荒くれもの人生 侍 活動中止 作:(´・ω・`)しょんぼりくん
ただ暗いだけの場所、生気を感じないただ冷たい土の床とコンクリートで密封された空間だった。唯一の明かりはその場所を繋いでいるドアから差し込む明かりだけだ。そしてその空間には一人の男がいた。その男は手を前に出す、そして息を整え口を開いた。
素に銀と鉄。礎に石と契約の大公。―――
降り立つ風には壁を。四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ。―――
男の前の床に描かれていた絵が光り出す、眩い光、青白い発光をするその陣には目もくれずそのまま続ける。
繰り返すつどにに五度。ただ満たされる時を破却する。―――
その陣の前には台座があった、その上には一冊の本が置いてある。風化が進んでいるのかかなり痛んでおりその中身を守っているカバーは所々かけている。男はその本をシワを寄せた目で見ながら詠唱を続ける。
――――告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。
陣の輝きが増す、密封されただ暗いだけの場所は陣の発光により既に全貌がわかる。
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者。
最後の一文、大きく息を吸いそのまま告げる。
汝三大の言霊を纏う七天、抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!
すると陣の発光はさらに増しそのまま塵が発生した、それにより視界が奪われ前の状態がわからなくなる。男はそれには驚かずただ粉塵が晴れるのを待つ。そして段々と晴れたその視界には
「…今回も失敗か…」
そう少しため息を吐く、何度やっても成功しない。何度やっても呼び出せない。何が足りない?何故ここに来ない…
何故だ…召喚術式も触媒も必ず”あいつ”を呼び出せるはずなのに…
「また失敗したのか…」
そう後ろから失望の声が聞こえた、それに嫌な顔を浮かべながら振り返りそこにいた人物を睨みつける。そこにはあの紫色の武者が立っていた。
「なんだ、また見に来たのか…以外と暇なんだな。」
「暇だったらこんなごっこ遊びなど開いておらん。それにこの戦争だって副産物のようなものだ、別段興味もわかん。」
そうどうでもよさそうに答える武者、その目にはこちらを視界にとらえている。だが言葉からはこちら等眼中にない、そのように聞こえるのが一番気に入らなかった。
「それで、何でまた召喚しようと?」
いつの間にか後ろに立たれていた、もう慣れたものだ…最初の頃は攻撃もかすりもしなかった。それにこいつは俺の事を殺す気はない。だから安心して話せるがそれでも多少恐怖を感じていた。
「お前には関係ない。」
「ただ呼び出したかっただけだろ?」
「……」
「お前は一生あいつには勝てない、そして呼び出すこともできない。」
「何故だ。」
「あいつが召喚に応じる筈がない。」
「前から言ってやがるな、何でそう言い切れる?」
「それは自分で確かめたらいい。そっちの方が見てて面白い。」
そうにやけ顔を浮かべるコイツ、今ここで魔術弾でもぶつけてやろうか…いやそんな事をしても勝てないのはわかっている。だからイライラだけが募っていく。
「そうやって我慢しているのも駄目だな。あいつなら殴りかかっているぞ。私はそっちの方が好きだな…」
そう呆れた声が聞こえる、癪に障ったのか男の顔が険しくなっている。自分の忍耐のことで怒っているのではない、ただあいつと比べられているのがどうしても気に食わなかった。そう睨み合いを続けていると部屋が揺れた、何かが爆発した音とともに来たそれは直ぐにやんだがそれが来たと言う事は襲撃されたということだ。
「この音…またあのじじいだな。」
「どうやらそのようだな…では私は退散するとしよう。」
そう紫の武者は告げると男の横を通り過ぎて行く、そしてそのまま部屋のドアを開け去った。男の方は取り敢えず襲撃の対処をするために直ぐに部屋を出た。
「これは…」
ふと沖田が部屋の窓から外を見る、武蔵の方も同じ方向を見ており二人は直ぐに外に出て港方面を見ていた。そしてその後に藤丸たちも拠点から出てくる。
「沖田さん、これは…」
「えぇ、誰か戦ってますね。」
そう全員が港方面を見る、遠目から見ても特に変化はみられないがサーヴァント同士が戦闘を行っている。藤丸の目にはいつもと変わらない港が見えているだけなので何が起こっているのかはわからない状態だった。
「沖田さん、戦っている人って誰かわかる?」
「いえここからでは…」
ここからでは状況が把握できない。なら近づいて確認するしかない。ここ数日何も問題が起こらなかったためこのような異常は初めてだ。藤丸たちにとっても何が起こっているのかは把握しておきたい、沖田たちも同じ考えのようでその戦闘が行われている場所に向かった。
戦闘場所となっていたのは柳が使用している倉庫の一つだった、外側からは特に異常がないように見えていたのだが近づいてみると結界が貼られている。その結界は特に妨害もなく通り抜けることができたのだがふと視界が変わり視界の先には壊された工場の跡地があった。
「うわぁ、すごいことになってる。」
「これは…多分。」
「まあ、あいつだろうね。」
「心当たりがあるんですか?」
マシュがそう不思議そうに二人に問いかけるがそれを聞いて苦虫を嚙み潰したような顔をした。どうやら心辺りはあるようだがあまり話したくない人のようだ。だが話す訳にもいかないので沖田たちは口を開くことにした。
「多分あいつですね…頼光の奴ですねこれ。」
「また派手にやったなぁ。流石は鬼退治で有名な人…」
「頼光さんなんですか、確か男性なんですよね。」
「はいめっちゃでかいですよ、見ただけですが2m程ぐらいありますし筋肉の塊です。しかもうっとおしいですかなり。」
「私も戦った事があるけどもういいかな正直…飽きた。」
そう武蔵が苦い顔をしながら頬を掻いている、沖田の方も同じ顔をしている。まあ確かにこちらの頼光さんもすごい人だったけど…そこまで嫌な人なのかなぁ…
「…そんなに戦闘狂なんですか?」
「戦闘狂なのはそうなんですけど…実際戦ったことしかないからよくわからないです。」
その言葉を表すように周りには機械兵や建物の残骸が広がっている。その至る所には深々とした切り傷、残骸の中には何かの衝撃で粉々になった物もある。
「早く行こう、戦闘が行われているのはもっと先…!」
そう沖田の話を遮るように銃声と共に弾が飛んでくる。マシュが盾で防ぎ沖田は回避、武蔵は切り落とした。藤丸たちが睨むその先には武器を構えた機械兵がいる。
「機械兵、しかも装備がかなり近代的ですね。」
銃兵はアサルトライフル、歩兵は剣と槍だがどれも近代兵器に近かった。そして新しく騎兵がいる。その騎兵の馬も機械馬のようで、どうやらかなり武装の魔術礼装に力を入れているようだ。中身は近代的なのに見た目は武者のような違和感、だが魔術礼装としても
「ちょっと厄介ですが…突破しましょう。」
「うん、マシュ!」
「了解です。オルテナウス、出力問題なし。いけます。」
そう盾を構え沖田たちの前に立つ、騎兵がこちらに向かって馬を走らせる。魔術礼装の長刀を振り回しそれを銃兵が援護する。マシュが盾で防ぎ沖田たちが騎兵の相手をする、武蔵はすぐさま騎兵を切り伏せ沖田は馬の脚を切り落とす。マシュはもう一体の騎兵を受け止め盾で吹っ飛ばす。銃兵も攻撃するが沖田たちは避けマシュは藤丸に飛んでくる物を防ぐ。そこに白兵戦を仕掛ける歩兵が掛かっていくが武蔵が槍兵を切り伏せ沖田が剣士を倒す。
「まだ来る!」
そこに増援の到着、歩兵が5人、騎兵が3人、銃兵が2人、どうやら今回の襲撃でかなり警戒されているようで防衛の網が厚くなっている。セイバーならともかくアサシンでは少し厳しい、マシュも一応前線に出ているが銃兵がいるのでは前にでずらい。しかも銃兵を倒していないのに増援が来たので少し不味いことになっているのでマシュが動きずらい。
「沖田さん!一旦倉庫に入ろう!」
「!そうか。」
それを聞いて全員多少崩壊したての倉庫に入る、機械兵もそれに続くように入っていくがその中には誰もいなかった。するとその機械兵の背後から沖田と武蔵が現れ兵士を倒す。気配遮断による接近で倒している、倉庫は閉鎖空間、しかも崩れているため平面での視界はほぼ確保できない。そこに気配遮断を持ったアサシンが二人、不意打ちを仕掛けるのには最適だった。無事に兵を倒し隠れていた藤丸と合流した。
「いい案だったよ、これぞ正しくアサシンだね。」
「流石は歴戦のマスター、クラスによる戦い方を心得てますね。」
「いや~それほどでも…」
今まで二人はアサシンとしての戦いと言うよりセイバーよりの戦い方をしていたのだろう。無論不意打ち等を普通にする二人のため気配遮断は使用していただろう。その証拠に機械兵に攻撃を仕掛ける時手際が良過ぎた。やはりクラスにあった戦闘の方が発揮をしやすい、その点で言うと街と言うのは色々と都合がいい。
「!マスターこちらに近づいて来る反応があります。サーヴァントです!」
それを聞き全員がマシュが向いている方向に身構える、燃え盛る残骸を背景に誰かが立っている。片手に本を持った四割菱柄羽織を着た男性がこちらを見ている。
「まったく、来るとは思っていたが…できれば来ないで欲しかったな。」
そうめんどくさそうに呟く男性、その声に一番に反応したのは沖田だった。声を聞いた途端か表情が鋭くなり殺気が放たれる。マシュと藤丸はそれに押されてしまう、武蔵の方は何とも言えない顔をしており男の方は沖田の方を見ると表情が緩み笑みを浮かべた。
「よう総司、久しぶりだな。あの時以来か。」
「気安く名前で呼ぶな、柳。」
「どう言おうが私の勝手だ、それに俺を殺そうとした奴にとやかく言うつもりはない。」
「殺す?それはあなたが和也さんを殺したからだ。」
「…私は殺していない、頼んだだけだからな。」
「…それを殺したと言うんだ。だがまさかこんな所で機会がくるとは思っていなかった。」
刀を向け構える、柳の方は本を開き魔術を発動、機械兵を召喚する。柳の周りには火の玉が浮かんでいる。
「少々立て込んでいる、だから速攻で殺す。」
それと同時に機械兵の銃撃が始まり柳の魔術による火玉が飛んでくる。マシュがそれを防ぎながら後退していき武蔵が後ろの壁を切り崩しそのまま全員離脱、柳は手の平に魔弾を生成、そのまま藤丸たちがいる方向目掛けて放つ。すると凄まじい爆発と共に残った倉庫の壁が吹き飛ぶ。その衝撃に動けない状態で銃撃が集中する。
「動けないっ!」
自身の壁になる壁を破壊すると同時に爆風による硬直、それに障害物がなければアサシンの特性が発揮しずらい。こちらの能力を把握している。だが近づくことはあまり難しくはない、周りにはまだ港に置かれていた倉庫と残骸がある、後は周りにいる機械兵をどうにかするだけだ。
「あれ?沖田さんは?」
周りを見ても沖田はいない、するとまだ中にいる機械兵の上から沖田が降りてくる。そのまま機械兵の首元目掛けて突き刺した。それに反応するように横にいた兵が刀を振り落とすが沖田はそれを無視して近くにいた銃兵に向かって飛びそのまま頭と両腕を切り落とす。そのまま銃兵を盾にして柳に近づくがそれは他の兵に邪魔をされその間に柳の雷撃が襲い掛かる。仕方なく盾を放棄してそのまま後退する、そこに銃弾が飛んでくるがそれを切り落とし無事着地した。
「相変わらず怖いな、急所を的確に狙われている。もし俺に使われていたと想像したらゾッとするな。」
「そうですね、あなたに使えればどれほどよかったでしょうね…」
「まあ殺されかける事はあったが結局届かなかったな。最初は魔術で楽に対抗できたのに最後に抜けてきたのは意外だったな。」
それを聞いて沖田は舌打ちをする、柳は自身の傍に魔術弾を浮かべその周りに兵を並べる。睨み合っている間に藤丸たちが沖田の近くに近づいて来る。
「あれがカルデアのマスターか…ただの平凡な人間にしかみえないがな。」
「…まあ普通に見ればそうでしょうな。」
確かに私の目から見てもただの平凡な人間、マスターとしてもほぼ実力不足と言ってもいい程の人物。優しく人に目線を合わせ寄り添う、ここに来るのは場違いな人。だが戦闘になると切り替わると笑顔が似合う人が冷たい目線を人に向け倒していくのは少し寂しいように見える。
「…こうやって話すのは初めてかな?カルデアのマスター。」
「そうですね…」
「そうだ自己紹介がまだだったな、柳 概兊だ。」
「…藤丸と言います。」
そう少し小声で名前だけを言う、柳は表情を変えず顎に手を当て藤丸の方を見ている。
「…わからん。」
「なにがですか?」
「どう見てもただの凡俗だ、魔力の質もそしてマスターとしても実力として足りているとは思えない。
何故君は
そう素朴な質問、魔術師としてそして聖杯戦争を知っている身としての普通の質問だった。その答えの返答は藤丸は決まっていた。
「皆に託されてここにいる。」
「…質問の回答になっていないような気がするんだが…まあいい。んじゃ実力を見せてもらおうか。」
魔術回路を起動、詠唱を始めると機械兵に強化が付与される。そしてそのまま刀を持った兵が藤丸たちに接近する。沖田はそれを見て藤丸の援護に行きたかったが兵と柳の魔術弾によって妨害される。マシュが前に立ち歩兵の刀を止める。武蔵が歩兵に切りかかるが槍兵に止められる。長物の特性を生かし距離を取りながら武蔵を近づけず戦っていた。
(流石に柳の近衛の分強いな。)
恐らく柳が近くにいて魔術を付与しているからだろう、動きが最適化されている。沖田の方もセイバークラスでないため真正面での戦闘は厳しい所がある。
(沖田と武蔵のパターンは取ってある…だが)
武蔵は槍兵の突きを受け止めず流している、だが薙ぎ払いや切り上げは避けている。そして大振りの攻撃がきたとき懐に潜り急所を切りつける。だが兵はその場で下がり槍を引き武蔵の攻撃を防ぐ、そのまま続けるがやはり距離を詰められた以上武蔵の攻撃は受け続けられず切り伏せられる。
沖田の方は振り上げた刀同士がぶつかり合う、沖田の方は見惚れる程の剣術、速くそして人の急所狙う昔特有の動き、昔から受け継いできた天然理心流、沖田は新選組の中でも一二を争う程の実力者だ。その上ここの沖田は病弱ではない、和也のおかげで肺結核が治ったためカルデアにいる沖田より体調がいい、そのため全盛期の頃であっても問題なく動く事ができる。兵の方は動きが綺麗だ、歩術も剣術も計算されそして相手を的確に殺すため”決められた動き”しかできない。そのためか沖田の方は動きを読みやすく相手が手に持っていた刀を拳ごと切り落としそのまま首を跳ねた。ただ病気が無くなっただけでこの動き、まさしく達人技だ。
(アサシン相手でこれか…二人ともアサシンだったのが幸いだな。)
方や伝説の剣豪、方や最強の人殺し集団の隊長だ、それに二人も多少本気になっている。もしセイバーで召喚でもされていたら手が付けられなかっただろう。
「多少は不確定要素があるが…今はそうも言ってられないか。」
増援が来るまで時間がある、恐らくその時間内に仕留めなければ自分が死ぬ。あの
「恨み事を増やすと面倒だな、まあ自業自得なのだが…」
そう牽制程度の魔術弾を放つ、その間に兵を配置、そのまま仕掛ける。兵の動きはAIと同じだが出来の方はほぼ人工知能に近い。兵は戦うことに特化している、そのため戦闘の学習、技術の獲得はほぼ兵がやるが戦略については行わない。それに機構、材質にも限界があるのでそれは私が改良する。そのため今の兵は沖田たちに有効だが藤丸たちにはあまり有効的ではない場合がある。あの影英霊がそうだ、召喚士としては少し不思議な影法師、その特徴を見極めたい。
「マシュ!武蔵ちゃん!」
その声と共に二人が駆けだす、多少前に出ているが今回は銃兵がいないので多少は大丈夫だろう。それに藤丸には疑似召喚がある。二人ほどアーチャーを召喚し援護する。
(来たな…)
兵が対処できない物だけを落とす、どうやらアーチャーによる攻撃は柳の方にも飛んでくるので回避しなければいけないので傍に武者を一人配置しておく。迎撃、防衛に集中させ前線に出ている兵の援護に。マシュと武蔵の攻撃が兵に集中する。兵の方はアーチャーの攻撃とマシュたちの連携で少し押され気味だが沖田の方はその逆だ。一人しかいない上に柳としても対処しやすい相手なので先に潰したい所だ。
(分散させている間に潰す、マスターの方は足止めをしておけばいいだろう。)
沖田の方を攻め続けマスターの方を焦らせると言う手もあるが長期戦が望めないので有効とは言えないだろう。それに沖田は残して置くと面倒な事にしかならないので先に潰しておきたい。藤丸の特性の分析ができればよし、沖田の排除ができれば良し、どれを取ってもいいし片方だけでも達成できれば御の字だ。藤丸も合流したいが沖田と藤丸の間から盛り上がった土の壁が形成された。
「藤丸さん!こちらの事は気にせず目の前の敵を!」
「わかった!」
あまり後手に回り過ぎると相手の攻め手が多くなる、まず目の前の障害を排除する事にした。だが本格的に介入ができなくなった事で柳の魔術が沖田に襲い掛かる。柳ははっきり言って魔術師としての歴史が浅すぎるためキャスターのサーヴァントにしては練度が低い、その上神秘が薄れている時代だったため魔術師としては実力不足だが彼の逸話のおかげで何とかなっている。維新の革命者としての戦略もあるが魔術を研究している中である噂が立ち始めたのだ。
「生前ならこんな木偶人形すら作れなかった癖に…」
「それについてはサーヴァント化には感謝しなくてはな、神代の時代の者なら動きにくいと愚痴を溢すだろうが、神秘が薄れた俺たちにとってはまるで神話の人間になった気分だ。」
そう自分の手を開いて閉じる、今まさに自分は魔術を行使している。そのせいか震えている。沖田にとってはどうでもいい事なのだが柳にとっては重要な事だ。
「へぇ~、よかったじゃないですか。”念願の魔術が使えて”」
その言葉に柳は反応する、生前沖田が殺そうとし執念深く追ったために手にいれた情報、そして沖田と柳だけが知っている事である。
「魔術を行使するには遅すぎてましたしね、魔術回路そんなになかったから派手な事もできませんでしたしね。何なら人形ばかりじゃなくもっと個性的な魔術を使えばいいじゃないですか、”できれば”の話ですが。」
その声の後に魔術弾の嵐が沖田に襲い掛かる、沖田は多少苦い顔をしながらも回避した。
「相変わらず減らない口だな、いい加減黙ってくれないか?」
「気に障ったのならすみませんね、魔術を使えるあなたが嬉しそうだったものでつい。」
「…その察しの良さが和也が殺される時に発揮していれば良かったのにな。」
沖田の眉が動いた、藤丸が足止めを喰らっている間に柳は沖田を挑発することにした。
「好きな人も守れずそれを殺した奴も殺せなかった…負け犬の遠吠え、いやここは負け狼の遠吠えか?」
その声と共に殺気が自分に襲い掛かる、やはり扱いやすい。いや和也の人柄が良過ぎた影響か?その人間が良ければ良い程その人が死ねば反動は大きくなるものだ。歴史に伝わる英雄、貢献者たちは人柄よりも知恵による影響が大きいが知恵よりもその人柄に人は影響を受けやすい。
知恵は社会のため、己のためにあるが人柄だけは人のためにある。理由は単純だが、優しいだけならそれを受けた人間は容易い者となる。
その証拠に沖田はその場から飛翔し柳に向かって刀を振り下ろす。柳は自身の空いている手に杖を召喚して防いだ。
「怖いな、だが悪手だ。」
兵の攻撃が横から来る、沖田はそれを刀で防ぎ吹き飛ばされる。距離が空いた所に柳の魔術弾が来る。それを沖田は身体能力を使い回避しながら近づいてくがその間に沖田が相手していた兵が入って来る。その攻撃を掻い潜りながら槍兵を倒し武者を無視して柳に接近する。そして柳の護衛の腕を切り落とすが護衛に腕を掴まれた。その間に藤丸の方に権勢を行いそして沖田の方に向き直る。
「死ね。」
沖田の足元に爆発を起こす、派手な光景とともに強烈な爆音と風圧が発生する。藤丸はその光景に目を見開き沖田に呼びかける。
「沖田さん!」
「さてこれで一人…!」
柳が呟く前に爆風で舞った塵を押しのけ羽織がない沖田が出てきた、直前で自分の羽織を脱ぎ捨てたのだ。原点の沖田とは思えない行動でそのまま柳の肩に刀が突き刺される。
「っ!?」
「これでぇ!」
そう怒声と共に沖田がそのまま切り裂こうとした時、倉庫の壁が突然吹き飛んだ。それに沖田は驚きその間に柳は距離を取る。藤丸たちも兵の対処を終え合流した。
「沖田さん大丈夫?」
「大丈夫です、多少火傷を負っただけです。」
そう安否を確認し終え吹き飛んだ方の壁を見る、そこには大型の男がいた。甲冑を身に着け後ろに髪をまとめた強面の男が笑いながら入って来る。それを見た藤丸たちを除く三騎のサーヴァントは嫌な顔を浮かべた。
「なんだ、楽しそうな事をしているではないか…やはり日の本は血の気が多いな。」
「最悪だ、こんな時に暴れが来るとは…」
「む?そこの奴、確かここに殴り込みをかけた時に見かけた頭領ではないか、こんな所に逃げ込んでいたとは…まあよい。」
自身の腰にある刀を抜きそのままこちらに歩いて来る。藤丸にとっては初めて会うサーヴァントだが見た目の類似点から何となく誰かなのかはわかっていた。だからこそ全員の視線があのサーヴァントに向いていたのがそれを物語っていた。
「妖の類ではないのが多少気が引けるが…まあ楽しいから良し!」
「えぇ!?」
藤丸が思わず驚くと同時に大男が駆け出した、その先には柳がおり兵が間に入る。だが兵の4機のうち二機が切り伏せられそのまま柳の方に突進していく。
「冗談じゃない!」
そう言うと大男の進路上に爆発を発生させ自分は距離を取る。相手はそれを突き抜けてくるが自分の足元の地面を盛り上げ壊れて穴が空いた屋上に避難した。だが大男はそのまま盛り上がった地面の前で止まりそのまま上に跳躍、柳に追いつきそのまま刀を振り下ろすがそれも土の壁で防ぐ。
(今だ!)
すると大男の後方から魔術弾が飛んで来た、柳が前もって配置させていた遠距離型の機械兵による狙撃である。もしもの時のための不意打ちもしくは援護を目的とした運用なため弾の速度も高速で正確な射撃を行う。しかも今回はあいての後ろ、しかも三機による攻撃なため回避は不可能なのだが大男はまるで予知していたかのように二発を切り落とし残りの一発は鎧に当てて流した。
「化け物め。」
だが隙は出来た、その間に炎に変換した魔術弾を放つが大男は刀身に雷を宿しそのまま叩き落とす。だが爆風が起こり視界不良になった所、霊体化して離脱した。塵が晴れた時には既に柳はその場から完全に離脱していた。
「ぬぅ、行ったか。とは言えかなり深めに切られていた、もう動けんだろうな。なら…」
大男はそのまま倉庫の中に戻り藤丸の方を向いた。
「ふむ、やはりお前も日の本の人間、にしては少しひ弱よな。もしやカルデアのマスターなのか?」
「…そうです。」
「ほおそうかそうか……むぅ。」
藤丸とマシュの方を見ると少し不服そうな顔をしている、顎を擦り少し考えると刀を構え直した。
「…まあ仕方あるまい、これも戦よな。――――。」
そう何かを呟く、少し浮かなそうだがそのままこちらに向いて歩いて来るが途中で目を閉じ深く息を吐く、そして開けた瞳には優しが無く冷たい目線がこちらに向けられている。その歩く速度が上がっていくとそのままこちらに真っ直ぐ走ってきた。その間に沖田と武蔵が割って入るが大男は刀で吹き飛ばしそのまま藤丸の所に向かって直進する。
「マシュ!」
藤丸と大男の間にマシュが入って来る。前に出した盾から轟音が鳴り響き、地面が凹む程の攻撃が来る。沖田たちが後ろから襲い掛かる、武蔵は左沖田が右から仕掛け大男は冷静に回避しそのまま切り合いを行うが振り向いたことによってマシュに後ろを取られる形になり攻撃が飛んでくる。だがそれでも大男はその場で屈みそのまま水平に一回転、マシュたちは後ろに飛ぶことで避け距離を取った。
「藤丸さん!こいつがバーサーカー、源頼光です!」
(やっぱり、頼光さんか…)
見た目の雰囲気で何となく察してはいたがやっぱりそうなんだ。容姿はカルデアと性別は違うが持っている刀は同じだ。もしカルデアにいるのと同じなら対処が出来る、事前に沖田さんたちとも話を聞いて情報は得ており多数の武器を持ち戦っていると言うのは聞いているのだが、今の所は引いた方がよさそうだ。沖田は多少負傷、しかもこれで連戦だ。アサシン以外であれば続行できるのだがアサシンである二人にはこれ以上続けさせる訳にはいかないだろう。
(沖田さん、武蔵ちゃん、隙を見て逃げよう。これ以上続けるのは難しい。)
(わかりました、前に教えた通り大振りが多いので二人とも気を付けて…)
(了解です。)
武蔵と沖田が仕掛ける、二人がかりと言うのに余裕の表情で捌き逆に攻めに入っている。マシュが後ろから盾を振り下ろすが手に召喚した長刀を持ちそのまま受け止める、それと同時に後ろに流された。マシュがスラスターを吹かしそのまま後ろに振りかぶる。頼光はそれを避けようと後ろに下がろうとするがその盾に上に武蔵が現れ下がろうとしたその隙を狙い刀を振るう。これでは後ろに下がっても意味がない。
だが頼光と言う名も伊達ではなくその刀を受け止めそしてそのままマシュの盾ごと吹き飛ばした。沖田は後ろに回っていたが頼光はそのまま後ろの沖田目掛けて振り下ろした。一人で相手をする訳にもいかないためそのまま防御に周るが逃げる隙も与えられずそのまま攻め続けられる。
「っ!」
自身の着物の裾の一部が切り落とされる、それだけじゃなく顔にも切り傷が出来始めた。そして大振りの一撃を防ぐ、途轍もなく重い、まるで大型トラックでもぶつかったような衝撃が刀越しに伝わりそのまま壁に叩きつけられる。そしてそこに頼光は接近する。だが突然頼光の後方から矢が飛んで来た。頼光はそれを急いで叩き落とし飛んできた方向を見て確認すると藤丸が召喚した
「…式神使いのようなものか…だが普通の召喚士とは違うようだ。」
すると頼光は弓を出しその影英霊に向かって放つ、矢が放たれたとは思えない轟音を出しながら藤丸の方に飛んでくる。だがそれをマシュが防ぐ、すると凄まじい衝撃が伝わり少し押されてしまう。その間に頼光は二発目を発射しようとした時に後ろから沖田が、前からは武蔵が仕掛けた。頼光は弓をしまい変わりに刀、そして小刀を出しそれを受け止めながら対処していくがその攻防に影英霊の弓が放たれる。頼光はそれでも対処してきたが変わりに沖田たちが押される事はなくなった。マシュの方も参戦し互角の戦いに持ち込む、すると頼光の視界にそれが映ったのだろうか、一度距離を取ると弓を取り出しそのまま影英霊に向けて放った。武蔵がその矢に向けて刀を振る、英霊となったことで補正が掛かっているにも関わらず矢は音速を越えそのまま刀に当たらずそのまま通り過ぎた。
「マスター!」
マシュがそう叫ぶ、だが間に合わない。矢はそのまま影英霊に向かっていく、するとそれを突然横から来た一本の矢が頼光の矢に当たった。
「え?誰が…」
矢が来た方向を見るとそこには一人の老人がいた。鎧を身にまといその手には大弓があった。顔には風格がありシワで出来ているが目は獣の如く鋭かった。
「何を呆けている、速く撃つんだ。」
「あ、はい!」
空けられた天井に向けて矢が放たれそれが空に消えた、すると流星の川が一瞬見えたと思ったらまるで雨の如く光の矢が降ってきた。それが頼光の方に降り注ぐ、沖田たちはその場から避難する、二人はアサシンのため来るとわかっていたので退避は間に合ったが頼光はあの身なりなので回避は間に合わなかった。そのためその矢の被害をできるだけ減らすことにし二つの刀を出しそのままできる物を切り落とした。本来ならほぼ直撃に近い形のため重症は確実なのだが影英霊のため宝具ランクのダウン、そして頼光の戦闘センスにより怪我は負ったものの何とか軽症で済ませた。そして周辺に降り注いだためまた粉塵が舞い上がったが頼光は斧を取り出してそれを振り吹き飛ばし視界を確保する。だが空けた時には誰もいなかった。
「…逃げたか。」
頼光は周辺を確認するが何故か追う気配が無かった。そのまま弓を収め頼光はその場を後にした。
「く、くそ、よりにもよって…あいつが乱入する何て。」
そう苦虫を嚙み潰したような顔をしながら傷の手当てをしていた、肩を抑えながら必死に治療魔術をかけていく。そんな時灰色の鎧を着た武者が見下ろしていた。
「…何とも情けない姿だ。」
「あの鬼退治の名人だぞ。真向から勝負吹っ掛けて勝てる訳がない。」
「言い訳か?」
そう冷たい言葉が浴びせられる、その視線も鎧の隙間からも見える程細い目が向けられていた。
「先生がよく来訪するからと言うからどんな者かと思ったが…他の英雄と違って覇気が無さすぎる。」
「なんだと?」
「お前はただ佐藤和也のおかげで成り上がっただけの人間にすぎん、その事もわきまえず、才能を磨けなかったお前が呼ばれた理由がわからん。
先生が一番見向きもしない奴だ。」
そうただ冷たい言葉だけが並べられる、柳はそれに嫌な顔をしながらも何も言い返せないでいた。逃げたのも勝てないから、魔術としての才能も…
「っ。」
「新選組の沖田、剣豪の武蔵、鬼退治の名人、源頼光。神秘が薄れた時代でも名が高ければそれなりの
「偉人、人にとっての生存とは”名前を後世まで残される”ことだ。そして人の死とは色々ある。
心臓が止まる事によって訪れる”生命としての死”
誰からも名前を忘れられる事によって訪れる”人としての終わり”
我々にとっての終わりは”忘れられることだ”。沖田も武蔵も”つまらん女”になったがそれであっても名を残した偉人である事には変わらん。だから強い、昔の人間ほど一つに命をかけていないからな。
そしてお前が一番つまらん、何故お前が生き残っているのかもわからん。」
命の終末とは二つある。人としての終わり、生命としての終わり。生命の終わりより人としての終わりの方が怖い。何故なら忘れられると言う事は”誰からも覚えられていない”と言うことだ。それでは死んでいるようなものだ。誰からも見向きもされず、そして誰からも覚えられず。本当の人の終わりとは”存在が消滅する”ことを指す。
「ふん、お前の先生がちょっかいをかけるからだ。」
「先生は何もしとらん、相手の方から仕掛けて殺されただけだ。よりもよってわかりやすい場所にいるから…」
ため息をつく、大人しく次元の裏に居ればいいのに何故よりもよってあそこに…まあ恐らく暇つぶしだろうが付き合わされるこっちの身にもなってほしい。とは言え”本来の目的が果たせなかった”こともあるのだろう、しかもこの戦争も”ほぼ意味がない物になってしまった”のもあって多少苛立ちはなくなったが幾ら暇だからと言ってあんな目立つ場所に住むなど。
「お前があいつらに告げ口していたのも知っている。余計な事をしているのはお前だ。」
「あんな事をした癖によくそんな事を言えるな。」
「お前と先生の間に何があったのか何てしらん。まあ終盤まで残ったんだ、最後までやってみればいい。とは言えあんな調子では生き残れるかはわからんがな。」
嫌味を残しその場を去った、柳の心に怒りが溢れてくるが治療に専念するため魔術を行使し続けた。
柳が誰を呼び出そうとしていたかは内緒です。そしてまた新キャラが出てきました。頼光の矢を叩き落としたのは自分の大好きなサーヴァントです、中々出てくれないので自分で作っちゃいました。ヒントを出すと中国の有名な弓の使い手です。ちょっとビックネームに隠れがちですが個人的に好き何ですよね。
柳 概兊
身長/体重 169㎝/60㎏
出典: 忠実
地域: 日本
属性:混沌・中唐・悪・人 性別:男性
好きな物:?
嫌いな物:?
パラメーター
筋力:C- 耐久:D+
敏捷:D 魔力:C+
幸運:E 宝具:B-
陣地作成 C++
魔術師として自らに有利な陣地を作り上げる能力。場所にもよるがある程度のバフをかける事が可能。
道具作成 B-
魔力を帯びた器具を作成できる。道具の改良、製造を行い自身の機械兵に渡して使うことが多い。
戦法家 A
柳が維新の時代の時に得た知恵と戦略、機械兵による集団戦法が主な動きだが相手の弱点を突くことによって戦況を有利に進めることができる。
剣術 C-
一応ある程度の剣術を使用できる、とは言えセイバーやランサーなどの本格的な相手ではほぼ相手にならない。
ちなみに沖田ちゃんの18禁欲しい?
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書いてくれ!
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いらないです。