気がつくと俺は現代ではありえないくらいデカイ木が生い茂っている森に突っ立っていた。
「うわぁ、どこだここ?…ん?俺の声ってもっと低かったよな?」
自分の体をよく確認してみると、いつもより視線が低い気がする。それに俺は今みたいなアニメ声ではなかった、もっと低いおっさんボイスだった。とりあえず自分の姿を確認するため水場を探しに歩き出した。
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「んーでも川を探すっつってもサバイバル術なんて知らないから水場の探し方なんて分からないしどうしようかな……」
(ねぇそこの君、川なら真っ直ぐ行ったところにある大岩を右に曲がってしばらく進めばあるよ!)
「あ、親切にどうもありがとうござ…い…ま………す?」
……へ?え、今喋ったのって誰?
慌てて周りを見渡してみても人っ子一人いない、あるのはどこにでも咲いていそうな花が1輪だけ。
「あ、あのー何処から声かけてるんですか?できれば姿を見せてほいしいんですけど…」
(こっちだよ!こっち!さっきこっち見たじゃないか!)
声が聞こえてきたほうを持て見てもさっきの花があるだけ。
(お、やっとこっち見たね!)
「えっと…もしかして、この声ってそこの花の声ですか?」
(そーだよ!僕の声が聞こえるなんて君珍しいね!何かの能力でも持ってるの?)
「能力って何です?」
(人間や妖怪が稀に持っている能力のことだよ、君も持っているのかもね)
「へぇーそんなのがあるんですね、私はさっき目が覚めた?生まれた?ばかり何で能力があるかわからないです。あ、川の場所教えてくれてありがとうございました」
(僕も初めて人と話せて楽しかったよ、ありがとね!)
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喋る花と別れてから俺はさっき花が言っていた川へ来ていた。とりあえず自分の姿を確認しようとしたわけだが……
「うわぁ…誰だよこの美少女」
自分の顔が写っているはずの水面には桃色の髪を肩辺りまで伸ばしたスレートの髪に金色の目をした美少女が写っていた。額からは鬼のように角が上に向かって真っ直ぐと生えている。背は155cm位と少し低めだ。……ちなみに息子はいませんでした。
「この見た目で男口調って違和感あるよな、でも女口調なんてできないし…とりあえずさっき花と話してたときみたいに敬語で話しとくか…話しときますか。あとは食料をどうするかですね、でもこんな体じゃ狩りなんかできなさそうですし、果物とかを食べてくしかないんですかね……」
そんなことをぶつぶつとつぶやきながら考えていると突然後ろの茂みから3mを超える熊が飛び出してきた!とっさのことに全く反応できずに固まっていると私の頭めがけて丸太のような腕が振り下ろされ、私の頭に直撃し川の反対側まで吹っ飛ばされた。吹っ飛びながら、(うわぁこれ死んだかなぁ、こんなすぐ死ぬのかよ…死にたくねーなぁ)などと考えながら殴られた頭に意識を向けてみると
(あれ?そこまでいたくない?なんていうか少し強めに頭引っぱたかれたくらいの痛みしかないぞ?なんでだ?)
という疑問に夢中になりすぎて熊のことを忘れていると熊はそのことに怒ったように腕を横薙ぎに振るってきた。またしも私は何もできずに今度は川の中まで吹き飛ばされた、あわてて水面へ上がると川に写る自分の顔の鬼のような角が目に入った、そこでふと気がつく、
(鬼…そうか、鬼か!昔から鬼は日本の最強種として怖れられたり、神として崇められたりしてきている。理由はわからないけどそんな鬼に私はなったのか…)
鬼ならば熊に殴られたところで傷なんてつくはずないか、…………よし思いっきり殴ってみよう。
川から岸に上がり軽く跳躍する…これだけでもめちゃくちゃスピードが出てるが…、その勢いのまま右腕を振りかぶり叩きつけるだけのパンチを熊の頭に向かって放つ。
右腕が熊の頭に当たった瞬間、熊の頭が爆散した。
(……………ヘ!?いや爆散って!どんだけ威力高かったんだよ!うわぁ…やばぁ、まぁいいか強いことに越したことはないし、食料も手に入ったし)
なんとか捌いた熊の焼き肉は獣臭かったり、半生だったりしたけれど不思議と美味しく感じた。
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