荒くれもの人生 侍 活動中止 作:(´・ω・`)しょんぼりくん
「あ、あぶなかったぁ…」
そう安堵の息を吐く、沖田たちの方も疲れた様子、マシュの方も疲れが顔に出ているが藤丸の隣で安否を確認していた。
「大丈夫ですか、先輩?」
「うん、何とかね。けど…」
そう少し遠くにいる老人を見る、老人の方は後方を確認している。沖田たちの方はその老人の事を警戒しているのか腰にある刀に手を置いている。身長は恐らく二m以上あり体格もかなり大きい、着ている甲冑はまるで鱗のように綺麗に並べられた鉄の板が敷き詰められている。だが全身を固めている訳ではなく何かしらの皮のような物を着ておりその上に胴、肩、脚などの一部分の甲冑を着ているので少し軽装に見える。兜は日本のように見えるが一番上から赤い毛が伸びておりその背中には矢筒とその身長と大差変わらない大弓を背負っていた。
そして極めつけはその風貌だ、シワだらけの顔で細い目、そして大きな髭などかなり厳つい印象を受ける。その印象から少し近寄りがたい雰囲気だったのだが藤丸には聞きたい事があった。
「あの…」
「ん?」
ふと見ていた方向から視線を外し藤丸ほ方を向く、ギョロリとその鋭い眼光が藤丸に向けられた藤丸に対し沖田は思わず手にかけている刀に力が入る。恐らく今切りかかれば何とかなるだろう、だが今味方なのかもわからない人物を切る訳にもいかずフォローが入れるように近くで待機しておく。
「何故助けてくれたんですか?」
藤丸が思っていた事を告げた、見た所サーヴァントなのでこの聖杯戦争に召喚されたのだろう。ということはこちらは本来は敵の筈だ。沖田は和也関係で、武蔵は成り行きで協力関係にはなったがこの老人はよくわからない。その理由を聞きたかった。
「ふむ…理由か…そうだな。」
そう顎にある髭を触りながら思考する、藤丸は返答を待っていたが直ぐに伏し目がちの顔を戻し返って来た。
「理由等は…若い命を散らすのは少し惜しいと思っただけだ。」
「はい?」
「君、見た所二十歳にもなってないのだろう?その上聖杯戦争には巻き込まれたのだろう…あいつから聞いた。」
『他所から連れてきた奴がいる、お前たちとは違い生身の人間だが面白い戦いをしてくれるだろう。』
「一応そう聞いたのだ、少し気になっていた所、あのキャスターの倉庫に火が上がったのを見てな。そこに向かったら…君がいた。」
「正直驚いた、こんな年端もいかない子供を巻き込むなど見てられなくてな。割って入ったのだ。」
思わずその理由を聞いて呆気に取られてしまう。だがその厳つい顔から考えられない優しい笑みがその証明であった。
「つまりあなたが藤丸さんを助けたのは偶然ということですか?」
そう聞いていた沖田が途中で会話に入ってきた、老人の方はそれに頷いた。藤丸は少し固まっていたがまず自身が言う事をする。
「ありがとうございます、助かりました。」
「なに、頼光が出てきたでワシもいたのだが…途中で疑りがあってな。少し様子見をしてしまった。許せ…」
そう申し訳なさそうに謝罪の言葉が返ってきた。藤丸の方は慌てて気にしないようにと手を振った。
「気にしなくていいですよ。僕も沖田さんたちも助けられた訳ですしお礼を言うのはこっちの方です。」
そもそもアーチャーの行動はサーヴァントととして正しいのだ、己の勝利のために情報収集をするのは当然だ。ましてや遠方で高みの見物をしてもいいものを善意で助けられたのだ。藤丸自身にもそこまで攻めることはできないしむしろ感謝をする立場だ。
「そうだよおじいちゃん、助けてくれてありがとね。」
「私も最初お礼を言わなければいけないのに遅れて申し訳ありません。改めてお礼を言わせてください、ありがとうごまいました。」
そう少し面を喰らったが素直にその礼を受け取った。そういえば名前を聞いていなかったな…
「そういえば自己紹介が遅れました、僕の名前は藤丸立夏です。」
「ワシの名は黄忠、字は漢升と申す。」
「黄忠って、あの三國志で出てくる…」
「はい、西暦220年頃に後漢が廃れていき起こった乱、黄巾の乱から始まった戦争でその後、魏、蜀、呉が建国されその時蜀を建国した劉備に仕えた猛将です。」
西暦220年頃に中国で起きた乱、黄巾の乱から始まった三國志にでてくる人物、廃れた後漢の影響により群雄割拠するようになりその中盤辺りで建国された蜀、魏、呉の時に劉備の下に付き五虎代将軍と呼ばれた猛将の一人、劉備の下に仕えたのが60歳に近かったと言う老人であったが、劉備の下に付く前に関羽と戦った際にほぼ互角で戦うことができるほどの実力を持っていた。
「へぇ~中国の人なんだ…結構大きいね。」
「本来はこんなに大きくはないんだがのう。召喚された場所が日本のためか演義での影響が大きくてな。本来より多少盛られておる。クラスもアーチャーじゃ。」
黄忠は三國志演義では弓の名手として名が高い、関羽と戦う際に自身の馬の脚が折れた際に関羽から”馬を返られまた戻られよ”と言い見逃された際に恩を受けた。そして再戦の時韓玄に弓で殺すようにと言われたが恩を受けたためそれはせず関羽の兜をワザと射貫くと言う神業を見せた。この時黄忠も関羽も馬に乗っておりしかも走った状態でやってのけたのだ。アーチャーとして召喚されたのはそれが理由だろう。
「ワシには特に叶えたい願いなどはない、英霊として召喚されたとは言えもうだいぶ歳をとっている。年老いた者ならば若い者の手伝いでもすればよかろう。どうであろう、腕にはそれなりの自信があるぞ?」
つまり協力してくれると言う事だ、いきなりの申し出で藤丸たちは動揺する。とは言えありがたいことだ、戦力は多い方がいい、それに遠距離での支援があるのはありがたいことだ。ほぼ前衛しかいなかったのでここに黄忠が加わればかなりカバーできる。だがいきなりのことでどう答えを出すか迷っていた。
「…あなたはそれでよいのですか?」
すると沖田が口を開く、やや不満顔を浮かべ黄忠を見上げる形で疑問を告げた。
「例え年老いた人生とは言え後悔はある筈、あなたはそれについてはどうでもいいのですか?」
「…確かに後悔はあるのう、我が君の最後を見届けることができなかった。」
黄忠の最後、忠実では五虎将軍に任命された翌年に亡くなり、演技では劉備の進軍による失敗による傷で亡くなった。本人にとっては思い残すことなど多いだろう、だが…
「とは言えだ、ワシの戦いはそれで終わったのだ。蜀の将軍として、我が君、劉備様のために戦うのはあの時の失敗で終わったのだ。」
「だからワシには願いなどはない、聖杯を勝ち取って得るよりも若いもんの生末を見守っていた方がよいわい。」
そう笑顔を浮かべ藤丸に向けた、黄忠は守っていた城の住民とは仲が良かった。それに部下からも慕われることが多っかた。だが家族には恵まれず息子を早くに亡くしていた。本来歳を取ったたら隠居するのが普通な時代だったのだが黄忠は常に前に出ていた。もしかしたら家族がいない事をまぎらわずために人と関わっていたのかもしれない。だからこそ未練などはない、部下に慕われ住民からも慕われそして生涯を終えた。名残惜しいが若者の命を奪ってでも叶えたい願いなどはなかった。
「…そうですか。どうします藤丸さん、私は別に構いませんが?」
「私も別に構わないかな~、何だかいい人そうだし。」
「…ワシが言うのも何だが他人を疑う事を知らぬのう。」
「変に疑り深いよりはいいでしょう?」
「そうなのじゃが…何だか心配だわい。」
「よく言われます…はは。」
こうして黄忠を迎える事ができた、なんだか和也さんの聞いていた通りだ。不思議とこの人の元に集まっていく。私も宮本さんも、そして黄忠さんも、他のマスターと違いちゃんとこちらの意図を聞いてくれる。まるで一人の人として接してくれた。藤丸さんが一般人だったからかもしれない、和也さんも同じ結論だった。魔術師はサーヴァントを道具として扱いそれに応じる者は少ない。サーヴァントとは言っても所詮は元は人、しかも昔の人間は信条、信念を持った人が多い。騎士などがそうだ、騎士のように騎士道精神を持った人を召喚した時には魔術師と折り合いが合う訳がなかった。
魔術師にとっては聖杯戦争、サーヴァントなど儀式の一つに過ぎない、そのため道具として扱う魔術師と癖の多いサーヴァントで対立する場合がある。
(藤丸さんの場合それがないのが救いですね。)
そう安堵の息を吐いた。沖田の顔に珍しく笑みが浮かんだ。
「さて結論から言うとキャスターを殺すなら今がいい。」
そう黄忠の口からそう告げられた、藤丸たちはそれを聞いていた。今後の打ち合わせのために情報交換をしようとした矢先黄忠が先に切り出したのだ。
「キャスターの工房は既に出来つつある、それが完璧にできる前に仕留めた方がよいだろう。」
「それは賛成です、バーサーカーのおかげで遅延していましたが完成させたら不味いですから。」
キャスターの基本戦術、その要となる工房の建築を完成させないため色々妨害工作を行ってきた。だがどれも工房じゃなくダミーばかりで少し難儀していたがバーサーカーが周りで暴れ回っていたせいかキャスターの行動が遅くなっていた。そのため今まで膠着状態になっていたのだがそれも限界のようだ。
「キャスターの工房は何処に?」
「…四天王寺だ。」
「あそこに敷かれているとは…何と罰当たりな。」
そう沖田が愚痴を溢す、とは言えあまりこのましくない。観光地としても有名でさらにその近くには教育する場も設立されている。正直あまり良い場所とは言えないのは事実だが魔術師として自身と合う場所を探すのも魔術師らしいとも言える。
「学校だってあるのに…」
「あいつはそういう奴ですよ、宗教や信じる者などおらずただ己があるだけ。奴は自分だけ生きていればいいだけなんですから。」
「相変わらず針のある言葉。」
武蔵がそう苦笑しながら告げる、藤丸の方は四天王寺のことがよくわかっていないのか首を捻っていた。
「四天王寺って?」
「聖徳太子が建てた寺の一つです、四箇院の社会教育・福祉事業の思想を広め、薬草を植え、病気に備える施薬院を現在の愛染堂がある場所に建立したと伝わっています。」
「四箇院?」
「敬田院、悲田院、施薬院、療病院、この四つの総称です。敬田院は仏法修行の道場となる場所を意味し、施薬院は病気の人に薬を施す場所、療病院は施薬院と同じような場所で悲田院は病者や身寄りのない老人などのための社会福祉施設にあたります。」
「日本の寺ってそう言う場所なの?」
「今だと葬儀のイメージが強いですが元々は教育や福祉を目的とした場所なんです。寺子屋などがそうですね。宗教的な意味合いもありますがね。」
昔ではよく若者の流行や修行僧の場として有名だが今ではその古くから伝わる伝統の続けているか観光地となっている。今回の四天王寺は観光地となっておりその近くには学校が設立されているのである意味では寺子屋とも言える。だがこの四天王寺が建設された理由がもう一つある、それは崇仏廃仏論争。外国から仏教が伝わり各地に広まった、その時、仏教を受け入れようという立場の派閥が生まれた。蘇我氏がその中心になりこれを崇仏派と呼んだ、その仏教の考えに影響された聖徳太子もそれを広めようとしたがそもそも日本には原始神道と言う物がありその考えを広めるのは不味いと言う立場を取ったのが物部氏・中臣氏の廃仏派と呼ばれる派閥でその二つの派閥が戦ったのが崇仏論争と呼ばれる戦いである。
その時蘇我氏側に立った太子が、戦勝すれば四天王を安置する寺を建立、衆生救済につとめると祈願、勝利のあと本寺を建立した。その後仏教は日本に広まり今の時代でも仏教が中心となって動いている。
「私の時代じゃよく病院みたいな感じで扱われてたな…」
武蔵がそう呟いた、武蔵がいた時代は戦国時代だがその時の怪我や遭難などで寺に駆け込む人も多かった。特に怪我による事件は多く落ち武者たちの逃げ場として扱われたこともある。そしてその言葉を聞き沖田が顔を曇らせる。
「…和也さんをここに泊めていたら…」
変に油断していたのがあだになった、もう少し調べて置けば…あの場に無理にでもとどまっておけばあんなことには…沖田の中でそのような後悔が生まれていたがあの場にいてもあの武者に切り殺されるのが落ちだろう。だがその事を知っていても沖田は残っていただろう、このような後悔を残すのならいっそのこと一緒に…
「なにか言った?」
「いえ何も、取り敢えず真正面から攻め込むのは無理だと思います。」
「完全なテリトリーだからね、裏工作でもしてある程度吹っ飛ばす?」
「そんなことしようものならその前に感ずかれます。とは言えどうしようも…黄忠様、柳の陣地はどのような場所で?」
「柳の魔術は礼装だよりでな、陣地作成の方も礼装だよりでな、柳を強化する陣地だが、それを支えるために礼装がある。勾玉だ。」
「勾玉?」
勾玉とは古来から日本に伝わる装飾品の一つで名前の由来はただ曲がっている玉だからと言うらしい。古墳の中に納められている物もありそれはその人の立場を表し、その他には勾玉の穴は自分を生かしてくれる祖先と繋がり、 我が身に降りかかる邪 気・邪霊から身を守るなど様々な恩恵がある。
「湯屋方丈、不動明王 神變大菩薩(四天王寺)、四天王寺宝物館に一つずつある陣地を形成している物だ。それを壊せば陣地を維持できなくなる。」
「四天王寺って霊脈ありましたっけ…」
「本来はないが柳が霊脈の流れをいじって寺に流しているんだ。何故寺に集めたかはしらんが…」
「山が嫌いなんじゃないんですか?都育ちですし。」
「偏見…」
「いいでしょう別に…」
そう武蔵の突っ込みに不貞腐れながら答える沖田、それを見たマシュと藤丸は少し内緒話を始める。
(ここの沖田さんは柳と言う人物に対して、随分と好戦的ですね。)
(まあ…和也さんを殺した人のようだし…)
間接的にとは言え自分の恋人を殺すように促した人物など許せないのは当然だろう。とは言えカルデアにいる沖田より感情的なためかかなり表情がわかりやすい。もしこれがカルデアの沖田では死んだのは自己責任と蹴りをつけここまで和也の死をひっぱらないだろう。だが病気を治してもらい尚且つ恋人と言う普通の日常を送らせてくれたからだろう。柳と言う人物に対してかなりヘイトを向けているようだ。だが武蔵に注意されたのを見て黄忠が話を続ける。
「ある程度距離が離れていてもワシなら狙うことができる。じゃが問題なのはどうやってその距離を作るかじゃが…」
「入れそうな所は四天王寺を中心に東西南の方向に一門ずつあります。兵を越えて行くというのもありますけど…結界が張られている以上門から入るのがいいと思います。」
「ですが私たちはアサシンです、気配遮断を使用して兵を越えて潜入すると言うのはありなんじゃないですか?中で破壊工作を行い入りやすくする。その方がいいと思います。どうでしょう?」
「いいと思います、けどそれでも体勢立て直されたら難しいと思う。それにその工作する時間も少ないだろうしあまり効果は出ないかもね。」
「キャスターは公明さんや司馬懿さんのような戦略家です。動かす兵も機械の兵なので冷静に対処されたら難しいですね。」
そもそも工房に入ると言う時点で自殺行為のようなものだ、アサシンの気配遮断があるとは言えそれでもすぐに気づかれるだろう。いわば結界内のほぼすべてに監視カメラがあるような物でしかも結界を維持する場所など一番警戒している筈だ。その事を考慮しても侵入されて発見されるのが早いため破壊工作はあまり効果的ではない、勾玉の一つでも潰せればそれを陽動にして他を破壊すると言う手が打てるがそれでも他を集中的に守られたら難しい。短期決戦を仕掛けたいのだがどうしても攻撃力が足りなかった。
「公明?そっちに公明がおるのか?」
すると黄忠がその名に反応した、公明は蜀にいた人物なのでこの反応は当然だろう。
「はい、疑似的に召喚されたサーヴァントなので完全な本人と言う訳ではありませんが…」
「ははは、あの人はかなり慎重だからのう。もしここにいたら今言った戦略は何だか却下されそうだわい。
じゃがあの司馬の豪族ならいい案をくれそうではあるのう。」
司馬家は中国の豪族であり魏の将、もしこの場にいたら少しギクシャクするかもしれないが…まあそれは仕方がない。とは言え確かにこの二人がいてくれればいい案を出してくれそうではある。
「こうなってくると崩した後の突破力が欲しいなぁ…はぁ~私がセイバーだったら…」
「あいつが出てきたタイミングを狙いたいが…それを待っていると完成してしまう。」
ここにいるのは不意打ちかあるいは裏工作を仕掛ける方が得意だ、アーチャーのクラスも三騎士の一つではあるが本来は単独行動による意識外の攻撃、つまりやることはほぼアサシンと少し被っている。ギルガメッシュのような超規格外ならば何の問題もないがあれは本人が以上過ぎるだけだ。
時間がないため短期戦を仕掛けたいがどうしても難しい、その考えに悩んでいると藤丸が手を上げる。
「…あの、僕に一つ考えがあるんだけど…」
その言葉に釣られ全員が藤丸の方に向くと藤丸も話を続ける。
「頼光さんを味方につけるってのはどうかな?」
「やめておけ、会話がそもそも交渉しようにも会話ができるのかどうか…」
その言葉に思わず全員が目を見開くが真っ先に黄忠が否定した、だが藤丸はそれでも続ける。
「でも突破力ならバーサーカー以外適任はいないと思う。」
今の戦力はアサシンが二人にアーチャーが一人、そしてマシュと影英霊を含めると多いような気はするが戦闘が対城攻めのようなものなので工作能力はあるが攻撃力はない。アサシンは暗殺向き、アーチャーは後方支援であり影英霊に至っては一時的にしか召喚が出来ないので一時の処置程度しかできない。キャスターの拠点防御力を考えるとバーサーカーと言うのは良い手だ。
しかしそれはマスターが使役していた場合の話でなら何とかできる話だ、マスターには令呪があり例えサーヴァントが離反行為をしてもそれで抑えられる。そして聖杯を手に入れると言う同じ目的もありマスターには戦況把握と言う仕事もあるためマスターの指示に従う時が多いのだ。だが今回の戦争はサーヴァントのみ、しかもバーサーカーなのでまず会話にいけるのかもわからない。そのため黄忠が否定したのだが…
「バーサーカーもこの状況はどうにかしたいと思ってる筈だよ。」
相手はあの頼光だ、少し会話をした程度だがそこまで会話は成り立たなかった訳ではない。なら孤立している状態でキャスターの拠点攻めは何とかしたいと思っている筈だ。とは言え狂化によって強行するかもしれないが…とは言えできない訳ではない。なら会話の余地はある。
「…私たちも考えてはなかったですが、やってみるのもありですね。」
「大丈夫かのぉ…」
「けど藤丸君の考えが一番適任だと思うよ、うまくいけば一番厄介な奴がいなくなるかも…」
「とは言えキャスターを倒した後はどうなる、ワシはいいとしてバーサーカーが余力を残しておったら不味いのではないか?」
「けどうじうじしてる間にあいつの拠点が出来上がったらこっちが不利になっちゃう。後の事を考えるのも大事だけど今の状況を打破した後ででもいいんじゃない?私は藤丸君の考えに賛成。」
「むむむ…」
黄忠のことにも一理あるが武蔵の案も捨てれない、聖杯戦争は基本的には一体だけで戦うのが鉄則だが他の陣営と組倒すと言うのは記録上幾つも例がある。今回はキャスターが障害、それに今までキャスターの陣営が整ってなかったのはバーサーカーが暴れてくれていたおかげだ。もしその妨害がなかったら沖田との合流もできなかったのかもしれない。
「…確かにあやつと組む以外ないかもしれんのう。」
「なら早めに会わなきゃね、黄忠さん。キャスターの陣地が出来るのは具体的にどれくらいですか?」
「恐らく三日後かのぉ、その間に説得せねば。」
「頼光さんの場所はわかってますか?」
「頼光は山におるよ、入りさえすれば向こうから来るじゃろう。」
「それじゃ明日にはもう行こう。」
それに他の三人は頷き明日のために藤丸は休息を取ることにした、沖田たちも周辺の警戒をしながら同じように休息を取った。黄忠は少し外に出て少し自分の中で思った疑問を纏めてみた。
(あの二人異様に欲が無い、聖杯に呼ばれたと言うことはあるはずなんじゃが…)
ただの考え過ぎだろうか?沖田の方は戦いに意気込みはあるが武蔵の場合少し遠くを見つめている所がある。ただ目の前の相手はどうでもよさそうに感じた。宮本武蔵と言えば強者に興味がありそうな気はするのに頼光のことはどうでもよさそうに見えた。ただそう感じただけで確証もなにもないが、何だか少し不安だ。
(そしてこの意味のわからん戦争、いったい何のために作られたんだか…)
マスターもいない、人数もバラバラ、おのが望みを叶えたいために開いた訳ではない。そんなことありえるのだろうか?
(…まあこの謎は聞けるかどうかもわからんのう、主催者が穴にいる時点で聞こうにもきけんしな。)
この戦争の真意を問いただしたい気持ちはあるが生憎その答えを持っているあの謎の武者は何処にもいない、観測しているのでこちらを見ているのは確かだろうが探しても見つからなかった。最初は少し顔を出していたのだが後半になってくると見せなくなった。わからない不安にため息をつきながらも夜空を眺めた、月は丁度雲に隠れてしまっていた。
という訳で黄忠のおじさんの登場、三國志演義ではかなり元気なおじいちゃんですが忠実だとあまり出番がないのが個人的に残念…サーヴァントの特性上召喚されるとしたら演義の影響が大きいと思いこのような形になりました。
ちなみに沖田ちゃんの18禁欲しい?
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書いてくれ!
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いらないです。