「ライの唇ってちょっとカサカサしてるわよね」
そう言って、カレンはライの唇を指で撫でた。
2人は今、一糸纏わぬ姿でベッドに寝転んでいる。身体の局部を布団で隠して身を寄せ合い、先程までしていた、お互いの熱を確かめ合う行為の余韻を楽しんでいた。
「ん?気になるのか?」
「んー.....キスする時、ちょっとね」
カレンは苦笑しながらも、ライの唇を触る手は止めない。
指に来る感触が気に入ったのか形を変える唇が楽しいのか、撫でるだけでは飽き足らず、ぷにぷにとつついてみたり、つまんでみたりと遊んでいる。
ライは擽ったいのか逃げるように顔を逸らそうとするが...
「こら、逃げないの」
カレンはそれを許さなかった。両手でライの顔を挟んで固定すると、親指で唇を撫で続ける。
「ふふっ、やめてくれ。くすぐったい」
「ダーメ。大人しくやられなさい」
ライはその擽ったさと悪戯っぽく笑うカレンが可愛くて自然と笑みがこぼれた。
お返しと言わんばかりにカレンの手を掴んでそのまま手の平にキスをしたり、たまに指を甘噛みしては、甘い息を漏らすカレンの反応を見て楽しむ。
お互いにクスクスと笑いながらじゃれあうライとカレン。
甘い空気が部屋中に充満し、2人は暫くお互いをオモチャにして楽しんだ。
──────・・・
「そういえばさ...唇の話に戻るんだけど、ライはリップとか使わないの?」
やがて満足したのか、ベッドから体を起こしたカレンが下着を着けながら、先程の事を思い出したかのようにライの唇についての疑問を話す。
ライも起き上がり暫く考えた後、リップクリームに対する自分の価値観をカレンに伝えた。
「女性が使うイメージで、考えた事もなかったな。男の僕がリップクリームを使うのは、ちょっと抵抗があるというか.....おかしくないか?」
「そんな事ないわよ。最近は男の人でも使ってる人が多いみたいだし.....あ、そうだ」
そう言って、カレンはベッドの下に乱雑に脱ぎ散らかされた服から、自分の上着を取るとガサゴソとポケットを漁る。
そして、何かを取り出すとそれをライの目の前に持って行った。
「はい、これ。私のリップなんだけど、試しに使ってみたら?」
取り出したのはカレンのリップクリーム。薄い赤の背景に桃の絵が描かれており、パッケージには『桃の香り付き』の文字が書かれている。
「これなら、香りがするだけで色はついてないし、ライでも付けやすいと思うんだけど..........ね、よかったら私が塗ってあげようか?」
リップクリームの蓋を取って、ベッドに座っているライにカレンが四つん這いで迫る。塗ってあげようかと聞いておきながら、既に塗る気満々のカレンに、ライは苦笑しながら答えた。
「じゃあ、お願いするよ」
「ふふ、まかせて」
そう言ってニンマリと笑ったカレンはライに近付き、頬に手を添えて顔を持ち上げると、その薄く、少し荒れた唇にリップクリームを塗っていく。
自分の口を這う擽ったい感覚にライは身を捩るが、カレンは構うことなく塗っていった。
いつもはできないこの行為が楽しいのか、カレンは機嫌が良さそうだ。
桃の香りが、ライの鼻腔をくすぐる。
「はい、できた!」
「.......口がぺたぺたするな...」
「あー、確かに。初めてだと違和感があるわよね」
慣れてないからか、唇に塗られたリップクリームの不快感にライは眉を顰めた。
「塗ってもらっておいてなんだが、ちょっとぺたぺたするのが嫌だな。落としたい」
「ダメよ。保湿が目的なんだから。取ったら意味が無くなっちゃうでしょ?」
「むぅ...」
自分の唇を触って、不満気に唸るライ。
普段は冷静でとても大人びているライが、今はカレンに窘められて少し拗ねたように口を尖らせている。
そんな子供っぽい表情を見せるのは恋人であるカレンの前だけ。
そう思うと、カレンから自然に笑みが零れた。
「慣れたら大丈夫よ。だから、今回はこれで我慢して?」
そう言うと、カレンはライの唇にキスを落とす。
ライに塗られたリップが、カレンの唇にも付き、お互いの唇がキラキラと光る。カレンはライから離れると、少し上目遣いでライを見つめた。
「どう?これでちょっとはマシになった?」
ライの唇に付いたリップクリームの不快感を和らげるためにされたキス。それが少しだけ恥ずかしかったのか、カレンの頬がほんのりと赤い。
「...ん.....どうかな。まだ違和感がある気がする......」
それを見てライは自分の唇を撫でながら、とぼけた返事を返した。
妖しく目を細め、スルっとカレンの髪に指を通すと、甘く...低い声で囁く。
「だから、もう1回...」
そこまで言うと、ライはカレンの頭を引き寄せて再びキスをした。
角度を何度も変えて啄むようなキスから、深く貪るようなキスまで....
ライはキスをしたまま、カレンの肩を掴むとそのままそっとベッドに押し倒す。
ベッドのスプリングがギシッと鳴った。
「.....またするの?」
唇を離し、押し倒されたカレンがライを見上げる。ライは少し意地悪そうな笑みを浮かべると、質問に質問で返した。
「.....したくないのか?」
カレンの唇を撫でながら、ライがそう呟く。愛おしむように撫でられた唇はリップクリームと唾液でテラテラと光り、それがよりライを昂らせた。
「わかってる癖に...」
そう言って、カレンも熱っぽくライを見つめる。
2人は見つめ合い、同時にクスクスと笑い合った。
答えはもう分かりきっているのだから.....
ライはカレンの下着を外し、カレンはライの首に甘えるように腕を絡める。
お互いの唇から、桃の香りがふわり...と薫った。
おまけ
「あっ、ライったらまた唇がカサカサじゃない!あげたリップクリーム、付けなかったの?」
「ん?ああ、すまない。忘れてた」
「もう!ほら、こっち向いて。塗ってあげる」
「いや、大丈夫だ。また自分でやるよ」
「そんなこと言って付けない気ね。いいからこっちを向きなさい!」
「うわっ!ちょっ、カレ...んむっ!」
ヌリヌリ
「はい、できた!」
「...ぺたぺたするから嫌なのに...」
「我慢しなさい。慣れよ慣れ!」
「むぅ...じゃあ、仕上げのアレ、やって?」
「え...アレってこの前のアレ!?えっ、ちょっと、ここで!?」
「アレをやってくれないと気持ち悪くて仕方ないんだ。ほら早く」
「も、もう...今日だけよ?...んっ」
「んっ.....まだ足りないな...もう1回」
「ええ!?ちょっ...んぅっ!」
イチャイチャ
「ひゃあ...2人とも、大人...」
「大胆...です」
「これはこれは...あれはもう完全に二人の世界に入ってるわね〜」
「俺ここから逃げたい...」
「え、なんで?仲が良いだけじゃないか。ねえルルーシュ」
「お、俺に振るな!!!」
生徒会室での日常
おわり