激甘KPと初心者PLが逝くクトゥルフ神話TRPGだったなにか(CoCリプレイ) 作:パワステ
クトゥルフ神話。
それは20世紀のアメリカでH.P.ラヴクラフトらが創作した架空の神話体系、またそれを元にした小説の数々。
TRPG、テーブルトークロールプレイングゲーム。
物語の登場人物となり様々な行動をとって物語を完結させる歴史あるボードゲームの1ジャンル。
そしてクトゥルフ神話の世界で非力な一般人として冒険を繰り広げるのがクトゥルフ神話TRPGである。
今日もまたクトゥルフ神話の世界に足を踏み入れる少年少女らがいた……
私は
「そろそろみんな来る時間じゃね?」
話しかけてきた彼は
「噂をすれば騒がしいのが来たね」
「おいおい、騒がしいとはなんだ騒がしいとは」
「おじゃましま〜す」
私の軽口に応えながら窮屈そうに部屋に入ってきた大男と可愛らしい少女。やってきたのは
「まぁアツにぃが騒がしいのは事実でしょ」
「なんだとこの野郎!」
追い打ちをかける駿真とそれに食いかかるアツにぃ、事実陳列罪といったところか。
「皆さん揃って...ないですね、あと一人」
アツにぃの影から優しそうな少年が顔を覗かせる。彼は
「おっ泰成君も来たね」
「朔さん、この前借りたアニメとても面白かったです!」
「でしょ!私の最近のイチオシだからね!」
「最後の一人が来たみたいですね〜」
男2人の喧嘩...いや、イチャイチャとオタクの語り合いに挟まれても動じないマイペースの唯ちゃんが最後の来客に気づいたようだ。
「今日はアタシが最後かな?」
「「葵!おせーぞ!」」
イチャイチャしてた2人が同時に振り向く。いい加減狭い部屋で取っ組み会うのはやめて欲しい。
「あーあ、せっかくお菓子買ってきてあげたのにそんな態度とるんだ?」
「葵ごめんて」「悪かった、葵はいい子だな」
2人してお菓子のために服従している、昔からこんな調子だ。最後にやってきたのは
週に一度の大好きな日とはこうやって6人で遊ぶ日のこと。親の世代から仲が良かったのもあるが昔から気の合う友達だ。最近は忙しい日が増えてきたがみんな頑張って集まれるようにしている。
「よーしみんな揃ったね、私今日はやりたいことがあるんだ。」
揃ったところで早速本題に移る、こうでもしないといつまでもダラダラしてしまう。
「おっ、新しいゲームか?」
いち早く反応したのはアツにぃ、昔から1番ゲームが上手いのでみんなでゲームとなるとすぐ話を聞いてくれる。
「今週はみんなでTRPGをしたいと思うんだよね」
「てぃーあーるぴーじー?」
唯ちゃんが首を傾げる、葵もよく分かってないようだ。まあこの2人は無理もない。駿真は日頃から私の好きなものを少しずつ履修させているのでついに来たかという表情だ。
「テーブルゲームの1種ですよね、オタクの端くれとして名前とどんなゲームかくらいは知ってます」
さすが泰成君、信頼出来るオタクだ。だが泰成君に説明を任せるわけにもいかないので話を進める。
「TRPGは自分のキャラを作って物語の登場人物として演技をしつつ行動して物語を完結させるゲームだよ。ダイスを使ったりもするから運も大切だね」
「なるほどな、物語の中で好きに行動出来るゲームってことだろ?ゲームだと一本道でイライラするところもプレイヤーが自由にできる感じの」
「そう!さすがアツにぃ飲み込みが早い!」
「まぁとりあえずやってみましょ、アタシやってみないとわかんないわ」
「葵さんは実践で慣れてくタイプですもんね」
「はいはい説明続けるよー。TRPGにも色々種類があるの、ファンタジー世界を冒険するやつとか無法都市オオサカでドンパチするやつとか忍者となってしのぎを削るやつとかね」
「なんか変なの混ざってる...」
唯ちゃんが困惑しているが今回は関係ないので無視して更に進めていく。
「で、今回みんなでやるのはコレ!クトゥルフ神話TRPG〜!」
オォーというちょっとした歓声とまばらな拍手に包まれながら第6版のルールブックを取り出す。立て続けに2010と2015のサプリメントも。
「見た感じジャンルはホラーか?」
「アツにぃ正解!正しくはコズミックホラーっていうんだけどね。説明するのが難しいんだけど理解したら頭がおかしくなっちゃうようなヤバい存在が絡んだ事件に君たち無力な一般人が巻き込まれるって感じのゲームだよ」
「語彙力皆無だなオイ」
駿真に痛い所を突かれる。ネタバレになりそうなことは極力避けたいし実際説明が難しいから仕方ない。
「と、とりあえずやってみましょう!」
「じゃあまずは探索者、つまりは操作キャラを作ろうか」
5人にダイスで能力値を決めてもらっている間にハウスルールについて説明しよう。クトゥルフ神話TRPGはTRPGの中でも特に死と隣合わせのTRPGだ。慣れてくればそれさえも楽しめるがまだ初心者にはシナリオをクリアする喜びを知ってもらいたい。
だから少しでも長生きして貰えるようにSIZ,INTだけでなくSTR,CON,POW,DEX,APPも2D6+6で、EDUは2D6+9で決めてもらうことにした。神話的存在の前では気休めにもならないかもしれないがないよりはマシだろう。ちなみに振り直しは3回までとしている。
次に技能ポイントの割り振りについて。本来ならEDU×20を職業の技能へ、INT×10を好きな技能に割り振るが、今回はその制限を無くし探索者としての理由さえあればEDU×20とINT×10の値を好きに割り振っていいことにした。初めてだから興味のある技能を好きに取って欲しいという面もあるが、1番の理由はその技能の振り方で探索者に個性を出して欲しいからだ。その方がプレイヤーも探索者に愛着が湧くので私の卓ではよく導入するハウスルールの1つである。
「朔〜できたぞ〜」
「さすがPL1準備がいいね、じゃあ紹介どうぞ」
「神代駿真、25歳、犯罪者...まぁコソ泥とかやって生計立ててます」
「PL1が犯罪者だなんて波乱の予感しかしないなぁおい」
名前:神代駿真 職業:犯罪者 性別:男 年齢:25歳
STR15 DEX14 INT14 CON10 APP13 POW16 SIZ10 EDU19 SAN80 アイデア70 幸運80 知識95 ダメージボーナス+1D4
技能 言いくるめ70 回避28 鍵開け70 隠す70 隠れる70 聞き耳70 芸術(窃盗)70 忍び歩き70 追跡66 母国語95 目星70
「おっ結構いい技能とってるね、私が予習させたおかげかな?」
目星や聞き耳など探索系技能もあれば犯罪者らしい技能も取っている。お手本かのような振り方だ、7割さんは怖いが...
「...って芸術(窃盗)って何コレ」
「いやー盗むって技能がなくてさ、百戦錬磨のスリ師だったら盗みさえも芸術になるんじゃないかなって」
「理由がきちんとしてるので通ってヨシ」
「やったぁ」
喜びに身を任せ小躍りしている駿真を横目に葵に向き直る。
「次はアタシかな?月城葵、25歳、闇医者よ」
「PL2も引き続いて反社会的勢力かぁ...葵って案外そういうの好きだったりするよね」
「い、いやブラックジャックとかカッコイイなぁって...」
葵は可哀想な子...とまではいかないが昔からこういうものに憧れている節がある。それはそれで面白いのだが。
名前:月城葵 職業:闇医者 性別:女 年齢:25歳
STR8 DEX12 INT17 CON9 APP16 POW17 SIZ9 EDU20 SAN85 アイデア85 幸運85 知識99 ダメージボーナス+0
技能 医学89 応急手当89 回避24 聞き耳49 心理学99 精神分析89 図書館50 法律89 母国語99 目星49 薬学89
「完全にヒーラーって感じの振り方だね、心理学極振りはいい判断だと思うよ」
「89で止めてるのはなんか成長した時にSANが回復する?って書いてあったからそうしておいたの」
「先のことも見すえた振り方いいね!」
ルールブックをしっかり読み込んで把握してるのはさすが葵と言ったところか。彼女がヒーラーなら安心してよさそうだ。
「次はオレだな。東郷篤仁、25歳、警察官だ」
「反社2人の次は国家権力だ。これは面白くなりそう」
名前:東郷篤仁 職業:警察官 性別:男 年齢:25歳
STR17 DEX13 INT8 CON13 APP12 POW12 SIZ16 EDU15 SAN60 アイデア40 幸運60 知識75 ダメージボーナス+1D6
技能 回避49 母国語75 武道(立ち技)99 キック99 組み付き99 こぶし99 頭突き99
「うわぁぁぁぁぁ!!!なんだこの化け物!?!?」
自由に取っていいとは言ったけどもう少しこう何というか...手心というか...だがいかにもアツにぃらしい技能の振り方だ。神話生物にどれほど通用するかは見ないふりをしておこう。
「やっぱ力こそパワーだからな、これ婆ちゃんの教え」
「まぁ脳筋がパーティに1人いるのも面白いしいっか、よーし次!」
「一之瀬唯、25歳、DEX系アスリートで剣道やってま〜す」
「リアル唯ちゃんって感じの探索者かな?剣道部だもんね」
名前:一之瀬唯 職業:DEX系アスリート(剣道) 性別:女 齢:25歳
STR15 DEX17 INT14 CON12 APP13 POW10 SIZ18 EDU17 SAN50 アイデア70 幸運50 知識85 ダメージボーナス+1D6
技能 回避88 跳躍80 投擲80 登攀80 母国語85 居合99 日本刀(脇差)99 太刀99
わかってはいた、わかってはいたけどこれほどまでとは思っていなかった。普段はおっとりしているがあのアツにぃの従兄妹で同じ婆ちゃんの教えを受けているのだ。
「5人中2人が反社でもう2人が戦闘のプロかぁ。て言うか唯ちゃん太刀はリアルで使ったことあるの?」
「模造刀を持ったことしかないけどモ〇ハンでならよく使ってるよ!」
うーんそっかぁモン〇ンで使ったことあるなら大丈夫だなぁ...と納得しかけてる自分が怖い。
「最後は僕ですね。日下部泰成、25歳、自宅警備員です」
「泰成君...将来本当にそうならないように気をつけてね...」
「ちょっと朔さんそういうのやめてくださいよ〜」
実際泰成君はインドア派だから心配しているのも事実である。
名前:日下部泰成 職業:自宅警備員 性別:男 年齢:25歳
STR8 DEX15 INT9 CON10 APP12 POW8 SIZ9 EDU12 SAN40 アイデア45 幸運40 知識60 ダメージボーナス+0
技能 運転70 応急手当50 回避50 機械修理50 聞き耳50 コンピュータ76 電気修理50 図書館70 母国語60 目星50
前の4人と比べるとかなり控えめのステータスだ。というよりも3D6なら泰成君のステータスも普通くらいなので前4人が強いだけなのだが。
「探索向きの技能多めでいいね。5人の中の良心だ」
「その代わりに1つ1つの成功率が低いんですけどねー」
「さてさて5人揃ったね。5人の関係性は?」
「仲良し5人組って感じで。年齢も揃えたし」
「OK、じゃあ早速セッションといこうか。最初はやっぱり悪霊の家でしょ!」
次回からシナリオ『悪霊の家』を始めます。