紫炎の転生者   作:12月の雹

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原作前最後、ということで書いてたら文字数が多くなりすぎましたので、分割投稿いたします。

過去篇と原作へのつなぎです。


7話 過去の俺たち、今の俺たち 前編

 たまには過去を振り返ることも重要だと思う。というか、現実逃避をしたい。

 

 

 現在俺の目の前にいるのは巨大な蝙蝠のような羽をはやした人面魚……+手足。なんでもSS級のはぐれ悪魔らしい。

 

 いやまぁ、たしかに陸海空全部行動できそうだけども! 魔力もかなり高いけど! 

 これは……もう少し見た目が何とかならないものか……。

 

 

 ちなみにこんな思考をしている今現在、絶賛魔法の乱れ撃ちから逃げている最中です。

 

 

 

 

 

俺は一応人間だぞ!? 悪魔でさえ手を焼くss級を相手に単体でどうしろってんだよ! こんなことになるんだったら気軽にソーナさんの手伝いを承諾するんじゃなかったよ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間は戻って授業終了直後。

 

 

「さて、と。じゃあ、私はオカルト研究部に顔を出してくるから、そっちは生徒会に行ってね? よろしく~」

 

 

 

 言うまでもない。櫛名である。HRが終わってからまだ30秒もたってないんだが……。あいつはどこかで俺の行動を監視してるのか? 

 

 

 当然、俺は席に座ったままなので隣の席にいた一誠に櫛名との会話(というか一方的な伝言)を聞かれてしまうわけで。

 

 

 

「え? 櫛名さん、オカルト研究部に何か用事? てかオカルト研究部って……何?」

 

 

 

「ああ、ちょっと野暮用らしいぞ。なんでも最近仲良くなった人がいるんだとか。生徒会に俺が行く羽目になったのはこれの提出な」

 

 

 

 そう言って俺が出して見せたのは学祭の収支報告書。ご丁寧に櫛名のクラスと、俺のクラスの2枚。あいつ、俺が生徒会室に行くことを知ってて朝押し付けてきたんだよな……。誤魔化す理由が出来て楽だけどな。

 

 

「そうなのか? 実行委員って終わった後まで忙しいんだな。じゃ、頑張れよ」

 

 

 

 そう言って一誠は教室を出て行った。……最近変わったか? あいつ。以前みたいにエロ一色ってわけじゃなくなった。

 

 もっともエロ9割9分その他1分みたいな感じだから変わってないのかもしれないが。心なしか筋肉もついてきたような

 

 

 ……まぁいいか。あいつが強くなるのはむしろ好都合だ。もともと最終的には強さがインフレするような奴だ。今少し鍛えたからと言って影響もないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「学園祭の収支報告書、1組と2組の分持ってきました」

 

 

 という訳でやってきたのは生徒会室。別名悪魔の巣窟その2。その1はご存じオカルト研究部だ。

 

 

「あ、ありがとう。華蝶君。そこに置いといてくれる?」

 

 

 

 今俺に声をかけてくれたのは会長さん。もうすぐ元、会長さんになるわけで、今は引継ぎが忙しいらしい。次期会長? ソーナさんに決定してます。ちなみにこの会長さんも悪魔関係の人だったりする。魔法使いの家系だってさ。へ~。

 

 

 

「あら、こんにちは。あなたもマメですね。毎日ここかオカルト研究部に顔を出すなんて」

 

 

 

 

 書類の山からソーナさんが顔を出す。……顔が見えなくなる量の書類って……。

 

 

 

「暇ですからね。帰ったってすることはないですし。特訓ぐらいが妥当なところですが、正直そこまで時間を取るわけじゃないので」

 

 

 

 特訓するだけなら夢を操ればいい。体は鍛えられないのが難点だが、戦闘のセンスが鍛えられる。

 

 

 

「そうですか……。そういえば、ずっと聞きたかったのですがあなたと更識さん、幼馴染、という枠を超えて仲良くありませんか? しょっちゅう一緒にいますし」

 

 

 

「あ~……なんて言うか、それには少し昔話をする必要があるんですけど……」

 

 

「構いませんよ。休憩がてらに、ぜひ」

 

 

 

 そう言ってソーナさんはゆっくりと書類の山をどける。……大変そうだな。とはいっても分け方がわからないので俺は手出しができない。

 

 

 しばらく待っているとちょうど1人分のスペースができる。ソーナさんの前に。……そこに座れってことだよなぁ……顔つき合わせて話すのか……。

 

 長い話になるし、ここは甘えさせてもらおう。そして俺が着席するとソーナさんの女王、真羅椿姫さんがコーヒーを出してくれた。ありがたい。

 

 

 

「えっと……俺が櫛名と初めて会ったのは……」

 

 

 

 

 

 

 櫛名side

 

 縁に生徒会の用事を任せて私はオカルト研究部に来ている。駒王学園は幼稚園から大学まで一緒みたいだからここに中学生がいることは其処まで問題じゃない。

 

 

 問題はその子がとても小さい女の子でさらにリアスさんの戦車だということ。名前は塔城小猫ちゃん。そういえば、リアスさんの眷属って、それぞれ駒をイメージさせる名字よね。

 

 

 

木場君→騎馬→騎士

 

姫島朱乃さん→姫→女王……飛躍したけどね。

 

塔城小猫→塔、城→戦車(ルークは形から城壁とか塔とか呼ばれることもあるみたい。縁が言ってた)

 

 

 

兵藤君がポーンになったら面白いかもね。

兵藤→兵→兵士

 

 

 こんな感じで。うん、どうでもいいか。それよりも小猫ちゃんがかわいくて……。部室に来てからずっと小猫ちゃんがお菓子を食べる様子を見ているのだけど、全然飽きないわね。

 

 

 

「あの~……更識さん?」

 トントンと肩をたたかれる。

 

 

 

「へ? ああ、何? 木場君」

 

「部長がさっきから呼んでるんだけど……」

 

 

 

 

 部長とはリアスさんのこと。オカルト研究部の部長だから通称部長。って私ずっと呼ばれてたの? リアスさんを見ると多少疲れた顔でこっちを見ている。なんか、申し訳ないわね……。

 

 

 

 

「ようやく気付いたわね。まったく、どれだけ呼んでも反応がないんだから」

 

 

 

「あはは……ごめんなさい。それで? どんな用事ですか?」

 

 

 笑ってごまかしとく。縁の常とう手段。いつも見てたから、私も出来るようになっちゃった。

 

 

 

「いやに華蝶君と仲がいいみたいだけど。幼馴染ってだけじゃ説明がつかないんじゃない? って聞いたの」

 

 

 

 実はリアスさん。知り合いは名前で呼び捨てにするのが常みたいで、私がここに来たとき『縁』って呼んだのよね。

 

  ちょっとオハナシさせてもらったわ。今では『華蝶君』と呼ぶようになったわね。

 

 仲がいい兵藤君とか、木場君は兎も角、1回や2回あっただけの人が呼び捨てするのはね……いくら貴族とはいえ。

 

 

 

「そうですか? ……そうね、うん。確かにそうかも」

 

 

 

 

「普通幼馴染が忘れることを前提に文房具を2セット持ってくるなんてないよ? 毎日のように一緒に食事とかも」

 

 

 木場君が続く。あ~、受験の時ね。そういえば縁の隣だったのよね。

 

 

 

 

「昔はこうじゃなかったのよ? 寧ろ仲が悪かったぐらい。ただ、あの一件があってからね……」

 

 

 

「あの一件って?」

 

 

 

「長くなるけど……。それでもいいかしら?」

 

 

「あら、でしたらお茶を入れなおしてきますわね」

 

 

朱乃さんがお茶を入れてくれるのを待って私はこう切り出す。

 

 

 

「あれは……私が5歳ぐらいの時だから今から10年ちょっと前のことね……」

 

 

 

 

 

  Side回想

 どんよりとした雲が空を覆っている。その中をまだ年端もいかない少女が公園に向かって駆けている。髪の色はかなり珍しい水色。言うまでもなく、更識櫛名である。

 

 公園についた櫛名は再び元来た道を逆走し始める。どうやらランニングをしているようだ。

 

 

「まだ、まだ。頑張らないと。櫛名より頑張ってないあいつなんかに負けないもん!」

 

 

 

櫛名を駆り立てるのは純粋な敵意。子供なのに、否。子供だからこその純粋な敵意。

 

 その敵意を向けられる相手は櫛名の家の隣に住む縁である。縁は今現在、記憶が戻ったばかりで閻魔から代引きで送られてきた本を読んでいる際中だ。櫛名が彼を敵視するのには理由がある。

 

 

 

 1週間前。櫛名は更識の人間として訓練を始め、めきめきと頭角を現し始めていた。本人にも強くなっているのが分かったのだろう。だから隣に住む縁に模擬戦を挑んだのだ。

 

 

 結果は櫛名の惨敗。いくら才能があるといっても訓練を初めてひと月ちょっとしかたっていない櫛名が、いくら記憶がないからとはいえ。いや、記憶がないから加減ができないチート転生者に勝てるわけもないのだ。

 

 

 その後、記憶が戻った縁が軽く自己嫌悪してたりするのだがそれは置いておく。そんなことで櫛名に一方的に敵視されているのだ。

 

 

 

 

 

「ふぅ……。記憶があるって言ってもなんか自分じゃないみたい。本を読んだ後みたいな感じ」

 

 

 

 これが縁の記憶に対する感想である。記憶が戻ったからとはいえ5年間の性格は変わっていない。

 

 

 知識があるだけで元の性格に戻るようなことはなかった。知識として過去の記憶を持っている状態のため、精神は5歳の子どものままであった。5歳にしてはかなり大人びているのは、やはり転生者ということがあってなのかもしれない。

 

 

 

 

「ん~。あ、今日もくーちゃんは頑張ってるね。記憶だとほかの小説のキャラなんだっけ? う~ん……くーちゃんはくーちゃんだね」

 

 

 

 自己完結した。意外と深いことなのだが。

 

 

 

 

 

『とまぁ、昔の私はこうやって縁を敵視してたの。呼び方も華蝶君だったしね』

 

 

『昔の俺は一切櫛名に興味を持たなかったんです。むしろ趣味ばっかで……』

 

 現在の二人は語る。物語の中核へと語り続ける。

 

 

 

 

『ここまでが前置きね。ここから私に悲劇が襲いかかるわけだけど』

 

『いくら小さかったとはいえすでに神滅具と神器を目覚めさせてた俺が、あの気配に気が付かなかったのは最大のミスです』

 




合わせて8600文字を超えました。もっと長い人はいるのですが、分割して掲載します。いつもの5000文字でも長いかな、と思うので。

もう三人称なんて使わないと心に決めました……疲れた。

あんまり頭角を現すって女性に使いたくないですよね。字的に。
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