後書きと、活動報告にちょっとしたお知らせがあります。
イッセーside
俺は現在、レイナーレと対峙していた。櫛名さんに無理を言って1対1にしてもらったんだ。つまり、これで負けたら恥ずかしいどころの騒ぎじゃないってことだ。
「さて、あなたをさっさと屠って、この場から逃げるとしましょうか。認めたくないけれど、あれは化物よ……」
あれ、とは櫛名さんを指して言ってるのか……? さらにゆるせねぇ!
「俺が勝ったら、その言葉、撤回してもらうからな!」
「はっ! 下級悪魔風情が吠えるな!」
そうして殴りかかる俺だが、簡単に躱されてしまった。今までのおれだったらカウンターのいい餌食だろう。でもな! 縁の戦いを見た以上、こんなところでやられるわけにはいかないんだよ! そう思ってレイナーレの繰り出す光の槍を身をよじって躱しながら肉薄して、思いっきり殴り飛ばす!
「ぐ……この……」
へっ、舐めてかかるからこうなるんだよ。とはいっても全然効いてる様子がないな……。でも、俺は負けるわけにはいかないんだよ! だって、背中には俺を信じて送り出してくれた、アーシアがいるんだ。それに、こんなところで無様な戦いをした、なんて縁に知られたら馬鹿にされるだけじゃすまないからな! だから、もし、俺の中に眠る力があるってんならさっさと目覚めやがれ!
『やれやれ、自身の力不足を棚に上げるとは、ずいぶんと自分勝手な宿主だな』
そんな声が聞こえた気がしたが、今は気にしてられない。神器を発動させると、明
らかに相手の様子が変わった。俺の神器を見て吹き出したのだ。
「あ、あはははっ! 前にも言わなかったかしら? たかが1の力が倍になった程度ではどうしようもないって!」
そう言って先ほどよりも苛烈に槍をふるうレイナーレ。でも、見える。悪魔の身体能力ってすごいんだな。ってそんなんじゃねぇ! 俺の神器はあの先輩の駒を8つも消費したんだぞ!? きっと隠された力があるはずだ! 頼む! あいつを倒せる力を! アーシアを守る力を! 縁に並びたてる力をよこせ!
『ふ、はは、ふはははははは! 小僧、よく言った! 実に悪魔らしい、傲慢な欲望だ。いいだろう。俺の力、存分に使え!』『Boost!』
ぅえ!? さっきの声か!? 幻聴じゃなかったのか……。
『ああ、俺は……自己紹介は後だな。そら、目の前のそれを避けなければ死ぬぞ』
そう言われて意識を戻してみると目の前には光の槍。あっぶね! 間一髪、避けられたぜ……。それで、お前の力ってのはどんなんだよ?
『10秒ごとにお前の力を倍加していく、というだけだ。シンプルだろう? 今はちょうど『Boost!』……2回目だな。後1回の倍加で奴を確実に倒せるだろう』
まじかよ! 確かに、俺には櫛名さんとかみたいな神器よりこっちの方がわかりやすい! 感謝するぜ!
「な、なによ……それ……その力……なんで……」
おっと、呆然としてていいのか、レイナーレさんよ。俺に時間を与えると、無限に強くなるんだぜ?
『いや、悪いが、今の身体能力ではあと2回が限度だな。それ以上は体が持たん』
あ、はい。そうですか、なんか悲しいな……。
『まぁ、これから鍛えていけばいいさ。さ、準備は整った。後はあいつをブッ飛ばすだけだ』
そうだな。『Boost!』『Explosion!』これでいいんだな。
「い、いや! 私は、至高の堕天使になるの! こんなところで……」
って逃げやがった! まずい、俺、空中戦は出来ない! と、取り合えず足でもつかめれば……間に合うか? そう思って駆けた俺だけど、このままじゃ間に合わないと思った。でもその瞬間、レイナーレの飛翔が止まった。きっと櫛名さんがなんかしてくれたんだろう。じゃあ、俺がやることは簡単だな。思いっきり振りかぶって……
「吹っ飛べ! クソ堕天使!」
思いっきり拳を顔面に叩き込んでやった! レイナーレは吹っ飛んでって教会の壁に大穴を開けて、その後、立ち上がることは無かった。アーシアが駆け寄ってくるのが見える。ああ、よかった。俺、守れたんだな。
Sideout……
縁side
この血まみれの服装をどうしようかと思案していると、ひょっこり櫛名が現れた。
「終わったのか?」
「ええ、兵藤君がすべて終わらせたわ。……。にしてもひどい有様ね」
俺の服装を見て、周りを見て、苦笑いをしながら言った。ですよね~。
「ちょっとやりすぎたからな。とりあえず、『眠りの王』でてっとり早く着替えるとするよ。……イッセーの神器はどうだった?」
自身の服を換装しながら櫛名に聞く。
「……面白い神器ね。純粋にそう思ったわ」
「単純であるがゆえに強い。単純であるがゆえに溺れやすい。リアス先輩がしっかり監督してくれるなら、あいつは大丈夫だろうな。力の使い方がわかってるやつだし」
そう言って着替え終わった俺は櫛名を促して教会に戻る。今頃は、拷問でもやってんのかな。
「お願い、イッセー君! 私を助けて!」
戻った俺を出迎えたのは、そんな最低の一言だった。櫛名のほうを見てみても、どう見たって怒ってる様子だ。イッセーは大丈夫かね……。
「……部長、お願いします。」
目を伏せて、辛そうにつぶやくイッセー。それに頷いて滅びの魔力をレイナーレに向けるリアス先輩。……ちょっと止めようか。
「私の下僕に言い寄るな。……消しと……」
「はい、ちょっと待った。申し訳ないけど、こいつの処遇は俺に任せてもらえないでしょうか?」
その瞬間、何を言ってるんだこいつは、という視線と、レイナーレの助かった、という視線にされされた。……別段、助ける気はないよ。
「まさか、この堕天使を助け」
「たりするわけないじゃないですか、こんな無能」
リアス先輩の言葉の後半を乗っ取って、言わせてもらった。レイナーレは先ほどの希望を見出したかのような表情から一転して、絶望まみれの顔になった。怪訝そうな表情で、リアス先輩は、
「じゃあ、どうするって言うの?」
「そんな、簡単に滅ぼしたら、味気ないでしょう? だって、イッセーを馬鹿にした。俺の友人であるアーシアを殺そうとした。ロベルトさんを無理やり利用した。俺を馬鹿にした……これだけでも許せないんですから。したがって、こいつには恐怖という恐怖を叩き込んでから、彼女がもっとも恐れる殺し方で殺します。……ああ、止めないで下さいね。まだはらわた煮えくり返ってるんですから」
そう言いながら、俺はレイナーレに近づく。後は簡単。
「さて。恨むなら己の浅慮を恨め。『眠りの王』……」
そうして発動させるのは純粋な悪夢。一切の混じりっ気のない悪意。そんなのにさらされるなら、人間ならばあっという間に精神に異常をきたすだろう。堕天使であっても、ここまで疲弊していては耐えようもない。壊れきってしまわないうちに、燃やし尽くすか。そう思って、レイナーレの足元に紫炎を発生させる。あっという間に燃やし尽くさないように。じわりじわりと侵食するように。っと。この光景は刺激が強すぎるな。イッセーたちには見えないようにシャットアウトしておかなくては。
「あ、あああああ、あああ、」
あれから5分ほど。意味不明な叫び声とともに、レイナーレは焼失した。……やりすぎたのかもしれないな。そう思いながら、イッセーたちのところに戻ると、明らかに惹かれていた。
「え、ええっと……終わりってことでいいのかしら……?」
気のせいか距離を感じる。普通は逃げたくもなるか。
「ええ。いいですよ。……滅多なことではあんなことはしませんから……」
そう。と言って安心した表情で、帰還を宣言したリアス先輩に続いて、悪魔たちは帰って行った。ついでにアーシアもな。
「私たちも帰りましょうか。今日はちょっとはしゃぎすぎちゃったし」
そう言う櫛名の顔はいつもと変わらなかった。
「そう、だな」
夕食は何かな、と普通の会話をしながら、俺たちも帰路についた。
翌日、俺は例のごとく生徒会に来ていた。というのも事件のあらましを説明するためで、さらに続けるなら、後始末がどうなったのかを聞くためだ。
「……っとまあ、こんな感じで、収束したってわけだ」
「ええ。わかりました。この一件は下っ端堕天使の暴走、ということで片づけられました。こちらに味方してくれた堕天使は、どうやら『神の子を見張る者』に戻ったようです。後は、アーシアさんが近々転校扱いであなたのクラスに編入される、ということぐらいですね。……質問はありますか?」
そう会長は手元の資料から目を離して、俺に視線を向けてくる。
「とくには。……今回は巻き込んで申し訳なかったです」
「気にしないでください。もともと、悪魔の仕事に巻き込んでしまったのは私たちなのですから。……ところで、アーシアさんは?」
「彼女でしたら、今朝、俺に悪魔になったことをうれしそうに報告してきましたよ。イッセーがいるから、特に心配はしてませんよ」
「そうですか。何かあったら気にしてあげてくださいね」
「ええ、もちろん」
そう言って手元の時計に目を落とす。時間だな。
「申し訳ないのですが、ちょっと野暮用があってこれで失礼させていただきます」
「わかりました。……櫛名さんですか?」
そう言って探るような視線を向けてくる。といっても、年相応の、恋愛に興味ある女子の視線だったが。
「ま、そんなところです。じゃ、失礼しますね」
そう言って生徒会室を出て櫛名のところに向かう。先日、イッセーを頼んだことに対するお礼を要求されてな。仕方ない。たまにはおごってやるとするかな。
そう考えながら、そういえば次は何が起こるんだったかな、と薄れた原作知識を参照して、退屈しなさそうだな、と笑みを深めた。
難産でした。就活してました。ゲームしてました。更新遅れて申し訳ありませんでした……。
という訳で駆け足で1巻終了です。
この後はオリジナルの話を挟んで、2巻に入ります。
例によってこのオリジナルの話がどれだけ伸びるかはわかりません……。
年末までに投稿出来たらいいな、と思っていますが、どうなるか……。
あと、活動報告にも書きましたが新作を投稿します。そちらもよろしければ、ぜひ……。