最近に来て特訓に悩みが生まれ始めた、今の僕の力で限界を越えようと努力して玉を河川敷の柱に打ち付けたとしたらどうなる?答えは簡単…柱が倒壊してしまう。そう僕の力は既に分厚い石の柱を通常のキックで易易と破壊できてしまう程にまで上昇していた。
さてさて困ったもんだ…超次元を誇るサッカーゴールさんの力を借りるべきなのか…しかしそれじゃあボールの回収がいちいちめんどくさい…
何かいい方法は無いかと視界をさまよわせていると1本の木と放棄されたタイヤが目に映る。
これは使えるぞ。新しい強化方法を思いついた僕の顔に笑顔が浮かぶのは仕方の無いことだろう。
家から荒縄を持ってきて1番太い枝にしっかりと結び、タイヤを吊るしてしまえば立派な特訓器具の完成である。
さぁ特訓開始だ。
タイヤを動かして加速させていしき、ちょうどいい強さになったところで足で蹴りあげる!!
しかし結果は何時だって残酷だ、根元からへし折られた枝はタイヤと共に川に轟音を鳴らしながら着水、ダイナック不法投棄の完成である。
結局あの後見て見ぬふりをしてゴールポストに玉を打ち付ける事によって疑似柱特訓が完成した、この世界のゴールは何故こんなにも頑丈なのだろう?デュランダルも真っ青な耐久値を誇るゴールに感謝しながら自主練をこなしていけば1日なんて直ぐに終わってしまう。
いつの間にか日が暮れてしまっていた、晩御飯までには必ず変える必要がある。
「けんちゃん終わった?」
何時からか河川敷の土手に腰を下ろしていた小百合ちゃんが片付けを始めた僕に声を掛けてくる。
「何時も見てるけど飽きないの?」
素朴な疑問だ。華やかな必殺技の特訓をしてる訳でも相手を軽やかに抜き去るドリブルでもない。ただ力の込めたボールを轟音と共に蹴り続けるだけのルーティンワーク、3分見続けられたらいい方の特訓内容である。
「ぜーんぜん?だって頑張ってるけんちゃん見てるだけで退屈なんて感じないもん、本当は学校サボってでも見ていたいくらいだけど。」
「それに関しては何も言えないかな。」
学校サボってサッカーしてるんだからサボりを推奨も否定も出来ない。本音は小百合ちゃんには全うに生活していてほしいと思ってしまう、こんな僕の事なんか忘れて。
小百合ちゃんはクスクスと喉を鳴らして手を前に突き出してくる。
「それじゃあ帰ろ?」
僕は躊躇いもなくその手を取って2人で帰路に着き始めるのだった。
「ただいま母さん。」
「おかえり。けんちゃん」
晩御飯前にはしっかりと帰れたらしく、玄関をくぐって直ぐにいい匂いが体を包み込む。
母さんは僕が学校をサボっているのを当然知っているだろうし、何をする為にサボってのかも理解してる筈である。しかしそれに関して口を出す事は絶対にしてこない、本当はサッカーなんてもう聞きたくもない筈なのに。
手洗いとうがいを終えて晩御飯の軽い手伝いをして2人で食卓に着く。
「「いただきます」」
かぁさんの手料理は凄く美味しいのだ、傷心してる時に食べたら涙が出るくらい。
「ねえさんの調子はどうだった?」
「あの子まだサッカーを諦めるつもりが無いみたいでね…あんな事になっちゃっても足が動くって動かしてみせるって言って聞かないのよ…全くあの強情さは間違いなくパパに似たのね、間違いないわ」
「確実にかぁさんだと思うなぁ僕 」
やると決めたら梃子でも動かない静かな情熱は間違いなくかぁさんの血である。父さんはどちらかと言うと意思は硬いが目的の為なら手段は選ばない派である。
「あらぁけんちゃんもお姉ちゃんみたいなとこ多いわよ?」
「ゲェ、あの熱血バカと一緒にされちゃあ僕もそこまでだね。」
くすくすとのどかな空気が食卓を覆うが痛々しさが消える事は無い。
《》
僕の就寝はだいぶ早い、6時にご飯を済ませてしまったらお風呂と軽い勉強を済ませて9時には寝てしまう。しかし今日は普段起きない時間に目を覚ましてしまう。
枕元の時計を見やると時刻はまだ午前の2時半を移している。階下が少し騒がしい、寝惚けた頭と眼で何を血迷ったか様子を見るという結論に至ってしまう。
『貴方は何!?真弓の足を…諦めろって!?』
『美智子声を抑えろ健太が起きてしまうだろ?』
『ッ!?でも、だってそれじゃあ…』
『仕方ない…仕方ないんだ。あんな金額とても僕達には…』
『なら…なら!私も一緒に働けばッ!』
ギシギシと、なる階段それを1段降りる事に脳が覚醒していく。
「君は体が弱い…そんな事したら持病に影響が。」
「なりふり構ってられるような状況じゃないでしょう。今、私の身体なんて心配できる状況じゃ。」
「それで君が倒れてしまったら!元も子も無いだろう!?頼む…もっと自分を大切に…」
「父さん…母さん…騒がしいよ」
2人がすごい形相でこちらに振り向く、かぁさんはまた泣いてしまったのか涙の後が着いているし父さんも心做しか窶れて見えてしまう。
「僕…サッカー選手目指すよ。」
「何を言ってるんだい…」
「サッカー選手ってお給料沢山貰えるんだよ?知ってる?ねえさんの手術費用なんて片手間で払えるんだよ?僕ね天才だから簡単だよ」
そう自分は天才だ…天才なのだ。転生者という圧倒的スペックに加え若干5歳で必殺技を発現させ今年の春の新人戦では得点王にも輝いた。アニメでみてもゲームでみても僕より優れた選手は片手で数えられる程だろう。
亜風炉照美も豪炎寺修也も鬼道有人もエドガー・バルチナスもフィデオ・アルデナも基山ヒロトだって、円堂…守だって僕にはきっと届かない…届かせない…届いちゃ行けない。
「だから…もう…だい…じょうぶなん…だよ?」
僕はプロになる、復讐をこなしてFFで優勝して知名度を挙げて、何としてでも何をしてでもやりきる。
誓いは今ここにもう一度建てた。
やることは分かった、もうこの人達に無理をさせる訳には行かない。
《》
自分は父親失格だ。
妙に大人びている子供だった、手はかからないが自分を頼ってくれて子供らしい側面も十分にあるがその実子供らしさなんて欠片も持ち合わせて居ない少し不気味な自分の息子。
それが僕の、田中健太に対する印象の全てだった。
「私達…子供にこんなになるまで背負わせて…何やってるんでしょうね。」
妻が健太を膝に乗せて頭を撫でながら、か細く今にも消え入ってしまいそうな音を出す。プロになる、息子が泣きながら言葉を紡いだ先に出したものだ。それは健太が僕や美智子が将来を聞いた時に困ったように受け流す様に用意していた何時もの答えだ。
しかし今日、あの表情から発せられた言葉はそんなその場しのぎのものでは決して無い。もっと誓いにいや自らを縛り付ける呪いじみた執念の篭った言葉だった。
「健太はプロになると言っていた。」
「私はもう嫌です、サッカーなんていう玉蹴りで子供達を危険な目に合わせるのなんて。」
「僕だって反対さ、でも今健太からサッカーを取り上げる行為、それそのものが健太にどう影響を及ぼすか計り知れない。」
健太は今、酷く不安定だ。姉が事故にあったのは自分のせいだとなぜか責め立てている風に見えて仕方がない。健太が学校をサボって河川敷でサッカーをやっているのも知っている。狂った様にボールを蹴り続けて怒りに燃えて居るのだと。
「今は信じよう…この子をもうそれしか僕達にはないんだ。」
「どうして…私達がこんな目に会わなくちゃ行けないの?」
その問いかけに対して僕はただ、震える妻に寄り添う事しか出来なかった。
まぁ実際今の状態でゲーム版のFF行ったら間違いなく無双出来ますね、ていうか世界編でも十分に通用しますし。まぁそんな事にはならないって聡明な読者ニキなら気づいてるんじゃあないすっかね?
感想待ってマース
更新のペースって困難でいいかな?出来たら投下の方式だけど読者ニキ的には。
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構わん投下し続けろ。
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予約投稿で決まった時刻に1本投下しろ