り落とし一度状況を確認するため一度後方に下がる。
するとネロたちがいる中央以外にも観客席側にアーチャーのサーヴァントがいた。巴御前、ロビンフッドだ。
「奴め、この劇場の中であそこまで動けるとはな。本来ならまともに動けるわけないのだが。」
「何か調子悪いな。この変な場所のせいか?」
この劇場にいる限りネロの指定した敵はこの劇場によって弱体化される。本来ならまともに動く事もできない筈なのだが相手は平然と動いている。だが影響は出ているようでさっきまでの戦闘よりかなり遅くなっている。だがそれでも強い。
「いいね、たまにはこういうのも、いいね!」
不思議な移動法による瞬間移動から繰り出される斬撃、40mは離れていたであろう距離が一瞬でなくなる。対するはセイバーたちはそれに対応する。ネロによる黄金の劇場により弱体化、そしてセイバーによる近接対応、アーチャーによる支援攻撃、相手はそれを刀で対応している。だがこれでもさっきの戦闘よりは対応できている。
本来ならもう少し人数を増やした方がいいのだろうがあまり強力なサーヴァントだと黄金の劇場ごとやりかねない、それだと下手をしたら本調子に戻った相手に切り伏せられる。さらにこの場所ではライダー等は不向きだ。
「はっは!」
「余裕ですね!」
セイバーたちの切り合いの横からランサーが攻め入る。長尾景虎が槍を振り上げる、槍と剣、そしてそれに対峙する刀が一本、本来なら押されて当然の筈なのにこれで互角、なら後は一瞬の隙で決まる。
「くぅ~背筋に寒気が!一太刀一つ一つ嫌な気配が感じられますね!中々の強者とお見受けします。我が名は長尾景虎!あなたの名を聞かせてはくれませんか!?」
「うえ!?あの上杉謙信なの!?そりゃいいね、その槍捌きで俺に傷つけられたら教えてやるよ!」
「いいですとも!」
「ちょい待てい!余の事は無視か!?」
槍の連撃が居合によって流される、だがそこにセイバーたちの攻撃が入り相手が押され始める。相手は居合を中心にしているため一度刀を鞘に納める必要がある。全開時なら何も問題はないだろうが黄金の劇場による弱体化のせいで行動が遅れるため攻撃が遅い。そこに最速のサーヴァントであるランサーが入り防御に徹すればギリギリだが防ぐ事ができる。
「体がトロ過ぎる、速さが売りなのに…」
「ははは!結構全力でやっているのにほぼ押され気味!少々自身無くしますね!!」
「…仕方ない、手を見せようかね。」
刀を静かに鞘に納め深く腰を下ろす、刀を後ろにやり体で隠す。これなら刀をいつ抜くのか見えないため相手にはわからない。今までとは違う気配、楽観的な雰囲気から一変して殺意が増した。今までの軽い構えとは違う姿勢、長尾はこの距離からでも感じる殺意でこの距離からでも自分を殺せる技を持っているのを感じた、他のセイバーも迂闊に近づこうとしない。それ程の技なのだ。ただの直感に過ぎないが縮地に似た技を見ればなんら不思議ではなかった。
長尾はふと思った、さんざん武士とは戦ってきたが居合を中心とした侍と戦った事がなかった。一応居合を使う人間はいたがほとんどが主流に乗っ取ったカウンター技だった。今この場にいる侍のように縮地を利用した技を見るのは初めてだった。自分の槍と相手の居合、どちらが早いのかと言う単純な事を今この場でどうしても確かめたい。このスリルを、強い相手を切る、このワクワクが止まらない。
「その居合、我が宝具にて薙ぎ払いましょう!!」
「俺の居合と真っ向勝負とは、ならそちらの術、見事捻じ伏せてみせよう。」
ぶつかり合う魔力、長尾の方は恐らく宝具を使用するつもりだ。完全武装の長尾景虎の八体に分身してからの突撃、相手の出す居合がどういうものなのかはわからないが弱体化している今しかない。他のサーヴァントにも宝具を解放させる準備をさせる。長尾の後にネロを覗いたセイバー二人の宝具をぶつける。
長尾が放生月毛を呼び出す、それに長尾がまたがり突貫していく。相手はそれをゆっくりと見つめる。宝具解放による詠唱が始まる。長尾の顔は喜びに満ちていた。
「我が敷くは不敗の戦陣!」
「駆けよ、放生月毛!毘沙門天の加護ぞ在り!
侍の顔も同じだった。そして詠唱が終わり長尾が別れる。
一人目が突撃する、槍を振りかざし相手に向かって振り下ろす、それを侍は居合によって弾きそのまま長尾を切り裂いた。
二人目、三人目も同じように仕掛けたが居合の勢いを乗せすべて切り伏せた。
四人目がそれを読んでいたように切り裂かれた長尾の後ろから奇襲をかける、侍はそれを居合の勢いを殺さずそのまま防ぎそのまま切り込むが勢いが足りず速度が落ちたのか長尾に防がれてしまった。
五人目の長尾が侍の横から仕掛ける、槍の突き、それを侍は身を捻る事で回避する。そして長尾の二人の連撃を何とか受け流しながら四人目の腕を切り飛ばした、だがその腕を飛ばされた方も怯まず腰に下げてあった刀を抜き反撃する。その反撃は見事に鎧に当たり傷が出来る、無傷の方もまるで槍を棒のように振り回し隙を見せない。
そして六人目が後ろから仕掛ける、長刀による攻撃七人目は刀による斬撃だった。居合による速度は既に消えている、四人の攻撃を流すのが難しくなってきた。弱体化が無ければ直ぐにしまえて反撃出来るのだが今の状態では難しい。なら隙を作ればいい、後ろから長刀、前から刀を持った攻撃が来る。長刀の攻撃を避け自分の刀で前の攻撃を防ぐ、するとそれを待っていたかのように侍の首を狩ろうと横の斬撃が迫る。それを腕の籠手で何とか防いだ。だが鎧の強度が凄まじいのか切り込みすら入らず籠手に流されていく、その間に刀をしまわれた。それを見た四人は後ろに下がったが遅かった。相手が小さく息を吐いた瞬間、無数の斬撃が長尾に降り注ぐ。その場にいた二人はそのまま消失、残りの二人は負傷してしまう。だがそのやられた方も反撃に移る、消失した腕や傷などを気にせず腰に下げてあった刀で切りつける。侍の方はそれを居合の勢いを殺さずその刀を弾きだしそのまま片方に刃を向ける。向けられた方の長尾は自身の刀から手を離しそれを腕に盾にして防ごうとするが、居合の刀の方が威力があったのかそのまま両断された。だがそのおかげで居合の勢いは完全に消えた。
そして最後の八人目が現れた、馬の声がそれを知らせる。地を砕く歩音が響く、それが近づいて来る。居合の勢いは消え刀は下がっている、にも関わらず相手は二人しかも一人は無傷でもう一人は負傷しているが自分の手を少し見せ過ぎた。これでは対処される、流石は上杉謙信、越後の竜と言われるだけはある。だが楽しい、それ故におしい。こんな巡り合わせがあると言うのに弱った状態の自分の秘技を見せる事になるとは…
「居合 一刀両断…」
自身のもう一つ腰に差してある刀に手をかける、我が愛刀なら問題なくすべてを切り伏せよう。さぁ来い、綺麗に二つに…
「何をしている?」
不意に後ろから声を掛けられ集中が乱れた、いや別に声をかけらだけで乱れはしないのだがその声の持ち主が問題だった。
「うぇ!?頭!?」
殺意が増していた空気が一変する。謎の侍の他にももう一人現れた、紫の鎧、同じように腰に差してある日本刀が二本。姿を見て恐らく仲間だと思われる。藤丸たちは驚いていたが長尾はそれの他に驚く物が一つあった。さっきまで対峙していた長尾の分身がいつの間にか消えていた。傷の深さからしてまだ退去するまでは行っていない筈なのに消えている。一応分身とは共有しているため消えるまでの間の記憶を受け継ぐ。もちろん最後の分身の記憶もあった、だが何が起こったのかわからなかった。視界が無数に別れたと思っていたら既に死んでいた。つまりいつ殺されたのかはわかるがどう殺されたのかがまったくと言っていい程わからない。長尾の注意は既に紫の侍の方に向いていた。
「何処にいるのかと思えばこんな所で油を売っているとは、何をしている?」
「いやぁ頭の言ってた奴がもしかしたらここにいるかなぁ~と思って…」
「その様子からするといなかったようだな。だから言ったであろう。ここには彼はいない、帰るぞ。」
「…へいへい。」
青い侍の方はそれに応じた、紫の方は藤丸たちから種を返し青い侍はそれに続く。
「待て!」
それを長尾が止める、紫の侍はそれを聞き歩を止めた。
「あなたは…何者?」
「それは貴様が知る所ではない。興味もない。声をかけるな。」
「そういう訳にはいきません、こちらは敵襲をかけられた身、そちらの気分次第で決められては困る!」
「…仕方あるまい。」
そう言うと侍の方はこちらの方に振り返った、ゆっくりと腰に下げてある刀を抜いた。その瞬間その場にいたサーヴァント全員がその姿を注視した。細く研がれた目から放たれる殺気、刀から放たれる尋常ではない妖気、まさしく妖刀、まさしく人切りの姿であった。
それをすべて受けた全員は構えた、霊力最大、脳をフル回転させ今持てるすべての術を探りだす。藤丸もそれを感じ自身の腕に宿る令呪を構える。
訪れた沈黙、ただ五感が感じ取る殺意だけが満たされる。
刀がゆっくりと上がる、綺麗な銀色の刀身、それを浸食する紫の血管が不気味さを際立たせる。黄金の劇場には似合わない異質。
その刀が一瞬、ぶれた。
視界が無数に割れる、体が細切れになる。無数に別れた視界にそれぞれに仲間の惨劇が映し出された。
そして現実に引き戻される、今見たのは未来に起こる惨劇。何故それが見えたのかはわからない、だがそれが後数秒先で現実となる。
その惨劇を見たのはマシュと藤丸だった、藤丸はただそれを待つ事しかできないがマシュの方は藤丸の方に駆けだした。そして侍と藤丸の間に立ち盾を構える、宝具は展開できない。
そして変化が起こる、紫の侍を中心に無数の斬撃が発生する、それが広がっていきサーヴァントたち、そして黄金の劇場を切り裂いた。
崩れ落ちる劇場、その瓦礫が粒子となり消え元の景色、レイシフトするための場所が現れる。幸いにも斬撃は敵の後方では起こっていない、そのため装置は壊れてはいなかった。だが藤丸たちがいた入口付近は広範囲に粉砕されていた。そのため斬撃をまともに受けてしまったサーヴァントたちは粉砕された瓦礫と一緒に倒れていた。腕や脚が切り飛ばされたサーヴァントたち、観客席側にいたアーチャーたちも同じような状態になっているのがその威力を物語っている。そしてその元凶たる侍の方は静かに刀を収めていた。
「…ん?」
だが侍の方はその現場で異変に気付いた、本来ならすべてを切り飛ばした筈、そのため一人も立っている筈がない。なのに一際目立つ盾がその場にあった。
「加減したとはいえ、頭の斬撃に耐えた?」
「皆!」
敵の方は攻撃を受け止められた事に驚き藤丸の方は仲間であるサーヴァントたちの事を気にかける、マシュの方は藤丸の近くにいながら敵の方を向き警戒していた。
「…ほぉ。」
「え!?」
そう藤丸の方から紫の侍の声が聞こえた、マシュはしっかりと敵の事を警戒していた。二人の敵を認識し距離も測りいつ来てもいいように構えていた。そのためにも藤丸の近くにいた筈なのにいつの間にか後ろに回られていた、そしてその敵はと言うと倒れているサーヴァントに駆け寄った藤丸に顎に手を当て上から眺めている。
それを見たマシュはその間に割って入った、だが相手の方は行動を起こさずただ二人の方を眺めていた。
「…見えたのか、今のが。」
こちらに問いかける、だが二人はそれに答えない。侍はそれを気にせず続ける。
「良い目だ。和也のような目だな。」
(この人、和也さんの事を知ってる。)
その疑問が思い浮かぶがその途中で相手が刀を抜いた、それを警戒するマシュと藤丸。攻撃が来るかと思い警戒していると相手はただその刀で前を切った、いわゆる空振りだった。するとその後変化が起こる、突然藤丸たちの後ろで何かが現れた、そこはまるで切り裂かれた痕、その出来上がった痕には街の景色が映し出されていた。
その光景に呆気を取られる藤丸、すると藤丸とマシュの体が急に浮き始めた。そしてその穴に向かって吸い込まれるように近づいて行く。
「先輩!手を!」
その声に応じ伸ばされた手を掴む、そしてマシュは自分の盾を地面に向かって突き刺す。それを利用してその穴に吸い込まれないようにしていた、だがそれを見ていた侍はその盾を蹴とばした。突き刺さっていた盾は抜け藤丸たちはその穴に入ってしまった。
「頭、確かここって…」
「あぁ、私が思い付きで起こしたあの場だ。」
「何であいつらを?」
「和也と同じ強い目だ、もしかしたら面白い結果になるかもしれん。」
そう顎に手を当て嬉しそうに切り裂いた穴を見つめる、するとこの騒ぎを聞きつけここに向かってくる気配がいくつもあった。
「ほら行くぞ、用は済んだ。」
「へいへい。」
それを感じ取った二人は空けた穴に入って行った、そしてその穴はゆっくりと音もなく消えて行った。
「中々面白い事になりそうだな。」
「見ものだねぇ。」
見守る狂人。
「カルデア?観測者が戦争に?あの狂人、何考えてやがる。」
「へぇ~君がマスターって言う人?私が言うのも何だけど変わった見た目してるね。」
人生に未練がある物たち
「ここは…何処なんだろうか?」
それに巻き込まれた藤丸たち、ただの意味のなく理由もないたった一つの思い付きで起こった戦争が始まる。
「一つ聞きます。あなたがマスターですか?」
ちなみに沖田ちゃんの18禁欲しい?
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書いてくれ!
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いらないです。