激甘KPと初心者PLが逝くクトゥルフ神話TRPGだったなにか(CoCリプレイ) 作:パワステ
プレイヤーの発言は「」探索者とNPCの発言は『』で区別をつけてます。
「よーし5人出揃ったし早速セッションといこうか。最初はやっぱり悪霊の家でしょ!」
「じゃあちょっとだけ説明するね。この悪霊の家ってシナリオは初心者にピッタリみたいなシナリオなんだけど舞台は1920年のアメリカなんだよね。ただいきなり昔のアメリカやれって言われても難しいだろうし現代日本に置き換えて進めていくね」
「「「「「はーい」」」」」
うん、元気のいい返事だ。やりやすくて助かる。
舞台は現代日本。あなた達探索者5人はいつもと変わらない生活を送っています。季節は春。新しい生活の始まりを思わせる風と共に東郷篤仁に先輩警官が話しかける。
「早速俺の出番か、朔に合わせればいいか?」
「うん、私が先輩警官の役するからいい感じにロールプレイしてみて」
アツにぃの初めてのロールプレイだ。KPとしてしっかりリードしなければ。
『篤仁、ちょっと頼み事があるんだけどいいか?』
『とりあえず話聞いてからでいいっすか?』
『あぁ、それでいいよ。早速なんだけどお前は悪霊の家って知ってるか?』
『悪霊の家……いや、知りませんね。それがどうかしたんすか?』
『実はよぉ、悪霊の家って呼ばれてるいわく付きの物件があってだな。なんでも住んだ人は悲劇に見舞われるとかで近隣住民がどうにかしてくれって通報してきてな』
『つまりはオレにそこを見てこいという話ですか』
『話が早くて助かるぜ。出来れば解決できそうならしてくれるとありがたい。今度飯おごってやるからさ、な?』
『まぁセンパイにはいつもお世話になってますしいいっすよ』
『サンキュ〜住所はココな』
篤仁は悪霊の家の住所が書かれた紙を先輩警官から受け取った。
元々のシナリオでは依頼人から報酬を支払う代わりに調査を頼まれるが探索者に警察官がいたので少しだけ改変させてもらった。まぁそれほど影響は出ないだろう。
「さてさてアツにぃ、1番導入に使いやすかったから早速ロールプレイしてもらったんだけどここからは自由に行動してもらっていいよ」
「そうだな、とりあえず5人のLINEグループに面白そうな事件見つけたって情報を共有するぜ」
「あいよ、情報共有されたからみんなも自由に動いていいよ」
「朔ちゃん、これもう悪霊の家に向かってもいいんだよね?」
質問してきたのは唯ちゃんだ。実はみんなの中でかなり行動的な方だから早速乗り込みに行こうとしている。ただこういう時に少しだけブレーキをかけるのもKPの仕事だ。
「もちろん住所は知ってるから行ける。ただ一切情報無しで行くのはあまり得策ではないとは思うよ」
「そっかぁーそれもそうだね」
「じゃあ先に俺は近隣住民に話聞いてみたいわ」
「わかった、じゃあ駿真も初ロールプレイといこうか」
もちろん通報のくだりのせいでルールブックの近隣住民とは少し設定が違う。だがこのくらいならアドリブでどうとでもなるだろう。
「あっ、アツにぃもついてきてくんない?」
「別にいいけどなんで?」
「俺犯罪者だからさ、多分話聞いても教えて貰えないだろうから国家権力様の力が借りたいのよ」
そこに気づくとはさすが駿真だ。ただ私も駿真が近隣住民に話を聞いた時の茶番を考えていたので少し悲しい。
「じゃあ早速始めるね」
神代駿真と東郷篤仁は犯罪者と警察官という異質なコンビだが篤仁が駿真を見逃し続けることで何とか成り立っている。彼らの友情が強いのかはたまた篤仁の正義感が低いのか、恐らく両方だろう。
そんな迷コンビは先輩警官のメモを元に悪霊の家までやってきた。それまではよく見かける住宅街だったがそこだけは明らかに異質だった。かなり背の高い木に囲まれており簡単に外から敷地内を覗けないようになっている。敷地入口の門からは気味の悪い風が吹いている。
「はい、じゃあ聞き込みどうぞ」
「ちょっと技能使ってみたいな、目星で話をしてくれそうな近隣住民を探したいけどいいか?」
「じゃあ初技能ロールいってみよう!」
初めての技能ロールだ。失敗したら失敗したで面白いが……
駿真 目星70→41 成功
チッ、成功したか。
「優しそうなおばあちゃんが玄関掃除をしている所を見つけたよ」
「オレが警察手帳を見せながら声かけるわ」
「後ろついてくよ」
「ロールプレイどうぞ」
『すみませ〜ん、そこのおばあちゃんちょっといいですか?』
『あら、お巡りさん……と後ろの方は?』
おばあさんは明らかに不審な格好をした駿真を怪しんでいる。
『あっ俺はこいつの友達です』
「ちょっと、アンタ明らかに怪しまれてんじゃないの」
葵が茶々を入れる。
「仕方ねぇだろ、犯罪者は目出し帽を被るって昔から決まってんだよ」
「えっ駿真さんの探索者って普段から目出し帽被ってるんですか!?」
泰成君が驚きの声を上げるがまぁ仕方ない。
「ウソウソ、持ってるだけ。多分黒ずくめに黒マスクつけてるから怪しまれてるわ」
『突然なんですけどあの家について知ってること教えて貰えます?』
「って言いつつ悪霊の家を指さすよ」
『あの家かい……半年くらい前まで真狩って家族が住んでたんだけどねぇ。最初はこんな豪邸に安く住めるなんてって喜んでたんだけどお父さんが事故に遭ってからは災難続きでね、最後は奥さんも……』
おばあさんは目を細め少し悲しそうに語った。
『今その真狩さん一家はどうなったんですか?』
駿真はおばあさんに質問をなげかける。
『夫婦は精神病院に入院したらしいわねぇ、息子2人は親戚に預けられたはずよ』
『ありがとうございます、助かりました』
「うーん、次行くとしたら精神病院かな。どこの病院に入院してるかはわかるの?」
ロールプレイを終えた駿真が早速聞いてくる。
「近辺には1つしか精神病院はないっていうのは探索者のみんなは知ってるかな」
「病院にはアタシと唯と泰成で行くわ。多分面会するには何かしらの書類いるでしょ?」
「一般的にはそうだろうね、詳しくは知らないけど」
「じゃあ技能ロールする。精神分析と法律で精神病者の面会許可証的なの偽装できない?」
「おっそれいいね、組み合わせロールでどうぞ」
葵 (精神分析89 法律89)89→27 成功
「月城葵は無事に面会許可証的な書類を偽装できたよ」
早速反社会的な行動を取っている。現実の精神病院のことはイマイチ知らないから間違ってるところがあるかもしれないがまぁ面白ければいいだろう。
月城葵、一之瀬唯、日下部泰成の3人は神代駿真と東郷篤仁の2人から共有された情報を元に精神病院にやってきた。事前に葵が偽造していた面会許可証のおかげでスムーズに真狩夫妻の病室まで来ることが出来た。部屋はそれほど広くなくベッドが並んでふたつ置いてあった。窓がないせいか息苦しく感じるその部屋では夫であろう男性が体を丸めブツブツ呟いており、妻であろう女性が心配と諦めが籠った瞳で見つめていた。
「葵さん、これ男の人の方に話しかけるのまずそうじゃないですか……?」
「話しかけるだけなら大丈夫でしょ、いざとなったら唯が守ってくれるわ」
唯が無言で力強く頷く。日本刀を帯刀しつつ太刀を背負い脇差を懐に忍ばせているので強力な味方である。銃刀法違反だと言われれば返す言葉もないがせっかく取った技能だしみんな初心者なので許可を出したのだ。どうせ神話生物の前では無力になるからというのもあるが。
『こんにちは、面会に来た医師の月城と申します』
男性は一切反応を示さない。女性の方は3人が入ってきたことに今気づいたようで不思議そうな顔をしている。
『葵さん、やっぱり女の人しか話できなさそうですね』
『唯、相手は精神病の患者だから何をしてくるか分からないわ。特に男の方には注意しておいて』
『りょうか〜い』
『真狩さん、でよろしいですか?』
『え、えぇ……そうですけど……』
女性は突然現れた面会者に困惑している。
『僕達は真狩さんの以前の住居、いわゆる悪霊の家について調べているんですけどお話聞かせて貰ってもいいですか?』
『あの家ですか……私がお話出来ることは少ししかありません。あの屋敷には悪霊がいるんです。嘘だと思われるかもしれません。バカバカしいと思われるかもしれません。でも私は実際に"それ"に遭遇したのです。"それ"は寝てる私にのしかかったり色んなものを飛ばしたりしました』
『"それ"っていうのは悪霊のこと、ですよね?』
『はい、でも"それ"は理央……私の夫に憎しみを抱いていたのか私よりも理央によく攻撃をしていました』
女性は話しつつだんだん目に見えて動揺し始める。恐らくこれ以上の質問は無駄だろう。
『そうですか、わかりました。唯、泰成、帰るわよ』
『葵ちゃん、もういいの?』
『良くないわ、でもこれ以上は無駄なのよ』
「とりあえず聞き込みは終わったけど……」
「オレはもう悪霊の家に乗り込んでいいと思うわ」
「私も早く行きたーい!」
東郷家の祖母の血が流れている2人は血の気が多い。もう少し情報を集める癖をつけとかないとこれから他のシナリオで詰まりそうな気もするがその時はその時で面白いかもしれない。
「まぁ何かあったらまた情報収集するってことでとりあえず悪霊の家行きます?」
「そうね。駿真、行くわよ」
「少し心配だが……なんとかなるか」
「「カチコミじゃあ!」」
次回、カチコミ