「・・・はぁ、はぁ・・・流石っすね」
「君もね・・・前より3分くらいは伸びたかな?これくらいならアレを使用しても一時間くらいは意識を保っていられる筈だ」
「一時間か・・・先は遠いっすね」
「そうだね・・・それでも君は至ると信じているよ。だがら、死なないように!」
「・・・善処します。(半分、死にかけてるけどね・・・)」
そう言って、ヤイバは瀕死の状態の身体を無理矢理、動かして立ち上がる。
【
【
この禁手を発動した時に展開される戦闘用の固有結界【
その中でヤイバは切札首相から託された退魔装備の性能テストを兼ねて、修行をつけて貰っていた。
その修行相手が・・・
「まさか、日本の大英雄の方が直接、修行をつけるなんて・・・」
そう言って、ヤイバの修行に同行した北欧神話の戦乙女、ロスヴァイセは目の前に起きている状況に驚きを隠せなかった。
そう、ヤイバの修行相手、つまり、師匠に当たるのが・・・
「まだ、草薙、いや天叢雲剣の力を引き出しきれていない・・・元の所有者として見れば、まだまだだ」
かの人物こそ、真の神霊剣【天叢雲剣】の担い手にして、大英雄から神になった偉大な漢・・・白鳥大明神、ヤマトタケルノミコト
日の本最強の英雄神にして、神代最後の英傑である。
「さっきも言ったが、お前は天叢雲剣を真の意味で使いこなしてはいない」
あれから2時間半、ヤマトタケルと一対一で戦い続けたが、二人が満足のする結果にはならなかった。
「そうですね・・・この身に宿る鬼の力が強すぎて、剣の本来の力を引き出せていない」
「君の元々の神器である剣を生み出す神器も起因しているみたいだが、それでも、1割しか引き出せていない・・・」
天叢雲剣・・・日本古来から伝わる神霊剣であり、三種の神器の一つである。
その真価を発揮するのは、同じ三種の神器である勾玉と鏡が揃った時、いや天叢雲剣から呼び出された時に発揮される。
「3つの神器が同時に顕現した時、魔を払い清める守護神が復活する・・・つまり、この剣に封じ込められた俺が復活する」
日本の最強の英雄にして守護神ヤマトタケルの復活である。
「復活すると言っても、俺の身体にヤマトタケル様の力が宿る形ですよね?」
「嗚呼。この天叢雲剣に封じ込められた勾玉と鏡は、本来の勾玉と鏡から分離した所謂、分霊、お前たちの言葉で言えば最も本家に近づいたレプリカだからな・・・俺の完全な復活ではなく、お前に俺の力が加護として働く。そして、三種の神器の全ての力を行使できるようになる。三種の神器は、我が国の主神アマテラス、その弟であるツクヨミ、スサノオといった三貴子を型どったもので、三貴子の力は神器を通じて、行使することも可能だ」
ちなみに、鏡はアマテラス、勾玉はツクヨミ、そして剣はスサノオから力を借り受けることができる。
つまり、完全に神器を使うこなすことができるようになると・・・ヤマトタケルの力を含めて、最上級クラスの神の力と加護を得ることとなる。
「師匠は、その状態の事を【
「はっはは・・・流石は、プロフェッサー・ファントムだ!【
「師匠は、ただの厨二病だからな・・・普段から黒い外套に顔を覆い隠す仮面って・・・もはや、狙っているとしか思えね・・・」
そう言って、自身の神器の名付け親にして、日本の退魔装備の開発主任を勤める厨二病を患った変質者の姿を思い出し、苦笑した。
そして、ロスヴァイセの手当を受けて、休憩を挟んだ、修行を再開した。
こうして、ヤイバが修行を進めている頃・・・
「忙しいのに、悪いね。緊急事態に付き、話は少し省くよ」
【嗚呼。私の使い魔の情報と、あと、先程、公安0課の遠山殿から聞いた報告もある】
切札首相は、首相官邸の自身の執務室で、男と一対一で向かい合っていた。
この男は室内なのに黒いフード付きの外套を纏い、顔を仮面で覆い隠している。
間違いなく、この場に護衛が居たら、不審者として取り押さえられるのだが、切札首相の側には護衛や秘書すらもいない。
まるで、長年連れ添った友人のように男を迎え入れている。
この黒尽くめの男は周りからこう呼ばれている。
プロフェッサー・
神器に関する研究で有名な【
彼の素性は一切不明であるが、彼が研究開発主任についたことで、退魔装備及び神器の研究が他国よりも大きく進んだ。
最近では、神器の有無を測定できる特殊な検査法も開発しており、この検査法が開発されたことで、国が事前に神器の保有者が誰なのかを把握することができるようになった。
ちなみに、この検査方法は健康診断内で極秘裏に行われており、いつ検査したのかは、対象者本人にも分からない状態となっている。
あと、ヤイバが評価実験を行っている退魔装備を開発した張本人でもある。
「教会で保管されている7つに分かれた聖剣エクスカリバー、その内の4つが【
【あれらが、本物のエクスカリバーなのかは、私としては疑問だがね・・・だが、問題は・・・】
「そのコカビエルが日本に侵入した。7年前に起きた一件で、対異形用の結界の開発や修復等を進めているが・・・」
【そのスキを突かれたのであろう。今だ、五大宗家の老害との確執や自称管理者と名乗る悪魔達の横暴・・・まぁ、駒王町に新しく就任したシトリー殿やアガレス殿達はともかく、他の悪魔の所から侵入するのは容易いだろうよ】
「セラフォルー殿の尽力もあり、その者たちは強制送還、又は処刑などの粛清で、大半は居なくなったが、それでも、まだ多い」
ヤイバを通じてセラフォルー・レヴィアタンとの外交を進めていた切札首相率いる切札内閣は、その外交努力のお陰で、日本を好き勝手に干渉してきた悪魔達の取り締まりを進めることはできたが、それでも、今まで好き勝手された時間が長かったことや憲法や条例の縛りもあり、法整備や退魔局の発足に至るまでの時間がとても掛かった。
【今回の件で教会からはなんと?】
「聖剣使い2名を派遣するだそうだ。あと、余計な手出しはしないでくれと・・・」
【舐めているな・・・教会は、いくら対魔性特攻がついた聖剣でも、相手は古から時を重ねた堕天使の幹部・・・生きた経験も段違いだ・・・ヴァスコ・ストラーダ猊下なら分かるが、その聖剣使い2名だけ・・・見殺しにするようなものだ】
「嗚呼。流石に、この事に関しては俺もキレかけた。だから・・・本気で迎え撃つつもりだ」
【具体的には?】
「公安0課及び、退魔局全支局による共同での捜査及び対策本部の設立・・・ヤイバを含めた特級退魔師、通称・・・【
【妥当な所だな・・・所で、俺も動いた方がいいか?】
「君の場合は最終手段の駒として配置しておく。最初から君が動けば・・・少なくとも神を巻き込んだ大戦争に発展しかねない」
【分かった。装備等の整備開発等の後方支援に徹しよう】
そう言って、プロフェッサー・ファントムは霧のように自身をぼやかし、消えていった。
「頼む。
そう言いかけたあと、この後の対策をどうするか話し合うため、すぐ様、官僚達の待つ会議室に向かうのだった。
プロフェッサー・ファントム、そして、ヤマトタケル様の登場。
ヤイバの師匠として何度か登場しますので、お楽しみに、
プロフェッサー・ファントムのイメージは【最強出涸らし皇子の暗躍帝位争い】の主人公が扮するSS級の資格を持つ仮面の冒険者シルバーです。
次回から事態が急変していきます。お楽しみに!