輝け!!加賀谷健太   作:SEMカフェ

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第1話 回想

親からラインが来た。

 

『明日から父さんと母さんアメリカに出張する事になったけど、どうする?』

 

「は」

 

あまりに狂気じみてびっくりした。なんですかこれ。

 

『いや行きたくないけど』

 

『じゃあ日本に残って一人暮らしするか?』

 

『ボ?』

 

え?まじ?

 

『昔住んでたところのアパート借りてそこで暮らしてもらうことになるけど』

 

え、そこって

 

『東京』

 

『ヌ〜〜〜』

 

は?やばいやばいやばいやばい

 

『ちょっと待って、そこ以外じゃダメ?』

 

『別にいいけど、その代わり家賃とかは全部自分でなんとかしろよ?』

 

『は、無理』

 

『アメリカ行きたくないなら大人しく行け』

 

『おはgsんs』

 

もうヤケになってラインを閉じた。

 

なぜ俺がこんなに東京を拒むのか。理由は簡単だ。

 

会いたくない人がたくさんいるから。

 

ここからちょっと回想しよう。

 

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昔、俺は東京で生まれ、しばらくそこで育った。幼稚園の頃、俺はあまり人と接するのが得意ではなく、友達は一人もいなかった。

 

ある日、一人でブランコ振り回して遊んでいたら、

 

「ねぇ、きみひとり?」

 

「え?」

 

一人の女の子が俺に話しかけて来た。

 

「ひとりであそんでもつまんなくない?わたしといっしょにあそぼう!!」

 

なんと遊びに誘ってきたのだ。今までこんなことはなかったので、びっくりした。

 

「うん!!!あそびたい!!」

 

「それじゃこっちきて!!」

 

女の子に手を引っ張られ、一緒に走る。

 

「むにちゃーん!!このこといっしょにあそぼー!」

 

「だれ?」

 

女の子はまた一人の女の子に話しかけた。どうやら友達同士みたいだ。

 

「えーっと、だれだっけ?」

 

そりゃそうだ。俺もお前らを知らない。

 

「ぼく、健太(けんた)、加賀谷健太(かがやけんた)!!」

 

「けんたくん!じゃあけんくんってよぶね!!わたしのなまえは愛本りんく!!」

 

「あたしは大鳴門むに、よろしくねけんた」

 

こうして、俺たちは友達になった。

 

それから3人で遊んでいるうち、だんだん自分に自信がついてきて、自分から話しかけることができるようになった。あの二人のおかげで、俺は変わることができたのだ。だが、

 

「ねぇ、なんでわたしたちいがいのことあそぶの??」

 

「あたしたちじゃフマン?」

 

「「ネェ、ナンデナノ??」」

 

「ひぇ」

 

いろんな友達と遊ぶことが多くなったからか、りんくとむにと一緒に遊ぶことが少なくなってしまった。そのせいで、寂しくなったのだろう。

 

「ごめん、これからはもっとあそぼう」

 

これで幼稚園の後だけでなく、休日も遊ぶようになった。それだけでなく、りんくとむには俺を巡って喧嘩することが多くなった。

 

「りんくちゃんだけずるい!あたしもけんたにくっつきたい!」

 

「むにちゃんさっきまでほっぺにチュウしてたでしょ!!」

 

こんな感じで、俺は幼い体ながらも疲れ切っていた。

 

しかし、それも終わりを告げる。

 

「ごめん、パパがおしごとつごうでおひっこしすることになったんだ」

 

「そんな」

 

「うそよね、けんた」

 

「ごめん、またあおう!!!じゃあね!!!」

 

「「まって!!!」

 

俺は二人が襲いかかってくるかもしれないと恐れていた反面、寂しかったのもあり、俺は走り去った。二人は公園のゲートまで追いかけて来たが、外からは追いかけてこなかった。

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「思えば俺最低だったよなぁ」

 

だから会いたくないのだ。もしかしたらあの二人は今でも東京に住んでいるかもしれない。

 

「でも、覚えてないかもしれない」

 

きっと俺だけ覚えているだけで、向こうは忘れているかもしれない。

 

「ま、行くしかないよな」

 

静かに引越しの準備を始めた。

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