けんちゃんがゴールやコートをハチャメチャにして理事長室にお呼ばれされてしまいました。
「あれが日ノ元の天才…」
御剣君がぽつりと吐き出す。
「なんスかあのレベル頭沸いてんじゃ無いっスか?いや…別に実力否定じゃなくてなんでこんな無名の中学に来てるかって意味スっよ…もっと帝国とかさぁ。」
「けんちゃん帝国大嫌いだもん、そんなとこでサッカーなんて出来っこないよ」
けんちゃんの帝国嫌いは帝国を調べてれば自ずとわかってしまうが余り触れるのも宜しくないのだ。
「僕の…グロリアス・ヘブンが…あんな簡単に、僕は天才たぞ、天才なんだぞ…僕が僕は僕、僕?僕は天才だろ?そうだろ?悪い夢か何かか?そうか夢だなこれは!ククククハーハッハッハ!そりゃそうだ!じゃなきゃ僕のグロリアス・ヘブンがあんな児戯よろしく軽く止められてたまるものか!!認めん!僕は絶対に!認めん!!」
「うっせーな…負けたんだよ俺たちは。たった1人に…完膚なきまでにな。認めろ厨二病のリア狂野郎」
「黙れェ!!貴様如きが知った口を効くなァ!」
…凪君を誘ったのは失敗だったかも知りませんね。ですが彼の実力はあの歪んだ性格を考慮しても捨て置ける代物ではありません。一応日ノ元でマネージャーモドキを行っていたので他の選手と触れ合う機会も多くあったのですがその時の事を思い返してもあのレベルの選手は中々いません…先程けんちゃんが何故帝国では無く間是和に来たのかと聞かれましたが…彼の方が何故帝国では無くこちらに…と問いたい気持ちが多くあります。
「フッ…貴様の様な劣等には崇高な僕の気持ちなんて分かるわけが無いのだよ」
「わかってたまっかよリア狂の気持ちなんてなぁ!」
「ふたりとも抑えてください!!」
今にも殴り合いそうな2人を宥めようとあいさにはいって静止を促すが当然効果なし。
「そっそうすよ!暴れるのは不味いッスよぉ!」
《》
是和先輩と一緒に理事長先生に頭を下げ終えて部室戻る。
「にしてもほんとに君の蹴りは凄まじいね…まさかゴール事破壊してしまうなんて。」
まぁあれが全力ではないにしろ今自分が打つことが出来る最上級のシュート罪ノ大剣を一端のゴールが耐えられる筈が無い。
「まぁ謙遜はしないどきますよ。素直に認めます僕の罪ノ大剣は現時点で日本一のシュートだと思いますよ?」
「ほう…現時点で…ね。」
「ええ…現時点では…ね。」
先輩と含みのある間の取り方をしながら程々に談笑しながら部室に戻る。
「ヤァッハロー!皆元気してたー?」
先輩が超ハイテンションで部室のドアを思い切り開く。僕もため息を着きながら部室に入ろうとするが中で起こっていた事態は惨状の一言に尽きる。
倒れ伏せる鮫田先輩や鳥井田先輩、鬼の形相の凪君や青筋浮かべた御剣君、それの2人を羽交い締めして止めている恐神君と小百合ちゃん。そして隅っこで頭を抱えて小さくなっている多摩君。
「良かったですね是和先輩。元気有り余ってますよ」
皮肉を込めて先輩に耳打ちしてみるが先輩は片腕あげて挨拶した状態で完全に止まってしまっている。ダメだなこれは。
「田中くん!良かった来てくれたんだね!はっ早くこの事態をどうにかしてくれ!ぼっ僕にはどうやっても…ウヒ-!?」
多摩君がハイハイでこちらににじりよってきて懇願してする。
「はぁ…先輩は御剣君の方をお願いします。」
「は?何言って…」
とりあえず小百合ちゃんに抑えられながら腕や足をばたつかせて御剣君に掴みかかろうとしている凪君の前に立つ。
「なーぎ君、僕の声は分かるかな?」
「*₩-☆´-~~!*₩……!!!」
うーん何言ってんだろ…およそ言語化も難しい何かをベチャベチャと喚いているし唾が僕の顔にベチャベチャと当たる。それに小百合ちゃんが早く何とかしてくれと言う表情で見つめている。仕方ない、手荒なマネは趣味じゃないんだけどな。
「はぁ…3秒だよ3秒間だけ待ったげるから落ち着きな、」
頭を空っぽにして目の前にボールを浮かべる。対象は喚いてる
「さーん」
手をポケットに突っ込んで片足を少し脱力させる。対象は黙る気配は無い
「にー」
足に少し…ほんの少しだけ気を纏わせる。対象は最早止まらない
「いち」
世界がスローになっていく目の前の対象はもはやボールだ。
「ゼロだ。タイムオーバーだよ…」
デ ス ソ ー ド
凪君の腹をボールに見立てて軽く蹴り抜く。小百合ちゃんに被害が及ばないように、凪くんのみが丁度よく蹲る程度の軽い蹴りだ。これで正気に戻ってくれなきゃもうどうしようもないお手上げというやつである。
次は顔面にファイアトルネードぶち込んで豪炎寺メンタルクリニックもどきでも開かざるおえないだろう。
「助かったよけんちゃん、ありがとう。」
「大丈夫小百合ちゃん痛くなかった?」
その必要は無さそうだが。
「田中健太ァ…ゲホッガハッ何をする!?貴様!!」
効果的面である。少し荒療治ではあるが上手く正気に戻ってくれたみたいで助かる。
「対話できる状態じゃなかったからね、まぁすまないと思ってるけどクレームの類いは受け付けて降りませんので悪しからず。」
御剣君の方を見ると是和先輩が上手くやってくれたのか、それとも僕のデスソードが衝撃だったのか目を大きく見開いて驚愕と言った表情を浮かべている。
「それじゃあ2人ともなんでこんな事になってるか…教えてくれるかな。」
入部初日に問題起こすなんて飛んだヤンチャさん達である。
《》
大体の事情は把握出来た、どうやら僕に負けたのがよっぽど応えてしまったらしい。僕からしたら御剣君も凪くんも恐神君だって今の日本サッカーのレベルを優に逸していると思うけどな。御剣君の必殺技は見ずじまいだったが恐神君のドラゴン・ジョーは現時点でリフレクトバスターぐらいなら軽く止めれてしまえる練度を有してるしグロリアス・ヘブンについてはFFでも最高峰のシュートと言えよう。流石にエイリアの必殺技には見劣りしてしまうかもしれないが現時点では文句のつけようのないシュートである。
「まぁ理解はしたよ、君の悔しさや、やるせのなさは痛いくらいに伝わった。でも厳しく言わせて欲しい…自惚れるなよ凪颯太。君が見てきた世界はとても狭い、今の君では僕如きに勝つ事は決して出来ないだろう。」
凪君が完成された美顔をこれでもかと歪まして僕の言葉に嫌悪を示す。
「1人では厳しい…だから高め合うんだよ今地に伏せて寝ている先輩方に君の事を宥めてい人や君の争い相手になっていた人とね。彼等の潜在能力や現在発揮している能力、全て含めたとしても君と遜色はないんだよ。そんな彼等と一緒に来年には僕に地面の土を舐めさせるべきだよ。」
凪颯太は間違いなく天才である。サッカー歴わずか2年にして強大なシュート技を持つ彼。しかしここに居る部員全員彼に見劣りすることはきっとないだろう。彼ほど伸びる事はないのかもしれないが彼にとって高め合うものとしては満点の効力を発揮する。
「サッカーは個人スポーツではない。僕だってチームメイト相手にパスを出すし3人程マークされたら少し辛いんだ。だから君もチームを理解して利用して自らを昇華させて行かなければならない。僕を討て凪颯太…いや間是和サッカー部。君達が輝き、その実力の開花に敵が必要なのだと言うならば喜んで僕が敵になろう。」
「今は…勝てない…か。」
御剣君がボソリと呟く。
「今勝つ必要なんてどこにも無いさ。最後に勝って参ったと言わせて靴を舐めさせた方が勝者であるんだ。」
終わりよければなんとやらの精神である。
「味方を利用か…フッいいだろう!感謝しろ愚図ども。この僕が自らを高め目の前の巨悪を討つという大願の為に貴様らを使用してやろう!道具になる事くらいなら貴様らにも可能だろう!」
「ケッ…結局どうしたってバカは治らねぇか。」
「まぁ諦めるのが吉ッスよ御剣。」
「間違いねぇな」
まぁ騒動も歪んでいるが一応の収集が着いた、これにて落着である。
「あっそうだ是和先輩鮫田先輩や鳥井田先輩を起こしてください。今後の部の方針…決めちゃいましょ。」
「もう君がキャプテンでいいんじゃないかな?」
「ハッハッハ、なーに言ってるですかキャプテン。キャプテンなんて器じゃないですよ。」
暫くして鳥井田先輩や鮫田先輩がモゾモゾと目を覚まして現状の確認と様態の確認を追えてミーティングを開始する。
「えーそれじゃあ間是和サッカー部のミーティングを始めまーす。ここからの進行は我らサッカー部の問題児こと田中健太氏に丸投げするんであとよろすくー。」
「キャプテン軽くないですか?まぁいいやえーと進行変わりまして田中で進めさせていただきます。」
「能書きはいらん、とっとと進めろ」
凪君がムスッと言い放つ。可愛げがないんだからまったく…
「んじゃあ大題と目先の目標を述べるね。大題の方はFF優勝、目先は帝国学園の打倒。これで行こう、異論は認めません。以上」
「聞き間違いかなぁ?田中くん…てっ帝国の打倒って…」
「そんなわけないじゃないか多摩君、殺るんだよ帝国学園を…それも苦勝や辛勝じゃない。ダブルスコア、ないしはトリプルスコアを付けて徹底的にやるんだ。」
「フッまぁ妥当な線だろうな」
「黙ってろ!リア狂!てめぇら帝国がどんなとこか知ってそんな事…」
「声を荒らげるなよ御剣君、知っているさ。あぁ知っているともさ…それを踏まえて言わせて貰おう…帝国なんて雑魚だよ御剣。」
「なぁ話の腰を折るようで悪ぃけどよぉ帝国ってなんだ?」
「おいどんも知りたいどす。」
あぁサッカー初心者の先輩方はご存知ないのか。
「帝国学園…現中学サッカーにて39年…いや今年も含めて40年間無敗という偉業をこなしている超が着く強豪校。僕達弱小からしたら言葉に出す事すら烏滸がましい天上の存在。それが帝国学園サ」
「実感わかねぇーなぁ」
鮫田先輩は目を明後日にやりながら後頭部をガシガシする。禿げちゃいますよそんなことしてたら。
「キャプテンや御剣君は帝国の試合見た事あります?」
「そりゃサッカーやってたら1度は見るだろうよFF決勝なんて見てみて損は無いだろうし。」
キャプテンもコクコクと頷く
「それを踏まえて聞きますよ彼等帝国最強の技デスゾーン…あれはどう写りましたか?そして恐神君…君の意見も聞かせてください。」
「そりゃ恐ろしいの一言に尽きるだろうよ3人の連携技。必殺技の基本だろうが、1より2、2より3倍々方式で威力難易度共に上昇していくんだ。そんな難易度の高い3人技をあんな平然と打たれちまったら溜まったもんじゃねーよ」
「そっそうッスよあんなん止めようとしたら身体が思いっきり吹き飛んじまうッスよ!」
「それに帝国の強さはシュートだけじゃねぇだろ。あの悍ましいレベルの管理サッカー…奴らの軍人もかくやと言われる脅威の連携と鉄壁の守り…39年間無敗もうなずけるプレイングだぞ。」
御剣君の言うとおりである。帝国の最大の象徴影山零治による冷徹で冷酷な管理サッカー…それに今年から天才ゲームメーカーである鬼道有人も加わってその連携に拍車も掛けていく事だろう。
「それが何か障害になり得ますか?」
「てめぇ…何言って。」
「今ここにもう帝国を上回るスペックの持ち主が4人…いや5人いますね。」
「は?5人って…まさか!?買いかぶるのも大概に…」
「買いかぶり?とんでもない。滾る闘志を身に宿しあらゆるものを射抜かんとする九頭龍サッカークラブの元エースストライカー御剣謙信君、小さいながらも龍を幻視させる気迫を持つゴールの絶対守護者恐神隆二、的確な指示で味方を鼓舞させ勝利に導くフィールドの奇術魔と謳われた天才是和新汰、サッカー歴2年にしてとんでもない威力のシュートを放て、天才や神童の名を欲しいままにして尚成長が止まらない凪颯太、そして過去中学サッカー界に名を馳せた田中真弓の弟でありあらゆるポジションを完璧にこなせる日ノ元の天才こと田中健太…負ける道理なんてありますか?」
自分で言ってて途中で恥ずかしくなってきたが嘘偽りなんてない。この場に居る経験者面々は一人一人がオーバーパワー、こんな木っ端の中学の廃部寸前のサッカー部で燻ってしまっていいと者では無い。
「出来ないなんて言わせませんよ…勝てます、否勝ちますよ帝国だけでなくFF出場校に圧倒的な実力で。」
あぁ来年が楽しみで仕方ない…まってろ原作、まってろ帝国、まっていろ影山零治…貴様の野望を貴様の思想を僕達の手を持って完膚なきまでに叩き壊してやるよ…
更新のペースって困難でいいかな?出来たら投下の方式だけど読者ニキ的には。
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