サッカーやろうや   作:成金ヤック

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中学編がよーいすたーと


夢の始まり~目指せFF目指せ全国制覇~
全てが動き出す


カーテンから差し込む陽光、階下から香る味噌の匂い、鳴り響く電波時計、カレンダーには4月1日の表記、壁には真新しい制服。これが意味する事はたったのひとつ。僕田中健太は不登校期を終えて今日、新たな門出を迎える。

 

朝の身支度を一通り終えて食卓に着く。

 

「おはよう母さん、それと父さん。」

 

父さんが朝いることが珍しくて少し変になってしまった。

 

「それとってなんだぁ?それとって」

 

「いや朝いるのが珍しいなって。」

 

「ハハハッまぁ偶には家族で朝食囲むのも気分転換でいいかなって…ね?」

 

「ほぉら2人とも呑気に話して無いでチャッチャッと食べる、朝は時間の進みが早いんだから。」

 

父さんと顔を合わせてクスリと笑ってみんな揃ってご飯を食べる。朝ののどかな時間はあっという間に過ぎてしまう。

 

「んじゃあかぁさん行ってくるね。」

 

「かぁさんも後で行くからね。しっかりやんなさいよ」

 

かぁさんの激励を受けて玄関をくぐる。朝にジャージ以外で外に出るのは実に1年振りの出来事では無かろうか。

 

学校まではバスで移動するのでバス停まで移動しようとすると突然視界が暗転する。

 

「だーれだ」

 

僕の心の拠り所のご登場である。しかしきっと彼女とは別の中学である筈なので途中までしか登校出来ないのが残念でならない。

 

「うーん誰かなぁ、分かりそうに無いかも。」

 

わざとシラを切って見る。

 

「正解はー」

 

視界に光が戻って、僕の幼なじみが小降りな足取りで視界に収まっていく。しかしその姿は僕の想像を絶するものだった。

 

間是和(ませわ)中学新1年生、蓮馬小百合12歳。でしたー」

 

彼女は僕の行く中学の女生徒用の制服に身を包んで、僕にしてやったりと言う顔で微笑んでいる。

 

「これから3年間宜しくね。けーんちゃん」

 

私立東愛知地区間是和中学校。ここ数十年でできた振興の学校、校訓は学び・助け合い・高め合う。と言うまぁありふれたものである。

 

普通であればここら辺の人は家から近い東愛知立日ノ元中学校通称日ノ中に進学する筈なのだ。僕は事情ありで特待生制度を利用してわざわざ家から少し離れた場所を選んだ。そしてこの事は両親以外誰にも話しては居ないはずである。

 

バスに乗りながらうんうんと考えていると、小百合ちゃんがくすくすと口を開く。

 

「どうして?って顔してるねけんちゃん。私がけんちゃんと違う学校に通うわけないじゃない、おバカさんだなぁ。私がけんちゃんの事で知らない事なんてなーんにも無いんだよ?言ったじゃない。けんちゃんの辛さを分かち合うって、その為にはけんちゃんの傍に居続けなきゃ…辛さがわかんないでしょ?だから私から離れるなんて思わせないし、考えさせない。」

 

あれー?この子こんなにヤンデレ属性着いてました?なんかどす黒いオーラ見えるしなんなら目のハイライトが心做しか失われてるぞ?

 

「ずっーと一緒だよ?けんちゃん」

 

小百合ちゃんは僕の右手を両手で優しく包み込んで整った顔で微笑みかけてくる。

 

こっこいつ!自分が可愛いと言うのことを自覚して行動してやがる!!

 

《》

 

ところ変わって間是和の体育館、現在硬っ苦しい入学式の真っ只中である。

 

『えーそれでは新入生挨拶。代表、田中健太。』

 

「はいっ!」

 

 

我が校の特待生制度は入試成績上位5名のもののみに与えられるものである。因みにその後も生徒の模範であると同時に好成績を収め続けなければならないという結構な代物である。しかしその恩恵は大きく教科書代や学費果ては遠征費用までもが全額学校負担なのである。そして部活動や同好会にて好成績を収めれば追加で補助金も発生する。まさに至れり尽くせりの設計である。

 

「暖かな春の訪れと共に…」

 

テンプレにも近い祝辞を読み上げていく。硬っ苦しい入学式もいよいよ終わりに近い。

 

「以上。新入生代表田中健太」

 

祝辞を読み終えて列に戻っていく、これで終わりである。目当ては放課後の部活動見学。ようやく夢が叶うのだ中学サッカーの夢の祭典フットボールフロンティア。スタメンの心配?僕が溢れてしまうとでも思うかい?僕は転生者スペックを有してかつこの体の化け物スペックを十全にハッキリできる天才の中の天才だぞ。たかが中学生のそれも無名サッカー部の一軍如きに負けるはずが…

 

《》

 

入学式やクラス挨拶等を一通り済ませて目当てのサッカー部見学に足を運ぶ、担任にサッカー部の練習場所と部室を聞いたら少し渋い顔をされたが場所を教えて貰えた。少し疑問や違和感があったがさして気にすることでも無いと部活練の部室に足を運ぶ。

 

サッカー部の部室は平屋の4番目のドアだと言うことでノックをして人を確かめる。

 

「すいませーん入部希望なんですけど誰かいまっ!?」

 

言いかけてた所で思いっきり。扉が開かれて後方に少し下がってしまう。

 

「やぁやぁ!!歓迎するよ!我がサッカー部に!!ささ!入って入って。」

 

見やる内容はお世辞にも良いと言えなかった。そこそこの広さの部室に揃ってる人はわずか3人。誇りの被ったロッカーに明らか使われて居ないサッカーボールの入った籠、寂れた壁には剥がれかけてる何時の時代かも分からないFFのポスター。いやまだ部員が揃ってないだけだ、自分にそう言い聞かせる。

 

「君は確か新入生代表を務めていた子だろ?名前は確か…」

 

「た…田中…健太…です。」

 

「そうそう田中君だよ、いやー助かる助かる。なんせ家のサッカー部の現状は見てわかる通り。」

 

やめろ…現実を突きつけるな。

 

「3人しか…部員が居ないんだ。」

 

最悪だ。

 

 

 

 

 

 

 

せっかくサッカー部に来たのにサッカーどころじゃ無かった件に着いて、どーも田中健太です。スタメン落ちとかレギュラー争いとか、先輩からの嫉妬とか諸々覚悟できたけどまさかの部員数が圧倒的に少ないとは。

 

「んじゃあ先ずは自己紹介から始めようか。僕は一応キャプテンを任されてる2年3組の是和新汰っていうんだ、宜しくね。ポジションはMF担当かな。」

 

チャラ目の茶髪に軽そうな声。しかし鍛えられた体付きを有してるザッ陽キャみたいな人がこの間是和サッカー部のキャプテンか。

 

「2年5組、鮫田和樹。FW」

 

目付きが鋭く椅子に座って携帯をいじってるヤンキー風の人が鮫田先輩。

 

「鳥井田 岳 DF」

 

のっぺりとした大柄の壁みたいな人が鳥井田先輩。

 

「以上3名が現在の間是和中学の誇るサッカー部の一軍メンバーとなりまーす。」

 

是和先輩がドヤ顔で胸を貼っている。

 

「僕は…サッカーをやりに来ました。」

 

「うん?」

 

「やりましょう先輩…サッカーを」

 

集めよう。部員を揃えよう、戦士を。

 

《》

 

だいぶ尖った子が入ってきたなぁって僕、是和新汰は頭を書きながら感じていた。

 

「先輩方はサッカーに対してやる気を持ってますか? 」

 

「なんだこの?生意気な1年はいきなりサッカーがどうのって。この学校は部活動に何がなんでも入んなきゃいけねーから入ってるだけだってのやる気なんてねーよ。」

 

「まぁまぁ鮫田君落ち着いて。」

 

ほーらー家の爆弾にすーぐ火がついちゃう、1度着いたら爆ぜるまで収まんないよ?めんどくさいったらないよ。

 

「おいどんも別にサッカーは出来なくてもいいかなぁ。」

 

「鳥井田君まで。」

 

そうなのだこの2人が入ったのは去年の引退試合にて3年の先輩達がゴッソリと抜けた後。とりあえず廃部にさせまいと無理やり札付きの問題児を捩じ込んだ父さん達の粋な計らいである。

 

「そうですか、分かりました。では僕とサッカーしません?僕に勝てたら練習なんて参加しなくてもいいですし、雑用なりなんなり全部こなして上げます、ルールは無しで構えません。ラフプレーだって全面的に許容します。ただ1点…先輩方は僕から1点取ってください。僕は勝ちの条件無しで大丈夫です。先輩達が参ったって言うまで付き合いますよ?」

 

「言うじゃねーかクソガキが。先輩がその根性叩き直してやるよ。」

 

《》

 

大変な事になったなぁ、本来キャプテンならこんな状況止めなきゃならないんだけど。火のついた鮫田を止めるなんてそっちのが危険だ。

 

「おでキーパーやる。動きたくないし。」

 

「木偶の坊は突っ立ってろ2秒で片をつけてやる。」

 

なーんかあの子やな感じするんだよなぁ。

 

「一応レフェリーに陸部の先生に無理言って来てもらいました。それじゃあ先生、笛だけお願いします。」

 

「はぁ、まぁいいか『ピー』」

 

試合開始の合図だ今はもう殆ど使われてないサッカーコートの半分だけで行われるミニゲーム、もう半分は陸部の二軍が使ってる。そんな陸部の子達も練習サボってこっちを見てるくらいだ。

 

「おぉら!先手必勝!!何でもありだ!怪我しても知らねぇからなぁ!!」

 

鮫田が宣言道理に殴りかかりに行く。喧嘩屋鮫田とはよく言ったもので荒事に慣れ、手加減を知らない拳が田中くんに当たっ…てない!?

 

ジャッジスルー

 

田中くんはあろう事かボールを鮫田にパスしてそのままボール越しに鈍い音を立てて鮫田君を蹴り飛ばす。

 

「いっいまのはファール…」

 

「だと思いますか?先生。」

 

小柄な女生徒が陸部の先生の横に立って何やら熱烈に解説してる。

 

「グッゴホッ…アァふざけやがってェ!!」

 

鮫田君がもう一度掴みかかろうとするがボールをキープしたままひらりと躱されてしまう。顔面から地面にキッスする鮫田君。

 

「先輩大丈夫ですか?ハンカチ使います?」

 

「クッソッガァ!!」

 

鮫田君はきっと学習しないのだろう。同じ事を繰り返し何度も地面にキッスをする。

 

「なにボーッと突っ立ってるんです?」

 

田中くんの動作は本当にパスを回すがごとく軽く、本当に軽く打ったであろうボールが。

 

「ん?グボッ!?」

 

ゴール前で突っ立ってた鳥井田君をボールと共にゴールネットに押し込んでしまった。

 

「どうします?まだやります?」

 

テーンテーンとボールが地面を跳ねる音が木霊する、悪魔の問いかけにしか聞こえないそのセリフ。

 

残ったのはどうやら僕だけとなってしまったらしい。鮫田君は地面にて満身創痍、同じく鳥井田くんも腹を抑えてうずくまっている。

 

「いやーー降参っしょっこれは」

 

「聞き分けが良くて助かります。それじゃあ先生ホイッスルをお願いします。」

 

「あっあぁ!『ピー』」

 

「それと練習で怪我をしてしまったので保健室の場所教えていただきますか?」

 

これが?練習?あくまで練習で通すつもりか?確かに彼は最初のジャッシスルー以外普通にドリブルして普通にシュートを決めただけである。ただその威力がどれも桁外れでいただけで。

 

「明日から部員集めと強化練習を並行して行うんで。よろしくお願いしますね?キャプテン。」

 

「ハッハハよっよろしく」

 

乾いた笑みを出せた事を褒めて欲しいね。




あぁー早くこの自信満々の民を絶望1色に染めてしまいたいぜ。

感想待ってマース。

更新のペースって困難でいいかな?出来たら投下の方式だけど読者ニキ的には。

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