紫炎の転生者   作:12月の雹

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何となく描写不足の気が否めない……。気が向いたら増補版を再投稿するかもです。


14話 親友、無謀です。

現在、俺は困っていた。というのも、堕天使が2人、かつ足手まといが2人いるからだ。おっさんなら人質にしないということぐらい重々承知だが、いかんせんあの女堕天使、レイナーレって言ったか、はそんなことをしないという保証もない。周りに2人がいなければ燃やしておしまいなのだが、そんなことを今やったらあっという間に灰の山が4つ出来上がる。かといって夢を使って何か出そうにも相手は堕天使。生半可なものでは対応できない。目くらまし程度ならできなくもないが、さて。どうしたものかな。

 

「探したわ、アーシア。さぁ、帰りましょう? あなたの力が必要なの」

 

 そう言ってアーシアに手を伸ばすレイナーレ。きれいな言葉だな。だが、無意味だ。あの優しい子が人殺しをした組織に戻るはずもない。それを言うならおっさんもそうなのだが、おっさんは……どうなんだろう。任務の失敗かつ、それが子供の邪魔が入ったから、という理由で、おっさんは追放されているはず。どう聞いたって優しそうな組織概要じゃなかった。ってことは、堕天使も1枚岩じゃない? きっと組織から外れて何か行おうとしている集団なのだろう。ってことは……

 

「いや……です。私はもうそっちには行きたくないです。人殺しを推奨する組織には居たくないです!」

 

 俺の思考はその強い言葉に遮られた。はっとしてアーシアのほうを見ると今までみてきた控えめな表情と正反対の非常に強い意志を秘めた顔だった。

 

「わがまま言わないでちょうだい。ずいぶんと探し回ったのよ。ほら、帰るわよ」

 

 そう言ってレイナーレが促すもいやいやと首を振るアーシア。それを見かねたのかイッセーがアーシアをかばうように立って、

 

「戻りたくないとさ。強制させるのは流石によくないんじゃないのか?」

 

 そう言った瞬間、いや、イッセーが出た瞬間から目に見えて機嫌の悪くなるレイナーレ。そうだよな。自分が殺したはずの人間がいたらびっくりもするし、それが不倶戴天の敵に転生してたらなおさらか。と思いながら俺はおっさんとにらみ合う。  

 あっちはあっちでやってもらうとして、おっさんはちょいとまずい。前回は迷いもあった上にこちらが子供だったから多少の手心を加えてもらった。しかし、今のおっさんはまさしく崖っぷち。才能がないと言われた堕天使とはいえ、白兵戦はかなりのものだ。

 

「なぁおっさん」

「ロベルト」

「? ロベルト?」

「俺の……なまえ」

 

 ああ、そういうことね。いつまでもおっさん呼びはいやってことか。

 

「あいよ、ロベルトな。俺は華蝶縁だ。っと自己紹介していいような空気じゃないな。どうせお前の仕事ってやつは俺の妨害だろう?」

 

 あの堕天使から俺という戦力のことは聞いているだろうからカマをかけてみたがその通りだったようだ。ロベルトはこくりと頷いて光の槍を構える。チラリとイッセーのほうを見るとあっちも神器を出していた。が、

 

「正直この状況は、詰みだよなぁ……」

「?」

 

 どう考えてもあの堕天使にはイッセーじゃ勝てない。さらに位置取り的に考えて、手助けもきつい。櫛名を部室においてきたのは愚策だったなぁ……。位置配置はこんな感じ。俺の前にロベルト。距離を置いて俺に背を向けるような状態でイッセー。その向こうにレイナーレ。つまりイッセーたちを巻き込まず、かつ、堕天使二人を殲滅するのは難しい、ってことだな。唯一の手段としては、イッセーがやられる前にロベルトを倒して加勢することだが……。

 

 

「ふっ!」

「!」

 

 

 撃剣を作り出して投げてみても一切の隙を作れず。某AUOみたいにそのまま射出できればなぁ……。今更ないものねだりをしても仕方がない。全力で当たるまで!

 

 できるだけ急いで倒そうとしてラッシュをかける。右手右腕右目に刺突。かわされる。そのままの勢いで相手の懐に突撃して袈裟懸けに切り裂く。これは防がれる。カウンターを喰らう前に離脱。一瞬前まで俺がいたところにものすごい勢いの膝鉄。ならばと足場を崩すために普段は一切使用しない打鞭を召喚。思いっきり振りかぶって頭にたたきつける。が回避。予測通りに足場に命中。ほんの少しではあるがクレーターを作る。それによってロベルトの重心が右にずれる。立て直す前にその崩れた方向から思いっきり拳をぶつける! するとさすがにどうすることも出来なかったのか腕で防ぐ。めきり、と嫌な音が相手の腕から響く。これでまともに武器は使用できない。が体制を立て直されてしまった。

 

 

「やっぱりあの時は手加減されてたんだな。今の一応全力の速度だぞ?」

「……防ぐのが……精いっぱい」

 

 どこがだ。カウンターを狙ってきてたくせに。

 

「といってもそっちは腕を砕かれて武器を握れない。さて、降参してくれない? これ以上時間かけてられないんだ」

 

「…………」

 

 そう言ってイッセーを見ると今まさに光の槍を刺されるところだった。ってあぶねぇ!

 身体強化をフルに活用して手に持ってた打鞭をぶん投げる。するとその行動にひるんだのかレイナーレがイッセーから距離を離す。もうすでに戦意を失っているロベルトから離れて急いでイッセーのところに向かおうとする、が

 

 

 

「おっと、そこまでにしてもらおうか。いくらお前が早いからといっても、私がこのガキにとどめを刺す方が早いというのがわかるだろう?」

 

 いつからそこにいたのか、もう1人堕天使がイッセーに槍を向けていた。先日戦ったドーナシークというやつだった。

 

「遅いわよ、ドーナシーク」

「いや、絶好のタイミングだと思うのですが?」

 

 得意げな表情で勝ち誇るレイナーレ。これは……詰みだな……。

 

 

「そういう訳よ、アーシア。この二人を殺されたくなかったら私たちと来なさい」

「……わかりました。けど、せめてイッセーさんを治療させてください」

 

 その後の展開は最悪の一言だった。俺たちを、友人を救うために自分からレイナーレに従ったアーシア。イッセーの手当てをして去っていく彼女の別れ際の顔は、笑顔だった。黄昏の公園には1人の男の慟哭ともう1人の呪詛が響いていた。

 

 

 

 

 

 

「俺にアーシアを助けに行かせてください!」

「絶対に駄目よ! あなたを行かせるわけにはいかないの!」

 

 現在、絶賛喧嘩中である。部室に這う這うの体で戻ってきたイッセーだったが、その状態にも関わらず、アーシアを助けに行くといって聞かないのだ。

 

 

「まさか、縁も行くとか言わないわよね?」

「さて。個人的にはあのむかつく顔を苦痛でもって染めたいところだが。現在俺たちは仮とはいえ、悪魔陣営として認識されている。その俺たちが堕天使に喧嘩を売ったとなったら面倒事だ。俺の予想があってるのだったら問題はないはずだが、確証がない以上危ない橋を渡るわけにはいかない。何より友誼のある会長と先輩に1番の迷惑だからな」

 

 

「そっか……それならいいんだけど?」

 

 とは言ったものの、俺は諦めてはいない。あの屈辱、自分より明らかに格下の外道に低くみられるという屈辱は忘れられるはずもない。それに、あの仕込がうまくいったんなら……。にやりと笑う。それだけで櫛名の表情は、ああまたか、みたいな呆れたように変わる。俺が一切あきらめていないことを悟ったんだろう。

 

「で? 何をたくらんでるの?」

「正直賭けだがな。この状況を全員のハッピーエンドで終わらせるための仕込だよ。俺の見込みがあってさえいれば……」

 

 

 

「邪魔を……する」

「!?」

 

 

 いきなり部室のドアが勢いよく開く。それと同時に響き渡るバリトンボイス。俺にとっては非常になじみ深い、忘れようにも忘れられない声。

 

「なぜ、なぜ堕天使がここにいるの!?」

 

 リアス先輩の声が響く。即座に攻撃されない。第2関門クリア。第1関門はあいつが、ロベルトが来てくれるかだった。

 

「落ち着いてください、先輩。この人は現在、味方です」

「どういうことよ!?」

 

 全員驚きのあまり固まってしまっているようだ。そりゃそうだろう。自分たちのアジトに、手負いの下級堕天使が1人で訪ねてきたのだ。警戒もするだろうがその状況から戦える状態にないことはわかる。

 

「順を追って説明します。この堕天使、ロベルトは、俺が過去にやり合った堕天使その人です」

「へ? じゃ、じゃあ、あの時の私をさらった堕天使!?」

 

 櫛名の問いかけにこくりと頷くロベルト。

 

「この堕天使はとても簡単な任務を失敗した、しかも子供の邪魔で。そういった経歴があって、『神の子を見張るもの(グリゴリ)』からは追放されたんです」

 

 だよな、とロベルトを見やる。すると再び頷き、

 

「その後……はぐれ…堕天使となった俺は、レイナーレ率いる……堕天使に勧誘された。彼女たちの行動は、『神の子を見張るもの』……の意思とは…違う。いうなれば…俺と……同じはぐれ堕天使………だ。勝手に悪魔の領地に入った上に……その眷属を傷つけた、愚かな、な」

 

 

 そう言って凄絶な笑みを浮かべるロベルト。こんな表情も出来たんだな。どうやら割と鬱憤がたまっているらしい。

 

「なるほど。そちらの言い分はわかったわ。けれどそれを信じることが出来ると思ってるの?」

 

 

 当然だよな。普通そうだ。だからここで俺は1つだけ手札を切る。もし俺がロベルトを信用しすぎてだまされているなら最悪なことになるが。

 

「なら、俺の命もベットしていいぞ。それを信ずるだけの理由がある」

「ちょ、ちょっと、縁!?」

 

 あわてる櫛名。だけど、大丈夫。裏付けは取ってあるとも。じきに……

 

「部長。ちょっとお耳に入れたいことが……」

「何よ、朱乃! 今私は重要な……」

「その堕天使の討伐要請が出ました」

 

 

 ビンゴ。さすが会長。手が早い。あの後公園から戻ってくる際に会長に俺の見解を述べて調べてもらってた。結果は黒。どういう手法を使ったかは知らないが、たぶん魔王の外交担当の姉だろうな……。今度、しっかりと埋め合わせをしておこう。今回はちょっと迷惑をかけすぎだ。そう思いながらイッセーを見ると期待に満ちた表情でリアス先輩のほうを見ていた。

 

 

「そう……。なら、討伐に向かうわよ! 逆らう敵は皆消し飛ばす。それがグレモリー眷属よ!」

「おし! 待ってろよアーシア!」

 

「……はやるのはいいんですけど、地図とかどうするんですか。何もなければ探索に時間がかかりすぎます」

 

 意気込む一世に対して小猫がもっともなことを言う。だが、そんなこともあろうかと! ロベルトにはある物を頼んでおいたのさ!

 

「俺の……懐に、見取り図が入っている。詳細な……解説つきだ。好きに使え」

 

「ずいぶん用意周到ですね。僕たちが信じないとは思わなかったのですか?」

 

「ふ。そこの……武人が何とか…するといったのでな。俺は乗っただけだ。俺はこんな腕だ。まだ戦えん。だから、頼む。あの優しい娘を、助けてやってくれ」

 

 そう言ってロベルトは深く頭を下げる。その目からは光る物が溢れ、その声は悲痛に満ちていた。

 

 

「任せて! こうなったらおねーさんが本気でやっちゃうから!」

「敵であるはずのあなたがここまでしてくれるとは……僕たちも全力で当たります」

 

 ロベルトの言葉に一切のウソがないことが態度でわかったのだろう。全員の士気が上がっていた。当然俺も、どう、あいつらに地獄を見せてやろうか、と皆がやる気に満ち溢れている中で1人黒い笑みを浮かべていた。

 

「よし! じゃあアーシアを助けに行こうぜ!」

 結局音頭を取ったのはイッセーだった。

 グレモリー眷属+2対堕天使の戦いが始まるのは、もう少し先のことであった。

 

 

 




という訳で、2本目の投稿です。ギリギリ今日です。

次回、グロ注意かも。縁が鬼畜になる予定。

更新予定は金曜日となっています。が最近気分転換に妄想している作品が形になってきてしまったので、それが明日上がってしまうかもしれません。未定ですけど。

現在活動報告でアンケートを行っております。ぜひとも回答していただきたく思います。1,3,4が結構真摯に必要としています。なにとぞ、お願いいたします。

それでは、次回更新まで

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