【東方時流環】 アフレコ用台本 作:Satomuraproject
~ナレーション~
ここは、幻想郷(げんそうきょう)。
日本(にほん)の何処(どこ)かにあるとされる秘境(ひきょう)の地(ち)。
ここには、妖怪(ようかい)や妖精(ようせい)、神様(かみさま)などの人外(じんがい)が多(おお)く住(す)んでいるとされ、僅(わずか)かながら人間(にんげん)も居(い)る世界(せかい)。
ここに、一人(ひとり)の男(おとこ)が深(ふか)い眠(ねむ)りから起(お)きようとしていた。
天城神威 「···ふ、わぁ···もう朝か···さて、と···仕事の準備でもするかねぇ···」
八雲紫 「ご苦労様、毎日精が出るわね。人間の万屋、『天城神威』?」
天城神威 「げっ、この声は···八雲紫!なんで、あんたが俺の家に居るんだぁ?」
八雲紫 「あら、随分な挨拶じゃない?それに、『げっ』てなによ、『げっ』て···お客様に対して失礼じゃないかしら?」
天城神威 「お客様だぁ?」
八雲紫 「そうよ?万屋を経営しているあなたに、一つ私の依頼を受けてほしいの。頼まれて···」
天城神威 「断る。あんたの依頼なんて、ろくでもないやつばっかだったじゃないか」
八雲紫 「あら、冷たい。いいのかしら?私の依頼を断ったりなんかして···」
天城神威 「···どういう意味だぁ?」
八雲紫 「今回の依頼は、今までよりも遥かに多い報酬金額を出すつもりよ?」
天城神威 「···マジか?」
八雲紫 「マジマジ、大マジよ♪それに、そんなに難しい依頼じゃないの。あなた、紅魔館というのはご存知かしら?」
天城神威 「あぁ、名前だけならな。確か、妖怪の山の麓にある湖畔の館って聞いたことはあるが···」
八雲紫 「うふふっ、その通りよ。紅魔館に赴き、秘蔵のワインを購入してほしいの。どう?簡単な依頼でしょう?」
天城神威 「···確かに簡単そうだが···何か裏がありそうな気がする···」
八雲紫 「うふふっ、気のせいよ。私の純粋なお願いなの」
天城神威 「それだったら、わざわざ俺が出向かなくても、あんたがスキマで行けばいいだけだろぉ?」
八雲紫 「···ワインを勝手に持ち出してたことがバレちゃって、今出禁状態なのよ···」
天城神威 「何してんだよ、あんたは···」
八雲紫 「藍には呆れられているし···だから、あなただけが頼りなのよ。ね?聞いてくれるかしら···?」
天城神威 「はぁ···分かったよ、その依頼、確かに承った」
八雲紫 「うふふっ、良かったわ···。それじゃあ、あとはよろしくね?万屋さん?」
天城神威 「あっ、ちょっ、待て···って、もう居なくなってやがる···ったく、どうせなら紅魔館にまで連れて行けってんだ···さて、どうするかねぇ···」
~ナレーション~
ここは、魔法(まほう)の森(もり)。
人間(にんげん)が足(あし)を踏(ふ)み入(い)れる事(こと)が少(すく)ない原生林(げんせいりん)。
ここには、一人(ひとり)の人形師(にんぎょうし)の少女(しょうじょ)がひっそりと住(す)んでいる。
アリス 「···それで、私のところに来たと?」
天城神威 「ああ、突然訪ねてすまない」
アリス 「突然の訪問には、魔理沙で慣れているから別にいいけど···」
天城神威 「アリスは、紅魔館の場所を知ってるんだろぉ?俺を連れてって、一緒に取り合ってくれないか?出来れば、紹介もしてくれるとありがたい」
アリス 「それくらいいいけど···それなら、私じゃなくてもいいでしょう?霊夢や魔理沙にでも言えば···」
天城神威 「最初はそう思って行ってみたんたが···」
博麗霊夢 「はぁ?なんで私がそんな面倒なこと···却下よ、他を当たりなさい」
天城神威 「···とまあ、霊夢には断われたし···魔理沙は留守だった···だから、頼れるのはアリスしか居ないんだ」
アリス 「そ、そう···わ、私しか居ないのね···し、仕方ないわね、そういうことなら協力するわ···」
天城神威 「本当か?助かるよ、アリス···!」
アリス 「わ、私も、紅魔館の連中とはお茶会をする約束もあったもの···。それじゃあ、そうと決まれば早速行くわよ?安心して···道中は、私が守ってあげる」
天城神威 「そりゃ頼もしいこったねぇ···」
~ナレーション~
紅魔館(こうまかん)。
妖怪(ようかい)の山(やま)の麓(ふもと)にある湖(みずうみ)の湖畔(こはん)に佇(たたず)む洋館(ようかん)で、ここには多種多様(たしゅたよう)な住人(じゅうにん)が居(い)るとされる。
その館(やかた)の門前(もんぜん)に、万屋(よろずや)の男(男)・天城神威(あまぎかむい)と七色(なないろ)の人形遣(にんぎょうつか)い、アリス・マーガトロイドが訪(おとず)れていた。
アリス 「さて、ここが紅魔館よ」
天城神威 「ほぉ~···こりゃまた立派な洋館で···俺の家とは段違いだ···」
アリス 「あのね、お気楽に構えないで···?ここには、危険な妖怪も住んでいるのよ···?」
天城神威 「そいつぁ怖いな···だが、アリスが守ってくれるんだろぉ?なら、安心さね」
アリス 「も、もう···本当に調子がいいんだから···」
天城神威 「ところで、アリス···」
アリス 「何かしら···?」
天城神威 「目の前には門があって、そこには門番らしき者が居るよな···?」
アリス 「ええ、居るわね···」
天城神威 「···寝ているんだが?」
アリス 「気にしないで。彼女は、いつもこうしてサボって寝ているのよ」
天城神威 「門番としての意味が皆無!」
紅美鈴 「失敬ですね、ちゃんと起きてますよ···?」
アリス 「嘘おっしゃい、明らかに寝ていたじゃない···」
紅美鈴 「おや、アリスさんじゃないですか。私は寝ていても、誰かが来れば気で分かるから大丈夫なんです···!」
天城神威 「寝ていたことは否定しないんだな···変な奴も居るもんだ」
アリス 「あなたも大概人のことは言えないけれどね···」
紅美鈴 「おや?こちらの方は···見ない顔ですね、どなた様でしょう?」
アリス 「この人は、万屋さんよ。ちょっと紅魔館に用があって来たんだけど···咲夜は居るかしら?」
咲夜 「私(わたし)ならここに居(い)るわ、アリス」
天城神威 「うぉっ!?な、なんだ、いつの間に···気配も感じなかった···」
紅美鈴 「さ、咲夜さん···!?」
アリス 「あら、ちょうどよかったわ。話は聞いていた?」
咲夜 「ええ、聞(き)こえたと言(い)ったほうが正(ただ)しいけれど···。初(はじ)めまして、お客様(きゃくさま)···私(わたし)は、紅魔館(こうまかん)に勤(つと)めるメイド、十六夜咲夜(いざよいさくや)と申(もう)します。本日(ほんじつ)は、どのようなご用件(ようけん)でしょう?」
天城神威 「あ、あぁ···俺は万屋だ。ちょいと仕事の依頼で紅魔館に来たんだが···八雲紫から何か聞いちゃいないか?」
咲夜 「···あのスキマ妖怪(ようかい)から?いえ、何(なに)も承(うけたまわ)っておりませんが···」
天城神威 「あの野郎···せめて事前にアポイントくらい取れってんだ···まあ、いい。実はな···」
咲夜 「···なるほど、そういうことでしたか。あのスキマ妖怪(ようかい)にも困(こま)ったものですね」
天城神威 「ああ、まったくだ···」
咲夜 「しかし、そういうことでしたら、この紅魔館(こうまかん)の主(あるじ)であるレミリアお嬢様(じょうさま)に確認(確認)を取(と)ったほうがよろしいかと思(おも)います。私(わたし)がご案内(あんない)差(さ)し上(あ)げますが···いかがでしょう?」
天城神威 「そうかい···まあ、そういうことなら頼む」
咲夜 「畏(かしこ)まりました。···それで、アリス···あなたの用件(ようけん)は何(なに)かしら?」
アリス 「私は、パチュリーとお茶会を開きに来たのよ。以前から約束していたし、丁度いい機会だと思ってね」
咲夜 「なるほど···理解(りかい)したわ。では、お茶会(ちゃかい)の準備(じゅんび)は私(わたし)が請(う)け負(お)いましょう。それでいいかしら?」
アリス 「ええ、構わないわ。あなたの紅茶、とても美味しいもの」
咲夜 「それは重畳(ちょうじょう)。ではお二人共(ふたりとも)、どうぞこちらへ。あぁ、それと···美鈴(めいりん)、あなたは後(あと)で折檻(せっかん)ね?」
紅美鈴 「ひぇえええっ!?ナ、ナイフとコッペパンはお許しください!咲夜さぁ~~ん···!」
天城神威 「なんか哀れだな···」
アリス 「哀れだけど、自業自得よ。ほら、行きましょう?」
天城神威 「ん、ああ···分かった···」
天城神威 「そういや、十六夜さんだっけか···?」
咲夜 「咲夜(さくや)、で結構(けっこう)ですわ。あなたはお客様(きゃくさま)、私(わたし)はそれを迎(むか)えるメイドですもの」
天城神威 「そうかい。じゃあ、咲夜···ちょいと訊ねたいんだが···」
咲夜 「なんなりと」
天城神威 「さっき、気配もなく突然現れたよな···?ありゃあ、何だ?」
咲夜 「あぁ、あれは私(わたし)の能力(のうりょく)によるものです」
天城神威 「能力···?」
アリス 「咲夜は、時間を操る能力を持っているの。さっき急に現れたのは、時間を止めて移動してきて、それが解除されたからあたかもそこに突如現れたってことなの」
咲夜 「説明(せつめい)を取(と)られたけれど、アリスの言(い)う通(とお)りよ」
天城神威 「ほう···そりゃまた随分チートな能力を持っているもんだねぇ···」
アリス 「ちなみに、見た目に反してこの洋館の中が広いのも、この能力を応用したからよ」
天城神威 「···そんな凄い能力を持ったおたくを従える『主』ってのも、さぞかし凄いんだろうねぇ···」
咲夜 「ええ、そうね···だから、あなたに一(ひと)つ忠告(ちゅうこく)をさせていただきますわ」
天城神威 「忠告だぁ···?」
咲夜 「お嬢様(じょうさま)に逆(さか)らわないこと。無礼(ぶれい)な態度(たいど)を取(と)らないこと···以上(いじょう)です」
天城神威 「忠告が二つになってるが···?」
咲夜 「とにかく、これらを必(かなら)ず守(まも)ってください。そうでないと···お嬢様(じょうさま)に八(や)つ裂(ざ)きにされますわ」
天城神威 「おぉ···まったく、物騒だねぇ···もうちっと気楽に出来ないもんかねぇ···」
アリス 「あのね···ただの人間のあなたが生き抜くために、咲夜の言う通りにしなさい」
天城神威 「···人間をあまり舐めないでもらいたいねぇ···」
アリス 「えっ···?今、なんて···」
天城神威 「いーや、何でもない···」
咲夜 「···さて、ここがレミリアお嬢様(じょうさま)のお部屋(へや)です。私(わたし)が先程(さきほど)申(もう)し上(あ)げたこと、必(かなら)ずお守(まも)りください」
天城神威 「···努力はしよう」
咲夜 「お嬢様(じょうさま)、咲夜(さくや)です。お客様(きゃくさま)をお連(つ)れに参(まい)りました」
レミリア 「入りなさい」
咲夜 「失礼(しつれい)いたしますわ。お嬢様(じょうさま)、こちらがお客様(きゃくさま)の万屋様(よろずやさま)、そしてアリスです」
レミリア 「あら、これはまた珍客ね。アリス···あなたが私に会いに来るなんて珍しいじゃない?」
アリス 「勘違いしないで。私は、パチュリーに用があるだけよ。それに、あなたに用事があるのは···」
レミリア 「皆まで言わなくても分かっているわ。あなたの後ろに居る人間でしょう?人間···もっとこっちに寄りなさい」
天城神威 「ああ···」
レミリア 「どうしたの?呆然とした顔をしているけれど···?」
天城神威 「あぁ、いや···主っていうから、どんなに凄い奴かと思ったんだが···」
レミリア 「···意外にも子供みたいな見た目をしていたから、驚いたかしら?」
天城神威 「ああ、その通りだ」
アリス 「ちょっ···!咲夜の忠告をもう忘れたの···!?」
咲夜 「···お嬢様(じょうさま)に非礼(ひれい)を詫(わ)びなさい」
レミリア 「咲夜、いいわ」
咲夜 「しかし··!」
レミリア 「面白いじゃない。私にそんな態度を取ったのは、霊夢か魔理沙くらいよ。いいわ、特別に無礼を許してあげる」
咲夜 「お嬢様(じょうさま)···!?」
天城神威 「そいつぁありがたいねぇ···俺ぁ、どうも畏まったのが苦手でねぇ···」
レミリア 「ふふっ···面白い人間ね。それで?あなたの用件とは何かしら?」
天城神威 「ああ、それがな···」
天城神威 「···というわけなんだが···」
レミリア 「なるほど···あのスキマ妖怪がね···ふぅん···」
天城神威 「やはり駄目かい···?」
レミリア 「いいえ、それくらいなら許可するわ···ただし、条件があるの」
天城神威 「条件···?」
レミリア 「その条件を呑んでくれたら、許可を出すわ。もちろん、タダで持っていって構わない···さあ、どうする?」
天城神威 「おっ、いいのかい?そりゃ願ったり叶ったりだ。もちろん、その条件を呑むぜ」
アリス 「ちょっと···!そんな簡単に安請け合いしてもいいの···!?どんな無茶振りされるか分かったもんじゃないわよ···!?」
天城神威 「構わないさ···それで、その条件ってのは···?」
レミリア 「なに、そんなに難しいことじゃないわ。私の妹と遊んでほしいの。どう?簡単でしょう?」
天城神威 「おっ、そりゃいいねぇ!乗ったぜ、その話」
アリス 「バ、バカ···!あなた、自分が何を言っているのか分かっているの!?ここは悪魔の館で、そいつは吸血鬼!その妹も吸血鬼なのよ!?それと遊ぶっていう意味、ちゃんと理解しているの···!?」
咲夜 「お嬢様(じょうさま)、お言葉(ことば)ですがそれは無理(むり)がありますわ。いくらなんでも、ただの人間(にんげん)相手(あいて)に妹様(いもうとさま)のお相手(あいて)が務(つと)まるはずが···」
レミリア 「さて、それはどうかしらね···」
咲夜 「お嬢様(じょうさま)···?」
レミリア 「周りはこう言っているけれど、あなたはどうなの?この話、受けるかしら?」
天城神威 「ああ、男に二言は無いさね。ただ、約束は守ってくれよ?」
レミリア 「ふっ···私に向かって、大した口の聞き方じゃない?もちろん、このレミリア・スカーレットに二言は無いわ」
天城神威 「よし、契約成立だな」
アリス 「あぁ、もう···どうなっても知らないわよ、このバカ···!」
咲夜 「アリスも苦労(くろう)しているのね···」
アリス 「それはお互い様よ、咲夜···」
レミリア 「さて···それじゃあ、咲夜。彼をあの子の部屋まで案内してあげなさい」
咲夜 「···畏(かしこ)まりましたわ、お嬢様(じょうさま)」
咲夜 「悪(わる)いことは言(い)わないわ、今(いま)すぐここから逃(に)げなさい。または、お嬢様(じょうさま)に誠意(せいい)を込(こ)めて謝罪(しゃざい)しなさい」
天城神威 「いきなりだねぇ、なんでだ?」
咲夜 「あなたは、吸血鬼(きゅうけつき)···いいえ、妖怪(ようかい)を甘(あま)く見(み)ている。このままでは、あなたは死(し)を迎(むか)えることになります」
天城神威 「おいおい、物騒だねぇ」
咲夜 「冗談(じょうだん)などではなく、妹様(いもうとさま)と遊(あそ)ぶことは自殺行為(じさつこうい)よ。命(いのち)ある今(いま)、潔(いさぎよ)く手(て)を引(ひ)いたほうが懸命(けんめい)ですわ」
天城神威 「ご忠告、痛み入る。だが、俺ぁ、依頼を反故にはしたくないんでね。例え、紫の依頼だとしても、な···」
咲夜 「···無謀(むぼう)と勇気(ゆうき)は違うわよ?」
天城神威 「こいつぁ無謀とか勇気とかじゃない。ただの、男の維持ってやつさね」
咲夜 「···忠告(ちゅうこく)はしたわ」
天城神威 「そいつはありがたく受け取るさ」
咲夜 「妹様(いもうとさま)、咲夜(さくや)です。失礼(しつれい)いたしますわ」
フラン 「咲夜···?どうしたの?それは誰···?人間···?···しかも、男···?」
咲夜 「妹様(いもうとさま)、この方(かた)は妹様(いもうとさま)の遊(あそ)び相手(あいて)でございます」
フラン 「遊び相手···?でも、人間だし···何より、弱そうだよ···?」
天城神威 「おいおい、見た目で判断しちゃいけないぜ···?俺からしてみりゃ、おたくのほうが弱そうだが···?それに、ただ遊ぶってだけだろぉ?」
フラン 「きゃははっ!お兄ちゃんって面白いね!うん!私、お兄ちゃんと遊ぶわ!」
天城神威 「そいつぁ良かった」
咲夜 「···それでは、私(わたし)はこれで失礼(しつれい)いたします。後片付(あとかたづ)けは、お任(まかせ)せを···」
フラン 「うん!咲夜、ありがとうね!」
天城神威 「咲夜、案内ありがとうな」
咲夜 「···ご武運(ぶうん)を···さようなら」
天城神威 「さて、それじゃあ何をして遊ぼうか?おままごとか?人形遊びか?それとも···」
フラン 「···あははっ。じゃあ、遊ぼう···!···精々、長く生き延びてね···?」
天城神威 「···なに?」
レミリア 「···始まったようね」
パチュリー「···そのようね···にしても、この紅茶、結構美味しいわ」
咲夜 「お褒(ほ)めに預(あず)かり光栄(こうえい)ですわ」
アリス 「そ、そんな悠長にお茶会開いている場合じゃないでしょう!?わ、私、やっぱり助けに行くわ···!」
レミリア 「まあ、落ち着きなさい。そんなに急いても、結果は変わらないわ」
アリス 「だったら、なおさら助けに···!」
パチュリー「···レミィの言う通りよ。少し落ち着きなさい、あなたらしくないわ···」
アリス 「でも、だって···!このままじゃ、彼が···!」
レミリア 「そこよ、私が気になったのは···。あの人間は、八雲紫に依頼されて来たと言っていたわね?」
アリス 「···ええ、そうらしいけど···」
レミリア 「あのスキマ妖怪が、ただの人間にそんな依頼なんてするかしら?」
アリス 「···どういうこと?」
レミリア 「この紅魔館は、普通の人間はまず立ち入ろうとはしない。それは、スキマ妖怪も充分承知しているはず。ということは、あの人間はただの人間じゃないわ」
パチュリー「···そうね。そもそも、ただの人間とあの妖怪がそんな親しい間柄でいること自体不思議だわ···」
アリス 「···言われてみれば、そうね···」
レミリア 「つまり、あの人間はただの人間ではないということよ。少なくとも、スキマ妖怪と懇意にしている以上、何かあるわ···」
パチュリー「それを確かめるために、その男をフランにぶつけたわけね···?なんともレミィらしいというか···」
アリス 「でも、やっぱり危険よ···!」
レミリア 「大丈夫よ。いざとなれば、咲夜にお願いして永遠亭に運んでもらうわ。···生きていれば、だけどね···」
咲夜 「···その可能性(かのうせい)は限(かぎ)りなく低(ひく)いと思(おも)いますが···」
アリス 「···ほんっとうに、バカなんだから···!」
フラン 「きゃははははっ!凄い凄い!まだ生きてるんだ!?」
天城神威 「勝手に殺すな!···しかし予想していたとはいえ、遊びってこういう遊びかよ!」
フラン 「じゃあ···次は、これでどう?禁忌 『フォーオブアカインド』!」
天城神威 「げっ、増えただぁ?···いや、これは分身か?」
フラン 「きゃははっ!いっくよー!」
天城神威 「くそっ···!こりゃ、なんともまたキツいお遊びなこって···!」
フラン 「ほらぁ!早く逃げないと、きゅっとして、どかーん!だよ?」
天城神威 「随分と余裕だねぇ···!仕方ない···アレを使うか···?」
フラン 「···?何かあるのかなぁ?私をもっと楽しませてくれるの?きゃははっ、いいよ!私ともっと遊んでよ!」
天城神威 「ったく、クレイジーなお子様だねぇ···。もうちっと教育してほしいもんだ、あのお姉さんもよぉ···」
フラン 「これで終わりかな?ばいばい!お兄ちゃん!禁忌 『レーヴァテイン』!」
天城神威 「ったく、仕方ない···やるしかないねぇ···!」
アリス 「今の爆発音は···!?」
レミリア 「···どうやら、フランのレーヴァテインのようね」
パチュリー「···そのようだわ。ということは、十中八九フランが勝ったわけね···」
アリス 「何を悠長に···!早く助けないと···!」
レミリア 「···そうね、どうやら私の見込み違いのようだったわ。···咲夜」
咲夜 「はい」
レミリア 「さっきも言ったように、彼を永遠亭に運んでちょうだい。···まあ、生きていたらの話だけれど···」
咲夜 「畏(かしこ)まりました」
アリス 「咲夜!私も一緒に···!」
天城神威 「おいおい、勝手に人を殺さないでくれ···」
レミリア 「···!」
咲夜 「なっ···!?」
アリス 「あ、あなた···生きていたの!?よ、良かった···」
天城神威 「ああ、なんとかな···あのお転婆、もう少し教育しておけよな」
パチュリー「···へぇ···」
レミリア 「あなた···フランはどうしたの?」
天城神威 「ん?ああ、あいつなら疲れ果てて、ベッドでお寝んねしてるぜ?」
レミリア 「そんな、まさか···咲夜!」
咲夜 「はい、ただちに···。お嬢様(じょうさま)、確認(かくにん)して参(まい)りましたが、確(たし)かに妹様(いもうとさま)は自室(じしつ)にて満足(まんぞく)げに眠(ねむ)っておられました」
レミリア 「なんですって···?あなた、どうやって···」
天城神威 「さあて、どうやってだろうねぇ···それより、だ···これで約束は守ってくれるんだろぉ?」
レミリア 「···ええ、もちろん約束は守るわ。でも、あなた···本当に人間?」
天城神威 「失敬だねぇ、俺ぁ人間だ」
咲夜 「···お話(はなし)の途中(とちゅう)、失礼(しつれい)致(いた)します···こちらが八雲紫(やくもゆかり)が欲(ほっ)しているワインでございます」
天城神威 「おっ、こいつがそうかい。ありがたく受け取らせてもらうぜ。それじゃあ、俺はここら辺で帰らせてもらうが···いいか?」
レミリア 「···構わないわ。今度は、ゆっくりお茶でもどうかしら?」
天城神威 「そいつぁいいねぇ、機会があればお邪魔するよ。それじゃあな」
アリス 「あっ、私もここで失礼するわ」
レミリア 「そう···咲夜、彼らの見送りお願いするわ」
咲夜 「はい、お嬢様(じょうさま)」
レミリア 「···万屋、ね···」
パチュリー「あら、レミィにしては随分とあの人間に気をかけているわね···?もしかして、気に入ったのかしら?」
レミリア 「···ええ、そうね。面白い人間だとは思うわ。飄々としていながら、あの目···まるで神々しい何かを感じたわ···」
パチュリー「···へぇ、あなたがそんな評価をするなんて珍しいわね···?あの人間が、それほどのものだと···?」
レミリア 「実際、あの男はフランと対峙して無傷で生還しているのよ···?ただの人間ではないのは、もはや明白だわ···パチェ、あなたはどう思う?」
パチュリー「そうね···客観的な意見しか出せないけれど···何かしらの能力を持っていることは否めないわ···まあ、何の能力かはさすがに推測の域を出ないけれどね···」
レミリア 「ええ、そうね···。それにしても···ふふっ、随分久しぶりに面白い人間に出会ったわ···」
パチュリー「···あの男で遊ぶのも大概にしなさいよ···?」
レミリア 「ふふふっ、考えておくわよ···今日はとても退屈しない、良い一日になったわ···」
パチュリー「やれやれ···あの男も可哀想ね···」
天城神威 「咲夜、ここまででいいぜ」
アリス 「そうね。彼は、私が送っていくわ」
咲夜 「そう···分(わ)かったわ。それでは、私(わたし)はこれで失礼(しつれい)致(いた)します」
天城神威 「あぁ、そうだ···咲夜、俺には丁寧な対応はいらないぜ?アリスと同じように砕けた態度でいい。なにせ、俺ぁもう客人じゃないからな」
咲夜 「···それもそうね。それじゃあ、私(わたし)はこれで。またお会(あ)いしましょう。さようなら」
天城神威 「···もう居ない···時間を操る能力ってのは便利なもんだねぇ···」
アリス 「だからこそ、咲夜はメイド長としてやっていけてるのよ。さあ、そんなことより帰るわよ?」
天城神威 「アリス、おたくもわざわざすまなかったな。今日はありがとう」
アリス 「べ、別に···このくらい、どうってことはないわ···さ、さあ、行くわよ···!」
天城神威 「ああ、分かった···ん?」
アリス 「···?どうかしたの?」
天城神威 「···いや、何でもない。おそらく気のせいだろう···」
アリス 「···?」
アリス(闇)「ふふっ、やるじゃない···さすがは、彼ね···私の視線で気が付くなんて···ふふっ···うふふっ···もうすぐだからね···?待っててね···?」
咲夜 「···やはり、不自然(ふしぜん)だわ···あれだけの爆発音(ばくはつおん)がしたのにも関(かか)わらず、部屋(へや)は何事(なにごと)も無(な)かったかのように綺麗(きれい)になっている···万屋(よろずや)と名乗(なの)ったあの男···お嬢様(じょうさま)が言(い)ったように、何(なに)か秘密(ひみつ)があるのかもしれないわね···」
天城神威 「ほい、これがご所望のワインだ。確認してくれ」
八雲紫 「はぁい、確かに受け取ったわ。うふふっ···ご苦労様だったわね?」
天城神威 「全くだ···散々な目に遭った···」
八雲紫 「あらあら、それは可哀想···慰めてあげようかしら?」
天城神威 「いや、それは全力で遠慮する」
八雲紫 「あんっ、つれないわねぇ···」
天城神威 「···あんた、結局何が目的だったんだ?」
八雲紫 「あら、何がかしら?」
天城神威 「惚けても無駄だ···あんたなら、例え出禁だろうが問題ないはずだ···そうせず、敢えて俺に取りに行かせた···それには、何か裏があるんだろう?」
八雲紫 「あらあら、それは誤解ですわ。私はただ単純に、あなたを頼りたかっただけよ···?他意など無いわ。そんなことよりも、ほら···一緒に飲みましょう?このお酒、とぉっても美味しいのよ?」
天城神威 「ちっ···何を言っても無駄か···分かったよ、ありがたく頂く」
八雲紫 「うふふっ···それじゃあ、乾杯♪」
天城神威 「···乾杯」