雨宮家の夜。
両親と弟は、1階でテレビを見ている。
その2階のー室で、リンこと
部屋は勿論電気は点けているが、彼女の周りはどこか暗い。
(…………)
会社員・ユウと出会った際にノートパソコンを貰い、現在彼女の所有物となっている。
そして、そのノートパソコンには何が入っているかを確かめる為にいじっているのだが…
(…………)
ご覧の様に、リンは作業に没頭して沈黙が続いているのだ。
学校が終わって、直ぐに作業に入っている為、4時間程ノートパソコンとにらみ合いを続けていることになる。
一体、何が彼女を
(……)
画面には、これまでアルティメギルが滅ぼしてきた惑星や
ドラグギルティ戦において仮面ツインテールが言っていたように、ツインテールの戦士を産み出すことがアルティメギルの目的であると、再確認できた。
アルティメギルについて知りたい情報がこのノートパソコンに詰まっていると言っても、過言では無いはずだ。
しかし…
(ホンマに欲しいとこが抜けとるわ…)
アルティメギルのボスやユウのことなど、トップシークレットに当たる情報は載っていなかった。
(でも、これがあれば力を手に入れられる)
そう、少なくとも
これで、あの幼女一人に重い責任を負わせずに済むかもしれない。
誰か忘れている気がするが…
「あ」
重要なことに気が付いたようだ。
如何に技術があろうとも、その材料である
そして、リンはその
(どないせえっちゅうねん)
ユウならばそれを持っているかもしれないが、生憎連絡する手段がない。
それに、自分の事についてはほとんど教えてくれなかった。
だが、リン達のことはよく知っていた。
一体どこで情報を手に入れたのか…
(せやけど、アイツは何がしたかったんや)
いくら考えても、このノートパソコンの情報だけでは足りなすぎる。
つまり、リン達はここから先はどうすることもできないのである。
何とも言えないもどかしさに、リンはただ天井を見るしかなかった。
☆☆☆
再び、アルティメギル基地。
その移動艇の発着点にて。
犬猿の仲と呼ばれた、2つの補強部隊が相対する。
片方は、ドラグギルティと修行時代を共にした、リヴァイアギルディ。
もう片方は、常に自らが前線に立ち名を上げてきた、クラーケギルディ。
そして、両者が率いている部下が十数体。
なぜ、相対しているかと言えば…
「私の部下たちが妙な影響を受けぬよう、出しゃばりは慎んでもらおう。
「時代を読めぬ骨董品めが。ツインテールには貧乳が似合うなどと、原始時代のような思い込みに縛られる貴様こそ、
リヴァイアギルディは
人間とて、この2つは大きな対立を示すもの。
人間の心から生まれたエレメリアンもまた、例外ではない。
2軍の到着に駆け付けたスパロウギルディとスワンギルテディが、止めに入ろうとするが、
「巨オオオッ!!」
「貧ンンンッ!!」
叫びと共に、凄まじい衝撃が走り、壁が軋みをあげた。
2体が目にも見えぬ速さで攻撃を繰り出したのだ。
この状況が続けば、協力には程遠いかもしれない…
「やっと来たんだ」
しかし、この空気を読まずに両隊長に近づく者がいた。
「貴方は…」
「う、"怨み"殿!?」
そう、ドラグギルティと共に侵略を任されていた"怨み"―――ユウだった。
「何故あなたがここに!?」
「何故って、出迎えに来たんだよ」
和やかに接しているが、何処か不気味さを
その雰囲気からそらす為、クラーケギルディが話を切り出した。
「聞きましたよ! ドラグギルディが出撃した日、貴方も地球に降り立ったそうですね?」
「それが何?」
「貴方ほどの幹部が、勝手な行動は如何かと」
確かに、指揮する立場が基地を放り出すのはあまり良くない。
「僕は僕の作戦を遂行しているまでのこと。それに、僕は
「……クッ」
ユウに提言することが無駄と分かったリヴァイアギルディは、後ろで見ていた2体に移した。
「ええぃ、貴様らもだ! 戦士ならば、いつまでも廃娼になどこだわらず、剣の一本でも振っておれ! 負け犬の後を継いで同じ負け犬になりたいなら、話は別だがな!!」
そう言って、発着場を後にするリヴァイアギルディ。
厳しい言葉を述べられ、苦虫を食い潰したような表情をしていたが、暫くしてそれが解けていった。
リヴァイアギルディの、腰に巻かれた、股間から延びる触手が震えている。
部下たちには厳しい態度で接していたが、彼もまたドラグギルディを失ったことを悲しんでいるのだ。
(素直じゃないな)
そう心の中でつぶやくユウ。
彼の不器用な感情表現を何処か悲しげに見送った。
タイガギルディ亡き後、新たな指揮官はついた。
しかし、その指揮官たる2体は対立を深めている。
前途多難な状況で、新たな戦いが幕を開けようとしていた。