フリーター転生〜ソマルに憑依したので本気で生きる〜 作:松毬
いや、やっぱり難易度高いなぁ。
俺は28歳実家暮らしのフリーター。
この先の人生が明るいものとは思えなくて、なかなかやる気の出ないガリヒョロフツメンのナイスガイだ。
今の俺は、親の脛を齧りながら深夜のコンビニバイトをする事でなんとか食いつないでいる。
28歳だ。もうアラサーと呼ばれてもおかしくない歳になってしまった。
それなのにまともな仕事にも付かずにフリーターとして活動して結局それで妥協してしまっている。
そう妥協だ。いつだって俺はそうしてきた。
別に就職するのが嫌でこんな生活ををしているわけじゃない。
勉強をそこまで頑張るのが怠いからと近くのある程度なら誰でも入れるだろうような高校へ進学し。
大学受験では、いくら勉強をしても志望校がどうしようも無さそうだから妥協としてある程度の私立大学に行った。
そこに特に目的は無かった。
まぁ、そこまで悪くない私立大学を卒業し、就職活動はしていたのだ。
選り好みして気づいたら就職先なんて目標の下の下しか残っていなかっただけだ。
いや、それが一番悪いんだけど。
それで妥協してマシかなと思えるところに入社したんだ。
そしたら案の定辛いのなんの。研修なんてろくにないのは当たり前。仕事は見え覚えろ。頑張れ。休むな。
もう、すぐにノイローゼになった。
親に相談したらそんなの辞めてしまえばいいと、逃げてもいいと言ってくれたから重症にはなっていないのだが。
まぁ、そんなこんなで今もバイト先のコンビニへ出勤中って訳です。
特に面白いこともなくいつも通りに。
「うおぉぉぉおお!!!」
スマホ片手に夕暮れの道を歩いていたら、突然男の叫び声がイヤホン越しに聞こえた。
なんだと思って手元のスマホから顔を上げる。
俺の目はスウェット姿の何やらやばそうなおっさんが道路の脇でたむろしている高校生に向かって走っているのを捉えた。
「うわっ」
何あれキモっ。という感想が口から出る前に新たな情報が視界に映り込んできた。
運転手が居眠り運転しているトラックだった。しかもかなりのスピードでその高校生たちへ向かっていたのだ。
横から現れたおっさんはそのうちの1人の襟首を掴んでトラックの進路の外へと引っ張った。
まじか……あのおっさんすげーな!となった瞬間。
そのおっさんはそのままトラックにはねられた。
はねられて轢かれて……多分死んだ。俺の目の前で1人の人が……。
吐き気がする。目眩がする。
人なんて簡単に死んでしまうんだと突きつけられたような絶望を感じた。
あれ?他の高校生たちは?そう考える余裕なんて無かった。
なんせ……あのサイズのトラックが人1人ひいたぐらいで。そんな程度で止まるわけが無かったんだ。
それは、すぐに俺の目の前までやってきた。
脚がすくんで動かない。トラックから目を離すことが出来ない。
多分俺は、そのまま一緒に轢かれて死んだ。